グルタル酸血症2型の鍼灸【原因・定義・症状】

公開日:2022年  1月11日

更新日:2023年  8月21日

本日はグルタル酸血症2型について解説させていただきます。

☆本記事の内容

  • グルタル酸血症2型とは
  • グルタル酸血症2型の原因
  • グルタル酸血症2型の症状
  • グルタル酸血症2型の改善方法
  • グルタル酸血症2型のまとめ
足のしびれ、痛み

銀座そうぜん鍼灸院の宗前です。

このページを書いている私は、鍼灸師として13年、担当した利用者様数80,000人を誇り、病気の休職者300人を社会復帰できるまで回復させてきた実績があります。

 

グルタル酸血症2型は、生まれつき特定の蛋白質や酵素が働かない

グルタル酸血症2型は、生まれた時から特定の蛋白質や酵素が十分な働きをしないことが原因で起きる病気です。

 

グルタル酸血症2型で十分な働きをしなくなる特定の蛋白質や酵素は、脂肪や一部のアミノ酸などの代謝に関して大きな役割をしているものです。そのため、脂肪を利用することができなくなるという問題が起こります。

 

お腹が空いた時などに体は、危機的なエネルギー不足にならないようにするために脂肪を切り崩しています。さらに、心臓や筋肉、肝臓、腎臓などのエネルギーをたくさん使う臓器ではエネルギーとして多くの脂肪が使われています。

 

グルタル酸血症2型を発症すると、主に、心臓や筋肉、肝臓、腎臓などのエネルギーをたくさん使う臓器などにダメージを受けるのです。

 

グルタル酸血症2型を発症している人は、100人未満であると考えられています。しかし、どのくらいの人が発症しているのかについて詳しくはわかっていません。

原因は、電子伝達フラビン蛋白の仕組みが上手く機能しないこと

グルタル酸血症2型の原因は、電子伝達フラビン蛋白という部分の仕組みが上手く機能しないことです。電子伝達フラビン蛋白の仕組みは細胞の中でエネルギーを生み出すために大きな役割をしています

 

そのため、脂肪を分解してエネルギーを作ることが必要な時、エネルギーが足りなくなってしまい、いろいろな症状が現れるのです。

 

グルタル酸血症2型は遺伝する病気で、遺伝形式は常染色体劣性遺伝です。

グルタル酸血症2型は、代謝障害を伴う遺伝性の病気で、身体のエネルギー生成の際に特定の脂肪酸を正常に代謝できないことが特徴となります。

 

1. 代謝とエネルギー生成の基本

私たちの身体のエネルギーは、主に炭水化物と脂肪から生成されます。これらの栄養素は、細胞内のミトコンドリアという構造体で代謝され、エネルギーとして利用されるATPを生成します。特に、脂肪酸は、脂肪酸β酸化経路という一連の反応を経てエネルギーに変換されます。

 

2. 脂肪酸のβ酸化とは

脂肪酸β酸化はミトコンドリア内で進行する代謝経路で、脂肪酸を2炭素単位で分解し、アセチルCoAという物質を生成します。このアセチルCoAはクエン酸サイクルに入り、さらにエネルギーを生成します。

 

3. グルタル酸血症2型の原因

GA2の根本的な原因は、この脂肪酸β酸化経路の中で、特定の酵素の活性が低下または欠如することによるものです。具体的には、電子伝達フラボタンパク質(ETF)および電子伝達フラボタンパク質デヒドロゲナーゼ(ETFDH)という2つの酵素の活性が異常です。これらの酵素は、ミトコンドリアの内膜に位置しており、脂肪酸β酸化経路の最後の段階で、高エネルギーの電子を受け取り、ミトコンドリアの電子伝達鎖に送る役割を果たしています。GA2では、これらの酵素の遺伝子に変異が存在し、結果として酵素の正常な機能が喪失されます。

 

4. 遺伝的要因

GA2は、常染色体劣性遺伝のパターンで遺伝します。これは、両親から受け継がれた2つのコピーのうち、1つまたは両方の遺伝子に変異が存在する場合に病気が発症することを意味します。親は、通常、病気の症状を示さない運び手であり、子供に変異遺伝子を伝えるリスクがあります。

 

5. 代謝物の蓄積

ETFまたはETFDHの活性が不足すると、脂肪酸のβ酸化が不完全となり、代謝中間体であるグルタリルCoAなどの物質が蓄積します。この蓄積は、神経系などの臓器や組織に有害であり、GA2のさまざまな症状の原因となります。

