公開日:2022年 12月 1日
更新日:2025年 7月 2日
本日はAME症候群について解説させていただきます。
☆本記事の内容
銀座そうぜん鍼灸院の宗前です。
このページを書いている私は、鍼灸師として13年、担当した利用者様数80,000人を誇り、病気の休職者300人を社会復帰できるまで回復させてきた実績があります。
AME症候群の原因は、遺伝子の異常です。遺伝形式は、常染色体劣性遺伝です。
AME症候群が、どのくらいの頻度で発症しているのかは今のところわかっていません。
AME症候群は、HSD11Bの異常によってコルチゾールを不活化することができず、コルチゾールもMRに結合することで、作用が過剰に現れて発症します。
1. 11β-HSD2酵素の異常
11β-HSD2は腎臓の集合管に存在する酵素で、活性型コルチゾールを不活性型コルチゾンに変換し、鉱質コルチコイド受容体への過剰な刺激を防ぎます。遺伝子変異により、この酵素が欠損または低活性になると、コルチゾールが分解されずMRを刺激し 鉱質コルチコイド過剰と同様の作用が発生します。
2. グリチルリチン過剰摂取
甘草や漢方薬に含まれるグリチルリチン酸は、11β-HSD2を阻害します。するとコルチゾールが分解されず、MRに作用しAME症候群様の状態になります。
3. その他の後天性原因
Cushing症候群の一部で起こったり薬剤による酵素阻害で起こったりします。
AME症候群の症状は、高血圧です。高血圧は、大体1〜3歳で現れます。多くの場合、高血圧は高度です。場合によっては、脳卒中につながることもあります。
他にも、体重の増加不良や多飲、多尿、筋力の低下などの低カリウム血症によって現れる症状が現れます。
1. 高血圧
幼児期や小児期から進行性の高血圧が起こります。成人でも発症しますが、小児発症例は特に重症になります。レニン・アルドステロンは低値にもかかわらず血圧が高いのが特徴です。
2. 低カリウム血症
コルチゾールが鉱質コルチコイド受容体を刺激し、腎遠位尿細管でカリウム排泄増加します。症状は、筋力低下や筋痙攣、疲労感で、重度では不整脈が起こります。
3. 代謝性アルカローシス
カリウム喪失とナトリウム貯留により、アルカリ性に傾きます。頭痛、吐き気、倦怠感を引き起こします。
4. 発育、発達障害
重度の電解質異常や高血圧により、成長障害が起こります。体重増加不良、発育曲線の停滞がみられます。
5. 腎障害
高血圧や低カリウムによる腎実質障害が起こり長期では慢性腎不全に至る可能性があります。
6. その他の症状
多尿や口渇、便秘などが起こります。
AME症候群の改善方法は、食塩の制限をすること、カリウム製剤を使うこと、抗アルドステロン薬を使うことです。
高血圧のコントロールを行うことが難しい場合は、降圧薬を使って改善を行います。トリアムテレンやアミロライド、ループ利尿薬などが使われることもあります。
・原因の除去
後天性AMEの場合、甘草を含む漢方薬、食品を中止し、カルベノキソロンなど11β-HSD2阻害薬の使用歴があれば中止
・食事
ナトリウム制限、カリウム補給、経口カリウム製剤、高カリウム食品が役立ちます。
・薬
AME症候群ではアルドステロンは低値のため、通常の降圧薬では不十分なことがあります。そこで、鉱質コルチコイド受容体遮断薬やコルチゾール産生抑制薬を使います。
・先天性AMEの場合
生涯にわたる管理が必要です。長期の薬の使用で改善します。重症高血圧や腎障害がある場合腎移植が必要になる場合もあります。
1. 鉱質コルチコイド受容体拮抗薬
スピロノラクトンやエプレレノン
2. カリウム保持性利尿薬
アミロライド
3. グルココルチコイド
デキサメタゾン
4. 電解質補正
経口カリウム製剤
5. その他の降圧薬
ACE阻害薬やARB、カルシウム拮抗薬
AME症候群の発症する頻度は、正確にはわかっていません。AME症候群を発症している場合は、生まれた時から低体重であることもあります。
AME症候群を発症している場合は、調べると、低レニン血症、低アルドステロン血症、低K血症、代謝性アルカローシスが見られます。正確に判断するためには、尿中コルチゾールとコーチゾン代謝産物比の増加や遺伝子変異を調べます。