好酸球性消化管疾患の鍼灸【原因・定義・症状】

公開日:2021年 11月 2日

更新日:2021年 12月 3日

本日は好酸球性消化管疾患について解説させていただきます。

☆本記事の内容

  • 好酸球性消化管疾患とは
  • 好酸球性消化管疾患の原因
  • 好酸球性消化管疾患の症状
  • 好酸球性消化管疾患の改善方法
  • 好酸球性消化管疾患のまとめ
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銀座そうぜん鍼灸院の宗前です。

このページを書いている私は、鍼灸師として13年、担当した利用者様数80,000人を誇り、病気の休職者300人を社会復帰できるまで回復させてきた実績があります。

 

好酸球性消化管疾患は、食べ物などで胃腸の機能に障害が起きる疾患

好酸球性消化管疾患は、食べ物などが抗原となりアレルギー反応がおこることで炎症が起き、胃腸の正しい機能に障害が起きる疾患です。

 

炎症が起きる部位によって、主に好酸球性食道炎と好酸球性胃腸炎の2つに分かれています。

 

食べ物などが抗原となりアレルギー反応がおこることで消化管にたくさんの好酸球が集まって慢性的に炎症を起こします。そのため、胃腸の正しい機能に障害が起きるのです。

 

好酸球性消化管疾患は、非常に幅広い年齢で発症する可能性のある病気です。特に気管支喘息などのアレルギー疾患を持っている人に発症巣やすいと言われており、中でも好酸球性食道炎は男性に多いと言われています。

好酸球性消化管疾患の原因は、アレルギー反応

好酸球性消化管疾患の原因は、アレルギー反応です。アレルギー反応が起きる原因で多いものは食べ物の中のアレルゲンなどです。ただし、原因となるアレルゲンがはっきりとわからないこともあります。

 

好酸球性消化管疾患の発症には遺伝よりも環境などが関係していると言われています。しかし、好酸球性食道炎の場合、同じ家系の中で発症することも多いと言われています。

好酸球性消化管疾患(EGID)は、好酸球と呼ばれる特定の種類の白血球が消化管(食道、胃、小腸、大腸)に異常に増える状態を指します。好酸球性食道炎(EoE)や好酸球性胃腸炎(EGE)など、EGIDにはさまざまな形があります。

 

しかし、残念ながらEGIDの正確な原因はまだ完全には解明されていません。現在の科学的理解によれば、EGIDは体の免疫系が誤作動する結果として発生すると考えられています。この免疫応答は一部の食物や環境要素に対して引き起こされる可能性があり、これにより消化管内で好酸球の数が増え、炎症を起こすと考えられています。

 

食物アレルギー: EGIDの一部は食物アレルギーと関連しています。卵、牛乳、大豆、小麦、ピーナッツ、魚、貝などの一部の食物が好酸球の増加を引き起こす可能性があります。しかし、すべてのEGIDの発症者が食物アレルギーを持っているわけではありません。

 

遺伝: EGIDは一部遺伝的な傾向を持つ可能性があります。一部では家族にEGIDや他のアレルギー(アトピー性皮膚炎、喘息、花粉症など)の既往歴があることがあります。

 

環境要素: 環境要素もEGIDの原因として考えられています。特定の季節や気候条件が好酸球性反応を引き起こす可能性があります。加えて、一部の研究では、早期の抗生物質使用や帝王切開出産、低暴露の環境がEGIDのリスクを増加させる可能性を示唆しています。

 

免疫系の異常: EGIDの根本的な原因は、好酸球が体内で何らかの異常な役割を果たす免疫系の異常であると考えられています。好酸球は本来、体を寄生虫などの感染から保護する役割を果たすべきですが、EGIDではこれらの細胞が消化管の組織に対して攻撃的になり、炎症と組織の損傷を引き起こします。

 

これらの要素がどのように相互作用し、個々でEGIDを引き起こすかについての理解はまだ初期段階にあります。より多くの研究が必要とされており、その結果、より効果的な判断方法と改善法が開発されることを期待しています。

