ベスレムミオパチーの鍼灸【原因・定義・症状】

公開日:2021年  10月20日

更新日:2021年  10月29日

本日はベスレムミオパチーについて解説させていただきます。

本記事の内容

  • ベスレムミオパチーとは
  • ベスレムミオパチーの原因
  • ベスレムミオパチーの症状
  • ベスレムミオパチーの改善方法
  • ベスレムミオパチーのまとめ
足のしびれ、痛み

銀座そうぜん鍼灸院の宗前です。

このページを書いている私は、鍼灸師として13年、担当した利用者様数80,000人を誇り、病気の休職者300人を社会復帰できるまで回復させてきた実績があります。

 

ベスレムミオパチーは、Ⅵ型コラーゲン遺伝子の異常が原因の病気

ベスレムミオパチーは、Ⅵ型コラーゲン遺伝子の異常が原因でおこる病気です。

 

腕や太ももなどの筋力の低下や手指や手首、肘、足の関節が曲がった状態で固まってしまう症状が特徴で、症状は少しずつ進みます。

 

ベスレムミオパチーの報告は非常に少なく、珍しい病気です。ほとんどがベスレムミオパチーであると判断されていないため、報告が少ないとも言われています。

ベスレムミオパチーの原因は、Ⅵ型コラーゲン遺伝子の異常

ベスレムミオパチーの原因は、Ⅵ型コラーゲン遺伝子の異常です。基本的には遺伝をします。

 

遺伝形式は常染色体優性遺伝で、父親と母親のどちらかが異常な遺伝子を持っていることで子供に遺伝し、発症するのです。

 

Ⅵ型コラーゲンが異常になることで、どのようにして筋力が低下したり関節に異常が出たりするのかということについては詳しくはわかっていません。

 

場合によっては、常染色体優性遺伝によっての遺伝以外にも、遺伝子の突然変異や他の遺伝形式で発症することもあります。

ベスレムミオパチーは、筋力低下や関節拘縮を引き起こす希少な遺伝性の筋に関する病気です。ベスレムミオパチーは、主に3つの異なる遺伝子変異によって引き起こされます。これらの遺伝子変異は、主要な細胞外マトリックスタンパク質であるコラーゲンVIの生産や機能に影響を与え、筋肉の構造や機能に問題を引き起こします。以下に、ベスレムミオパチーの原因について詳しく説明します。

 

・コラーゲンVI

コラーゲンVIは、筋肉や他の組織の細胞外マトリックスに存在する主要なタンパク質で、細胞の構造と機能に重要な役割を果たします。コラーゲンVIは、筋肉の弾力性や強度を維持し、筋肉細胞の正常な機能をサポートすることで、筋に関わる病気の予防に寄与しています。

 

・遺伝子変異

ベスレムミオパチーは、主に次の3つの遺伝子に関連する変異によって引き起こされます:COL6A1、COL6A2、およびCOL6A3。これらの遺伝子は、コラーゲンVIの3つのサブユニットをコードしています。遺伝子変異は、コラーゲンVIのサブユニットの構造や機能に影響を与え、筋肉の構造や機能に問題を引き起こします。

 

・遺伝的伝達

ベスレムミオパチーは、常染色体優性遺伝のパターンで家族に伝わります。これは、変異を持つ親から子供に遺伝子の1つだけが受け継がれると、症状が発症することを意味します。ベスレムミオパチーを発症するリスクは、変異を持つ親から子供に50%で伝わります。

 

・病態生理

ベスレムミオパチーにおけるコラーゲンVIの遺伝子変異は、筋肉の細胞外マトリックスにおけるコラーゲンVIの量や機能に悪影響を与えます。正常なコラーゲンVIは、筋線維やその周囲の組織をつなぎ止め、筋肉の構造をサポートし、筋肉細胞の生存や機能を維持する役割を果たしています。しかし、ベスレムミオパチーでは、コラーゲンVIの欠陥が筋線維の損傷や炎症、および筋肉の弱さや拘縮を引き起こします。

 

このような病態生理は、筋力低下、筋肉の拘縮、関節の可動域制限などの典型的なベスレムミオパチーの症状につながります。

ベスレムミオパチーの主な症状は、筋力の低下や関節の屈曲拘縮

ベスレムミオパチーの主な症状は、腕や太ももなどの体の中心部に近い筋肉での強い筋力の低下や筋肉の萎縮や手指や手首、肘、足の関節の関節が曲がったまま固まってしまうことです。

 

関節が曲がったまま固まってしまうことによって運動をすることも難しくなります。

 

他にも皮膚の異常が現れることもあり、ケロイドを形成しやすくなることもあります。呼吸や心臓に障害が起きることもありますが、呼吸や心臓の障害は非常に珍しいケースです。

 

症状の程度は人によってさまざまで個人差がありますが、乳幼児期から何かの症状が現れて始めていることが多いです。しかし、はっきりと症状が現れるのは10〜20歳ごろです。ベスレムミオパチーの症状は少しずつ進んでいくのです。

