公開日:2019年 12月23日
更新日:2023年 3月 9日
本日は子宮筋腫について解説させていただきます。
☆本記事の内容
銀座そうぜん鍼灸院の宗前です。
このページを書いている私は、鍼灸師として13年、担当した利用者様数80,000人を誇り、病気の休職者300人を社会復帰できるまで回復させてきた実績があります。
子宮筋腫は子宮の筋肉層にできるこぶのような良性の腫瘍で、決して珍しくない症状です。
小さなものも含めると、30歳以上の女性の20~30%にみられ、女性の4人に一人はなるということになります。
大部分は無症状で、定期的な婦人科検診や別の理由での検査で偶然見つかることが多いです。
良性腫瘍なので、がん(悪性の腫瘍)ではありませんが、腫瘍が周囲の組織(血管や神経など)を圧迫するため、血の流れが悪くなり貧血や痛みなど様々な症状の引き金となります。
子宮筋腫は子宮壁の平滑筋という筋肉の異常増殖によるものです。
※平滑筋
筋肉は、自力で動かせる「横紋筋」と自力で動かせず、臓器の周囲に存在する「平滑筋」に分けられます。
子宮の内側の壁を構成する筋層内にできる筋腫。
子宮筋腫の中で最も多いのがこのタイプ。小さいとほとんど症状は出ず、大きくなるにつれて月経時の経血が増え、不妊の原因にもなる。
子宮壁の最も外側にでき、外に向かって成長し、子宮から突出してしまうこともある。
他の筋腫と違って、貧血や月経過多などの症状が出ないため、特に気が付きにくい。
筋腫が大きくなると膀胱や直腸など他の臓器を圧迫し、頻尿や便秘を起こす。
過多月経になるので貧血の症状が強くなり、手術が選択されることが多い。受精卵が着床しにくくなり不妊症の原因になる。
子宮内の腟側にできる筋腫。大きくなると過多月経になり、強い貧血が現れる。その段階で手術が選択されることが多い。
子宮筋腫の初期は自覚症状が現れないことも多く、ただの体調不良でもよくある症状のため、軽度のだとあまり気に留めません。
症状が強くなって初めて異変に気付き病院に行く方が多いです。
主な症状 | 症状別特徴 |
月経異常 | 過多月経や月経不順など、月経の周期や量に異常が現れることが多い |
下腹部の腫れや圧迫感 | 大きな筋腫がある場合に感じる |
腰痛や骨盤痛 | 筋腫が骨盤内に圧迫を与えることで痛みが出る |
頻尿 | 筋腫が膀胱に圧迫を与えることで、頻繁に尿意を感じる |
便秘 | 大きな筋腫が直腸に圧迫をかけることで起こる |
不正出血 | 月経以外の出血や性交後の出血がある |
腹部の増大 | 特に大きな筋腫がある場合、腹部が目立って大きくなる |
不妊 | 筋腫の位置や大きさによっては、妊娠の妨げとなる |
貧血 | 過多月経などによる出血が長期間続くと、貧血を引き起こす |
足のむくみ | 筋腫が骨盤内で血液の流れを妨げると、足のむくみが生じる |
症状の表れ方で、子宮内のどの場所に筋腫ができているかの予想することが出来ます。
大きさ、数によっても症状は異なります。
筋腫自体が悪性化することは非常に稀ですが、筋腫が大きく成長することで標準的な症状が悪化することはあります。
症状 | 症状別特徴 |
筋腫の急速な成長 | 筋腫の中で血流が乏しくなることで細胞の壊死が起こり、痛みや炎症が生じる |
子宮のねじれ | 特に柄のある筋腫が原因となり、急性の痛みや血流障害を引き起こすことがある。 |
妊娠・分娩の障害 | 筋腫が子宮内腔に存在する場合、妊娠の妨げとなることがある。 分娩時に筋腫が障害となり、帝王切開が必要となることもあります |
重症化した場合は、速やかに医師の診察を受けることが必要です。
子宮筋腫が発生する原因は十分解明されておらず、有効な予防法もありません。
以下の特徴があります。
そして、子宮筋腫を理解するうえで、「筋腫症の芽」を理解しましょう。
子宮筋腫の原因、筋腫症の芽について説明いたします。
筋腫症の芽は、胃や腸などの消化器系の粘膜に出現する良性の腫瘍状の隆起を指します.
