公開日:2021年 11月22日
更新日:2021年 11月25日
本日は「肺」ついて解説させていただきます。
従来の西洋医学においての病気の診断というのは、身体診察や検査などのデータなどにより特別な原因物質のみを取り上げて、身局所的、理論的に分析していきますが、東洋医学ではそれらの原因物質のみにとらわれず、身体の不調に対する根本的な原因を探るため、患部だけではなく全身を診てから治療法を判断します。
からだの不調を診断する際は、衰弱していると見られる臓腑の相克・相生関係にある臓腑も同時に診ていきます。両方の機能を高めることで、また衰弱しそうになった際にもカバーできる体にしようと試みます。
☆本記事の内容
目次
銀座そうぜん鍼灸院の宗前です。
このページを書いている私は、鍼灸師として13年、担当した利用者様数80,000人を誇り、病気の休職者300人を社会復帰できるまで回復させてきた実績があります。
動画でもご説明しておりますのでこちらもご参考くださいませ。
本記事は、現代医学でいう「肺」の機能ではなく、東洋医学の観点からの「肺」の役割について掲載しております。内容をより理解しやすくするためには、「東洋医学」の記事を先にお読み頂くことをお勧めします。
東洋医学においては、呼吸に関わる全ての器官をまとめて「肺」と捉えてよいでしょう。「肺」は、ただ体内に酸素を取り込み、二酸化炭素を排出する。といった物体としての働きだけではなく、大気中の新鮮な気を吸い込み、体内から汚れた気を出す。つまり、あらゆる良いもの、悪いものの、外気とのやり取りをしていると捉えています。
ー相傅(そうふ)の官ー
肺は君主(皇帝)を補佐して政治を担う存在だと、古代中国の人々は捉えました。呼吸によってあらゆる気を取り込むことにより、「心」のポンプの働きを助けています。両者の働きが相生し、血流を通じて全身の隅々まで酸素や血を行き渡らせることが出来るのです。つまり、「肺」が止まれば「心」も機能しなくなることを意味しているため、生命活動を維持することができません。
「肺」は、人体においての主君を補佐しているので、生命力を保つ上で非常に重要な臓器です。
「肺」は五行で「金」に属します。 金物は木を伐ります。木は「肝」。つまり「肺」と「肝」は相克関係(※)にあります。
「肝」は性格や感情の左右に大きく関わっています。緊張したり、イライラしたりするとき、呼吸は自然と速く浅くなりますが、これは「肺」が自らを保つために「肝」の力を借りているためだと言えるでしょう。
また、東洋医学では、鼻から気管・気管支など呼吸に関わる全てを「肺」としているので、呼吸に関わるところを含め、そこから派生した役割もすべてを含んでいるところが西洋医学の捉え方とは異なります。
※相克関係:対立・矛盾する二つのものが互いに相手に勝とうと争うことを言います。
「肺」の働き
気や水を上~外に向け拡散させる
呼吸を通して気を体の隅々まで補充し、老廃物を排出する働きは、西洋医学でいう肺の呼吸の機能に共通しています。 東洋医学では、さらに広く意味を持ち、津液(血液を含む体内のすべての液体物)を体に散布する役割や皮膚調節、外からの防御作用などの働きをしてます。
呼吸機能だけでなく、水分代謝、皮膚の状態、汗腺・免疫機能も「肺」と密接な関係にあるのです。
気や水を内側に取り込み、下に降ろす
気や水を体内に取り込み、栄養を体の奥へ運び、下に降ろします。それらを腎まで届けるのも肺の働きです。「肺」が吸入した気を腎に留めて、呼吸を調節する機能を保ちます。「呼吸の際は丹田(たんでん)を意識する。」とよく言いますが、こうした「肺」の降ろす作用と「腎」の納める作用の両方を働かせることを意味しています。
呼吸は「肺」と「腎」の共同作業により成り立ちます。
肺の気を下に降ろす作用により津液がスムースに、腎・膀胱へと運ばれます。この作用が上手くいかなくなると、浮腫や排尿困難の原因となります。
「肺」は、津液の代謝に関わりますので、 浮腫や尿量減少、排尿障害などの水分代謝に関係する症状も出やすくなるのです。
「肺」と「大腸」の関係
「肺」は「大腸」と表裏の関係、つまり兄弟のような関係にあります。
便秘や下痢といった排便に関わる異常と「肺」は深く関係しており、そのため排便異常が見られる際には「肺」の経絡も診ていきます。逆に、便通をよくすることで「肺」の不調が改善することもあります。
辛いものを食べると「肺」の持つ汗腺機能が亢進し、発汗が増えるなどの現象から、関連性を見ることができるのではないでしょうか。
五行説 の「五情」では、人の感情を「怒」、「喜(笑)」、「思」、「悲(憂)」、「恐」に分類しており、それぞれが行き過ぎないように上手く関わり合えば 健康な状態だとしています。
「五情」で、「肺」は「悲」を司ります。つまり、"悲しい"という感情が度を超すと生きるための活力を失くすほか、五臓の「肺」を弱らせてしまいます。逆を返すと、肺の不調が続けば、気持ちもどんどん落ち込んでしまうということです。
悲しみで泣くときは、嗚咽となって呼吸が乱れるなどの現象からも想像できるでしょう。
世界中でパンデミックを引き起こした、新型コロナウイルスは肺炎を引き起こすウイルスですね。コロナウイルスに打ち勝つためには、悲しいことばかり考えないよう心がけることも対策の一つといえるのではないでしょうか。
当院では、東洋医学の捉え方と現代医学を融合させつつ、病院では中々診断や病名のつかない不調の原因を探します。そして、心身共に完治することを目指しています。
本ページをまとめます。
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