公開日:2021年 12月 1日
更新日:2023年 8月 5日
本日は遠位型ミオパチーについて解説させていただきます。
☆本記事の内容
銀座そうぜん鍼灸院の宗前です。
このページを書いている私は、鍼灸師として13年、担当した利用者様数80,000人を誇り、病気の休職者300人を社会復帰できるまで回復させてきた実績があります。
遠位型ミオパチーの原因は遺伝子の変異です。
日本人に多い縁取り空胞を伴う遠位型ミオパチーはGNE遺伝子の変異が原因で起こります。遺伝形式は常染色体劣性遺伝です。
三好型ミオパチーの原因はジスフェルリン遺伝子の変異で、遺伝形式は常染色体劣性遺伝です。
日本で3番目に多いと言われている眼咽頭遠位型ミオパチーの原因は今のところわかっていません。
遠位型ミオパチーは、手足の筋肉、特に手足の先端部分の筋肉に影響を及ぼす一連の病気を指します。これらの病気は通常、筋肉の弱さや萎縮から始まり、次第に筋肉の衰弱や動作の困難さが進行します。以下では、遠位型ミオパチーの主な原因について詳述します。
遺伝的な要因
遠位型ミオパチーの最も一般的な原因は、遺伝子の変異です。これらの遺伝性の疾患は、親から子へと遺伝する可能性があります。遺伝的な遠位型ミオパチーには、ミオパチーとなる特定の遺伝子の異常が関与しています。
ミオパチーに関連する遺伝子の中には、筋肉の正常な機能に必要なたんぱく質のコードを含むものがあります。遺伝子変異が起こると、これらのたんぱく質が正常に機能しなくなるか、または全く生成されない場合があります。この結果、筋肉の弱さや損傷が引き起こされます。
免疫系の病気
免疫系の疾患も、遠位型ミオパチーの一因となる可能性があります。免疫系が誤って体自身の細胞を攻撃する場合、それが筋肉細胞を破壊し、筋力低下や筋肉の萎縮を引き起こすことがあります。このタイプのミオパチーは、通常、ステロイドなどの免疫抑制薬によって管理されます。
内分泌系の異常
内分泌系の異常も、遠位型ミオパチーの原因の一つとなる可能性があります。例えば、甲状腺機能亢進症やクッシング症候群などの病気は、筋力低下や筋肉の萎縮を引き起こす可能性があります。これらの病気は、適切なホルモンの補充により管理されます。
神経の病気
遠位型ミオパチーは、神経系の病気によっても引き起こされることがあります。筋肉の機能は神経に大きく依存しており、神経が損傷すると筋肉の弱さや萎縮が起こる可能性があります。たとえば、慢性炎症性デミエリン化多発神経症(CIDP)や、シャルコー・マリー・トゥース病などの病気は、神経を破壊し、筋肉の力や体積の低下を引き起こす可能性があります。
代謝異常と栄養不足
代謝異常や栄養不足もまた、遠位型ミオパチーを引き起こす可能性があります。特定の栄養素、特にビタミンD、ビタミンE、ビタミンB1(チアミン)、ビタミンB12が不足すると、筋力の低下や筋肉の萎縮が引き起こされることがあります。また、代謝系の病気(例えば、アルコール性ミオパチー)や腎臓の病気も筋肉の損傷を引き起こす可能性があります。
薬物と毒物
特定の薬物や毒素は、筋肉の損傷や弱さを引き起こし、遠位型ミオパチーを誘発することがあります。これらには、スタチン(コレステロールを低下させる薬)、抗レトロウイルス薬、抗精神病薬、コカイン、ヘロインなどが含まれます。これらの薬物は、筋肉の繊維を直接損傷させるか、または筋肉の代謝を妨げることで、ミオパチーを引き起こすことがあります。
遠位型ミオパチーの原因は多岐にわたります。
遠位型ミオパチーでは、足首を動かす筋肉や指先を動かす筋肉などの遠位筋から障害が起こります。
縁取り空胞を伴う遠位型ミオパチーの場合、足首を上に持ち上げる前頸骨筋に障害が起こることが多いです。そのため、きちんと足首が上にあがらず小さな段差などでつまずいたり、走りにくくなったりします。
さらに筋肉を使うことができなくなるため、少しずつ筋肉が痩せ、10年ほどで生活する上で車椅子が必要になります。
三好型ミオパチーの場合はふくらはぎの筋肉に障害が起こることが多いです。そのため、ふくらはぎが痩せ、つま先で立つことができなくなります。段々と、走りにくくなったり歩き方が変わったりします。
