公開日:2022年 9月11日
更新日:2023年 9月 3日
本日は水・電解質代謝異常について解説させていただきます。
☆本記事の内容
銀座そうぜん鍼灸院の宗前です。
このページを書いている私は、鍼灸師として13年、担当した利用者様数80,000人を誇り、病気の休職者300人を社会復帰できるまで回復させてきた実績があります。
水・電解質異常の原因は、腎臓の病気など腎臓の異常の場合と腎臓以外の異常の場合があります。
腎臓の病気では、急性腎不全や慢性腎不全、尿細管の病気などが挙げられます。
腎臓以外の異常では、食事や水分のとりすぎや不足、下痢や発熱によって起こる大量の発汗、腎臓で尿を作るときに調整を行っているホルモンの異常などが挙げられます。
1. 腎臓の病気
慢性腎不全、急性腎障害: 腎臓は電解質のバランスを維持する主要な器官です。腎臓の障害が進行すると、ナトリウム、カリウム、カルシウムなどの代謝に異常が生じます。
ポリキスチック腎病、腎盂腎炎: これらの病気も腎臓のフィルタリング能力に影響を及ぼし、水・電解質代謝に異常を引き起こす可能性があります。
2. 内分泌系の障害
アルドステロンの過剰または不足: ミネラルコルチコイドであるアルドステロンが過剰または不足すると、ナトリウムとカリウムのバランスが崩れます。
抗利尿ホルモン(ADH)の過剰または不足: このホルモンの異常により、体内の水分調整が乱れる場合があります。
3. 薬物の影響
利尿薬: 高血圧や心不全の改善に用いられる利尿薬は、電解質の排泄を促すため、長期使用で代謝異常を引き起こす可能性があります。
キャンサー改善薬: キャンサー改善薬の中には、電解質バランスに影響を与えるものがあります。
4. 遺伝的要因
先天的代謝異常: 一部の先天的代謝異常では、特定の酵素の欠損や機能不全によって電解質の代謝が妨げられます。
5. 栄養状態
不足または過剰摂取: ビタミンやミネラルの不足、あるいは過剰摂取も、水・電解質代謝に影響を及ぼす場合があります。
6. 生活習慣
高度な運動: 極端な運動による汗や尿の喪失は、短期間で電解質バランスを崩す可能性があります。
7. その他の病気
糖尿病、心不全、肝疾患: これらの病気でも、水・電解質の代謝が影響を受ける場合があります。
以上のように、水・電解質代謝異常の原因は多岐にわたり、病気ごとに異なる対応が必要です。
水・電解質代謝異常では、色々な症状が現れます。
水分が欠乏している状態になると、口の渇きや血圧の低下、ふらつきなどの症状が起こります。水分が過剰な状態になると、体のむくみや体重の増加、息苦しさや血圧の上昇などの症状が現れます。
血液の電解質の代謝異常によって現れる症状は、異常が起こる電解質の種類によって意識障害や口の渇き、手足のつりや脱力、徐脈や血圧の低下、悪心や嘔吐など非常に色々あります。
水・電解質代謝異常は非常に広範なテーマであり、その症状も多岐にわたります。症状は体内の特定の電解質(ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなど)が過剰または不足しているか、または水分バランスが崩れているかに依存します。以下に、主な電解質異常とそれに伴う症状について解説します。
・ナトリウム異常
低ナトリウム血症(Hyponatremia)
症状: 頭痛、吐き気、嘔吐、筋肉の痙攣や弱さ、混乱、意識レベルの低下、重度の場合には昏睡状態やけいれん。
原因: 糖尿病性インシピダス、心不全、肝硬変、特定の薬物(例:利尿薬、抗精神病薬)、過度の水分摂取など。
・高ナトリウム血症(Hypernatremia)
症状: 焦燥感、興奮、不安、頭痛、嘔吐、高血圧、重度の場合には昏睡状態やけいれん。