ベスレムミオパチーは、筋力低下、関節拘縮、および筋肉の硬さが特徴的な症状です。以下に、ベスレムミオパチーの主な症状について詳しく説明します。

 

筋力低下: ベスレムミオパチーでは、筋力の低下や筋肉の弱さを経験します。筋力低下は、通常、幼児期から青年期にかけて徐々に現れ、四肢や体幹の筋肉に影響を与えます。筋力低下は、歩行困難、持ち上げや運搬の問題、および日常生活動作の制限につながる可能性があります。

 

関節拘縮: ベスレムミオパチーでは、関節周囲の筋肉や靭帯の硬さが関節の可動域を制限します。これにより、関節の動きが制限され、しばしば肘、膝、および足首に影響を与えます。関節拘縮は、運動能力の低下や痛みを引き起こす可能性があります。

 

筋肉の硬さ: 筋肉の硬さまたはけいれんは、ベスレムミオパチーで一般的な症状です。筋肉の硬さは、運動の制限や痛みを引き起こし、患者の生活の質に悪影響を与える可能性があります。

 

高い足のアーチ: ベスレムミオパチーでは、しばしば足底筋膜炎や高い足のアーチを経験します。これは、足の痛みや歩行困難につながる可能性があります。

 

柔軟性の低下: ベスレムミオパチーでは、関節の可動域や筋肉の柔軟性が低下することがあります。これは、運動や日常生活動作の制限につながる可能性があります。

 

呼吸障害: 重症のベスレムミオパチーの場合、横隔膜や胸郭周囲の筋肉の弱さが呼吸障害を引き起こす可能性があります。呼吸障害は、通常、病気が進行するにつれて悪化し、十分な酸素を取り込めなくなることがあります。これにより、息切れ、疲労、および睡眠時無呼吸症候群が発生することがあります。

 

心臓の問題: ベスレムミオパチーでは、心筋症や心臓の伝導障害を発症するリスクが高まります。これらの症状は、心臓の機能低下や不整脈を引き起こすことがあります。

 

脊柱側弯: ベスレムミオパチーでは、脊柱側弯が発生する可能性があります。脊柱側弯は、疼痛や呼吸困難を引き起こすことがあります。

 

疲労感: 筋力低下や筋肉の緊張により、疲れやすくなることがあります。疲労は、日常生活や運動に悪影響を与える可能性があります。

 

運動障害: ベスレムミオパチーでは、運動障害を経験することがあります。これには、運動の制御、バランス、および調整が含まれます。運動障害は、患者の運動能力や生活の質に影響を与えることがあります。

 

これらの症状は、異なる程度で現れる可能性があります。症状の重さや進行は個人によって異なり、病気の進行に伴って変化することがあります。

ベスレムミオパチーの根本的な改善方法はわかっていない

ベスレムミオパチーの根本的な改善方法はわかっていません。関節が固くなることを防ぐことと筋力を保つことを目的に改善に取り組みます。

 

関節が硬くなることや筋力の低下の予防をするために行う方法は、リハビリテーションです。

 

足首の関節が固くなってしまい、歩くことが難しくなるなどの運動障害が現れた場合は手術で改善に取り組むこともあります。その場合は主にアキレス腱延長術を行います。

ベスレムミオパチーは、現在根本的な改善方法は存在していませんが、症状を緩和し、生活の質を向上させるための対処法があります。

 

トレーニング: 筋力の維持や向上、柔軟性の維持、関節拘縮の予防、および疼痛の緩和を目的としています。個別にカスタマイズされた運動計画が筋肉の機能を改善し、日常生活動作の能力を向上させることがあります。

 

日常動作のアシスト: 日常生活で遭遇する困難を克服する方法を教え、自立性を促進します。身の回りの世話や着替え、食事なども含まれます。

 

薬: 抗炎症薬や鎮痛薬が、筋肉の痛みやけいれんを緩和するのに役立つことがあります。また、筋弛緩剤が筋肉の硬さを緩和するのに有用であることがあります。

 

手術: 関節拘縮や脊柱側弯が重度で機能を制限する場合、整形外科手術が検討されることがあります。手術は、関節の可動域を改善し、痛みを軽減し、運動能力を向上させることがあります。

 

調整靴や装具: 足のアーチの問題や足底筋膜炎を緩和するために、特別な靴や装具が推奨されることがあります。これらは、足のサポートを提供し、歩行を容易にし、疼痛を軽減することがあります。

 

呼吸: 呼吸障害がある場合、呼吸訓練などを提供することがあります。これは、呼吸の効率を向上させ、疲労感や息切れを軽減するのに役立ちます。重度の呼吸障害の場合、非侵襲的陽圧換気や機械的換気を必要とすることがあります。

 

心臓の管理: ベスレムミオパチーでは、心臓の問題を経験するリスクが高いため、定期的に調べることが重要です。心臓の問題が発見された場合、薬やペースメーカーの使用、心臓手術が必要となることがあります。

 

