公開日:2022年 4月 2日
更新日:2022年 4月10日
本日は胆道閉鎖症について解説させていただきます。
☆本記事の内容
銀座そうぜん鍼灸院の宗前です。
このページを書いている私は、鍼灸師として13年、担当した利用者様数80,000人を誇り、病気の休職者300人を社会復帰できるまで回復させてきた実績があります。
胆道閉鎖症の原因は今のところわかっていません。胆道の閉鎖は生まれつきの場合も生まれた直後に起こる場合もあります。
母親の胎内で内臓が作られる経過で起こるのではなく、胎内で一度作られた胆管がウイルスに感染したり何か炎症が起きたりすることで、完全に閉塞してしまうと考えられています。
遺伝するかどうかもわかっておらず、一般的には遺伝しないと考えられていますが、家族の中で発症しているケースもあるため、遺伝が何かに関係している可能性もあると考えられています。
胆道閉鎖症は、新生児期に発生する胆汁排泄異常を引き起こす病気で、胆汁の流れが妨げられることによって生じます。胆道閉鎖症の原因は完全には解明されていませんが、以下の要因が関与していると考えられています。
・先天性異常
胆道閉鎖症は、胆管の発育不全や不在、狭窄などの先天性異常が原因となることがあります。これらの異常は、胎児期に胆管の発育が適切に行われないことによって生じます。遺伝的要因や母体の健康状態、母体内での感染症などが胆管の発育不全を引き起こすことが考えられています。
・免疫系の異常
胆道閉鎖症は、免疫系の異常が胆管の炎症や破壊を引き起こすことによって生じることがあります。この場合、自己免疫反応が胆管を攻撃し、炎症や破壊が起こります。免疫異常が胆道閉鎖症の原因となるメカニズムは明確ではありませんが、遺伝的要因や感染症などが関与している可能性が考えられています。
・炎症や感染症
胆道閉鎖症は、胆管周囲の炎症や感染症が胆管の閉塞を引き起こすことによって生じます。ウイルス性の感染症や細菌性の感染症が、胆管の炎症や破壊を引き起こし、胆汁の流れが妨げられることがあります。
・胆石や腫瘍
胆石や腫瘍が胆管を圧迫することによって、胆汁の流れが妨げられることがあります。これにより、胆道閉鎖症が生じることがあります。ただし、これらの要因は、新生児期の胆道閉鎖症の原因としては一般的ではありません。
・遺伝的要因
遺伝的要因も胆道閉鎖症の原因として関与していると考えられています。一部の遺伝子変異が胆道閉鎖症の発症リスクを高めることが示唆されており、家族内での症例が報告されることがあります。しかし、遺伝的要因だけでは胆道閉鎖症の発症を説明できず、環境要因との相互作用が重要であると考えられています。
・環境要因
胆道閉鎖症の原因として、環境要因も考慮されています。胎児期に母体が感染症にかかったり、薬物や化学物質に曝露することが、胆管の発育異常を引き起こすことがあります。また、胆道閉鎖症の発症には地域差があり、環境要因が影響している可能性が考えられています。
・微生物の影響
一部の研究では、胆道閉鎖症の発症に微生物が関与している可能性が示唆されています。例えば、胆管の炎症を引き起こす細菌やウイルスが、胆道閉鎖症の発症に関与していると考えられています。しかし、これらの微生物が直接的な原因となるかどうかは、まだ明らかになっていません。
以上のように、胆道閉鎖症の原因は多岐にわたります。そのため、正確な原因を特定することは困難であり、個々に対して適切な改善法を選択することが重要です。
胆道閉鎖症の症状は、皮膚や眼球結膜が黄染し黄疸が現れることと白っぽい色の便や濃い黄色の尿が見られることです。便の色は、灰色がかった白色をしている場合やクリーム色やレモン色をしている場合もあります。
病気が進むと腹部の右上に肝臓が硬く触れるようになり腹部の左上にある脾臓も少しずつ大きくなっていきます。脾臓が大きくなると、脾臓も外から触れるようになります。
