胸郭出口症候群の鍼灸【原因・種類・ツボ・対処法】

公開日:2019年12月23日

更新日:2021年5月15日

本日は胸郭出口症候群について解説させていただきます。

胸郭出口症候群とは、鎖骨の下を通る神経の束と鎖骨の下にある動脈が圧迫され、肩・腕・手の部位にしびれや刺すような痛みなどの異常感覚を感じる状態のことをいいます。

胸郭出口症候群のおもな原因は、鎖骨まわりの筋肉や胸、肩の筋肉の硬結です。

 

腕や手を動かす神経そして動脈は、鎖骨の下をくぐり、胸の筋肉を貫通し、肩、腕と通り、指の先まで行きます。

 

そこがなんらかの原因で硬くなり神経を圧迫し痛みを起こします。

 

また、絞扼部位によって、「斜角筋症候群」「頸肋症候群」「肋鎖症候群」「小胸筋症候群(過外転症候群)」と四つに分けられ総称して胸郭出口症候群と言います。

 

鎖骨を構成する骨が盛りあがって圧迫したり、靭帯の肥厚、加齢による筋力低下や運動前のストレッチ不足、ラケットやクラブの不適切なスウィング、筋肉の酷使や長時間のデスクワークによる猫背など、その方の日常生活によって原因は様々です。

 

胸郭出口症候群の原因は4つあります

胸郭出口症候群は、4つの原因を総称した病名。

原因となる筋肉または骨は以下の4つです。

 

①首のまえにある斜角筋

②鎖骨の上の頚椎よりにある頚肋(肋骨になりそこねた頚椎の横突起)

③肋骨と鎖骨の間にある、鎖骨下筋

胸の前にある小胸筋

斜角筋症候群

斜角筋は、前・中・後と3つに別れております。斜角筋症候群とは、斜角筋に圧迫された神経の神経痛症状です。

 

斜角筋と斜角筋の間を通る神経が圧迫されやすく、肩、腕、肘とだるさ、痛み、しびれを感じさせます。

後斜角筋の場合は、肩甲骨まわりに強い放散痛を生じます。当院では、4つの中で斜角筋症候群がいちばん多く来院されます。この症状に対する鍼灸は非常に有効です。

頚肋症候群

頚肋とは頚椎の横からでている横突起が生まれつき大きくなったものです。頚肋症候群の主な症状は、首、鎖骨下の異常感、肩、腕、肘の痛み、そしてしびれです。

人によっては、小指まで痛みや電気が走るようなしびれの症状がでます。このケースは、骨が原因のため、鍼灸は効きません。手術をする必要性があります。

そのため医師から手術を勧めらない場合、頚肋症候群ではない他の3つの可能性が高いとゆうことです。

肋鎖症候群

肋鎖症候群は、肋骨と鎖骨の間を通る神経が鎖骨の下で圧迫されることで発症します。デスクワークや勉強などによる長時間の前傾姿勢が原因で起こります。

姿勢の悪い人に多いとゆう特徴がありますが、姿勢を正しくしても筋肉のクセにで徐々に猫背になってしまうことが多いです。

鎖骨の下にある鎖骨下筋が重要なポイントです。鎖骨下筋が同じ姿勢でいることで硬くなり神経が圧迫されてしびれを感じはじめます。この場合、鍼灸が非常に有効です

小胸筋症候群

小胸筋は、胸の前にある筋肉で、大胸筋の下にあります。小胸筋症候群の原因は猫背や長時間のデスクワークです。小胸筋症候群の方は腕を上げたとき、上げた腕の手首の脈拍が感じなくなります。

これは腕をあげたときに、硬くなった小胸筋がストレッチされることで血管を圧迫してしまうためです。また、小胸筋は呼吸を助ける筋肉のため固くなると呼吸が浅くなる特徴があります。この場合、鍼灸は非常に有効です。

胸郭出口症候群を確認する方法

胸郭出口症候群は5つのテストを行うことで4つのタイプに振り分けることができます

 

  • エデンテスト

 しびれや痛みを感じる方の腕を後下方に引っ張る⇒手首の親指側にある橈骨動脈の拍動が触れなくなる

肋鎖症候群が陽性

 

  • アドソンテスト

顔を上に向かせ、痛みがある方の後ろを見るように首を捻り、深呼吸を行わせる⇒痛みのある腕の手首の橈骨動脈の拍動が触れなくなる

斜角筋症候群が陽性

 

  • ライトテスト

肘の関節を90度曲げて保持する姿勢をしてもらう⇒痺れの誘発、橈骨動脈の拍動が触れなくなる

肋鎖症候群小胸筋症候群が陽性

 

  • ルーステスト・3分間挙上負荷テスト

肘の関節を90度曲げて保持する姿勢をしてもらう(ライト・テストと同様)⇒手のグーとパーを交互に3分間繰り返す⇒痺れの誘発、橈骨動脈の拍動が触れなくなる

肋鎖症候群、小胸筋症候群が陽性

 