 

微生物叢(ガットフローラ)の変化:最近の研究によれば、腸内の微生物叢(ガットフローラ)のバランスの変化も、EGIDの発生に影響を与える可能性があります。我々の腸内には多数の微生物(バクテリア、酵母、ウイルスなど)が存在し、これらは消化、免疫応答の調整、栄養の吸収など、体の重要な機能に寄与しています。しかし、特定の食事、抗生物質の使用、ストレスなどにより、この微生物叢のバランスが崩れると、免疫系の反応が変化し、好酸球の増加を引き起こす可能性があります。

 

細胞性免疫応答:EGIDは細胞性免疫応答と深く関連しています。これは、体が異物や病原体を認識し、攻撃する免疫システムの一部です。EGIDでは、食物アレルゲンや他の刺激物に対する細胞性免疫応答が過剰になり、これが好酸球の増加と炎症を引き起こします。細胞性免疫応答は、T細胞と呼ばれる特定の白血球の活性化に依存しています。これらのT細胞は、好酸球が増加し、活性化するための化学信号を放出します。

 

過敏性反応:EGIDは、体の免疫系が過敏に反応し、通常は無害な物質に対して攻撃的になるアレルギー反応と密接に関連しています。この過敏性反応は、体がアレルゲン(通常は無害な物質)を誤って脅威と認識し、過剰な免疫反応を引き起こすことで生じます。これにより、好酸球が消化管の組織に移動し、その場所で増殖し、組織を損傷する化学物質を放出します。

 

これらすべての要因が相互に作用してEGIDを引き起こすと考えられています。しかし、個人の症状や病態の進行は個々の遺伝的背景、免疫系の状態、環境要素、ライフスタイルなどにより異なります。

好酸球性食道炎と好酸球性胃腸炎では症状が違う

好酸球性消化管疾患は、主に好酸球性食道炎と好酸球性胃腸炎に分かれています。好酸球性食道炎と好酸球性胃腸炎では症状が違います。

 

好酸球性食道炎の場合、食道に病気が起こることで食べ物を飲んだり食べたりしにくくなります。そのため、小児の場合上手に哺乳が上手にできなくなったり、嘔吐や腹痛が起こったりします。

 

大人の場合、主な症状は食べ物の飲み込みにくさです。

 

好酸球性胃腸炎の場合、胃や腸に病気が起こることで食べ物の消化や栄養物の吸収が悪くなります。そのため症状としては、腹痛、嘔吐、下痢、栄養障害がなどが現れます。

好酸球性消化管の病気(EGID)は一連の病気であり、その症状は感染部位(食道、胃、小腸、大腸など)と病気の形態(例えば、好酸球性食道炎(EoE)や好酸球性胃腸炎(EGE))によって変わる可能性があります。好酸球性食道炎(EoE)の症状を以下に説明します。

 

飲食物の嚥下困難:これはEoEの最も一般的な症状で、飲食物が食道を下るのが難しく感じる状態です。これは特に固形食品を飲み込む際に顕著で、最悪の場合、飲食物が食道に詰まる(食物インパクション)という状況に至ります。

 

胸痛:食道の炎症と組織の破壊により、飲食物の嚥下時に胸痛を感じることがあります。これはしばしば心臓の問題と間違えられることがあります。

 

胃酸逆流の症状:逆流、胸焼け、喉の痛みなど、胃酸逆流の症状を持つ患者も多くいます。しかし、これらの症状は通常の酸逆流治療に反応しないことが多いです。

 

好酸球性胃腸炎(EGE)および好酸球性大腸炎(EC)の症状:

 

腹痛:腹部の不快感や痛みはEGEとECの一般的な症状で、特に食事後に発生します。

 

下痢:これは特にECで一般的な症状で、稀に血便を伴うこともあります。

 

吐き気と嘔吐:これらの症状は特にEGEで一般的です。

 

