歌舞伎症候群の鍼灸【原因・定義・症状】

公開日:2021年  6月11日

更新日:2021年 11月27日

本日は歌舞伎症候群について解説させていただきます。

☆本記事の内容

  • 歌舞伎症候群とは
  • 歌舞伎症候群の原因
  • 歌舞伎症候群の症状
  • 歌舞伎症候群の改善方法
  • 歌舞伎症候群のまとめ
足のしびれ、痛み

銀座そうぜん鍼灸院の宗前です。

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歌舞伎症候群は、先天性疾患で、特徴的な顔貌をもつ疾患

歌舞伎症候群は、先天性疾患で、特徴的な顔貌をもつ疾患です。

 

症状の特徴として、切れ長の目で、下眼瞼の外側の3分の1が裏返って眼瞼が外にめくれている状態であることが、歌舞伎役者の化粧に化粧に似ていることから歌舞伎症候群という名前がつけられました。

 

歌舞伎症候群が初めて報告されたのは1988年です。

歌舞伎症候群の原因は、遺伝子の変化

歌舞伎症候群の原因は、遺伝子の変化です。原因となる遺伝子としては、KMT2D遺伝子と KDM6A遺伝子が関係していると言われています。

 

遺伝子の変化は、両親にない遺伝子の変化が突然子供に発生する新生突然変異です。そのため、家系として遺伝していく例はあまりありません。

 

中には遺伝子に変化がなくても歌舞伎症候群を発症している人もいます。遺伝子に変化がなくても発症する原因はわかっていません。

歌舞伎症候群の主な原因は、KMT2D遺伝子やKDM6A遺伝子の変異(mutation)に起因することが知られています。

 

・KMT2D遺伝子変異

大多数の歌舞伎症候群(約56%~75%)では、KMT2D遺伝子の変異が確認されています。KMT2D遺伝子は、ヒストンメチルトランスフェラーゼという酵素のコードを担っており、この酵素は染色体の構造と機能に関与するヒストン蛋白質を変更する役割を果たします。この変更は、遺伝子のオン・オフの制御に関与しており、細胞が成長し、分裂し、正常に機能するためには不可欠です。したがって、KMT2D遺伝子の変異は細胞の成長と分化の異常を引き起こす可能性があり、歌舞伎症候群の特徴的な症状を引き起こす要因と考えられています。

 

・KDM6A遺伝子変異

少数の歌舞伎症候群(約1%~8%)では、KDM6A遺伝子の変異が見られます。KDM6A遺伝子は、ヒストンデメチラーゼという酵素のコードを担っており、この酵素はヒストン蛋白質の変更を逆行させる役割を持っています。この遺伝子の変異も、遺伝子のオン・オフの調節異常と関連していると考えられています。

 

遺伝的パターン

歌舞伎症候群の多くは、新規変異として発生します。これは、親には該当の遺伝子変異が見られないが、自身の遺伝子に変異が生じた状態のことです。そのため、歌舞伎症候群を持つ親が再び歌舞伎症候群の子供を持つリスクは低いとされています。しかし、例外として、親がモザイク変異(一部の細胞だけに変異が見られる状態)を持っている場合も考えられるため、遺伝カウンセリングを受けることが推奨されています。

黄歌舞伎症候群の症状は特徴的な顔貌

歌舞伎症候群の症状は特徴的な顔貌です。下眼瞼の外側3分の1が外反し、切れ長の眼瞼裂が起こります。外側3分の1は疎な弓状の眉で、鼻は先端がつぶれ、鼻中隔は短く、耳介は大きく変形しとび出ます。

 

手掌側の指先には渦巻きの指紋でなくても少し盛り上がりがあります。

 

日常生活を送る上で影響が出る症状には、知的障害や側弯などの脊柱の異常、繰り返す中耳炎、難聴、心血管系の奇形や口唇裂、口蓋裂、消化器の異常、けいれんや内分泌の異常などです。現れる知的障害の程度は人によって様々です。

