α1-アンチトリプシン欠乏症の鍼灸【原因・定義・症状】

公開日:2021年  6月23日

更新日:2024年  4月 3日

本日はα1-アンチトリプシン欠乏症について解説させていただきます。

☆本記事の内容

  • α1-アンチトリプシン欠乏症とは
  • α1-アンチトリプシン欠乏症の症状
  • α1-アンチトリプシン欠乏症の原因
  • α1-アンチトリプシン欠乏症の改善方法
  • α1-アンチトリプシン欠乏症のまとめ

銀座そうぜん鍼灸院の宗前です。

このページを書いている私は、鍼灸師として13年、担当した利用者様数80,000人を誇り、病気の休職者300人を社会復帰できるまで回復させてきた実績があります。

 

α1-アンチトリプシン欠乏症は、α1-アンチトリプシンが欠乏する

α1-アンチトリプシン欠乏症は、α1-アンチトリプシンが欠乏することで若年性の肺気腫が起き、慢性の閉塞性肺疾患が現れる病気です。

 

α1-アンチトリプシンは、血液の中にあり、タンパク質分解酵素を阻害する働きをしています。α1-アンチトリプシン欠乏症では場合によっては、気管支拡張症や肝臓の障害、皮下脂肪織炎なども見られます。

 

α1-アンチトリプシン欠乏症は、欧米では約5,000人に1人に発症していると言われています。

 

しかし、日本ではあまり発症が見られず非常に珍しい病気です。全国疫学調査では、日本でα1-アンチトリプシン欠乏症を発症している人は、1,000万人に2.03 〜2.08人であるという結果が出ています。

α1-アンチトリプシン欠乏症を発症する人の多くは喫煙者

α1-アンチトリプシン欠乏症の原因は、遺伝です。遺伝によって、血液の中のα1-アンチトリプシンが欠乏することによって発症します。

 

α1-アンチトリプシンは、血液の中にあり、タンパク質分解酵素を阻害する働きをしています。そのため、α1-アンチトリプシンが欠乏すると、タンパク質分解酵素の働きが優位になり、主にエラスターゼなどのタンパク質分解酵素によってエラスチンが破壊されます。

 

エラスチンは、肺胞を構成するために重要な結合組織です。そのため、エラスチンが破壊されると、肺気腫病変が作られると考えられているのです。

 

α1-アンチトリプシンの遺伝形式は、常染色体劣性遺伝です。原因となる遺伝子の変異の仕方によってもどのくらいα1-アンチトリプシンが欠乏しているかには違いが出ると言われています。

 

しかし、α1-アンチトリプシン欠乏症を発症する人の多くは喫煙者であることがわかっています。そのため、喫煙はα1-アンチトリプシン欠乏症に大きく関わっていると考えられます。

・遺伝子変異の種類

AAT欠乏症には多くの遺伝子変異が関連しており、その中でも特に重要なのが「Z」変異と「S」変異です。「Z」変異は最も一般的な変異であり、これが原因で生成されたAATは正常に機能せず、肝臓内に蓄積されることがあります。「S」変異もAATの機能不全を引き起こすが、「Z」変異よりもその影響は軽度です。

 

・遺伝子の組み合わせ

人は2つのSERPINA1遺伝子を持ち、その組み合わせによってAATの生産量や機能が決まります。「ZZ」の組み合わせを持つ人は重度のAAT欠乏症を発症するリスクが非常に高くなります。「SS」や「MS」、「MZ」などの組み合わせでは、AATの生産量が減少するものの、欠乏症の症状が出ることは少ないです。

 

・環境要因との関連

AAT欠乏症の発症や進行には環境要因も関与しています。喫煙はAATの機能をさらに損ない、肺の組織破壊を促進するため、非常に危険な要因となります。また、空気の汚染や職場の環境によるダストの吸入も、肺の病状を悪化させる可能性があります。

 