体重減少と栄養不良:繰り返しの嘔吐や下痢、食物の吸収不良により、体重減少や栄養不良を引き起こすことがあります。

 

食物の嗜好性変化:特定の食物に対する反応を避けるため、特に子供たちは自然にその食物を避ける傾向があります。

 

その他の症状:

 

疲労:体の炎症反応や栄養不良により、慢性的な疲労を感じることがあります。

 

アトピー性疾患:EGIDを発症している人の中には、喘息、アトピー性皮膚炎(湿疹)、鼻炎などの他のアトピー性の病気を持つ人もいます。

 

これらの症状の多くは他の病気と重複するため、判断は困難であることが多いです。

好酸球性消化管疾患ではアレルゲンとなっている食べ物を摂らない

好酸球性消化管疾患の改善方法は、原因となるアレルゲンがわかる場合はアレルゲンとなっている食べ物を摂らないことです。

 

好酸球性食道炎の場合、プロトンポンプ阻害薬を使うことで胃酸を減らすことが効果的なことも多いです。

 

他にも、改善するための薬としてステロイドホルモンを使うこともあります。ステロイドホルモンであまり効果が見られない場合は免疫抑制薬を使うこともあります。

好酸球性消化管疾患(EGID)の改善法は、その病態、年齢、症状の重症度などに基づいて個々にカスタマイズされます。一般的に、改善方法の目的は、症状の改善、好酸球の過剰な蓄積を抑制し、可能な限り正常な生活を維持することです。以下に、主要な改善戦略について説明します。

 

薬:

 

ステロイド:EGIDの主要な改善法はステロイドです。これは通常、吸入用または飲み込み用のステロイドとして処方されます。これらの薬は、食道の炎症を抑え、好酸球の増加を制御します。長期間の使用には副作用のリスクがありますが、そのリスクは全身的なステロイドに比べて低いとされています。

 

プロトンポンプ阻害剤(PPI):これらの薬は、胃酸の産生を抑えることで食道の炎症を和らげるのに役立ちます。一部では、PPI単独で症状が改善することがあります。

 

リューキトリエン阻害剤:これらの薬は、好酸球の活動を阻害することで、食道の炎症と症状を軽減するのに役立つことがあります。

 

免疫抑制剤:重症の場合や、他の改善法に反応しない場合には、免疫抑制剤が使用されることがあります。

 

食事:

 

除去食事:特定の食物がEGIDの症状を引き起こす可能性があるため、アレルゲンを特定し、それらの食物を食事から除去することが推奨されることがあります。これには、乳製品、小麦、卵、大豆、ピーナッツ・ツリーナッツ、魚・シーフードの「6大アレルゲン」を除去する方法や、特定の食物アレルギーテストに基づいて特定の食物を除去する方法があります。

 

全素食(アミノ酸)ベースの食事:最も厳格な除去食事は、全素食ベースの食事療法です。これは、アレルゲンを含まない特別なアミノ酸ベースの栄養飲料だけを摂取する方法です。

 

内視鏡的介入:

 

バルーン拡張:EoEによる食道の狭窄(食道狭窄)に対する一般的な改善方法は、内視鏡的バルーン拡張です。これは、バルーンを用いて食道の狭窄部を物理的に拡張する方法です。

これらの改善法はしばしば組み合わせて使用され、症状や反応に応じて調整されます。EGIDの改善は一般的には長期的で、定期的なチェックと調整が必要です。

気がついたことは医師に伝える

好酸球性消化管疾患は、食べ物の中のアレルゲンが原因で起こることが多いです。しかし、原因となるものを食べた後すぐに症状が現れるわけではありません。そのため、原因であるものがわからないことも非常に多いです。

 

食べ物以外にも花粉や空気の中のカビの胞子などによって症状が現れることもあります。

 