 

グルタル酸血症2型は、ミトコンドリア内での脂肪酸のβ酸化過程に関与する酵素の異常に起因する遺伝性の代謝の病気です。身体がエネルギーを効果的に生成できなくなることで、多様な症状や合併症が引き起こされます。

グルタル酸血症2型の症状は、痙攣や意識障害など

グルタル酸血症2型の症状は、痙攣や意識障害などです。これは、低血糖症になることで脳がダメージを受けることによって起こる症状です。場合によっては、全身の筋肉や心臓の筋肉や肝臓がダメージを受けることもあります。

 

グルタル酸血症2型の症状の程度は、人によって大きな差があります。

 

新生児期から脳や腎臓の奇形を合併した状態で発症し大きな心筋のダメージなどによって早い段階から命に危険が及ぶこともあれば、乳幼児期に風邪などをきっかけにして低血糖をおこしたり、筋力が低下して発症することもあります。

 

最近では成人期に筋肉の痛みや筋力の低下をきっかけに、グルタル酸血症2型を発症することもあることがわかっています。

 

新生児期に発症する場合は症状の程度も非常に重いことがほとんどですが、学童期を過ぎると低血糖などの症状はだんだんと目立たなくなると言われています。

グルタル酸血症2型は、ミトコンドリア内での脂肪酸のβ酸化が異常になる遺伝性の代謝の病気です。この病態は様々な症状を引き起こす可能性があります。以下に、GA2の症状に関する詳細を解説します。

 

1. 初期症状

多くの代謝の病気と同様に、GA2の症状も個人差があり、全てに一貫した症状が現れるわけではありません。しかし、GA2の初期症状として一般的に報告されるものは以下の通りです。

低血糖: 脂肪酸の代謝異常は、グルコース(血糖)の利用にも影響を与え、低血糖を引き起こす可能性があります。

筋肉の弱さ: 脂肪酸が正常にエネルギーとして利用されないため、筋肉の弱さや疲労が生じやすくなります。

 

2. 進行する病態とその症状

筋肉症状: 筋肉の痛み、けいれん、弱さなどの症状が見られることがあります。最も深刻な場合、ラビドミオリシスという筋肉の崩壊が生じ、これが腎臓への負担となる可能性があります。

呼吸困難: 脂肪酸の異常な代謝は、呼吸筋の弱化や肺の機能障害を引き起こす可能性があります。

神経系の症状: 運動障害、知的障害、発達の遅れなどの神経系の症状が現れることがあります。

心臓の症状: 心臓の筋肉にも影響が及ぶ可能性があり、心臓疾患のリスクが上昇します。心筋症や不整脈が見られることがあります。

肝臓の症状: 肝臓での脂肪酸の代謝異常は、肝障害や肝臓の拡大を引き起こす可能性があります。

 

3. 環境や体調との関連

GA2の症状は、特定のトリガー、例えば病気、感染、空腹、過度な運動などによって悪化することが知られています。

 

グルタル酸血症2型は、身体の各部位に多様な症状を引き起こす代謝の病気です。

グルタル酸血症2型の改善には決められた食事の間隔を守る

グルタル酸血症2型を改善するために、1番大切なことは決められた食事の間隔をきちんと守ることです。食事の時間をきちんと守ることは、飢餓状態を防ぐことにつながります。

 

食事では、低タンパク、低脂肪、高炭水化物食を行うこともあります。人によっては、多くの量のリボフラビンを使うことで症状が改善することもあります。

 

症状は、感染症に感染した時や飢餓状態の時、強い運動をした時などに急激に悪くなります。発熱した時や下痢が起こっている時、嘔吐をした時などには、できるだけ早く病院に行きブドウ糖を含む点滴を受けることで症状の予防につながります。

グルタル酸血症2型は、遺伝的な代謝の病気であり、特定の脂肪酸の代謝に関与する酵素の機能不全が主な原因となります。症状の発症や進行を抑えるための改善法は複数あります。

 

1. 栄養法

GA2の改善の中核となるのが、栄養法です。

低脂肪・高炭水化物ダイエット: 脂肪の摂取を制限し、代わりに炭水化物の摂取を増やすことで、脂肪酸の代謝を減少させることを目指します。

特定の脂肪酸の制限: 長鎖脂肪酸の摂取制限が推奨されることがあり、代わりに中鎖脂肪酸を摂取することが奨励されることがあります。

サプリメント: カルニチンやリボフラビン(ビタミンB2)の補給が病態の改善に寄与することが示唆されています。

 