以上のように、AAT欠乏症は主に遺伝的な要因によって発症しますが、環境要因も症状の進行に影響を与える重要な要素となります。

α1-アンチトリプシン欠乏症は一般的に症状が進むスピードは早い

α1-アンチトリプシン欠乏症の主な症状は、労作時の呼吸困難や慢性の咳や嗽、喀痰です。場合によっては、気管支拡張症や肝臓の障害、皮下脂肪織炎などが現れることもあります。

 

症状が進むと、肺機能が低下することもあります。肺機能が低下すると、症状が強くなり、だんだんと低酸素血症から高い濃度の酸素の投与が必要になることもあります。

 

α1-アンチトリプシン欠乏症は、一般的に症状が進むスピードは早いです。

・肺の症状

AATは肺を保護する重要な役割を果たしており、その欠乏は主に肺に影響を与えます。喘息様の症状やCOPDを発症することがあります。また、AAT欠乏症は特に中年以降の人々において肺気腫の発症リスクを高めることが知られています。

 

肝臓の症状

AATの変異により生成された異常なタンパク質は肝臓に蓄積し、肝臓の機能障害や肝炎を引き起こすことがあります。これにより、黄疸(皮膚や目の白い部分が黄色くなる状態)、肝硬変、肝腫瘍などが発症する可能性があります。また、新生児や小児においては、肝臓の腫れや脾臓の腫れ、成長の遅れなどが見られることがあります。

 

・その他の症状

一部では、皮膚に赤い斑点が現れることがあります。これは毛細血管の炎症を示す症状であり、結節性紫斑と呼ばれます。また、関節の痛みや腫れも報告されています。

 

重症度の変化

AAT欠乏症の症状は、年齢や生活習慣、合併症の有無などにより異なります。若い年齢で症状が現れる場合もありますが、一般的には中年以降に症状が悪化することが多いです。喫煙や大気汚染の影響を受けやすいため、これらの環境要因を避けることが重要です。

 

以上のように、α1-アンチトリプシン欠乏症はその名の通り、体内でα1-アンチトリプシンの生産が不十分であることに起因します。このタンパク質の欠如は主に肺と肝臓に影響を与え、それぞれに様々な症状を引き起こすことがあります。

薬や高濃度の酸素の投与、手術などの方法で改善を行う

α1-アンチトリプシン欠乏症では、運動をしたり栄養の管理をしたりしながら、気管支拡張剤などの薬や高濃度の酸素の投与、手術などの方法で改善を行います。重症の場合は、肺移植をすることもあります。

 

α1-アンチトリプシン欠乏症改善するためには、タバコの煙や有害粒子を吸わないようにすることが大事です。

 

慢性閉塞性肺疾患を発症している場合は、インフルエンザワクチンの接種などをしてできるだけウイルスに感染しないように心がけることも大事になります。

 

最近では、人のプール血漿から精製されたα1-アンチトリプシン製剤を毎週1回点滴によって補充する方法が保険が適応されるようになりました。

・α1-アンチトリプシン補充

AAT欠乏症の最も直接的な改善法は、足りないα1-アンチトリプシンを補充することです。この方法では、健康な人から採取されたα1-アンチトリプシンを抽出し、静脈注射で投与します。この方法により、肺の損傷を防ぐことができるとされています。

 

肺の症状に対する改善方法

AAT欠乏症による肺症状(息切れ、咳、胸の圧迫感など)の方法には、喘息やCOPDの改善に使われる薬剤が使用されることがあります。インヘラーによるブロンコダイレーターやステロイドの投与、抗生物質や抗ウイルス薬による感染症の予防と改善が含まれます。また、肺炎やインフルエンザの予防接種も推奨されます。

 

・肝臓の症状に対する改善

AAT欠乏症による肝臓症状(黄疸、肝硬変など)の改善方法は、その原因となっている肝機能障害や肝炎の改善に基づいて行われます。肝硬変の進行を防ぐために、食事やライフスタイルの改善、肝臓に負担をかける薬物やアルコールの摂取の制限が重要です。