症状が進むと近位筋にも障害が起き、段差の上りにくさや座っている状態からの立ち上がにくさが現れ、10年ほどで歩くことが難しくなります。
眼咽頭遠位型ミオパチーの場合、前頸骨筋に障害が起きることが多いです。さらに瞼が下がったり食べ物が飲み込みにくくなったりします。
遠位型ミオパチーは一連の筋肉の病気を表す用語で、主に手足の遠位部(手や足の先端部分)に影響を及ぼします。これらの病気は、筋肉の弱さや萎縮を引き起こす傾向があり、時間とともに進行します。以下に、遠位型ミオパチーの一般的な症状を詳細に解説します。
筋力の低下と筋肉の萎縮
遠位型ミオパチーの最も一般的な症状は、筋力の低下と筋肉の萎縮です。これは通常、足の遠位部(足指や足首)から始まり、次に手の遠位部(手指や手首)に影響を及ぼします。症状は徐々に現れ、数年にわたって進行します。筋肉の弱さは、日常生活の中での様々な動作、例えば歩行、握力の維持、物をつかむことなどに困難を生じさせます。
歩行困難
筋力の低下と筋肉の萎縮が進行すると、歩行に困難が生じることがあります。特に足首や足指の筋肉が弱くなると、つまずきやすくなったり、歩幅が狭くなったりすることがあります。これは「足首の落ち(foot drop)」とも呼ばれ、足首の筋力が弱くなることで足先が地面に引っかかる状態を指します。
手の機能低下
手の遠位部の筋肉に影響が及ぶと、日常的なタスク、例えば書くことやボタンを留めることが困難になることがあります。また、握力の低下は物をつかむことや保持することを難しくする可能性があります。
感覚異常
一部の遠位型ミオパチーでは、感覚異常が見られることもあります。これは主に神経系の損傷によるもので、感覚の低下、しびれ、または痛みとして現れることがあります。
筋肉痛と疲労感
一部では、筋肉痛や疲労感を感じることがあります。これは筋肉が十分に動作しないため、通常の活動が困難になり、結果として筋肉が疲労することによるものです。特に、一日の終わりには、筋肉の弱さや疲労感が増すことがあります。
呼吸困難と嚥下困難
非常に進行した状態の遠位型ミオパチーでは、嚥下筋や呼吸筋が弱くなることで、飲食物の嚥下困難や呼吸困難を引き起こすことがあります。これらの症状は、遠位型ミオパチーが非常に進行した状態でのみ見られ、適切な介入が必要となります。
その他の症状
遠位型ミオパチーは、遺伝的要因によって引き起こされることが多いため、同じ家族の中で似たような症状が見られることがあります。また、遠位型ミオパチーの一部のタイプでは、視覚障害、心臓の問題、ホルモンの異常など、筋肉の問題以外の症状が見られることもあります3。
遠位型ミオパチーの症状は人によって異なり、症状の重さや進行度合いも個々によります。そのため、正確な判断と適切な改善を行うためには、専門的な評価が必要です。
今のところ遠位型ミオパチーの根本的な改善方法はありません。縁取り空胞を伴う遠位型ミオパチーでは、シアル酸を補充する方法で改善を行う研究が行われているため、数年の間に改善のための薬ができる可能性があります。
三好型ミオパチーに関しても、有効な薬の研究が行われていますが、現時点では成果は出ていません。
そのため、拘縮を防ぐための目的でリハビリを行うことが主な対処方法です。装具を使うことで、できるだけ長い期間歩くことができるようになることが期待できます。
遠位型ミオパチーは、症状の管理と生活の質の向上を目指します。具体的な改善方法は、個々の病状、遺伝的な特性、生活状況によって大きく異なります。
症状管理
遠位型ミオパチーの症状は、個人によって大きく異なります。そのため、具体的な症状を評価し、その症状を管理するための適切な方法を見つけることが重要です。これらの方法は、筋力を保持し、筋肉の機能を最大限に引き出すことを目指します。
感覚異常や痛みを抱える場合には、疼痛管理を目指すために、適切な薬が用いられることがあります。また、適切な運動や休息も、痛みの管理に役立つことがあります。
健康的な生活習慣