2. 症状への対応

GA2に伴う症状や合併症に対応するための改善も重要です。

筋肉関連の症状: 筋肉の痛みやけいれんに対しては、痛み止めや筋弛緩剤が使用されることがあります。

低血糖の対応: 低血糖の予防や改善のために、頻繁な食事や高炭水化物の食事が奨励されます。

 

3. トリガーの管理

GA2の症状は、感染、病気、空腹、過度な運動などのトリガーによって悪化することが知られています。トリガーの管理は症状の発症や悪化を抑制する鍵となります。

予防接種: 感染症の予防のために、定期的な予防接種が推奨されます。

ストレスの管理: ストレスや過度な運動は症状の悪化を引き起こす可能性があるため、適切なストレスの管理や運動制限が必要です。

 

4. トリガー時の緊急対応

GA2の症状が急激に悪化した場合、緊急の改善が必要となることがあります。

急性の症状対応: 低血糖やラビドミオリシスのような急性の症状に対しては、即座に介入することが必要です。

 

5. 長期的なケア

GA2は生涯にわたる病気であるため、定期的なチェックアップや病態のモニタリングが必要です。

定期的なフォローアップ: 血液や尿の調べを通じて、身体の代謝状態や器官の機能を定期的に評価します。

 

グルタル酸血症2型の改善では、症状の管理やトリガーの回避を中心に、個別のニーズに合わせてアプローチが行われます。

グルタル酸血症2型(GA2)は、脂肪酸の代謝に関連する遺伝的な病気です。この代謝の異常は体内のエネルギー供給に問題を引き起こすため、適切な食事療法は症状の管理や改善に非常に重要です。低脂肪・高炭水化物ダイエットの方法と効果について詳しく説明します。

 

脂肪の制限:

肉類: 赤身の肉や鶏の胸肉のような低脂肪の肉を選ぶ。

魚類: 脂肪分が少ない魚を選ぶ。ただし、オメガ3脂肪酸が豊富な魚も体にとって有益なので、バランスを取ることが大切。

乳製品: 脂肪分の少ない乳製品や非脂肪乳製品を選ぶ。

オイルやバター: 使用量を制限し、必要最低限にとどめる。

 

炭水化物の増加:

穀物: 全粒の穀物やブラウンライス、キヌアなどの健康的な炭水化物を選ぶ。

野菜と果物: 色々な種類の野菜や果物を食事に取り入れることで、炭水化物の摂取量を増やすことが可能。

豆類: 豆やレンズ豆、ひよこ豆などの豆類は、良質な炭水化物の源である。

 

糖質の選択:

低GI(グリセミックインデックス)の食品を選び、血糖の急上昇を避ける。

 

効果:

エネルギー供給の安定: 低脂肪・高炭水化物の食事は、脂肪酸の代謝異常を持つGA2の発症者にとって、エネルギー供給を安定させる助けをする。

低血糖のリスク低減: 炭水化物は、体に迅速にエネルギーを供給するので、低血糖のリスクを減少させる。

代謝産物の蓄積の減少: 脂肪の摂取を減少させることで、異常な脂肪酸代謝の産物の蓄積を減少させることが期待できる。

身体の全体的な健康向上: 適切なバランスの食事は、心臓、腎臓、肝臓などの他の器官の健康にも寄与する。

 

GA2を発症している場合、食事は症状の管理や改善において中心的な役割を果たします。低脂肪・高炭水化物ダイエットは、身体のエネルギー供給を安定させ、代謝の問題に起因する症状や合併症のリスクを減少させる有効な手段です。しかし、医師や栄養士との相談をして行いましょう。

経過などについて現在の段階ではわかっていないことも多い

グルタル酸血症2型を新生児期に発症した場合は、命の危険があります。それ以降に発症した場合は、飢餓状態になった時や強い運動などをした時などに発作的に症状が現れます。

 

現れる症状は、学童期以降では筋症状などが中心であるということがわかっています。しかし、小児期にグルタル酸血症2型であると判断された人が成人期にかけてどの様な経過をたどっていくのかについてはまだ詳しくはわかっていません。

 

グルタル酸血症2型は、今まで発症している人の数が少ないこともあり、現在の段階ではわかっていないことも多いのです。

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