原因: 高温環境での過度な汗の喪失、糖尿病、腎障害、不適切な利尿薬の使用など。
・カリウム異常
低カリウム血症(Hypokalemia)
症状: 筋肉の弱さ、痙攣、心拍数の異常(心室細動など)、便秘、疲労感。
原因: 利尿薬の過度な使用、嘔吐、下痢、アルドステロンの過剰産生など。
高カリウム血症(Hyperkalemia)
症状: 疲労感、筋肉の弱さ、心拍数の異常(心停止のリスク)、しびれ。
原因: 腎不全、糖尿病、薬物(ACE阻害薬、ARBなど)、大量のカリウム摂取など。
・カルシウム異常
低カルシウム血症(Hypocalcemia)
症状: 手足のしびれ、筋肉の痙攣、心拍数の異常、精神症状(うつ、不安、混乱)。
原因: 副甲状腺機能低下症、腎不全、ビタミンD不足、マグネシウム不足など。
高カルシウム血症(Hypercalcemia)
症状: 疲労、筋肉の弱さ、便秘、多飲多尿、吐き気、嘔吐、心拍数の異常。
原因: 一次性副甲状腺機能亢進症、がん(特に乳がん、肺がん)、長期のビタミンD摂取過多など。
・酸塩基バランスの異常
アシドーシス(Acidosis)
症状: 呼吸困難、頭痛、筋肉の弱さ、疲労、昏睡状態。
原因: 糖尿病、腎不全、肺の病気。
アルカローシス(Alkalosis)
症状: 手足の痙攣、手の震え、不正確な感覚、意識レベルの低下。
原因: 長時間の嘔吐、過呼吸、腎障害。
このように、水・電解質代謝異常の症状は、どの電解質が影響を受けているかによって大きく異なります。
水・電解資質代謝異常の改善方法は、薬や食事の指導などです。
腎臓の働きが正常で、腎臓での水・電解質代謝を調整するホルモンの量や作用も正常な場合は、水の摂取量や食事の摂取量が腎臓で調整することができる範囲を超えて、過剰であったり不足していたりすることが原因であると考えられます。
そのため、飲んだり食べたりしている量が不足している場合は、点滴や内服薬などで補給をすることで改善が期待できます。
腎臓の病気などで、腎臓で尿を作る機能が下がっている場合は、尿の量や成分を調整するホルモンが過剰になったり不足したり、作用に異常があることが原因となっていると考えられます。
そのため、水・電解資質代謝異常を改善するためには、病気を改善することが大事です。飲む水の量や食事内容の指導を行ったり、薬などを使って改善に取り組むこともあります。
水・電解質代謝異常は非常に広範な病気であり、その改善法は症状や原因によって大きく異なる可能性があります。以下に、水・電解質代謝異常に対する一般的な改善法をいくつか詳しく紹介します。
水・電解質代謝異常の改善の第一歩は、正確な判断です。一般的には、血液や尿を調べることでナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、塩素、炭酸ガスなどのレベルを調査します。これにより、どの電解質が異常を示しているのか、または体液の酸塩基バランスが崩れているのかを確認できます。
・ナトリウムの異常
低ナトリウム血症(Hyponatremia)
改善方法: 軽度な場合は飲水制限や塩分補給。重度の場合は急速な補液や薬物治療(例:バソプレシン受容体拮抗薬)が必要。
・高ナトリウム血症(Hypernatremia)
改善方法: 補水が主な改善法。必要に応じて、低ナトリウムの補液やダイウレーゼ(利尿薬)。
・カリウムの異常
低カリウム血症(Hypokalemia)
改善方法: カリウム補給が基本。口からの摂取または静脈注射で行われる。
・高カリウム血症(Hyperkalemia)
改善方法: 短期的にはカルシウム静脈注射、長期的にはダイアライゼーや利尿薬。
・カルシウムの異常