研修者の間では、子宮筋腫に大きく関与している原因と示唆されています。
筋腫の解説 | |
特徴 | 良性であることが多いが、大きさや形状、位置によっては悪性変化のリスクがある |
症状 | 多くは無症状。しかし、大きな筋腫症の芽は出血や痛みを引き起こすことがある |
治療 | 大きさや形状、位置、病理学的所見に基づいて治療が検討される。 小さいものや低リスクのものは観察が選択されることが多い。 大きいものや悪性変化のリスクが考えられる場合は、内視鏡的な切除や手術が推奨されることがある。 |
子宮筋腫の芽が成長にするにあたり、関連する具体的なメカニズムは完全には解明されていませんが、以下の要因が関与していると考えられています。
ホルモンの影響 | 特にエストロゲンとプロゲステロンといった性ホルモンの影響は、筋腫や筋腫症の芽の成長に関与していると考えられています。 これは、筋腫症の芽が妊娠中やホルモン補充療法を受けている女性で成長が加速することが報告されているためです。 |
血流の増加 | 筋腫症の芽の周りの血流が増加することで、養分の供給が豊富になり、成長が促進される可能性があります。 |
遺伝的要因 | ある家系で筋腫症の芽が多発することが報告されており、遺伝的な要因が関与している可能性が考えられます。 |
成長因子の影響 | 体内で産生される様々な成長因子が、細胞の増殖を促進する作用を持ちます。 |
筋腫症の芽は主に胃を始めとする消化管に生じますが、他の臓器にも生じることがあります。
筋腫症の芽は、平滑筋細胞の増殖から形成される良性の腫瘍です。
以下は筋腫症の芽が生じる可能性のある他の部位や病状を示しています。
小腸 | 胃に次いで、筋腫症の芽が生じることが多い部位です。小腸の筋腫症の芽は、出血や腸閉塞の原因となる |
大腸 | 大腸にも筋腫症の芽は生じることがありますが、小腸や胃に比べて頻度は低い |
食道 | 食道に筋腫症の芽が生じることは稀ですが、存在する場合、飲み込み困難などの症状を引き起こすことがあります |
胆のう・胆道 | 非常に稀ですが、胆のうや胆道に筋腫症の芽が生じる |
尿路・膀胱 | 尿路や膀胱に筋腫症の芽が生じることもあります。膀胱に筋腫症の芽がある場合、血尿や排尿障害の原因となる |
子宮筋腫を診察する際に検査方法は以下の通りです。
1. 触診
婦人科の診察台に患者が横たわった状態で、医師が腹部や骨盤を触診し、子宮の大きさや形状、硬さを評価します。
2. 超音波検査(ソノグラム)
外陰部や腹部から超音波プローブを当てることで、子宮や卵巣の状態を画像として確認します。
また、膣内超音波検査という方法で、膣内からプローブを挿入してより詳細に子宮の状態を評価することもあります。
3.MRI(磁気共鳴画像法)
筋腫の大きさや位置、数を詳細に確認するために使用されることがあります。
特に手術を検討している場合や、筋腫が大きい場合に有効です。
4. ヒステロソノグラム
子宮の内部に生理食塩水を注入しながら超音波検査を行い、子宮の内腔や内膜の状態を詳しく評価します。
5. ヒステロサルピンゴグラフィー(HSG)
子宮や卵管の通りやすさを確認するために、造影剤を子宮に注入してX線撮影を行います。
主に不妊の検査として行われますが、筋腫が子宮の内腔に突出している場合にも確認できます。
6. 子宮鏡検査(ヒステロスコピー)
細長いカメラを子宮の内部に挿入して、直接子宮内腔を視覚的に評価します。子宮の内腔に突出する筋腫を確認するのに有効です。
7. 生検
筋腫と疑われる組織の一部を取り出して、病理学的に評価します。
筋腫以外の良性や悪性の疾患を除外するために行われることがあります。
あなた様の子宮筋腫に対して、効果的な手術を選択する際は、以下の要因を考慮することが重要です。
筋腫のサイズ、位置、数 | 筋腫の大きさや位置、数によって、どの手術が最も適しているかが変わる |
症状の重さ | 例えば、過多月経が主な症状の場合、子宮内膜アブレーションが選ばれることがある。 |
妊娠の希望 | 妊娠を希望する場合、子宮を温存する方法や再発リスクを最小限に抑える方法が選ばれることが多い |
利用者の年齢と健康状態 | 一部の手術は高齢の利用者や特定の健康状態を持つ患者には推奨されないことがあります |
再発のリスク | 例えば、筋腫核出術は子宮を温存できる一方で、筋腫の再発リスクが伴います。再発を極力避けたい場合は、子宮全摘出術を選ぶことも考慮されます。 |
手術のリスクと回復期間 | 全ての手術にはリスクが伴いますが、非侵襲的な手術の方がリスクや回復期間が短いことが多い |
ここで、各手術法と歴史、メリット、デメリット、適応タイプをご紹介します。
手術名 | 筋腫核出術 (Myomectomy) |
