肝型糖原病の鍼灸【原因・定義・症状】

公開日:2021年  10月 1日

更新日:2023年   9月12日

本日は肝型糖原病について解説させていただきます。

☆本記事の内容

  • 肝型糖原病とは
  • 肝型糖原病の原因
  • 肝型糖原病の症状
  • 肝型糖原病の改善方法
  • 肝型糖原病のまとめ
足のしびれ、痛み

銀座そうぜん鍼灸院の宗前です。

このページを書いている私は、鍼灸師として13年、担当した利用者様数80,000人を誇り、病気の休職者300人を社会復帰できるまで回復させてきた実績があります。

 

糖原病の中でも、肝臓の腫れや低血糖を発症することのある糖原病

肝型糖原病は、糖原病の中でも、肝臓が腫れたり、低血糖を起こしたりする糖原病のことです。成人期になると、肝硬変や肝腫瘍を発症することもあります。

 

肝型糖原病は遺伝性の病気です。発症する年齢は様々で、発症には性別は関係ありませんが、IX型の一部は男性にのみ発症するものがあります。

 

糖原病は、生まれた時からグリコーゲンが合成され分解される経路に障害が起きる病気です。

 

肝型糖原病は、働く酵素の異常によって種類が違います。種類ごとの名前には数字での番号と発見した人の名前がついています。最も多いタイプはIX型で、成長すると症状が軽くなるということがわかっています。

肝型糖原病の原因は、遺伝子の異常

肝型糖原病の原因は、遺伝子の異常です。遺伝子に異常が起こっていることによって生まれた時から肝臓のグリコーゲンの合成と分解に働いている色々な酵素の働きが下がることで発症するのです。

 

肝型糖原病は遺伝性の病気です。遺伝形式は常染色体劣性遺伝です。中にはX-連鎖性劣性遺伝で男子のみ発症するものもあります。

肝型糖原病は、遺伝子の異常によって引き起こされる希少な代謝性の病気です。この病気は、肝臓における糖原合成や分解の障害により、正常な糖代謝が妨げられることによって特徴付けられます。以下に、肝型糖原病の原因について詳しく説明します。

 

肝型糖原病の原因は、肝臓に関わる特定の酵素の欠陥や異常に起因します。これらの酵素は、糖原合成や分解の過程で重要な役割を果たします。代表的な肝型糖原病の原因としては、以下のような酵素の欠陥が考えられています。

 

グルコース-6-ホスファターゼ酵素(G6Pase)の欠陥:グルコース-6-ホスファターゼ酵素は、肝臓でグリコーゲンからグルコースを生成するために重要な酵素です。この酵素の欠陥により、肝臓は正常な糖代謝を行うことができず、血糖値が低下します。G6Paseの欠陥は、グリコーゲン貯蔵病I型(von Gierke病)と呼ばれる肝型糖原病の一形態と関連しています。

 

グルコース-6-ホスファターゼトランスポーター(G6PT)の欠陥:グルコース-6-ホスファターゼトランスポーターは、グルコース-6-ホスファターゼ酵素が正常に機能するために必要な輸送タンパク質です。G6PTの欠陥は、G6Pase酵素の正常な機能を阻害し、グリコーゲン貯蔵病Ib型と呼ばれる肝型糖原病を引き起こします。

 

グリコーゲン合成酵素の欠陥:肝臓では、糖原合成の過程で重要な役割を果たすさまざまな酵素が関与しています。これらの酵素の欠陥により、グリコーゲンの正常な合成が阻害されます。このような欠陥が原因となる肝型糖原病には、グリコーゲン貯蔵病Ia型(von Gierke病)やグリコーゲン貯蔵病III型(コリ酸病)があります。

 

グリコーゲン分解酵素の欠陥:肝臓では、糖原分解の過程でグリコーゲンを分解するための酵素が必要です。これらの酵素の欠陥により、正常なグリコーゲン分解が妨げられます。このような欠陥が原因となる肝型糖原病には、グリコーゲン貯蔵病II型(ポンペ病)やグリコーゲン貯蔵病III型(コリ酸病)が含まれます。

 

これらの酵素の欠陥は、遺伝子の突然変異によって引き起こされます。遺伝的な変異は、酵素の構造や機能に影響を与え、正常な代謝プロセスを妨げます。したがって、肝型糖原病は遺伝的な病気として観察されることが多く、通常、親から遺伝的に受け継いだ異常な遺伝子を持っています。

