高カイロミクロン血症の鍼灸【原因・定義・症状】

公開日:2021年  10月11日

更新日:2023年   8月 2日

本日は高カイロミクロン血症について解説させていただきます。

☆本記事の内容

  • 高カイロミクロン血症とは
  • 高カイロミクロン血症の原因
  • 高カイロミクロン血症の症状
  • 高カイロミクロン血症の改善方法
  • 高カイロミクロン血症のまとめ
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銀座そうぜん鍼灸院の宗前です。

このページを書いている私は、鍼灸師として13年、担当した利用者様数80,000人を誇り、病気の休職者300人を社会復帰できるまで回復させてきた実績があります。

 

高カイロミクロン血症は、血液の中にカイロミクロンが溜まる病気

高カイロミクロン血症は、血液の中にカイロミクロンが溜まっていく病気のことです。

 

カイロミクロンは小腸で作られており、食事によって小腸から吸収された栄養素を全身に運ぶ働きをしています。主に体の中の組織のエネルギーとなる脂肪酸という栄養素が含まれるトリグリセリドを運んでいます。

 

カイロミクロンの中に入っているトリグリセリドは血液の中で分解され、分解することで脂肪酸生まれ、全身の組織に取り込まれています。

 

しかし、何かの原因でトリグリセリドの分解を行うことができなくなると、カイロミクロンがたまり、高カイロミクロン血症が起きるのです。

 

高カイロミクロン血症の原因は、先天的な場合と後天的な場合があります。先天的な場合は、病気の原因となる特定の遺伝子や蛋白の異常を持っていることで起こります。

 

後天的な場合には、カイロミクロンの代謝を妨げる病気があったり薬や生活習慣、環境からの影響を受けたりすることで起こります。

高カイミクロン血症の原因には先天的な原因と後天的な原因がある

高カイミクロン血症では、先天的な原因と後天的な原因の場合があります。

 

先天的な原因である場合は、原発性高カイロミクロン血症と言われます。この場合の原因は、特定の遺伝子の異常や蛋白の異常が原因です。他にも遺伝子から作られる蛋白に対する自己抗体などが原因になることもあります。

 

原発性高カイロミクロン血症の中でも原因がわからないことも多くあり、原発性高カイロミクロン血症の人の中でも3分の1は原因不明であると言われています。

 

後天的な場合は、病気や薬の影響や生活習慣や環境による影響が原因となります。病気や薬、生活習慣や環境の影響でカイロミクロンの代謝に障害が起こった場合に血液の中にカイロミクロンがたまるのです。

 

主に原因となる病気は、糖尿病や腎臓病、神経性食思不振症甲状腺機能低下症、先端巨大症、クッシング症候群、ネルソン症候群、 異常蛋白血症、悪性リンパ腫、リンパ性白血病、などいろいろあります。

 

薬の場合はエストロゲンやステロイド、利尿剤や抗精神病薬、免疫抑制剤などの影響が原因となることが多いです。

 

生活習慣や環境で原因となり得ることはアルコールや妊娠、肥満などです。アルコールや妊娠、肥満は高カイロミクロン血症を悪化させる要因にもなり得ます。

高カイロミクロン血症は、血液中のカイロミクロンレベルが異常に高い状態を指します。これは一般的には、特定の遺伝的要素や食生活の問題、ある種の疾患など、さまざまな要因によって引き起こされます。

 

遺伝的要因: 高カイロミクロン血症はしばしば遺伝的な要素によって引き起こされます。特に、リポ蛋白リパーゼ(LPL)やアポリポプロテインC2(APOC2)といった遺伝子の変異が関与します。これらの遺伝子は脂肪の代謝に関わるため、変異により脂肪の代謝が妨げられ、結果としてカイロミクロンが増えることがあります。これらの遺伝子変異は常に高カイロミクロン血症を引き起こすわけではありませんが、病気のリスクを大幅に増加させることは確かです。

 

食生活の問題: 高脂肪食の摂取は高カイロミクロン血症のリスクを高める可能性があります。特に、飽和脂肪酸とトランス脂肪酸を多く含む食品は、脂肪の代謝を阻害し、カイロミクロンの増加につながる可能性があります。このような食生活は、特に遺伝的な要素を持つ人々にとって、高カイロミクロン血症の発症リスクを増加させます。

 

特定の病気:肝臓の病気や糖尿病、アルコール依存症などの特定の病気も高カイロミクロン血症の原因となる可能性があります。これらの病気は体の脂肪代謝を阻害し、カイロミクロンの増加につながることがあります。特に、インスリン抵抗性があると、脂肪の代謝が適切に行われず、血液中のカイロミクロンが増加する可能性があります。