低カルシウム血症(Hypocalcemia)
改善方法: カルシウムとビタミンDの補給。
高カルシウム血症(Hypercalcemia)
改善方法: 脱水症状の解消、利尿薬の使用、ビスホスフォネート。
・マグネシウムの異常
低マグネシウム血症(Hypomagnesemia)
改善方法: マグネシウムサプリメントや食事。
高マグネシウム血症(Hypermagnesemia)
改善方法: マグネシウム摂取の制限、薬、場合によっては透析。
・酸塩基バランスの異常
アシドーシス(Acidosis)
改善方法: ビカーボネート補給や通気機能の改善。
アルカローシス(Alkalosis)
改善方法: 原因に応じて補液や薬。
・その他の改善方法
脱水症状または過剰水分摂取に対する補液、利尿薬による尿量調整、電解質補給食品やサプリメントなど。
水・電解質代謝異常の改善方法は多岐にわたり、専門的なケアが必要な場合も多いです。そのため、症状が出た場合は、必ず専門の機関で判断と改善を受けることが最も重要です。
水・電解質代謝異常の改善は非常に複雑であり、対象者やその症状によって使用される薬剤は異なる場合があります。以下は一般的な改善で使用される薬の種類や対象者、副作用、効果、目的について説明します。
・ナトリウムの異常
バソプレシン受容体拮抗薬(例:トルバプタン)
対象者: 低ナトリウム血症の場合。
効果: ナトリウムレベルを増加させる。
目的: 低ナトリウム血症の改善。
副作用: 口渇、尿量の増加、低血圧、肝機能障害。
・カリウムの異常
カリウムクレニン(例:Slow-K)
対象者: 低カリウム血症の場合。
効果: カリウムレベルを増加させる。
目的: 低カリウム血症の改善。
副作用: 腹痛、下痢、心不整脈。
カリウム結合樹脂(例:ソーダムポリスチレンスルホネート)
対象者: 高カリウム血症の場合。
効果: カリウムレベルを低減させる。
目的: 高カリウム血症の改善。
副作用: 腹痛、便秘、低カリウム血症。
・カルシウムの異常
ビタミンD補給(例:カルシトリオール)
対象者: 低カルシウム血症の場合。
効果: カルシウムの吸収を促進する。
目的: 低カルシウム血症の改善。
副作用: 高カルシウム血症、尿路結石。
ビスホスフォネート(例:アレンドロン酸)
対象者: 高カルシウム血症の場合。
効果: カルシウムレベルを低減させる。
目的: 高カルシウム血症の改善。
副作用: 骨痛、腎機能障害、低カルシウム血症。
・マグネシウムの異常
マグネシウムサプリメント(例:マグネシウム硫酸塩)
対象者: 低マグネシウム血症の場合。
効果: マグネシウムレベルを増加させる。
目的: 低マグネシウム血症の改善。
副作用: 下痢、吐き気、高マグネシウム血症。
・酸塩基バランスの異常
ナトリウムビカーボネート
対象者: 酸性血症の場合。
効果: 血液のpHレベルを正常化。
目的: アシドーシスの改善。
副作用: アルカローシス、高ナトリウム血症。
以上の薬剤は一例であり、個々の状態や他の健康問題によっては異なる薬剤が使用されることもあります。そのため、水・電解質代謝異常の疑いがある場合は、必ず専門家に相談することが大事です。
慢性腎臓病などの病気を発症しており、腎臓の機能が低下している人は、そうでない人と比べると水・電解質異常が起こりやすい状態であるということができます。
水・電解質異常を防ぐためには、医師から水分制限や塩分制限やカリウム制限などの指導を受けている場合守ることが大事です。処方された薬をきちんと飲むことも大事です。
腎臓の機能に異常がない人でも、運動中や高温の場所での作業中や発熱している時など、大量に汗をかくときは脱水にならないように注意することが大事です。