公開日:2022年 12月 2日
更新日:2025年 4月 3日
本日はマロリー・ワイス症候群について解説させていただきます。
☆本記事の内容
銀座そうぜん鍼灸院の宗前です。
このページを書いている私は、鍼灸師として13年、担当した利用者様数80,000人を誇り、病気の休職者300人を社会復帰できるまで回復させてきた実績があります。
マロリー・ワイス症候群の原因には、激しい嘔吐が関係しています。
激しい嘔吐をすることで腹部の圧力が上がり、一時的に食道と胃のつながる部位の周りに対して大きな負担がかかり、粘膜が裂け、その周りの静脈や動脈が傷つくことで、出血し、マロリー・ワイス症候群を発症するのです。
マロリー・ワイス症候群の発症には非常に大きく関係していると考えられていることは、アルコールです。過剰なアルコールの摂取は激しい嘔吐につながることがあるためです。
何度も激しい嘔吐を繰り返している時、胃食道接合部の近くの粘膜や静脈、動脈が傷つき、マロリー・ワイス症候群につながるのです。
また、つわりも繰り返しの嘔吐が起きることがあるため、マロリー・ワイス症候群を引き起こすこともあります。
激しい嘔吐:様々な原因で起こる激しい嘔吐は、マロリー・ワイス症候群の最も一般的な原因です。これには飲酒、食物中毒、妊娠中のつわり、慢性的な胃炎、潰瘍病、ガストロエンテロウイルス感染症などが含まれます。
身体的ストレス:激しい咳、強いくしゃみ、重い物を持ち上げるなど、体に強いストレスをかける行為も、マロリー・ワイス症候群の原因となる可能性があります。
飲酒:過度の飲酒は胃を刺激し、激しい嘔吐を引き起こす可能性があります。また、アルコールは胃の粘膜を弱め、裂け目が発生しやすくなることも示唆されています。
高齢:高齢者は食道の組織が弱くなるため、マロリー・ワイス症候群のリスクが高まります。
長期の非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)の使用:NSAIDは胃と食道の粘膜を弱め、裂け目が発生しやすくなると考えられています。
過度の食事:過度の食事は胃を過剰に膨らませ、食道にプレッシャーをかける可能性があります。このため、食べ過ぎもマロリー・ワイス症候群の一因となり得ます。
一部の処置:胃鏡を使って調べるなどの内視鏡的な処置は、時折食道に損傷を与える可能性があります。しかし、これがマロリー・ワイス症候群の一般的な原因ではなく、ごくまれな事例と言えます。
マロリー・ワイス症候群の症状は、突然の吐血です。多くの場合は、繰り返し嘔吐を繰り返した後に吐血が見られます。他にも、激しい咳やむせ込みなどがきっかけとなり吐血がみられることもあります。
粘膜が傷つくため、腹部の痛みや背中の痛みが現れることもあります。大量に出血することは少ないです。しかし、出血の量が多い場合、低血圧によって現れる顔色不良や頻脈、立ちくらみや黒色の便などが見られることもあります。
さらに、肝硬変によって門脈圧亢進症につながることもあります。
吐血:マロリー・ワイス症候群の最も一般的で目立つ症状は吐血です。これは、食道と胃の接合部に裂け目が生じ、血管が損傷されるためです。血液は吐き出される食物に混じることもあるため、血の混じった嘔吐物やコーヒー粕様の嘔吐物を吐くことがあります。
黒色便:裂け目からの出血は、消化道を通過する血液が便と混ざり合い、黒色便を引き起こすことがあります。これは、血液が消化道を通過する際に分解され、色が黒へと変化するためです。
腹痛:一部では胸部や上腹部に痛みを感じることがあります。これは、食道と胃の接合部に生じる裂け目が痛み受容体を刺激するためです。
貧血:慢性的な出血は身体から鉄分を取り去り、赤血球の生成を阻害します。結果として、貧血が発症することがあります。貧血は疲労、息切れ、めまいなどの症状を引き起こす可能性があります。
ショック:出血が著しい場合、ショック状態に陥ることがあります。これは、血液量が減少し、全身の組織や器官への血液供給が不足する状態です。ショックの症状には、冷たい肌、急速な心拍数、低血圧、混乱、失神などがあります。
マロリー・ワイス症候群の改善方法は、胃薬や制吐剤などを使うことです。胃薬や制吐剤などを使うことで改善するケースも多いですが、出血が主な症状のため、血圧がしっかりと保てているかどうかということを判断することが大事です。
血圧が低下している場合は、点滴や輸血なども考慮しながら上部消化管内視鏡を行います。上部消化管内視鏡では、出血している部位に対してクリップやアドレナリン、電気焼却などを行い止血を行います。