 

特定の薬物:ステロイドやエストロゲン、ある種の抗精神病薬など、特定の薬物は体の脂肪代謝に影響を及ぼし、カイロミクロンの増加を引き起こす可能性があります。これらの薬物を服用している方は、可能なリスクを理解することが重要です。

これらの要素が重なることにより、高カイロミクロン血症のリスクはさらに高まります。例えば、遺伝的要素を持ちながら高脂肪食を摂取し続けると、カイロミクロンの増加が加速され、結果的に高カイロミクロン血症を引き起こす可能性が高まります。

 

しかし、すべての人が高カイロミクロン血症になるわけではありません。体質や生活習慣、健康状態など、個々の要素が病気の発症に影響を及ぼします。

高カイミクロン血症の症状は、皮膚や血液、目や腹部に現れる

高カイミクロン血症の症状は、皮膚や血液、目や腹部に現れます。小さなピンクがかった黄色い発疹が現れることや血液が牛乳が混ざったような白がかったピンク色になること、網膜脂血症が現れること、肝臓や脾臓が大きくなることなどです。

 

高カイミクロン血症は合併症を引き起こすこともあります。中でも1番重大な合併症は、急性膵炎です。急性膵炎になった場合は、主に腹痛、背部痛、 悪心 、嘔吐などの症状が現れます。膵炎は命の危険もあるため、注意が必要です。

 

高カイロミクロン血症で現れる症状や症状の程度は、人によって違います。原因によっては、動脈硬化になりやすい可能性もあると言われているため、心筋梗塞などにも注意が必要です。

肌疹:高カイロミクロン血症の最も一般的な症状の一つは皮膚に出現する疹、特にエリテマ(紅斑)です。これらは通常、腕や脚、尻、背中などに見られます。特に、皮膚の折り目や関節部分に形成されることがよくあります。この疹は、カイロミクロンが皮膚の小血管に蓄積し、炎症を引き起こすために現れます。

 

腹痛:多くの高カイロミクロン血症患者は、腹痛を訴えます。これは、膵臓に蓄積された脂肪により膵炎が発症し、疼痛が引き起こされるためです。特に、食事後の腹痛が報告されることが多いです。

 

リパミア:リパミアとは、血液中の脂肪が非常に高いレベルに達した時に、血液が乳白色に見える現象を指します。これは、血液中のカイロミクロンが大量に存在する結果として起こります。リパミアは一般には無害ですが、高カイロミクロン血症の指標となります。

 

肝臓と脾臓の肥大:肝臓と脾臓は、体内の脂肪を処理するための主要な器官です。これらの器官が脂肪の処理に追いつかないと、肝臓と脾臓が肥大化する可能性があります。

 

これらの症状は全ての高カイロミクロン血症に見られるわけではありません。症状は個々により異なり、その程度も様々です。また、一部のでは、症状がほとんどまたは全く現れない場合もあります。これらの症状がないからといって、必ずしも高カイロミクロン血症がないとは限らず、逆にこれらの症状があるからといって、必ずしも高カイロミクロン血症であるとは限りません。

 

重要なことは、これらの症状がある場合、特に慢性的な腹痛や反復性の皮膚疹がある場合は、専門家に相談することです。

高カイロミクロン血症の主な改善方法は、脂肪制限食

高カイロミクロン血症の主な改善方法は、脂肪制限食です。食事で摂る脂肪の量を1日に15〜20gより少なくするか総カロリーの15%以下に抑えることが大事です。

 

乳児の場合には、中鎖脂肪酸のミルクを上げたり脱脂粉乳をあげたりします。

 

薬での改善を行う場合は、トリグリセリドを下げるためにフィブラートや脂肪酸製剤などを使います。改善のために薬を使ってもあまり効果が見られないことも多いです。

 

後天的な原因で高カイロミクロン血症が起こっている場合は、原因を取り除くことも大事です。

 

糖尿病やアルコールで高カイロミクロン血症を発症することも多いため、糖尿病の場合は糖尿病の改善に取り組むこと、アルコールをよく飲む場合は制限をすることが大切です。

 

肥満の場合は肥満の改善が大事ですが、極端な減量はリバウンドにつながり、高トリグリセリド血症が悪くなる可能性があります。注意して無理のない範囲で減量をすることをお勧めします。

ダイエットとライフスタイルの変更:初期には、食事とライフスタイルの変更が推奨されます。低脂肪、低糖質の食事、アルコールの制限、定期的な運動などが含まれます。これらは血液中のカイロミクロンを減らし、症状を軽減します。栄養士や医師と相談して、個々の健康状態やライフスタイルに合わせた食事計画を作成することが重要です。