胆道閉鎖症では、胆汁が腸管の中に排泄されないため、脂肪の吸収が悪くなり、脂肪を一緒に吸収されるビタミンも足りなくなります。
ビタミンKが欠乏してしまうと、出血しやすい状態になるという症状も見られます。さらに、脳出血を起こすこともあります。
胆道閉鎖症の主な症状を紹介します。
・黄疸(イクタス)
胆道閉鎖症の最も一般的な症状は黄疸です。胆汁の流れが妨げられると、ビリルビンという胆汁成分が体内に蓄積し、皮膚や目の白部が黄色く変色します。新生児期の黄疸は一般的で、通常は生後数日から1週間で自然に改善しますが、胆道閉鎖症の場合、黄疸が2週間以上続くことが特徴です。
・便の色の変化
胆道閉鎖症では、胆汁の流れが阻害されるため、便の色が薄くなることがあります。胆汁に含まれるビリルビンが正常に排泄されず、便中に十分なビリルビンが含まれなくなるため、便は薄いクレイ色や白っぽい色になります。また、尿の色が濃くなることもあります。
・肝臓の腫大
胆道閉鎖症では、肝臓が腫大することがあります。胆汁の流れが阻害されると、肝臓の細胞が炎症を起こし、肝臓が腫れることがあります。これは、医師が腹部を触って確認できることがあります。
・栄養不良と成長の遅れ
胆道閉鎖症によって胆汁の流れが妨げられると、脂肪の消化と吸収がうまくいかなくなります。その結果、栄養不良に陥り、体重増加が遅れることがあります。さらに、ビタミンA、D、E、Kなどの脂溶性ビタミンの吸収が低下することで、骨の発育に影響が出たり、出血傾向が現れることがあります。
・かゆみ
胆道閉鎖症では、胆汁酸の蓄積によってかゆみを感じることがあります。胆汁酸は、通常は胆汁とともに消化管に分泌される物質ですが、胆道閉鎖症では胆汁の流れが妨げられるため、胆汁酸が皮膚に蓄積し、かゆみを引き起こすことがあります。かゆみは、ストレスや不眠を引き起こす原因となります。
・肝硬変
胆道閉鎖症が長期間放置されると、肝臓に持続的な炎症や破壊が起こり、結果として肝硬変が発症することがあります。肝硬変は肝臓の細胞が破壊され、瘢痕組織で置き換えられる状態であり、肝機能が低下し、さまざまな合併症が発生します。これには、腹水、門脈圧亢進症などが含まれます。
・胆石症
胆道閉鎖症では、胆汁の成分が異常に濃縮され、胆石が形成されることがあります。胆石は、疼痛や感染を引き起こすことがあります。
胆道閉鎖症の改善方法は手術です。手術の方法は、胆管の塞がっている部分を取り除いて胆汁が流れるようにする方法や肝臓そのものを取り替える方法があります。
多くの場合は、胆管の塞がっている部分を取り、胆汁が流れるようにする手術を行います。
胆道閉鎖症の胆管閉塞にはいろいろなタイプがあるため、手術の方法もタイプによって違います。
胆道閉鎖症は、新生児期や幼児期に発症することが多い病気です。以下に、胆道閉鎖症の主な改善方法について説明します。
・カサイ手術(肝ポルトエンテロステミー)
胆道閉鎖症の初期の改善方法として、カサイ手術が行われることが一般的です。この手術は、閉塞した胆道を切除し、腸と肝臓を直接繋ぐことで、胆汁の流れを改善しようとするものです。カサイ手術の成績は年齢や病型によって異なりますが、早期に手術を行うことで、より良い結果が得られることが報告されています。ただし、カサイ手術が成功した場合でも、将来的に肝硬変や肝不全を引き起こすリスクは残ります。
・肝移植
カサイ手術が効果がない場合や、肝硬変や肝不全が進行している場合には、肝移植が選択されます。肝移植は、肝臓を健康なドナーの肝臓と置き換える手術で、胆道閉鎖症の根本的な改善方法とされています。肝移植は大掛かりな手術であり、リスクや合併症も伴いますが、多くの患者にとって、良好な長期結果が報告されています。
・栄養の補充