牛乳や卵などの決まったものを食べた時調子が悪くなりやすい、決まった季節になると調子が悪くなるなど、自分で気がついたことがある場合は医師に伝えることで改善にも役に立ちます。気がついたことは医師に伝えるようにしましょう。

 

好酸球性消化管疾患の改善例

ヒロシさんは30代の男性で、1年前から不定期に腹痛と下痢を繰り返していました。始めは食事の内容やストレスによるものと考えていましたが、症状は時間とともに悪化しました。最近では、食事後の腹痛が頻繁に起こり、体重も少しずつ減少していました。そのため、一般内科に行き、さらに消化器科への紹介を受けました。

 

消化器科では、ヒロシさんの症状と生活習慣、食事内容を詳しく聞いた上で、上部および下部の内視鏡で調べました。内視鏡とその組織生検の結果、ヒロシさんは好酸球性胃腸炎(EGE)と判断されました。

 

ステップ1:食事と薬

 

ヒロシさんの改善方法は、まず食事と薬から始まりました。食事では、一般的なアレルギーを引き起こす可能性がある食物(乳製品、小麦、卵、大豆、ナッツ、魚・シーフード)を一時的に排除するよう指導されました。これは、食物がヒロシさんの症状を引き起こしている可能性があるためです。

 

また、彼は薬として、ステロイドの内服を開始しました。この薬は、ヒロシさんの食道、胃、腸の炎症を抑え、好酸球の増加を制御することを目的としています。

 

ステップ2:食物アレルギーテストと食事の調整

 

除去食事を始めて数週間後、ヒロシさんの腹痛と下痢は少しずつ改善しました。この段階で、アレルギー専門医による食物アレルギーテストが行われ、ヒロシさんが小麦と乳製品に反応することが明らかになりました。

 

この結果をもとに、ヒロシさんの食事はさらに調整されました。小麦と乳製品を完全に避けつつ、他のアレルゲン食品は再度導入されました。

 

ステップ3:薬の調整とフォローアップ

 

薬と食事の両方を始めて数か月後、ヒロシさんの症状は大幅に改善しました。腹痛と下痢はほとんどなくなり、体重も元に戻りました。

 

この段階で、ヒロシさんの医師はステロイドの用量を徐々に減らすことを提案しました。これは、長期的なステロイドの使用が副作用を引き起こす可能性があるためです。ステロイドの減量は、症状が再発しないかどうかを確認しながら慎重に行われました。

 

ヒロシさんは定期的にクリニックに行き、体調や食事、薬の効果について医師と話し合いました。これにより、彼の改善計画は適宜調整され、最善の結果を得るために微調整され続けました。

 

注意すべきな点は、個人の症状や体質、生活環境が異なるため、改善方法も個々にカスタマイズされるということです。また、EGIDの改善は通常、長期にわたるもので、病状の進行や改善の効果を評価するために、定期的なチェックが必要です。

 

ステップ4:長期的な管理と調整

ヒロシさんの症状は一時的に改善しましたが、それは改善の終わりを意味するものではありません。EGIDは、症状が再発する可能性がある病気です。ヒロシさんは、食事を続け、必要に応じて薬を調整することで、症状を管理しました。また、ヒロシさんは定期的に内視鏡の調べを受け、病状の進行を確認しました。これらのフォローアップは、改善の効果を評価し、必要に応じて改善方法を調整するための重要なステップです。

 

ステップ5:生活習慣の改善

ヒロシさんは、飲酒や喫煙、ストレス管理など、生活習慣の改善にも取り組みました。これらは直接的にEGIDの原因となるものではありませんが、一般的な健康状態を改善し、体の反応を良好に保つことが、病状管理に役立つことが知られています。

 

ヒロシさんの改善の経過を通じて、EGIDの改善方法が本人と医師の長期的なパートナーシップを必要とすることがわかります。適切な改善とケアにより、日常生活をほぼ通常通りに過ごすことができます。改善方法は症状や体調に応じて調整され、個々にとって最善の生活の質を維持することを目指しています。

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