公開日:2021年 10月 1日
更新日:2021年 10月12日
本日は偶発低体温症について解説させていただきます。
☆本記事の内容
銀座そうぜん鍼灸院の宗前です。
このページを書いている私は、鍼灸師として13年、担当した利用者様数80,000人を誇り、病気の休職者300人を社会復帰できるまで回復させてきた実績があります。
ほとんどの偶発性低体温症の原因は、予想していなかったアクシデントです。
雪崩に巻き込まれたり長い時間体温よりも低い温度の水に浸かっていたり、衣服や帽子が濡れたまま過ごしていたり、寒い日に強い風に当たり続けたりすることが原因となります。
認知症などの場合、意識が明らかでない状態で偶発性低体温症が起こることもあります。さらに、大きな怪我や痙攣の発作、脳卒中や薬物中毒、アルコール中毒などによって意識障害が起こり、偶発性低体温症を引き起こすこともあります。
以下は、偶発低体温症の主な原因についての説明です。
偶発低体温症は、体温が通常よりも低下し、生命に危険を及ぼす状態です。低体温症の原因はさまざまであり、外部要因や身体の制御メカニズムの障害が関与しています。以下に、主な偶発低体温症の原因を詳しく説明します。
外部要因:
寒冷な環境: 寒冷な気温や冷水に長時間さらされることで、体温が低下します。寒冷な気候下でのアウトドア活動、遭難、水難事故などが原因となることがあります。
濡れた状態: 濡れた衣服や体が熱を奪い、体温が下がります。濡れたままの状態で風にさらされると、低体温症のリスクが高まります。
病気関連の要因:
内分泌の病気: 甲状腺機能低下症や副腎不全など、内分泌系の障害によって体温調節機能が低下し、低体温症を引き起こすことがあります。
神経の病気: 脳卒中やパーキンソン病など、中枢神経系の障害が体温調節機能に影響を与え、低体温症のリスクを増加させることがあります。
麻酔や鎮静薬の使用: 麻酔や鎮静薬の使用により、体温調節機能が抑制され、低体温症が発生することがあります。
高齢者や特定の人群における要因:
高齢者: 高齢者は体温調節機能が低下し、低体温症のリスクが高まります。また、認知症や行動制御の低下により、適切な防寒対策をとることが難しくなる場合もあります。
新生児と乳幼児: 新生児や乳幼児は体温調節機能が未発達であり、寒冷な環境下での低体温症のリスクが高まります。
薬物やアルコールの影響:
アルコール: アルコールの摂取により、血管が拡張し体温が低下することがあります。また、アルコールは判断力や冷却能力を低下させ、適切な防寒対策をとることが困難になる場合があります。
特定の薬物: 特定の薬物や薬物の組み合わせは、体温調節機能に影響を与え、低体温症のリスクを高めることがあります。
これらは偶発低体温症の主な原因の一部です。低体温症の発生を予防するためには、適切な防寒対策や適度な体温調節が重要です。特に寒冷な環境下での活動や高齢者、乳幼児のケアには注意が必要です。
偶発性低体温症の症状は人によって様々ですが、体温が低くなれば低くなるほど危険な状態になります。
体温が下がると全身が震え、皮膚が青白くなります。さらに体温が下がると寒さを感じにくくなります。眠気が起きることもあります。さらに体温の低下が進むと昏睡状態になります。
最終的には、呼吸や心臓の働きが遅くなっていき不整脈が起き、心停止を起こします。低体温症は、非常に危険な状態になることもあるのです。
以下は、偶発低体温症の主な症状について詳しく説明します。
偶発低体温症は、体温が通常よりも低下し、生命に危険を及ぼす状態です。低体温症の症状は体温の低下の程度や進行具合によって異なります。以下に、主な偶発低体温症の症状を詳しく説明します。
体温の低下:
低体温症の最も明らかな症状は体温の低下です。体温は通常36°C〜37°C程度ですが、低体温症ではそれよりも低下します。低体温の程度によって以下のような分類があります。
軽度低体温症(32°C〜35°C): 軽度低体温症では体温の低下が軽度であり、軽い悪寒感や寒気、体の冷たさを感じることがあります。
中等度低体温症(28°C〜32°C): 中等度低体温症では体温の低下が中程度であり、体のしびれ、筋肉のこわばり、意識レベルの低下、反応の鈍さなどの症状が現れることがあります。
重度低体温症(28°C未満): 重度低体温症では体温の低下が重度であり、意識の喪失、心拍数や呼吸数の低下、心停止などの重篤な症状が現れることがあります。
寒冷感と悪寒:
低体温症では、体温の低下により寒冷感や悪寒感が強くなります。体の冷たさや震え、寒気などが現れ、寒さから逃れるために身体を動かしたり、暖房器具や暖房源を求めたりすることがあります。
錯乱と認知機能の低下:
低体温症が進行すると、神経系にも影響を及ぼし、錯乱や混乱状態が現れることがあります。患者は思考力や注意力が低下し、判断力や記憶力の障害を経験することがあります。重度の低体温症では、意識レベルの低下や昏睡状態が生じることもあります。
心血管系の影響:
低体温症は心血管系にも悪影響を及ぼします。心拍数や血圧の低下がみられ、脈拍が遅くなることがあります。また、冷えた体から徐々に温まる過程で心律不整や心筋梗塞の発生リスクが高まることも報告されています。
呼吸機能の低下:
低体温症により、呼吸機能が低下することがあります。呼吸数が減少し、浅い呼吸や息切れを経験することがあります。重度の低体温症では、呼吸停止や肺浮腫の発生リスクもあります。
代謝の低下:
低体温症では代謝が低下し、体の基本的な機能が妨げられます。これにより、消化器系の機能低下、尿量の減少、排便障害などが生じることがあります。