胆道閉鎖症では、脂肪の消化と吸収が低下するため、栄養を補充することが重要です。特別な栄養指導が必要となり、脂溶性ビタミンの補充が行われます。また、中鎖脂肪酸を含む特殊なミルクや、消化しやすい脂肪を摂取することが推奨されます。
・薬
胆道閉鎖症の改善には、薬も用いられることがあります。例えば、胆汁酸を補充する方法では、ウルソデオキシコール酸が用いられることがあります。UDCAは、肝臓で生成される胆汁酸の一種で、胆汁の流れを促進し、肝細胞を保護する効果があります。薬による改善は、カサイ手術や肝移植を補完する形で行われることが一般的です。
・内視鏡的胆管ドレナージ
一部では、胆管内の圧力を低下させるために、内視鏡的胆管ドレナージが行われることがあります。この手技では、内視鏡を用いて胆管にアクセスし、閉塞部位にステントを挿入して胆汁の流れを改善します。しかし、この方法は一時的なものであり、長期的な問題解決には至りません。
・病気管理とフォローアップ
胆道閉鎖症では、改善後も定期的なフォローアップが必要です。肝機能や栄養状態の評価、合併症の早期発見、対処のため、専門医による継続的なケアが重要です。
日本では、以前、胆道閉鎖症の発症の割合は、出生10,000人に1人といわれていました。しかし、最近ではこれより少し発生する頻度が高いということがわかっています。
日本では、胆道閉鎖症を発症している人は3,500人ほどいると言われており、中でも1,800人は自分の肝臓で成人期になることができていると言われています。
日本での主な小児外科専門施設の最近の成績では、胆道閉鎖症を発症している人が手術を受けた結果、約60%が手術を行った後1年目で肝移植を行うことも黄疸もありません。
手術を行うことで、きちんと胆汁を排泄することができ、肝臓の病変が進まないようにすることができれば、一般的な日常生活を送ることができるのです。
ただし、手術を行なった後、非常に長い期間が経過してから合併症が現れることもあるため、定期的に病院に行くことが大事になります。
胆道閉鎖症は新生児や幼児期に発症する病気です。胆道閉鎖症の実際の改善例を紹介します。
Aは、2ヶ月の女児で、黄疸が長引くことをきっかけに小児科医に行き、最終的に胆道閉鎖症と判断されました。Aは、カサイ手術を受けることになりました。手術は無事に成功し、胆汁の流れが改善されました。術後、Aはウルソデオキシコール酸を服用し、脂溶性ビタミンの補充を行いました。また、中鎖脂肪酸を含む特別なミルクを摂取することで、栄養状態が改善されました。
Aは、手術後の定期的なフォローアップを受け、肝機能や栄養状態の評価を行いました。その結果、肝機能が改善され、黄疸も解消されました。しかし、カサイ手術後も完全に胆汁の流れが改善しないため、将来的に肝硬変や肝不全のリスクが残りました。
Bは、1歳の男児で、カサイ手術を受けたものの、胆汁の流れが改善しませんでした。そのため、彼は肝移植を受けることになりました。適切なドナーが見つかり、肝移植手術は無事に成功しました。術後、Bは免疫抑制薬を服用しました。これにより、移植肝が拒絶反応を起こさず、機能を維持することができました。
Bは、肝移植後も定期的なフォローアップを受け、肝機能や免疫抑制薬の調整を行いました。また、Bの家族は、栄養管理や薬に関する教育を受けました。これにより、家族はBの健康状態を維持し、合併症を未然に防ぐことができました。
Bの肝移植後の経過は良好で、黄疸が解消され、肝機能も改善されました。また、Bは成長とともに徐々に通常の食事に移行し、栄養状態も良好でした。Bは、定期的なフォローアップを続けながら、通常の生活を送ることができました。
これらの改善例からわかるように、胆道閉鎖症の改善には、早期発見と適切な改善法の選択が重要です。
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