胃下垂の鍼灸【原因・定義・症状】

公開日:2019年 12月23日

更新日:2021年  5月15日

本日は胃下垂について解説させていただきます。

☆本記事の内容

  • 胃下垂とは
  • 胃下垂の症状
  • 胃下垂の原因
  • 胃下垂の改善方法
  • 胃下垂のまとめ
足のしびれ、痛み

銀座そうぜん鍼灸院の宗前です。

このページを書いている私は、鍼灸師として13年、担当した利用者様数80,000人を誇り、病気の休職者300人を社会復帰できるまで回復させてきた実績があります。

 

胃下垂とは胃が常に下にさがっている状態

胃下垂は、胃が正しい位置より常に下がっている状態のことです。胃下垂は、お腹の壁の脂肪が不足したり、腹部の圧力が下がっている痩せている人に起こります。

 

胃の動きが下がり、胃の働きが弱っている状態のことを多く胃下垂と言います。虚弱体質などの先天的なことが要因となることが大きいため、病気だと確定することはできません。暴飲暴食や過労、不安、ストレスなどが原因になり、胃の働きが弱って症状が出ます。

 

胃潰瘍は体型にも関係があり、一般的に多くは女性に見られます。胃下垂になった場合、食べた食べ物が胃の中に正しい状態より長い間たまった状態になってしまうため、消化に負担がかかります。

 

胃下垂が重症になると、骨盤の位置まで胃が落ちることもあります。色々な腹部の症状を訴える人もいますが、症状がないこともあります。特定の症状がないこともあり、西洋医学においては病気とされないこともあります。

 

しかし、実際の臨床では胃下垂の人は胃壁の筋肉の緊張が下がり、胃アトニーと言われる胃の動きが鈍くなる状態を合わせて起こしてしまい、色々な症状があることもあります。そのような場合は改善が必要です。

 

胃下垂は自覚症状がない

胃下垂では、一般的に自覚症状がないことが多いです。胃部膨満感や上部腹痛、少ない食事の量で満腹感を感じる、食後の胃のもたれやむかつきを感じるなどの症状があることもあります。

胃の筋緊張が下がっている状態を胃アトニーといいます。

 

胃の中に食べた食べ物が長い時間留まるため、食後の上腹部膨満感や重圧感、滞留による胃酸の過剰な分泌からくる胃の痛みや悪心、嘔吐、食欲不振、全身の倦怠感、体重が減少するなどの消化器に対して症状があることもあります。

 

他にも頭痛やめまい、肩こり、動悸などの症状も認められることが多いです。

胃下垂とは、胃が通常よりも下に垂れ下がってしまう状態を指します。その結果、食物の消化や栄養の吸収に影響が出ることがあります。以下では、胃下垂によく見られる症状について詳しく解説します。

 

胃下垂はその症状が個々で大きく異なり、一部の人々には全く症状が現れない場合もあります。しかし、症状が現れる場合、以下のようなものがあります。

 

まず最も一般的なのは食後の不快感や満腹感です。胃下垂者の胃は通常よりも下に位置しているため、食物の消化に時間がかかります。これにより、食後すぐに胃がいっぱいに感じるという症状が現れます。

 

次に、胃の不快感や痛みを伴うこともあります。胃が下垂することで、胃自体や胃周辺の組織に異常なストレスがかかり、痛みや不快感が生じることがあります。

 

さらに、食欲不振や体重減少が見られることもあります。胃下垂により胃の動きが鈍くなると、食事の消化に必要な時間が長くなり、食事の量が減少し、それに伴い体重減少が見られることもあります。

 

また、吐き気や嘔吐、胸やけ、胃酸逆流などの症状もあります。これらは胃の位置や形状が正常でないために起こります。胃の位置が下がることで胃酸が逆流しやすくなり、それが食道や口腔に至ることで吐き気や胸やけの原因となります。

 

加えて、胃下垂による胃の動きの鈍化は、便秘や下痢などの腸の問題を引き起こすことがあります。胃から腸への食物の移動が遅くなると、便の硬さや頻度が変化します。

 

以上が胃下垂の主な症状ですが、これらの症状が現れたからといって必ずしも胃下垂であるとは限りません。これらの症状は他の消化器系の問題、例えば胃腸炎、胃潰瘍、胃がん、胃酸過多症、胃食道逆流病(GERD)、虚弱性胃炎などでも見られるため専門家による適切な評価と判断が必要です。