アプローチ方法 | 筋腫のみを取り除く手術。開腹手術、腹腔鏡手術、子宮鏡手術といった方法がある。 |
手術の歴史 | 古くから存在する手法で、子宮を温存する方法として選ばれる。 |
メリット | 子宮を保存できるので、妊娠を希望する女性に適している。 |
デメリット | 再発のリスクがある。手術の方法によっては傷跡が残る可能性もある。 |
適応条件 | 妊娠を希望する、筋腫のサイズや位置が適している場合。 |
手術名 | 子宮全摘出術 (Total Hysterectomy) |
アプローチ方法 | 子宮全体を取り除く。腹部や腟からのアプローチがある。 |
手術の歴史 | 子宮全体を取り除く。腹部や腟からのアプローチがある。 |
メリット | 全て摘出するため、筋腫の再発がない |
デメリット | 妊娠が不可能となる。閉経やホルモンバランスの変化が生じる場合がある。 |
適応条件 | 再発を防ぐ必要がある、他の手術法が適さない場合。 |
手術名 | 子宮動脈塞栓術 (UAE) |
アプローチ方法 | 筋腫の血液の供給を塞ぐ。 |
手術の歴史 | 比較的新しい手術法として20世紀末から行われるようになった |
メリット | 非侵襲的で、入院期間や回復期間が短い。 |
デメリット | 症状の改善が得られないことがある。妊娠に影響する可能性もある。 |
適応条件 | 手術を避けたい、複数の小さな筋腫がある場合。 |
手術名 | 子宮内膜アブレーション |
アプローチ方法 | 子宮内膜を焼灼または除去。 |
手術の歴史 | 1980年代から導入された治療法。 |
メリット | 出血の問題を改善するのに効果的 |
デメリット | 妊娠が難しくなる可能性がある。 |
適応条件 | 過多月経が主な症状で、妊娠を希望しない場合。 |
手術名 | MRI誘導下集束超音波療法 (MRgFUS) |
アプローチ方法 | MRIで筋腫を特定し、超音波で筋腫を熱して壊死させる。 |
手術の歴史 | 21世紀初頭に開発された新しい治療法。 |
メリット | 非侵襲的で、傷跡が残らない。 |
デメリット | 全ての筋腫や患者に適応するわけではない。 |
適応条件 | 筋腫のサイズ、位置、数などが適応基準に合致する場合。 |
子宮筋腫に効果があるとされる漢方薬をいくつか紹介いたします。ただし、こちらでご紹介する漢方と薬は当院に来院された利用者様たちの処方されていたものです。
薬理効果 | 水分代謝を正常化し、血の巡りを良くする効果があります。むくみや生理不順、生理痛などの症状の緩和に役立つとされています。 |
デメリット | 服用量や期間を適切に調整しないと、頭痛や吐き気などの副作用が出ることがある。 |
薬理効果 | 冷え性や血の巡りを良くする効果があります。 生理不順や生理痛の改善に役立つことが期待されています。 |
デメリット | 高用量や長期間の服用による胃腸の不調や吐き気が報告されている。 |
薬理効果 | ストレスやホルモンバランスの乱れによる生理不順やPMS(月経前症候群)の緩和に役立つとされています。 |
デメリット | 過剰摂取すると、下痢や胃腸の不調が出ることがある。 |
薬理効果 | 血の滞りや疼痛を改善する効果があり、筋腫による疼痛や生理痛の緩和に役立つとされています。 |
デメリット | 特定の体質の人には合わないことがあり、食欲不振や胃の不調を感じることがある。 |
薬理効果 | 神経を安定させる効果や冷え性の改善、血行促進の効果があるとされています。 |
デメリット | 過剰摂取や体質によっては、頭痛や胃腸の不調を引き起こすことがある。 |
子宮筋腫に効果があるとされる薬をいくつか紹介いたします。ただし、こちらでご紹介する漢方と薬は当院に来院された利用者様たちの処方されていたものです。
代表的な薬 | ルプロリン(ルプリン、ルクリン) |
成分 | GnRHの合成アナログ |
薬理効果 | 一時的に卵巣を休止状態にしてエストロゲン産生を抑制 |
効果の機序 | 継続的投与でLHとFSH放出を抑制し、エストロゲン産生低下 |
代表的な薬 | エラゴリクス(オリアンナ) |
成分 | GnRHの競合的アンタゴニスト |
薬理効果 | エストロゲン産生を速やかに抑制 |
効果の機序 | GnRH受容体を直接ブロックしLHとFSH放出を速やかに抑制 |
代表的な薬 | ウリプリスタール(エスミア) |
成分 | セロトニン受容体モジュレータ |
薬理効果 | 子宮筋腫のサイズ減少と出血減少 |
効果の機序 | プロゲステロン受容体のモジュレータとして作用 |
代表的な薬 | ミフェプリストン |
成分 | プロゲステロン受容体モジュュレータ |
薬理効果 | 筋腫のサイズ減少 |
効果の機序 | プロゲステロン受容体を競合的にアンタゴニズム |