歌舞伎症候群は、独特の顔貌と体の特徴に加えて、神経系、内臓、筋骨格系に関連する様々な症状を伴う遺伝性の病気です。以下に、歌舞伎症候群の主な症状について説明します。

 

1. 顔貌の特徴

眼瞼の特徴:上眼瞼の二重まぶたが著しく幅広く、下眼瞼の外側が上向きになっている。

眉毛の特徴:眉毛が薄く、外側の部分が高い位置にある。

鼻の特徴:鼻の付け根が低く、鼻の先が広がっている。

耳の特徴:耳の形が独特で、特に耳の下部が突出していることが多い。

口の特徴:口の角が下向きで、下唇が厚くなっている。

 

2. 神経系に関連する症状

知的障害:軽度から中度の知的障害が多くの場合に見られる。

言語発達の遅れ:言葉の獲得が遅れることがある。

運動発達の遅れ:歩き始める年齢が遅れることや、手の小さな動きが不器用であることが見られる。

筋力の低下:筋肉の力が弱く、特に首の筋肉が弱いことが特徴的。

 

3. 内臓に関連する症状

心臓の異常:心室中隔欠損症や大血管転位など、先天性の心臓の病気が見られることがある。

腎臓の異常:腎の構造や機能に関連する問題が生じることがある。

消化器系の問題:食道裂孔ヘルニアや便秘、食物アレルギーなどの消化器系の症状が現れることがある。

 

4. 筋骨格系に関連する症状

指の異常:指先が太く、指の関節が柔らかい。

関節の柔軟性:関節が過度に柔軟で、関節の脱臼や亜脱臼が発生しやすい。

背骨の異常:側弯症や脊柱前弯などの背骨の変形が生じることがある。

 

5. その他の症状

皮膚の異常:皮膚には赤みを帯びた斑点や、皮膚が薄く透明感がある部分、小さな瘤などの異常が見られることがある。

免疫系の問題:免疫系の機能が低下しているため、感染症にかかりやすいことが報告されている。特に中耳炎や肺炎などの感染症に対する感受性が高まることが知られている。

 

内分泌の問題: 甲状腺機能低下症や成長ホルモンの分泌異常など、内分泌系に関連する問題が生じることがある。

 

視覚と聴覚の問題: 聴覚障害や視覚障害、特に遠視や乱視などの屈折異常が見られることがある。中耳炎の繰り返しにより、一部では聴覚に問題が生じることもある。

 

行動と情緒: 歌舞伎症候群では、注意欠陥・多動症(ADHD)の症状を示すことがある。また、自己刺激行動や反復行動、社会的交流の困難など、自閉スペクトラム症に似た特徴を持つ子供もいる。

 

成長の問題: 低身長や体重増加の遅れなど、成長に関する問題が生じることがある。これは、成長ホルモンの分泌異常や食事摂取の問題、内分泌の異常など、複数の要因に起因する可能性がある。

 

呼吸の問題: 呼吸困難や喘息のような症状が生じることがある。特に新生児期には、食物摂取時の窒息や嚥下障害が問題となることもある。

 

歯の問題: 乳歯の萌出が遅れる、歯が小さい、歯の数が多いまたは少ない、噛み合わせの問題など、さまざまな歯科関連の問題が生じることがある。

 

歌舞伎症候群は、その名の通り、日本で初めて報告された病気ですが、現在では世界中で症例が報告されています。この症候群の特徴的な症状は、年齢や遺伝的背景により異なることがあるため、改善には個別のアプローチが求められます。

歌舞伎症候群の根本的な改善方法はない

歌舞伎症候群の根本的な改善方法はありません。現れている症状に対して改善を行うことが基本になります。

 