 

生活習慣の改善

AAT欠乏症の改善には、生活習慣の改善も非常に重要な要素です。特に喫煙は肺の損傷を加速させるため、喫煙者は禁煙を強く推奨されます。また、適度な運動やバランスの取れた食事により、全体的な健康状態を改善し、病状の悪化を防ぐことができます。

 

以上のように、AAT欠乏症の改善は、症状の管理や合併症の予防を目的として行われ、病状やライフスタイルに合わせて適切な方法が選択されます。

α1-アンチトリプシン欠乏症(AAT欠乏症)の主要な症状である肺の病気改善に使用される薬物には以下のものがあります。

 

・ブロンコダイレーター

インヘラーにより投与され、気道を広げることで息切れを和らげる効果があります。サルブタモールやテオフィリンなどがあります。

 

・ステロイド

気道の炎症を抑える効果があります。インヘラーまたは経口薬として投与されることが多いです。ブデソニドやフルチカゾンなどがあります。

 

・抗生物質

感染症による肺の悪化を防ぐために使用されます。アジスロマイシンやレボフロキサシンなどがあります。

 

・α1-アンチトリプシン補充

AAT欠乏症に対する最も直接的な方法で、不足しているα1-アンチトリプシンを静脈注射により補充します。これにより肺の損傷を防ぐことができます。

 

これらの薬物はAAT欠乏症の肺の病気の改善に使用される主要なものですが、症状や病状によって適切な薬物が選択されるべきであり、医師の指導のもとで使用することが重要です。

喫煙や受動喫煙などを避けることが大事

α1-アンチトリプシン欠乏症では、喫煙や受動喫煙などを避けることが大事です。また、筋肉が衰えないようにするために運動や栄養の管理を行い、活動できる身体状態を保つことも心がけましょう。

 

慢性閉塞性肺疾患を発症している場合は特に、感冒などの感染をできるだけ防ぐことも大事になります。

α1-アンチトリプシン欠乏症に効果的なツボ

中府

肺兪

雲門

中府

中府は呼吸器の病気の特効穴の1つです。 そのため、風邪や喘息、花粉症などの症状に効果を発揮します。咳や痰、鼻水、しゃっくり、喉の痛み、肌荒れ、気管支炎、喘息などに効果的なツボなのです。

 

 

刺激することで胸の筋肉の緊張を緩めることができるため、肩が前に出て背中が丸く見える姿勢にも効果的で、肩こりや胸郭出口症候群、五十肩などの改善にも役立ちます。

肺兪

肺兪は、ツボの名前に肺という文字が入っているように、肺の調子が悪くなると固くなると言われています。風邪をひいた時や咳に悩んでいる時、喘息の症状に困っている時などにおすすめです。

 

肺兪は、呼吸を楽にする効果があるのです。

雲門

雲門は、肺経に属するツボで、肺に関係する症状に対して効果を発揮します。喘息や喉の痛み、長引く咳、風邪や花粉症に対しても効果的です。

 

他にも、手足の熱や急激な心腹痛などの改善に使われることもあります。

ツボの位置と押し方

中府

中府の場所は、鎖骨の外端下のくぼみからさらに指1本分下に下がった部分にあります。

 

リラックスしている時に押すことがおすすめです。気持ち良いくらいの力で押し、押しているところが何となく緩んだようになるまで深呼吸をしましょう。

肺兪

肺兪は、背骨と肩甲骨の中間にあるツボで、肩甲骨の高さ2分の1の場所にあります。

 

押すときは、うつ伏せになり誰かに押してもらうことをお勧めします。使い捨てカイロで温めたりお灸を行ったりすることで、胸まで温まり呼吸が楽になる効果がより期待できます。

雲門

雲門は、鎖骨の下側を肩方向になぞっていくと当たるくぼみにあるツボです。

 

押すときは、優しくなでるくらいの刺激で押しましょう。指で刺激して緩めてからお灸することをお勧めします。

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