マロリー・ワイス症候群の最初の改善法は通常、保存的なアプローチです。これには、十分な休息と、胃を刺激しない食事の摂取が含まれます。また、血液中の液体と電解質のバランスを維持するために、輸液が必要な場合もあります。
出血を止めるために、プロトンポンプ阻害薬(PPI)やヒスタミンH2受容体拮抗薬が処方されることがあります。これらの薬は胃酸の分泌を抑えることで、食道や胃の裂け目が癒えるのを助けます。
出血が止まらない場合や再発する場合は、内視鏡が必要になることがあります。これは、特殊な内視鏡を使用して食道や胃を直接観察し、裂け目を見つけて処置する手法です。出血部位の止血処置には、クリップを使用した閉鎖、熱凝固、注射などがあります。
極めて稀なケースでは、他の方法が効果を示さない場合や、裂け目が非常に大きい場合には、外科手術が必要となることがあります。
マロリー・ワイス症候群は、激しい嘔吐や身体的ストレスが原因となることが多いです。したがって、アルコール依存症や摂食障害など、これらの行動を引き起こす可能性のある病気がある場合は、心理的サポートやカウンセリングが有用であると考えられます。
これらすべての方法の目的は、出血を制御し、新たな裂け目の発生を防ぎ、快適さと生活の質を向上させることです。
大量のアルコールの摂取やつわりは、マロリー・ワイス症候群のリスクになります。
他にも、食道裂孔ヘルニアや年齢的な要素もマロリー・ワイス症候群の発症に関係しているという報告もありますが、確実なリスク因子として断定はされていません。
また、マロリー・ワイス症候群以外でも、胃食道逆流症や薬、感染症などでも胃食道接合部の粘膜の損傷が見られることもあります。これらを鑑別するためにも上部消化管内視鏡で調べることが有効です。
・脾兪
・内関
・胃兪
脾兪は、脾を改善するところという意味があります。この時の脾は脾臓そのものだけを指すのではなく、脾、胃、十二指腸、すい臓、胆のうなどの消化器官をまとめて脾と言います。
脾兪は消化と吸収を良くするツボなのです。胃腸の病気や胃下垂、背中の痛み、嘔吐や下痢などに効果的です。
内関は酔い止めやつわりを和らげるツボです。胃腸の不調や吐き気、胸やけ、イライラ、ヒステリー、動悸、めまい、ふらつきなどにも効果的です。
乗り物酔い、二日酔い、つわり、胃の不快感、頭痛、不眠、のぼせ動悸、不安感などにも有効です。
胃兪は、胃の背部にあるツボで、胃の不調全般に効果的なツボです。胃痛や胃もたれ、胃のむかつき、吐き気、食欲不振などの症状に有効です。
また、過食症状にもお勧めです。
脾兪の場所は、両手を垂らした時に肘の先端を左右で結ぶ線上に第十二胸椎があり、その上のへこんでいる場所から外に指2本分離れた所にあります。
人に押してもらったり、マッサージグッズを使ったりしても良いです。
内関は、手首のしわから指3本分のところにあります。2本の手の筋の間にあります。
押すときは気持ちが良い強さで5秒かけてゆっくり押しましょう。
胃兪は、みぞおちの高さにある脊椎の突起部の外側で指の幅2本分のところにあります。脾兪からさらに胸椎ひとつ分下がった場所です。
押すときは、人に押してもらう方が良いでしょう。仰向けになってゴルフボールなどを使う方法もお勧めです。
50代の男性が胸痛と吐血を訴えて病院に搬送されました。男性は、大量のアルコール摂取の後に激しい嘔吐を経験したと語りました。胃内視鏡で調べたところ、食道下部に裂傷が見つかり、マロリー・ワイス症候群と判断されました。
男性が到着したときには、既に血圧が低下し心拍数が上昇していました。循環動態を安定させるために、即座に静脈内に輸液を開始しました。また、食道の出血を止めるためにプロトンポンプ阻害薬(PPI)を開始しました。
その後、食道下部の裂傷を視認し、止血を確認するために内視鏡で調べました。内視鏡的クリッピングにより出血部位を閉鎖し、出血が止まるのを確認しました。
数日間の入院で改善を行なった後、状態は安定しました。その後の定期的なフォローアップでは、再発することなく症状は安定していました。ただし、アルコールの適正な摂取と過度の嘔吐を避けるように指導しました。
彼のアルコール摂取量が過度であることが明らかであったため、アルコール依存症の可能性がありました。そのため、心理的支援と依存症のカウンセリングを受けることを彼に勧めました。
このケースは、マロリー・ワイス症候群が激しい嘔吐やアルコール摂取により引き起こされる可能性があることを示しています。また、早期の内視鏡的改善が有効であり、再発防止のためのライフスタイルの変更が重要であることを示しています。