これらは偶発低体温症の主な症状の一部であり、個人によって症状や重症度は異なる場合があります。
偶発性低体温症の改善には体温を正常に戻すことが大切です。
そのため、正常な体温程の温度に温めた点滴をしたり、40℃くらいのお風呂に入れたり、膀胱や胃などに温かいお湯を入れたり、脇の下や足の付け根に温かいお湯のパックを当てたり、電気毛布や布団で保温したりすることで改善を行います。
大きく温度が下がっていて心臓が止まりそうな状態の場合は、心臓を動かす薬を使って血圧と心拍数を回復させます。
心臓がなかなか動かない場合は、体外循環装置を使って全身に血液を送りながら、温度を回復させるための方法を行うこともあります。
偶発低体温症の改善方法は、体温を適切な範囲に回復させることが主な目的です。具体的な方法は、低体温の程度や状態に応じて異なる場合があります。以下に、主な偶発低体温症の改善方法を詳しく説明します。
早期の移送と緊急処置:
低体温症が疑われる場合は、速やかに施設に移送し、緊急処置を開始する必要があります。救急チームが到着するまでの間、以下の応急処置を行います。
寒さから避難: 寒さから避難させ、暖かくて乾いた場所に移動させます。防寒具やブランケットを使用して体を覆い、風を遮断します。
濡れた衣服の除去: 濡れた衣服を着ている場合は、早急に除去します。濡れたままの状態では体温が一層低下するため、乾いた衣服に着替える必要があります。
体温のモニタリング: 体温を定期的に測定し、低体温の程度を把握します。
加温方法:
低体温症の改善の主な目的は体温を回復させることです。体温の回復を促進するために、以下の加熱方法が使用されます。
可動式加温装置: ヒートパッド、電気毛布、温風器などの可動式の加温装置を使用して、体を温めます。
温水浴: 重度の低体温症の場合は、温水浴が行われることがあります。適切な温度のお湯に浸し、徐々に体温を上げていきます。ただし、専門家の指示の下で行われる必要があります。
血液透析: 一部の症例では、血液透析が使用されることがあります。血液透析により、体外での血液の温めと酸素化を行い、体温の回復を促進します。
心血管管理と生命維持措置:
低体温症では心血管系の影響を受けるため、心拍数や血圧のモニタリングが重要です。必要に応じて、心臓マッサージや人工呼吸などの生命維持措置が行われます。重度の低体温症では、心停止が生じることがあり、心肺蘇生法(CPR)が必要になる場合もあります。
基礎的な病気の管理:
低体温症が基礎となる病気によるものである場合、原因となる病気の適切な管理が重要です。例えば、甲状腺機能低下症や副腎不全などの内分泌の病気による低体温症の場合は、それぞれの病気の改善を行います。
予後評価とフォローアップ:
低体温症の改善後は、状態を適切に評価し、予後をモニタリングする必要があります。体温が正常に回復した後も、低体温症の合併症や再発のリスクに注意を払うことが重要です。定期的なフォローアップとチームとの連携を行い、適切なケアプランを確立しましょう。
偶発低体温症は、即座の対応が求められる緊急状態です。早期の改善と適切な加温法により、体温を回復させ、生命を守ることができます。ただし、改善は専門家の指導の下で行われる必要があります。
低体温の状態は、脳の神経細胞がダメージを受ける速さが遅くなります。そのため、心臓が止まりそうなほどの重症な場合も改善を行なった後に神経学的な後遺症があまり残らないこともあります。
社会復帰できる可能性も十分にあるため、低体温症になった時は早く体温を回復できるように適切な方法で改善を行うことが重要です。
例1: 軽度の低体温症への対応
Aはアウトドアでの活動中に軽度の低体温症を経験しました。彼は寒冷な環境にさらされ、体温が36°C未満まで低下しましたが、意識ははっきりしていました。まず、彼は乾いた場所に移動し、濡れた衣服を着替えました。救急チームが到着するまでの間、ヒートパッドやブランケットを使用して体を温めました。患者Aの体温は徐々に上昇し、36.5°Cまで回復しました。彼は安定した状態であり、追加の改善は必要ありませんでした。
例2: 中等度の低体温症への対応
Bは山岳遭難の結果、中等度の低体温症を発症しました。彼の体温は28°C未満に低下し、意識レベルが低下していました。救助隊が到着し、彼を温かい場所に移動させました。彼は湿った衣服を取り除き、暖かい衣類で覆われました。温水浴が開始されました。専門家は心拍数、呼吸数、血圧をモニタリングし、必要に応じて生命維持措置を行いました。彼の体温は徐々に上昇し、32°Cまで回復しました。彼の意識も回復し、症状が安定したため、追加の改善は必要ありませんでした。Bは入院し、定期的なフォローアップと予防策の教育を受けました。
例3: 重度の低体温症への対応
Cは雪崩事故の後、重度の低体温症を発症しました。彼の体温は28°C未満に低下し、心拍数や呼吸数が著しく低下していました。救助隊が到着し、彼を温かい場所に運び、即座に加温を開始しました。彼は温水浴と同時に生命維持措置が行われました。心肺蘇生法(CPR)も必要でした。彼は入院し、専門医による経過観察と改善が行われました。加温法は徐々に行われ、血液透析が使用されました。彼の体温と生命体徴は徐々に回復しましたが、リハビリテーションや心理的なサポートが必要でした。Cは長期的なフォローアップと再発予防の計画を立てるためにリハビリテーションチームと協力しました。
改善法は状態や低体温の程度に応じて異なる場合があります。低体温症の改善には、早期の判断と迅速な対応が重要です。