栄養指導: 栄養士と協力して、適切な食事計画を策定することで、筋力やエネルギーを維持し、体重を管理することができます。適切な栄養摂取は、筋肉の健康を維持し、病気の進行を遅らせる可能性があります。

 

サポートグループや心理的な方法: ベスレムミオパチーを発症している人や家族は、感情的なサポートや心理的な援助を必要とすることがあります。病気と向き合い、精神的な健康を維持するためにサポートグループや心理的な方法が役立つことがあります。

 

ベスレムミオパチーに対する新しい改善方法が開発されており、試験に参加することで、最新の改善方法にアクセスすることができます。新しい改善方法は、病気の進行を遅らせたり、症状を改善したりする可能性があります。

ベスレムミオパチーの症状は少しずつ進む

ベスレムミオパチーの症状は少しずつ進んでいきます。そのため、ゆっくり歩行障害が進みます。約半分の割合で50歳代になると、歩行補助具や車いすが必要となると言われています。

 

呼吸の障害が現れることは非常に珍しいですが、症状がかなり進むと人工呼吸器が必要になることもあります。

 

症状には個人差があるため、自分の症状をきちんと把握しておくことが大切です。関節の拘縮による運動制限がはっきりと現れはじめたら、転倒などには注意をして生活しましょう。

ベスレムミオパチーの改善例

ベスレムミオパチーの改善では、年齢、症状などによって改善方法が違います。

 

例1:

Aは、9歳の男の子で、筋力低下と運動能力の低下を伴うベスレムミオパチーであると判断されました。Aは、トレーニングや日常動作のアシストを受けて筋力と機能性を向上させ、日常生活動作を容易にしました。また、抗炎症薬と筋弛緩剤を服用して疼痛と筋けいれんを緩和しました。

 

参考文献:

 

Servais, L., Deconinck, N., Moraux, A., Benali, M., Canal, A., Van Parys, F., ... & Quijano-Roy, S. (2017). Innovative methods to assess upper limb strength and function in non-ambulant Duchenne patients. Neuromuscular Disorders, 27(2), 111-120.

治療例2:

患者Bは、35歳の女性で、ベスレムミオパチーによる呼吸障害を伴っています。彼女は、呼吸療法士と協力して、呼吸訓練や酸素療法を行いました。また、彼女は非侵襲的陽圧換気(NIPPV)を用いて夜間の換気を改善しました。

 

参考文献:Fayssoil, A., Ogna, A., Chaffaut, C., Chevret, S., Guillaumont, S., & Wahbi, K. (2016). Natural history of cardiac and respiratory involvement, prognosis and predictive factors for long-term survival in adult patients with limb girdle muscular dystrophies type 2C and 2D. PloS one, 11(4), e0153095.

例3:

Cは、50歳の男性で、ベスレムミオパチーによる重度の心臓病を伴っています。彼は、薬とペースメーカーを用いた心臓の管理を行いました。また、彼は定期的に心臓を調べて、心臓の問題の進行をモニターしました。

 

参考文献:Wahbi, K., Meune, C., Porcher, R., Bécane, H. M., Lazarus, A., Laforêt, P., ... & Duboc, D. (2012). Electrophysiological study with prophylactic pacing and survival in adults with myotonic dystrophy and conduction system disease. JAMA, 307(12), 1292-1301.

 

例4:

Dは、20歳の女性で、ベスレムミオパチーによる筋力低下と運動機能障害があります。彼女は、水中運動を行う改善方法を含むトレーニングを受け、筋力と柔軟性を向上させました。また、彼女は栄養士と協力して、適切な食事計画を策定し、筋肉の健康を維持し、体重を管理しました。

 

参考文献:Cup, E. H., Pieterse, A. J., Ten Broek-Pastoor, J. M., Munneke, M., van Engelen, B. G., Hendricks, H. T., & van der Wilt, G. J. (2007). Exercise therapy and other types of physical therapy for patients with neuromuscular diseases: a systematic review. Archives of Physical Medicine and Rehabilitation, 88(11), 1452-1464.

例5:

Eは、30歳の男性で、ベスレムミオパチーによる筋力低下と運動機能障害があります。彼は、新しい改善方法の開発に関する試験に参加し、最新の改善方法にアクセスしました。新しい改善方法は、病気の進行を遅らせたり、症状を改善したりする可能性があります。

 

参考文献:Voit, T., Topaloglu, H., Straub, V., Muntoni, F., Deconinck, N., Campion, G., ... & TREAT-NMD Neuromuscular Network. (2014). Safety and efficacy of drisapersen for the treatment of Duchenne muscular dystrophy (DEMAND II): an exploratory, randomised, placebo-controlled phase 2 study. The Lancet Neurology, 13(10), 987-996.

これらの例は、ベスレムミオパチーに対する個別化されたアプローチがいかに重要であるかを示しています。症状や進行状況に応じて、色々な方法で改善を行うことがあるのです。

おすすめ記事

営業時間

11時から21時

営業日
 

11時~21時迄

休業日

年末年始

お問合せ
080-1802-9798