健康的な生活習慣は、遠位型ミオパチーの管理において重要な役割を果たします。適切な栄養摂取、定期的な適度な運動、十分な休息、ストレスの管理などは、筋力を維持し、症状の進行を遅らせることに貢献します。
特に、適切な食事は、筋肉の機能を最大限に発揮するために重要です。ビタミンやミネラル、タンパク質などの栄養素は、筋肉の健康を維持するのに必要な要素です。必要に応じて、栄養士と相談して、個々の栄養ニーズに合った食事計画を作成することが有効であることがあります。
サポートと教育
遠位型ミオパチーの改善には、本人だけでなく、その家族やケアプロバイダーも含めた広範なサポートと教育が必要となります。この病気の管理は、多職種の専門家のチームによって行われ、本人とその家族に対する教育とサポートが重視されます。家族やケアプロバイダーが病気について理解を深め、日常生活をサポートするための具体的な技術を学ぶことは、病状の管理に大きく貢献します。
サージカルオプション
一部では、手術が必要となる場合があります。特に、呼吸筋や嚥下筋が弱くなり、これが生命に影響を及ぼす可能性がある場合、手術が検討されます。このような状況では、トラケオストミーや胃ろう等の手術が選択されることがあります。
研究と将来の改善法
現在、遠位型ミオパチーの新たな改善方法についての研究が進行中です。特に、遺伝的な病気の改善法として、遺伝子での改善の可能性が探求されています。これらの方法はまだ初期段階であり、臨床試験やさらなる研究が必要ですが、将来的には遠位型ミオパチーの改善法に革新をもたらす可能性があります。
遠位型ミオパチーでは、転ばないように注意が必要です。
日本人に多い縁取り空胞を伴う遠位型ミオパチーは、体の中ででシアル酸ができにくいため、積極的に牛乳などのシアル酸が多く含まれている食品をとることもおすすめです。
積極的に牛乳などのシアル酸が多く含まれている食品をとっても症状が改善するわけではありませんが、避けるより良いと言われています。
ケーススタディ1
Aは、軽度の筋力低下と運動障害を主訴に来院し、遠位型ミオパチーと半あんされました。彼の場合、病気の進行は比較的遅く、日常生活に大きな支障をきたす程度の筋力低下は見られませんでした。
Aの改善計画は、彼の生活状況と目標を考慮に入れ、主に物理的な方法に焦点を当てて作成されました。Aは定期的に専門家と面会し、筋力を維持し、筋肉の機能を最大限に引き出すためのエクササイズを学びました。また、病気について学ぶことで、彼自身が自己管理を行う能力を向上させました。
ケーススタディ2
Bは、重度の筋力低下と感覚異常を伴う遠位型ミオパチーと判断されました。Bの場合、彼の病状は生活の質に大きな影響を及ぼしていました。
彼の計画は、物理的な方法と薬の組み合わせに焦点を当てて作成されました。専門家と協力して、筋力を維持し、できるだけ自立した生活を送ることができるように努力しました。また、Bには、疼痛と感覚異常の管理のための薬物が処方されました。
ケーススタディ3
Cは、呼吸筋と嚥下筋の弱さを伴う遠位型ミオパチーと判断されました。このような状況では、手術が必要となることがあります。Cの場合、彼の呼吸機能と嚥下機能の低下は生命に直接影響を及ぼす可能性がありました。
Cは、手術チームによって評価され、呼吸筋や嚥下筋を支援するための手術が計画されました。彼はトラケオストミー(気管切開)の手術を受け、呼吸機能を確保するために人工呼吸器を使用しました。また、胃ろうも行われ、栄養を摂取するための経管栄養が確保されました。
これらの手術は、Cの生命の維持と生活の質の向上に重要な役割を果たしました。彼は、専門的なチームのサポートを受けながら、定期的なフォローアップとリハビリテーションを受け、最大限の機能を維持し、症状を管理することができました。
Mayo Clinic. (2020). Tracheostomy.
Mayo Clinic. (2020). Gastrostomy.
11時から21時
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