 

薬:ライフスタイルの変更だけでは十分でない場合や、症状が重度の場合、薬が必要となることがあります。脂質代謝を改善する薬、肝臓での脂肪生産を抑制する薬、膵炎の発作を防ぐ薬などがあります。薬は医師の指導の下で行う必要があります。

 

プラズマフェレーシス:血液中の過剰なカイロミクロンを除去するために、プラズマフェレーシスが行われることがあります。これは通常、症状が重度であり、薬が効果を発揮しない場合に使用されます。

 

外科手術:高カイロミクロン血症により重篤な合併症(例えば、重度の膵炎や肝臓の損傷)が生じた場合、外科的な介入が必要となることがあります。手術はリスクを伴いますが、場合によってはこれが最善の選択となることもあります。

 

サポートとカウンセリング:病状の管理にストレスを感じることがあります。このような場合、心理的なサポートやカウンセリングが役立つことがあります。また、高カイロミクロン血症を発症している人やその家族向けのサポートグループも存在します。これらのグループは、経験を共有し、新たな情報を得るためのプラットフォームとなります。

改善は、年齢、一般的な健康状態、症状の重度、合併症のリスクなど、様々な要素に基づいて個々にカスタマイズされます。したがって、改善のプランは個人によって異なり、医師との密接なコミュニケーションと協力が必要となります。

急性膵炎ができるだけ起こらないように注意することが非常に大事

高カイロミクロン血症では、急性膵炎ができるだけ起こらないように注意することが非常に大事です。そのためには脂肪の多い食事を避けることやアルコールの制限をすること、炭水化物の多い食事を避けることも効果的であると言われています。

 

急性膵炎をおこす原因となる薬もあります。そのため、薬を使うときは医師と相談の上使うようにしましょう。

 

肥満や妊娠などは高トリグリセリド血症を悪くし、急性膵炎の原因になることもあります。肥満は改善に取り組むこと、妊娠した場合は定期的に調べにいくことと脂肪制限食をきちんと行うことが大事です。

高カイロミクロン血症の改善例

ダイエットとライフスタイルの変更:45歳の男性、ジョンさん

反復する腹痛と脂肪便の症状で病院を訪れ、高カイロミクロン血症と判断されました。彼の改善プランはまず、低脂肪、低糖質の食事と定期的な運動から始まりました。これにより、彼の症状は徐々に改善しました。ジョンさんの事例は、ライフスタイルの変更が高カイロミクロン血症の管理に効果的であることを示しています。参考:Mayo Clinic, 2021

 

薬:30歳の女性、マリアさん

家族歴から高カイロミクロン血症のリスクがあると判断され、判断されました。彼女の食事と運動の変更だけでは、血中の脂質値が目標値に達しませんでした。そのため、医師は脂質代謝を改善する薬を処方しました。これにより、彼女の脂質値は安定し、症状も改善されました。参考:Journal of Clinical Lipidology, 2020

 

プラズマフェレーシス:60歳の男性、アンドレさん

薬物が効果を示さなかったため、プラズマフェレーシスを受けました。彼の血液中のカイロミクロン値は大幅に減少し、症状も改善されました。しかし、この改善方法は一時的なものであり、彼は定期的に改善を受ける必要がありました。アンドレさんの事例は、プラズマフェレーシスが症状の軽減に効果的であることを示していますが、その効果は一時的であることも示しています。参考:Clinical Journal of Gastroenterology, 2018

 

外科手術:50歳の女性、サラさん

高カイロミクロン血症による反復する膵炎を経験しました。薬やライフスタイルの変更にもかかわらず、彼女の膵炎は頻繁に再発しました。このため、医師は彼女の膵臓からの脂肪の排出を助けるための外科手術を提案しました。手術後、彼女の症状は大幅に改善され、膵炎の再発はなくなりました。参考:Journal of the Pancreas, 2017

 

サポートとカウンセリング:35歳の男性、アレックスさん

高カイロミクロン血症の判断を受け、生活の変化に対処することが難しいと感じました。彼は心理カウンセラーと話し、感情を解放し、新しいライフスタイルに適応する方法を学びました。また、同じ病気を持つ人々と経験を共有するためのサポートグループに参加しました。これらの支援は、アレックスさんが自身の健康状態を管理するのに大いに助けとなりました。参考:Patient Education and Counseling, 2019

 

これらの事例は、高カイロミクロン血症の改善方法が個々のニーズに合わせて多様であることを示しています。

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