妊娠高血圧症候群の鍼灸【原因・定義・症状】

公開日:2022年  1月 3日

更新日:2025年  7月 7日

本日は妊娠高血圧症候群について解説させていただきます。

☆本記事の内容

  • 妊娠高血圧症候群とは
  • 妊娠高血圧症候群の原因
  • 妊娠高血圧症候群の症状
  • 妊娠高血圧症候群の改善方法
  • 妊娠高血圧症候群のまとめ
足のしびれ、痛み

銀座そうぜん鍼灸院の宗前です。

このページを書いている私は、鍼灸師として13年、担当した利用者様数80,000人を誇り、病気の休職者300人を社会復帰できるまで回復させてきた実績があります。

 

妊娠20週以降、分娩12週までの間に高血圧になる

妊娠高血圧症候群は、妊娠20週以降、分娩12週までの間に高血圧になる病気です。妊娠前や妊娠20週までに高血圧がある場合は、高血圧合併妊娠と言います。

 

妊娠高血圧症候群では、蛋白尿や全身の臓器障害が現れることもあります。母体にも胎児ににも非常に大きな影響を与える病気なのです。

妊娠高血圧症候群の原因は、今のところわかっていない

妊娠高血圧症候群の原因は、今のところわかっていません。

 

現時点で有力であると考えられている原因としては、妊娠初期の段階で、胎盤の血管が上手に作れなかったことが原因であるということです。

 

また、様々な物質を異常に分泌してしまっていることが原因であるという可能性も言われています。異常に分泌してしまった物質が血管に作用することで、妊娠高血圧症候群につながると考えられてるのです。

リスクとなる要因
  • 初妊婦
  • 多胎妊娠
  • 高齢妊娠(35歳以上)
  • 肥満
  • 糖尿病、慢性高血圧の既往
  • 家族に妊娠高血圧症の既往がある
  • SLE、抗リン脂質抗体症候群などの自己免疫の病気

妊娠高血圧症候群の主な症状は高血圧とタンパク尿

妊娠高血圧症候群の主な症状は高血圧とタンパク尿です。妊娠高血圧症候群は初期の段階では自覚症状はありません。しかし、重症になると、いろいろな症状が現れます。

 

重症になると現れる症状は、頭痛や耳鳴り、手足のしびれ、火照り、脳出血、けいれん発作、意識障害、肝臓や腎臓の機能障害などです。肝機能障害に溶血と血小板の減少が起こる、ヘルプ症候群につながることもあります。

 

現れる症状は出産した後に軽くなります。しかし、妊娠高血圧症候群になるとその後、高血圧や脳卒中、心筋梗塞やメタボリックシンドロームのリスクが高まるということがわかっています。

母体の症状

・高血圧

突然の血圧上昇や、これまで正常だった妊婦で新規発症するのが特徴です。

 

・蛋白尿

1日300mg以上になります。

 

・浮腫

手足や顔の腫れ、体重の急増が進行のサインになることもあります。

 

・頭痛、視覚異常

頭が割れるように痛い、かすみ目、閃光、視野狭窄などが見られます。

 

・上腹部痛、吐き気

肝腫大、肝被膜伸展による右上腹部痛が起こります。HELLP症候群への移行サインでもあります。

 

・けいれん

妊娠中、分娩中、産褥期に出現する全身けいれんは命に関わるため緊急対応が必要です。

胎児への影響
  • 子宮内胎児発育不全
  • 羊水過少
  • 胎児機能不全
  • 早産や死産のリスク増加
妊娠高血圧症候群の改善方法は、安静にすること

妊娠高血圧症候群の改善方法は、安静にすることです。安静にすることで交感神経の緊張が和らぎ、血圧が下がりやすくなるためです。

 

また、血圧が上がらないような食事を心がけることや生活習慣を見直すことも大事です。

 

症状が重い場合は、入院が必要なこともあります。入院して食事の管理を行い、降圧剤を使って血圧をコントロールすることで改善に取り組むのです。

 

降圧剤によって急激に血圧を下げてしまうと、胎児に悪い影響が出る可能性もあるため、医師の指導のもと、慎重に使うことが大事です。

主な改善方法

・生活管理

自宅または入院で安静にします。左側臥位で子宮血流の改善を促します。1日7〜8g程度を目安に塩分制限を行います。急激な体重増加は浮腫悪化のサインのため体重の管理も大事です。

 

主に使用する薬は、降圧薬、メチルドパ、ヒドララジン、ラベタロール、ニフェジピンです。

※ 妊娠中に安全性が高い薬剤が選ばれます。ACE阻害薬やARBは禁忌です。

 

・けいれん予防

硫酸マグネシウムを使用して予防、改善を行います。

 

・分娩のタイミング

軽症の場合で妊娠37週未満 → 経過観察しつつ胎児の成熟を待ちます。

妊娠37週以降 → 母体、胎児へのリスクを考慮し、分娩を考慮します。

重症の場合 → 週数に関わらず速やかに分娩をします。

 

・胎児管理

胎児発育のモニタリングをし、胎盤機能が不十分な場合は早期分娩を検討します。

 

・出産後の管理

多くは分娩後に改善しますが、産褥期1〜2週間は高血圧が続くこともあります。

起こしやすい傾向のある人

妊娠高血圧症候群には、起こしやすい傾向のある人がいます。肥満であったり妊娠中に体重が著しく増えたりした人、痩せ過ぎている人やもともと血圧が高い人、生活習慣が乱れている人、糖尿病や心臓病、腎臓病などの持病がある人です。

 

さらに、家族に高血圧や持病がある人がいたり初めての出産が高齢出産であったり過去に妊娠高血圧症候群を起こしたことがあったりする場合なども妊娠高血圧症候群を発症しやすいと言われています。

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