胃下垂の原因は姿勢や動作、食事、睡眠、ストレス

胃下垂の原因は、姿勢や動作、食事内容、睡眠、精神的なストレスなどが考えられます。人は二足歩行に進化するとき、腰痛と内臓下垂、難産などの苦難を背負ったといわれています。

 

毎日を健康に過ごすためには、できるだけ腰に負担のない姿勢、内臓が下がらない姿勢を心がけるようにすることが大切です。

胃下垂の特徴は、体つきの細い女性に多いことです。甲状腺機能亢進症や脳下垂体不全などホルモンの病気、お腹の手術、出産を繰り返すことによっても胃下垂を起こすことがあります。

 

軽い胃下垂であれば、生まれ持った素因や体質が原因となっていることがほとんどです。後天的な原因としては、暴飲暴食や過労、ストレス、出産などが原因となることがあります。

 

糖尿病に関係したものや胃の手術の後などの病気が胃潰瘍の原因となることもあります。

胃下垂は、医学的には、胃が通常の位置より下に垂れ下がる状態を指します。この状態は一部の人々において消化器系の問題を引き起こす可能性があります。以下では胃下垂の原因について詳しく説明します。

 

胃下垂の主な原因は大きく3つに分けられます。1つ目は遺伝的な要因、2つ目は加齢によるもの、そして3つ目は生活習慣によるものです。

 

まず、遺伝的な要因について説明します。一部の人々は、遺伝的な要素により胃の筋肉が弱く、胃が下垂しやすい体質を持っています。これは先天的な特性で、親から子へと受け継がれる可能性があります。

 

次に、加齢による要因です。年齢とともに人体の筋肉は自然に衰えていきます。この現象は全身に及び、胃の筋肉も例外ではありません。したがって、加齢に伴って胃の筋肉が弱くなり、胃が下垂する可能性が増えます。特に、長寿社会である日本では、この加齢による胃下垂がより一層問題となります。

 

最後に、生活習慣による影響について触れます。不適切な食生活、運動不足、ストレス、過度の飲酒や喫煙などの生活習慣は、胃の健康に悪影響を及ぼし、胃下垂を引き起こす可能性があります。特に、食事のバランスが偏り、ビタミンやミネラルなどの栄養素が不足すると、筋肉の機能が低下し、胃が下垂しやすくなります。

 

また、運動不足により体全体の筋肉が弱まり、胃を支える筋肉の力も弱くなるため、胃下垂のリスクが高まります。さらに、ストレスは胃腸の動きを乱すことが知られており、これも胃下垂の一因となり得ます。

胃下垂の改善方法は姿勢

胃下垂の多くは体質的なものです。そのため、ほとんどの場合改善する必要はありません。暴飲暴食やストレスを避け、バランスよく規則正しい食生活を心がけてください。

 

胃の負担を考えると、食事は少ない量で回数を増やして行った方が良いです。胃の蠕動運動を促進するためには適度な運動も効果を発揮します。改善のために、胃薬や消化を助ける酵素剤が使われることもあります。

胃下垂や内臓の下垂での下腹がポッコリした状態は姿勢を正すことで改善することもあります。姿勢を正すためには体操療法や整体が効果的です。

 

食事内容を見直して、腸内環境をよくすることによって自分で改善することも多いです。改善するために施術する人は治し方を的確にアドバイスすることが重要です。

胃下垂によって何かの症状があり、改善を行う場合は主に3種類の方法が使われます。

 

1つ目は、薬です。胃痛には制酸剤が効果を発揮します。悪心や嘔吐には胃排出機能促進剤などの制吐剤や自律神経調整剤などを使います。さらに、ストレスなどの心因的要因があることも多くあるため、抗不安薬も効果的です。

 

2つ目は食事です。胃下垂の人には、痩せていて慢性的に食事の量が少ないことが多いため、栄養価の高い食事を胃に負担をかけないように食べることが重要です。

 

例えば1回の食事量を少なくして5~6回に分けて食事をしたり、水分を少なくし消化しやすい料理に調理したり、良く噛んで食べたりすると良いです。少量のアルコールやコーヒー、香辛料は食欲亢進作用もあるため、胃の痛みがない場合は、食事の制限を目的にするのではなく、どれだけ快適に食生活を送るかを目的にします。

 