瘀血の場合
長期間の精神的な刺激、または生活の不摂生で、気血が停滞したために生じます。可動性が無い腫塊、月経量過多・血塊、月経日数の延長、周期不定帯下が多いなどの症状があります。
妊娠しにくく、妊娠しても流産しやすいのが特徴です。
この場合、血流を良くし、腫れを引かせる作用がある
血海、太衝、合谷、 子宮などのツボを使います。
血の巡りをよくし、瘀血を除くことで、筋腫を小さくします。
痰湿の場合
痰湿は、冷え、偏った食事などにより、脾胃の働きに悪影響を与えて脾の機能が弱くなることで生じます。
脾の余分な水分の滞りを取り去り、むくみを消す作用のある
上巨虚、豊隆、三陰交、足三里などのツボへの施術で、子宮筋腫を小さくします。
血海は、血の働きが悪くなったときに使うと非常に高い効果が期待できるツボです。刺激することで血の働きをよくするため、瘀血などに対して効果を発揮します。
子宮筋腫の原因が、瘀血と関係している場合は、血海は非常に効果が期待できるツボなのです。
月経不順や月経痛、閉経、更年期障害などにも効果的で、股関節の痛みに対して使われることもあります。
上巨虚の上は上部という意味、上巨虚の巨は大きいという意味、上巨虚の虚は隙間という意味です。さらに巨は大腸のことも意味しています。
上巨虚を刺激することは、大腸の病気で邪気が腸の中に溜まったり血が滞ったりした時に効果的なツボなのです。
そのため、瘀血によって子宮筋腫を発症した場合に効果を発揮します。他にも、下痢や食欲不振、腹痛などの症状に効果的です。
豊隆は、胃と深い関係のあるツボです。そのため、胃痛や胃もたれなどの消化器症状に効果を発揮します。
さらに、余分な水分を外に出す効果もあります。そのため、脾の機能が弱くなり水分が滞ってしまって子宮筋腫を発症した場合に効果が期待できます。
鍼灸による子宮筋腫の有効性は認められておりませんが、当院の実績では、きわめて高く、多数の臨床報告があります。
現状、6回の鍼灸で子宮筋腫は3cm前後小さくなります。
ただし、6㎝~9㎝の筋腫が一番効果が高く、乳児のような巨大な腫瘤に関して、現在、施術経験はございません。
当院が担当している最大の筋腫は13㎝で、1㎝ほど小さくなっております。
経験論としては5cm~9cmまでは鍼灸が有効だと考えられています。それ以上だと手術を視野に入れるべきになります。
鍼灸が子宮筋腫症の芽に対して、どのように作用するかについての具体的なメカニズムは、西洋医学で完全には明らかにされていません。
しかし、鍼灸の効果に関して提案されている理論やメカニズムを基に、以下のような推論を考えることができます。
鍼や灸の刺激は、局所的な血行を促進することが知られています。
血行が良くなることで、炎症や腫瘤の縮小が促される可能性があります。
鍼は、炎症を引き起こす物質の放出を抑える効果があります。
この抗炎症効果により、筋腫症の芽の成長を抑える効果があるかもしれません。
鍼灸は自律神経や内分泌系に働きかけます。
この神経系やホルモンバランスへの調整作用が、筋腫症の芽の成長を抑制する可能性が考えられます。
鍼灸によって体のエネルギーのバランスを整えることで、筋腫症の芽の成長を抑える効果があるとも考えられます。
鍼刺激が中枢神経系に働きかけ、エンドルフィンなどの鎮痛物質を放出させることが関与していると考えられています。
この鎮痛作用を通じて、体のストレスや炎症反応が軽減される可能性があります。
鍼灸は免疫系にも影響を与えます。
特定の免疫細胞の活性を高めたり、免疫反応を調節することで、体の自然な治癒力を強化する効果があるとの報告もあります。
鍼の刺激は、直接的に筋肉の緊張やスパズムを緩和する効果があります。
この筋肉のリラックス効果が、筋腫症の芽の周辺の組織の状態を改善し、その成長を抑制する可能性が考えられます。
東洋医学では、鍼灸は「気」や「血」の流れを正常化し、体のエネルギーバランスを回復するとされています。
このバランスの調整が、体の各部位の健康状態を向上させる効果を持つ可能性があります。
子宮筋腫へのメカニズムは明らかにされていませんが、様々な作用を通じて、筋腫症の芽の縮小や成長抑制に寄与する可能性があります。
実際、銀座そうぜん鍼灸院では6回の鍼灸で約3cm前後の筋腫を小さくできております。
11時から21時
月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日 | |
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11時~21時迄 | × | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
月曜、年末年始