公開日:2022年 10月23日
更新日:2024年 2月 9日
本日は肝性脳症について解説させていただきます。
☆本記事の内容
銀座そうぜん鍼灸院の宗前です。
このページを書いている私は、鍼灸師として13年、担当した利用者様数80,000人を誇り、病気の休職者300人を社会復帰できるまで回復させてきた実績があります。
肝性脳症の原因は、肝機能が低下することです。肝機能が低下することで、血液の中に溜まった有害物質が脳に移行し、脳症を発症するのです。
脳症を引き起こす有害物質の1つは、アンモニアです。アンモニアは、腸管の中で腸内細菌がタンパク質を分解する過程で作られる有害物質です。
さらに、肝機能が低下してアミノ酸のバランスが崩れることも、脳症を引き起こすと考えられています。
肝性脳症は、急性の劇症肝炎と慢性の肝硬変から発症することが非常に多いと言われています。
肝硬変を発症していて、タンパク質を過剰に摂取したり、消化管出血が起こったり、薬の副作用など起こったりすることで、肝性脳症を発症している例もあります。
肝性脳症は、重度の肝臓障害が原因で発生する神経精神的症状の複合体です。肝臓は体内の毒素を解毒する主要な器官であり、その機能が低下すると、毒素が血流に残り、脳に影響を及ぼすことがあります。肝性脳症の主な原因とメカニズムを以下に詳述します。
・アンモニアの蓄積
肝性脳症の最も一般的な原因は、アンモニアレベルの上昇です。通常、アンモニアは体内で生成された後、肝臓で尿素に変換されて無害化されます。しかし、肝臓が損傷している場合、このプロセスがうまく機能せず、血液中のアンモニア濃度が上昇し、脳に毒性を及ぼす可能性があります。
・肝臓の慢性の病気
肝硬変や慢性肝炎など、肝臓の機能を長期間にわたって低下させる病気は、肝性脳症のリスクを高めます。
・肝臓の血流異常
ポータルシステムと全身循環系との間の病的なシャントなど肝臓を迂回する血流の異常が存在すると、肝臓での毒素の処理が行われずに直接脳に到達する可能性があります。
・腸内細菌の変化
腸内細菌の過剰増殖や変化は、アンモニアや他の毒性物質の生成を増加させることがあり、これらの物質が血流に吸収されて脳に影響を及ぼす可能性があります。
・肝不全
急性肝不全または慢性肝不全は、肝臓の解毒機能が著しく低下し、肝性脳症を引き起こす可能性があります。
・特定のトリガー
特定のトリガー、例えば感染症、脱水、腸内出血、鎮静剤や利尿剤などの薬物の使用、高タンパク質の食事などが、既存の肝機能障害を持つ人々において肝性脳症を引き起こすか、悪化させる可能性があります。
肝性脳症の症状は、精神症状と神経症状です。症状は、5段階に分けられており、1段階目では夜眠れずに昼に眠るなどのだらしない態度が見られるようになります。この段階では、あまり自覚症状はありません。
2段階目では、羽ばたき振戦という肝性脳症特有の症状が現れます。羽ばたき振戦は、両腕を前に伸ばして手の甲を上にした姿勢を保とうとしたとき、手が小刻みに震えるという症状です。
3〜4段階目では興奮状態になったり意識混濁や幻覚などが現れて反抗的な態度が見られるようになったりします。
5段階目では、痛みにも反応しない深い昏睡状態になったり、アミノ酸を分解する機能の異常によってかび臭く甘い口臭がしたりします。
肝性脳症は、重度の肝障害によって引き起こされる神経精神的な障害です。その症状は軽度から重度まで幅広く、病状の進行に応じて変化します。肝性脳症の症状には以下のようなものがあります。
・軽度の症状(初期段階)
倦怠感: 一般的な疲労感やエネルギーの低下。
集中力の低下: 注意力が散漫になり、集中するのが難しくなる。
気分の変動: 怒りやすくなったり、不安感が増したりする。
微妙な性格の変化: 通常の行動パターンからの逸脱。
手の震え: 手の細かな震えや、筆跡が乱れる。
・中等度の症状
混乱: 時間や場所に対する認識が不明瞭になる。
言語障害: 話すことや書くことが困難になる。
記憶障害: 短期間の出来事を覚えておくのが難しくなる。
睡眠パターンの変化: 昼夜逆転することがある。
・重度の症状(進行段階)
意識障害: 意識が混濁し、最終的には昏睡状態に陥ることがある。
運動障害: 筋肉の制御が難しくなり、歩行が不安定になる。
反射の異常: 神経反射が異常になることがある。
・その他の症状
呼吸の異常: 呼吸が異常に速くなる。
体臭: 肝臓がアンモニアを処理できないため、口臭や体臭が発生することがある。
肝性脳症の症状は個人差があり、また、根本的な肝臓の状態や他の健康問題によって影響を受けることがあります。このため、肝性脳症が疑われる場合は、速やかに病院に行くことが大事です。
肝性脳症の改善には、大きく分けて2つあります。原因とされている血液の中のアンモニア濃度を下げることとアミノ酸のバランスを整えることを目的とした改善と、精神神経症状を改善することを目的とした改善です。
腸管の中で作られるアンモニアの量を減らすためには、タンパク質の過剰摂取を避けて食物繊維を多く摂取する食事にするという食事指導を行います。
他には、アンモニアを産生しにくい合成二糖類を内服したり、下剤を使って腸管内有害物質を出すように促したり、腸管から吸収されにくい抗菌薬を使って腸内細菌叢を改善したりします。
栄養状態やアミノ酸バランスを整えるためには、分岐鎖アミノ酸を投与します。
強く精神症状が現れている場合には、精神病薬を使って症状を抑えます。
肝性脳症の改善は、症状の重症度、原因となる病気の状態、および全体的な健康状態に応じて異なります。改善の主な目的は、症状の管理、脳への毒素の影響を減少させること、および肝臓の機能をできる限り改善することです。以下に、肝性脳症の改善法をいくつか紹介します。