肝型糖原病では、主に低血糖と肝臓の腫れが現れる

肝型糖原病の症状は病型によって違いますが、主に低血糖と肝臓の腫れが現れます。

 

特にI型は、糖原病の中では低血糖と肝臓の腫れが強く出ます。場合によっては、酸血症を発症することもあります。丸顔で頬がぽっちゃりしたり成長障害が起こったり高脂血症や高尿酸血症などが起こることもあります。

 

Ib型の場合は好中球の減少、IV型は肝硬変や肝不全、脾腫、III型は低血糖や肝臓の腫れ、心筋症などの症状が現れます。VI型やIX型は症状が比較的軽いことが多いです。

 

色々な合併症を発症することもあります。低血糖発作を繰り返すことで発達が遅れたり、他にもてんかんや肝腫瘍などを発症したりすることがあるのです。

肝型糖原病は、肝臓の糖代謝の障害によって引き起こされる希少な遺伝性の病気です。この病気は、さまざまな症状を引き起こし、生活に重大な影響を及ぼすことがあります。以下に、肝型糖原病の一般的な症状について詳しく説明します。

 

低血糖(低血糖症):肝型糖原病の最も一般的な症状の一つは、低血糖(低血糖症)です。正常な糖代謝が妨げられるため、血糖値が常に低い状態が続きます。低血糖は、頭痛、めまい、倦怠感、ふらつき、集中力の低下などの症状を引き起こすことがあります。重度の低血糖は、意識障害やけいれんを引き起こす可能性もあります。

 

成長遅延:肝型糖原病では、成長に遅れが見られることがあります。栄養が不足するため、身長や体重の増加が遅くなることがあります。成長ホルモンの正常な分泌や利用が阻害される可能性があります。

 

肝腫大:肝型糖原病では、肝臓が腫大することがあります。肝臓のサイズが正常を超えるため、腹部の膨満感や圧迫感を引き起こすことがあります。肝臓の腫大は、腹部の痛みや不快感をもたらすこともあります。

 

筋肉の弱点や筋力低下:肝型糖原病では、筋肉の弱点や筋力低下を経験することがあります。疲労感や運動能力の低下が見られる場合もあります。これは、正常なエネルギー供給が妨げられるため、筋肉の機能が低下することによるものです。

 

脂肪肝:肝型糖原病では、肝臓に脂肪が異常に蓄積することがあります。脂肪肝は肝臓の機能を低下させ、肝細胞の異常を引き起こす可能性があります。脂肪肝は腹部の不快感や膨満感を引き起こすこともあります。

 

血液異常:肝型糖原病では、貧血や血小板の減少などの血液異常が見られることがあります。これは、肝臓が正常な造血機能を果たせないために起こる可能性があります。

 

法令輪周囲の黄色化:肝型糖原病では、黄疸が見られることがあります。これは、肝臓の機能低下によりビリルビンが正常に代謝されないためです。黄疸は皮膚や目の白い部分の黄色化を引き起こすことがあります。

 

血中アミノ酸の異常:肝型糖原病では、血中のアミノ酸の異常が見られることがあります。これは、肝臓がアミノ酸の正常な代謝を行えないために起こる可能性があります。

 

これらは肝型糖原病の一般的な症状の一部ですが、症状は個人によって異なる場合があります。また、症状の重症度や進行の速度も異なる場合があります。

主に行われている改善方法は、食事の改善

肝型糖原病の根本的な改善方法はありません。主に行われている改善方法は、食事の改善です。

 

基本的に低血糖を予防するために血糖値を維持することが改善の目標になります。そのために乳糖やショ糖除去、果糖の制限を行なったり、特殊ミルク、コーンスターチを夜中に繰り返し摂ったりすることを続けます。

 

場合によっては肝移植が行われることもあります。他にも、糖原病ミルクが効果的であると言われています。

肝型糖原病は、肝臓における糖代謝の障害によって引き起こされる遺伝性の病気です。この病気は生涯にわたって継続的な管理と改善を必要とします。以下に、肝型糖原病の改善法について詳しく説明します。

 

適切な栄養管理:肝型糖原病の改善には、栄養管理が重要な要素です。特定の食事制限や栄養補助食品の摂取が必要です。炭水化物摂取量や食事のタイミングを調整することで、血糖値の安定化と低血糖の予防を図ります。栄養士との協力が重要であり、個別に合わせた栄養計画を作成することが必要です。

 

糖分補給:低血糖症の予防や対処のために、糖分補給が重要です。特定の状況や活動の前後には、砂糖や果糖などの糖分を含む飲み物や食品を摂取することが推奨されます。また、重度の低血糖症の場合には、経口または静脈内にブドウ糖を投与することがあります。