  • モーレイテスト

鎖骨の上部周辺にあるくぼみを形成している斜角筋を指で圧迫する⇒肩~腕、腕~手への放散痛を訴える

斜角筋症候群が陽性

 

胸郭出口症候群の鍼灸

胸郭出口症候群

胸郭出口症候群は筋肉の硬結により引き起こされるため、いずれのケースでも、トリガーポイントに施術していくのが効果的です。

 

斜角筋症候群の場合は、首の前側にある前斜角筋と中斜角筋の緊張を緩めて、腕に向かう神経の通りを広くします。

 

肋鎖症候群では、肩甲骨と鎖骨の間を調整し、鎖骨の下の空間を広くすることで骨格矯正をおこないます。

 

そして、小胸筋症候群の場合、胸の深層部の筋肉である小胸筋を柔らかくし、長時間のデスクワークや姿勢のクセ、猫背を徐々に回復させ、前傾姿勢の改善を図ります。

 

胸郭出口症候群の利用者様210例のうち、改善したケースは200例で、回復率は90パーセントの好成績を残しております。

 

なかなか改善しない胸郭出口症候群は、複数のパターンが複雑に絡みあって起きている場合もありますが、平均5回の鍼灸で効果が出ることが多いです。

胸郭出口症候群に効果的なツボ

・気舎

欠盆

中府

気戸

気舎

気舎は、気管支の炎症や咳、胃のむかつきや吐き気に効果があるツボです。つわりに悩んでいる人やしゃっくりが止まらないときにもおすすめです。

 

首から肩にかけてのこり、寝違えにも有効といわれています。気舎は、胸郭出口症候群の中でも、先天性の頚肋によって圧迫が起こっている場合や頚肋から伸びる腱索によって圧迫が起こっている場合に効果的です。

欠盆

欠盆は、咽喉の腫れや痛み、頚部リンパ結核、胸苦しい咳などに効果があるツボです。

 

他にも、頭痛や目の疲れ、寝違えなどにも使われることが多いです。欠盆は、胸郭出口症候群の中でも、前斜角筋と中斜角筋によって圧迫が起こっている場合に効果的です。

中府

中府は、呼吸の機能を高める効果のあるツボです。 喘息や咳などの症状を和らげて、楽に呼吸が行うことができるようにする効果があります。

 

中府を刺激することは、胸の筋肉をほぐすことにつながるため、背筋が伸びやすくなります。背筋が伸びやすくなると、背中のこりや張りの改善にもつながります。

 

中府は、胸郭出口症候群の中でも烏口突起と小胸筋によって圧迫が起こっている場合に効果的です。

気戸

気戸は、気を晴らしたり、気合を入れたりするというような気を促す効果があります。気戸の気には空気や気持ちという意味があり、その場所の空気と自分の気持ちが合わないとき、気を一致させる働きがあると言われています。

 

他にも、肺や喉、呼吸器の機能を高める効果があるため、喘息や肋間神経痛、肩こり、心臓の病気などに対しても効果的です。

 

気戸は、胸郭出口症候群の中でも肋骨と鎖骨によって圧迫が起こっている場合に効果的です。

ツボの位置と押し方

気舎

気舎は、鎖骨の内端の上際のくぼみにあるツボです。喉仏の下の胸の骨のくぼみから左右両方の指幅2本分横にあります。

 

押すときは、少し弱めの力で約3〜5秒間ゆっくりと押します。押しながら、息もゆっくり吐くと良いでしょう。5〜6回繰り返し押すことをお勧めします。

 

気舎は、左右両方にありますが、両方同時に行うのではなく、必ず片方ずつ行うようにしましょう。

欠盆

欠盆は、乳首のライン上の鎖骨中央の上にある大きなへこみにあります。

 

押すときは、人差し指か中指の腹でゆっくりと押し、ゆっくりと円を描くように動かします。1回30秒ほど行いましょう。3回ほど繰り返すと良いです。力は痛くない程度がお勧めです。

中府

中府は、鎖骨の外側の端にある下のくぼみから指の幅1本分下へ降りた場所にあります。

 

押すときは、つぼの反対側の指を使って押します。息を吐いた時にゆっくりとツボを押すことをお勧めします。力加減は、気持ちが良いと思う程度の強さが良いでしょう。

気戸

気戸は、乳頭から真っ直ぐ上に上がって、鎖骨に当たる場所にあります。

 

押すときは、人差し指と中指を揃えてツボにあて、背中の方に向かって押します。ゆっくりと息を吐きながら10秒くらい押しましょう。 この動作を3回ほど繰り返します。

 

肩こりによって息苦しさを感じている時には、3回ほどツボ押しを繰り返した後、胸元から首に手のひらを滑らせてマッサージすると効果的です。

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