3つ目は、理学的な方法です。消化吸収を進めるために、食後の体位を工夫したり、腹筋の発達を促す運動をしたりすることが効果的です。痩せ型の人が太ることができれば、胃下垂の症状の改善が期待できます。

胃下垂とは、胃が通常よりも下に垂れ下がってしまう状態を指します。これにより、消化器系の機能に問題が生じ、一部の人々には特有の症状が現れる場合があります。胃下垂の改善法について解説します。

 

胃下垂の改善方法は、その症状や影響の度合いによります。症状が全くない場合や軽度で日常生活に影響を及ぼさない場合、特別な改善は必要ない場合が多いです。一方、症状がある場合や日常生活に影響を及ぼす程度の症状がある場合は、以下のような改善法が適用されます。

 

生活習慣の改善: 生活習慣の改善は胃下垂の改善において非常に重要な要素です。これには、食事の改善、適度な運動、ストレス管理などが含まれます。

まず食事についてですが、食物を小分けにして数回に分けて食べることが推奨されます。また、胃に負担をかける食物の摂取を控えることも重要です。バランスの良い食事を心がけることで、胃の負担を軽減し、胃下垂の症状を和らげることが可能です。

 

適度な運動も胃下垂の改善に役立ちます。特に腹筋を強化する運動は、胃を支える筋肉を強化し、胃下垂の症状を軽減することが期待できます。

 

ストレス管理も重要です。ストレスは胃腸の調子を悪くすることが知られており、胃下垂の症状を悪化させる可能性があります。リラクゼーションテクニックや趣味を持つこと、適度な運動をすることなどでストレスを軽減することが推奨されます。

 

薬: 症状が重度である場合や、生活習慣の改善だけでは症状が改善しない場合、薬での改善が適用されることもあります。一部の人々には、プロキネティクスと呼ばれる薬物が処方されることがあります。これらは胃腸の運動を促進し、食物の胃から腸への移動を促進します。これにより、胃下垂による胃の動きの鈍化を改善することが可能です。ただし、これらの薬物は副作用があるため、医師との十分な相談のもとで使用する必要があります。

 

手術: 非常に重度の胃下垂で、生活習慣の改善や薬では症状が改善しない場合、手術を行うこともあります。手術は通常、胃を正常な位置に固定するために行われます。しかし、手術はリスクも伴うため、他の方法が効果を発揮しない場合にのみ選択されます。

以上が胃下垂の主な改善法ですが、症状やその程度、患者の一般的な健康状態などにより、適切な方法は個々で異なります。そのため、具体的な方法を選択する際は必ず専門医と十分に話し合い、最善の選択をすることが重要です。

胃下垂は症状があれば改善が必要

胃や内臓が下がったままの状態で生活をしていると胃腸の機能が下がってしまいます。不健康な体になっていくのです。

 

不健康な体になると、便秘や下痢、痔、胃炎、胃潰瘍、頻尿、尿もれ、生理痛、子宮筋腫、冷え症、クローン病、鼠径ヘルニアなどのいろいろな症状が起きることにつながります。

 

基本的には症状がない場合は、改善する必要はありません。何かしらの症状が現れている場合は、胃腸機能調整薬や消化酵素薬などを使うこともあります。

胃下垂の人の胃は、胃自体の消化運動が正しく行われていない状態です。胃の消化運動の不調は、飲んだり食べたりした物の消化や吸収を低下させます。すると、体全体に十分な栄養を届けることができません。

 

そのため、貧血や肌荒れなどの栄養障害を引き起こす可能性もあります。さらに、胃下垂は胃アトニ-という疾患を合わせて起こしてしまうこともあります。胃アトニ-は消化する力が低下し、胃に食べたものが長く留まってしまい、食後に膨満感を起こしやすくなってしまいます。

 

さらに胃酸過多によって胃壁を荒らし、胃炎や胃潰瘍を起こすこともあります。そのため、そのような場合には、早めに改善することをお勧めします

胃下垂に効果的なツボ

・中脘

足三里

・百会

中脘

中脘は、消化器官全般の不調に効果的なツボです。特に、胃腸の働きを活発にする作用があるため、胃腸の病気の時によく使います。

 

消化機能を高める効果や胃腸の調整をするため、胃下垂だけではなく、腹部全体の張りや食べ過ぎ、胃もたれ、消化不振などにも効果を発揮します。

 

胃腸だけでなく内臓の機能を高める効果もあります。

足三里

足三里は、胃を丈夫にする働きのあるツボです。胃腸の不調、頭痛や倦怠感などに効果的です。

 