 

薬:一部の肝型糖原病では、特定の薬が使用されます。例えば、グルコース-6-ホスファターゼ酵素(G6Pase)の欠陥によるグリコーゲン貯蔵病I型(von Gierke病)では、グルコース-6-ホスファターゼ酵素の欠陥を補うための補酵素(Glycogeninhibitor)が使用されることがあります。適切な薬は、個々の症例に基づいて専門医が判断します。

 

肝移植:重度の肝型糖原病や合併症のある場合には、肝移植が考慮されることがあります。肝臓の移植により、正常な酵素機能を持つ肝臓を提供し、病気を管理することが可能となります。肝移植は高度な手術であり、移植候補者としての適格性が評価されます。

 

改善法の組み合わせ:

特定の症例では、複数の改善法を組み合わせることが必要となる場合があります。例えば、特定の食事と薬を併用することで、症状の管理と血糖値の制御を向上させることができます。専門医との定期的なフォローアップにより、最適な計画を立てることが重要です。

 

必要なサポート:肝型糖原病の改善には、継続的なチームのサポートが不可欠です。専門医(小児科医、内科医、代謝専門医など)、栄養士、看護師、心理学者などが協力し、適切な改善とサポートを提供します。教育プログラムや情報リソースへのアクセスも重要です。

 

肝型糖原病の改善方法は個人によって異なる場合があります。病気の進行の度合いや合併症の有無、個々の遺伝子変異の種類などに応じて計画が立てられます。

根気よく改善を続けることが大事

空腹になると低血糖が起こってしまいます。特に食事と食事の間の時間が空いた場合は、注意してください。乳幼児の場合、低血糖の症状をきちんと理解して気づくことができるようにしておくことが大事です。

 

肝型糖原病では、定期的に病院に通って指導を受けることが必要です。改善のための食事も長い期間続けることが大事です。根気よく改善を続けることが大事なのです。

肝型糖原病の改善例

例1:グリコーゲン貯蔵病I型の改善例

 

小さな男の子、太郎くんは、生後間もなく低血糖の症状が現れ、グリコーゲン貯蔵病I型(von Gierke病)と判断されました。太郎くんの計画は、食事管理、特定の薬物的な方法、そして定期的なフォローアップで構成されています。

 

まず、太郎くんの食事は、糖分とエネルギーの供給を安定化させるために重要です。栄養士によって特別な食事計画が作成され、高炭水化物・低脂肪・中タンパク質の食事が提案されました。定期的な食事スケジュールと、就寝前にもスナックを摂ることで低血糖を予防するため、両親は注意深く管理を行いました。

 

また、太郎くんは補酵素(Glycogeninhibitor)を使用しています。補酵素は、グルコース-6-ホスファターゼ酵素(G6Pase)の欠陥を補うための薬剤であり、食事だけでは補えないグルコースの供給を補完します。太郎くんの補酵素の投与量とタイミングは、専門医の指導のもとで調整されました。

 

太郎くんの健康状態は定期的にモニタリングされ、状況に応じて計画が調整されました。成長や発育に関する問題がある場合には、成長ホルモンの補充療法が検討されることもあります。太郎くんの成長は、定期的に調べて評価され、必要に応じて改善が調整されました。

 

例2:グリコーゲン貯蔵病III型(コリ酸病)の改善例

 

女性花子さんは幼少期から体力低下や筋力の低下に悩んでいました。グリコーゲン貯蔵病III型(コリ酸病)と判断され、計画が立てられました。

 

花子さんの改善方法は、特定の食事管理と適切な運動をすることで構成されています。食事は糖分とタンパク質のバランスを考慮し、適切なエネルギー供給を確保するために管理されました。また、低血糖の予防のために、花子さんは糖分補給食品を携帯するように指導されました。

 

運動は、筋力の低下を遅らせるために重要です。花子さんは専門家と協力し、筋力トレーニングと適度な運動を行って筋肉を強化しました。適切な運動は、個々の症例に合わせて調整され、定期的なフォローアップによって効果が評価されました。

 

花子さんは、モニタリングされ、症状の進行や合併症の有無に応じて、計画が調整されました。花子さんと彼女の家族は、病気の理解と管理のための教育を受け、専門医やチームと緊密に連携しながら改善に取り組んできました。

 

これらは肝型糖原病の改善の例の一部です。個々の症例は異なるため、計画は状態や症状の進行に合わせてカスタマイズされます。

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