歌舞伎症候群で現れる症状は人によって違うため、個人に合わせた改善が必要になります。

歌舞伎症候群は、多様な症状と特徴を持つ先天的な病気です。現在のところ、この病気の根本的な改善法は確立されていませんが、その多様な症状や合併症に対する対症療法やサポートが存在します。以下では、歌舞伎症候群の治療に関する現在の知見を詳細に説明します。

 

1. 症状に対する対処

歌舞伎症候群の症状は人によって異なるため、症状や合併症に合わせて様々な方法が適用されます。

成長の問題: 成長ホルモンの補充が行われることがあります。これは、成長ホルモン分泌不足の場合に対して行われる方法です。

内分泌の問題: 甲状腺機能低下症には、レボチロキシンなどの甲状腺ホルモンの補充が適用されることがあります。

心臓の問題: 心臓の異常や欠損に対する外科的手術や薬物療法が行われることがあります。

感染症の予防: 再発する中耳炎や肺炎に対しては、予防的な抗生物質の投与やワクチン接種が推奨されることがあります。

 

2. リハビリテーション

物理療法: 筋力の低下や関節の問題を改善するための物理療法が行われます。これは、患者の運動機能を向上させるためのものです。

 

作業法: 日常生活の動作や手の機能を改善するための作業法が推奨されることがあります。

 

言語聴覚法: 発話や言語理解の遅れに対して、言語聴覚士による訓練が行われます。

 

3. 行動法と心理的サポート

歌舞伎症候群では、注意欠陥・多動性障害(ADHD)の症状や自閉スペクトラム症に似た症状を示すことがあるため、行動法や心理的サポートが推奨されることがあります。また、家族やケアギバーへのサポートや教育も重要です。

 

4. 教育的サポート

学習障害や注意欠如、行動の問題を持つ子供たちには、特別支援教育や個別の学習サポートが必要です。

 

5. フォローアップ

歌舞伎症候群では、定期的なフォローアップが必要です。

歌舞伎症候群は、多様な症状と特徴を持つ遺伝性の病気です。従って、改善方法や使用する薬は、特定の症状や合併症によって異なります。以下は、歌舞伎症候群の改善に関連して使用される可能性のある薬やその効果についての概要です。

 

成長ホルモン補充: 成長の遅れが確認された場合、成長ホルモンの補充が考慮されることがあります。これは、成長ホルモン分泌不足を補うことで正常な身体の成長をサポートするためのものです。

 

甲状腺ホルモン補充: 甲状腺機能低下症の症状が出る場合、レボチロキシンなどの甲状腺ホルモン補充薬が処方されることがあります。

 

ADHD関連の薬: 注意欠陥・多動性障害の症状がある場合、メチルフェニデート(例:リタリン)やアトモキセチン(例:ストラテラ)などの薬が使用されることがあります。

 

行動や気分の調節: 行動の問題や気分の不安定性に対して、抗うつ薬や抗精神病薬、気分安定薬が処方されることがあります。

 

抗生物質: 一部では、繰り返しの感染症(例:中耳炎)に苦しむことがあるため、抗生物質が使用されることがあります。

 

腸動作の改善: 便秘の問題がある場合、便秘薬や下剤が処方されることがあります。

 

心臓の合併症: 心臓の異常や障害に対しては、必要に応じて薬が考慮されます。例えば、心不全の症状がある場合は、利尿薬やACE阻害薬などが使用されることがあります。

 

これらの薬による改善は、症状や合併症の程度に応じて、医師の判断で調整されます。

歌舞伎症候群は色々な合併症が起きることがある

歌舞伎症候群は色々な合併症が起きることがあります。歌舞伎症候群を発症した場合は病院に行き、合併症を発症していないか調べることが必要です。

 

合併症を発症している場合は、病院で合併症の改善を行うことも大事です。合併症の種類や程度には個人差があるため、その人に合わせた改善を行ないましょう。

 

発達の遅れが気になる場合は、リハビリテーションなどを行うこともあります。

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