・アンモニアの低減
乳酸菌製剤: ラクツロースやラクチトールなどは、腸内でアンモニアの生成を減らし、その排泄を促進することでアンモニアの血中濃度を下げます。
抗生物質: リファキシミンなどの抗生物質は、アンモニアを生成する腸内細菌の数を減少させることで使用されます。
・栄養管理
高炭水化物、低タンパク質の食事: アンモニアの生成を減らすために、タンパク質の摂取量を制限し、カロリーの必要量を炭水化物から得ることが推奨される場合があります。
分岐鎖アミノ酸: タンパク質制限が必要な場合において、栄養状態を改善するために使用されることがあります。
・原因の改善
肝硬変やウイルス性肝炎などの肝性脳症を引き起こしている基礎となる病気の改善が重要です。
・トリガーの管理
脱水、感染、出血、腎不全、薬剤の使用など、肝性脳症の発症または悪化のトリガーとなる要因を特定し、適切に管理します。
・肝移植
重度の肝臓の病気に伴う肝性脳症の場合、肝移植が最終的な改善の選択肢となることがあります。
・その他の方法
水分や電解質のバランスの維持、感染の予防と改善、その他の合併症の管理なども改善に含まれます。
肝性脳症の改善方法は複合的で、状態に応じて個別に調整されます。計画は、肝臓の専門医、神経科医、栄養士などのチームによって決定され、症状、肝臓の機能、および全体的な健康状態を考慮して行われます。
肝性脳症の改善に用いられる主な薬剤は、血中のアンモニア濃度を低下させることに焦点を当てています。ここでは、肝性脳症の改善に一般的に使用される薬剤について詳しく説明します。
・ラクツロース
作用機序: ラクツロースは、腸内で分解されることにより、酸性の環境を作り出し、アンモニアがイオン化されて腸壁から吸収されにくくなります。また、便通を促進することでアンモニアの排泄を増加させます。
使用方法: 経口摂取または時には直腸から投与されます。
・リファキシミン
作用機序: リファキシミンは広範囲に作用する非吸収性の抗生物質で、アンモニアを産生する腸内細菌の増殖を抑制します。
使用方法: 経口摂取され、ラクツロースと併用されることが一般的です。
・分岐鎖アミノ酸
作用機序: 分岐鎖アミノ酸(バリン、ロイシン、イソロイシン)は、筋肉でのアンモニアの利用を促進し、血中アンモニア濃度の低下に貢献すると考えられています。
使用方法: 経口または静脈投与され、特に栄養状態の改善が必要な患者に使用されます。
・他の抗生物質
ネオマイシン: 別の非吸収性抗生物質で、アンモニア産生細菌の増殖を抑制しますが、長期使用による副作用のリスクがあります。
メトロニダゾール: 特定の状況下で使用されることがありますが、リファキシミンと比較してより多くの副作用があります。
・ジンクサプリメント
作用機序: ジンクは尿素サイクルの補酵素として機能し、アンモニアの代謝を助けると考えられています。
使用方法: 経口摂取され、ジンク不足の場合に推奨されます。
これらの薬剤は、肝性脳症の管理において重要な役割を果たしますが、肝性脳症の根本原因である肝臓の病状も同時に管理する必要があります。
肝硬変になっても肝性脳症の発症や悪化を抑えるためには、日常生活を送る上でリスクとなることに注意して生活することが大事です。
食事の基本はタンパク質の摂取量を少なくして野菜を多く摂取することです。しかし、筋肉量が下がると悪影響があるということがわかっているため、極端にタンパク質を制限することもよくありません。
肝硬変では腹水がたまることが多く、腹水を改善するために利尿薬を使いますが、利尿薬で脱水状態になると肝性脳症につながることもあります。こまめに水分補給を行うことも必要です。
・肝兪
・太衝
・蠡溝
肝兪の効果は、肝臓機能を高める効果があるツボです。そのため、健康な食欲を取り戻してくれる効果があります。
他には、寒気やノイローゼ、不眠症、解毒などに使われることがあるつぼです。ストレスなどで胃の調子が悪い時にもお勧めです。
太衝は、肝経という気の流れに属しているツボです。疲れや精神的ストレス、眼精疲労、肝臓の疲れなどに有効です。
ストレスが溜まった状態は肝の異常として捉えられるため、中でも精神的なストレスには非常に有効であるとされています。
蠡溝は、肝の経絡の上にあるツボです。肝臓の不調や膀胱炎や泌尿器のトラブルに効果的なツボであると言われています。
また、血液の巡りを良くする効果があるため、生理痛や生理不順の改善にも効果的です。
肝兪は、上から9個目と10個目の胸椎の間より、左右に指幅2本分ずらした場所にあります。肩甲骨の下角を結んだ線の高さら約3cm下がったところにツボがあります。
押すときは、息を吐きながら押します。仰向けに寝てゴルフボールなどをあてて押す方法も効果を発揮します。
太衝は、足の甲にあるツボです。足の親指と人差し指の骨が交差するところの前のへこんでいる部分にあります。
押すときは親指を使って押します。足の甲に対して垂直に押しましょう。押した時に痛みを感じることも多いため、ゆっくりと押しましょう。
蠡溝は、内くるぶしの中心と膝の間にあるツボです。内くるぶしから膝の距離の約5分の3の場所にあります。
押すときは、膝を軽く曲げて座ると探しやすいです。息を吐きながらゆっくり通しましょう。
11時から21時
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11時~21時迄 | ◯ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
年末年始