足三里を刺激することで胃が持ち上がり、胃の筋肉が活発に動き始めるため、胃下垂にも効果的なのです。

 

足の疲れや膝の痛みなどに効果的です。血流を促す作用もあるため、全身が疲れている時や浮腫んでいる時にも有効です。

百会

百会では、多くの経脈が交わっています。そのため、百会はさまざまな不調に効果を発揮します。頭痛や肩こり、目の疲れを改善するためによく使います。

 

さらに自立心毛の働きを整える効果もあるため、ストレスや不眠に悩んでいる人にもおすすめのツボです。

 

百会には、内臓下垂などの下がった状態を正しい位置に持ち上げる効果があるため、胃下垂にも有効です。

ツボの位置と押し方

中脘

中脘は、上腹部の正中線上にあるツボです。臍とみぞおちを結んでいる真ん中にあります。

 

押すときは、人差し指と中指と薬指を揃えて押します。強く押しすぎないように注意し、優しく押しましょう。

足三里

足三里は、膝のお皿の3寸下の、脛骨の外の筋肉の上にあります。

 

押すときは、椅子に座り、親指をツボにあてて残りの指をふくらはぎに添えて2〜3分押します。少し強めに押すと良いでしょう。

百会

百会は、頭頂部の耳先の真上にあるツボです。左右の耳先を結んだ線の中央にあります。

 

押すときは、息を吐きながら両手の中指を使って押します。気持ちいいと感じるくらいの強さで押すと良いでしょう。

胃下垂の改善例

胃下垂は、胃が通常よりも下に垂れ下がる状態を指します。一部では、これにより食後の不快感、腹痛、消化不良、胸やけなどの症状が生じます。本記事では、実際の胃下垂の改善例について詳しく説明します。

 

ある30代の女性、Aさんは、長時間立って仕事をすることが多く、最近、食後の腹痛と消化不良の症状が現れました。これらの症状は日常生活に影響を及ぼすほどで、Aさんは胃腸科の専門医に相談し胃カメラで胃下垂であると判断されました。

 

最初の改善法として、Aさんには生活習慣の改善が推奨されました。具体的には、食事内容の見直しと適度な運動の実施です。まず、食事内容について、Aさんは食事の量を減らし、その代わりに1日に数回小さな食事を取るように指導されました。また、胃に負担をかける食物(過度に油っこいもの、刺激性の強いもの、カフェインなど)の摂取を控えるよう指示されました。

 

次に、適度な運動について、Aさんは特に腹筋を強化する運動を毎日実施するように指導されました。これは、腹筋が強化されることで、胃を支える筋肉が強化され、胃下垂の症状が軽減されることが期待できるからです。

 

これらの生活習慣の改善を1ヶ月間続けた結果、Aさんの症状は軽減されましたが、それでもまだ若干の不快感が残っていました。そのため、次に薬での改善が試みられました。Aさんにはプロキネティクスと呼ばれる薬物が処方され、これにより胃腸の運動が促進され、食物の胃から腸への移動が改善されました。

 

これらの方法で、Aさんの症状は大幅に改善しました。しかし、これらの改善策は一時的なものであり、胃下垂は完全に回復するわけではありません。Aさんはこれからも適切な食事、適度な運動、ストレス管理を続け、必要に応じて薬を継続することで、症状をコントロールし、生活の質を維持することが必要となります。

 

また、40代の男性Bさんの場合は、重度の胃下垂で、生活習慣の改善や薬では症状が改善しない場合がありました。Bさんは頻繁な胸焼けと食事後の吐き気で悩んでおり、これらの症状は日常生活に深刻な影響を及ぼしていました。そのため、専門医は手術を推奨しました。

 

手術では、胃を正常な位置に固定するための処置が行われました。これにより、食物の胃から腸への移動が改善し、Bさんの症状は大幅に軽減されました。しかし、手術はリスクも伴うため、Bさんのような重度の症状を持つ患者に限り、かつ他の治療法が効果を発揮しない場合にのみ選択されます。

 

これらの実例からも分かるように、胃下垂の改善法は個々の症状や生活習慣、一般的な健康状態により異なります。自身の症状を適切に管理し、良好な生活の質を維持できるよう、医師との連携と適切な改善法の選択が重要です。

 

改善方法は個々の状況により異なり、最善の選択をするためには医師との十分なコミュニケーションが重要です。

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