胃【五臓六腑・東洋医学の捉え方】

公開日:2022年 1月18日

更新日:2022年 2月11日

本日は「胃」ついて解説させていただきます。

従来の西洋医学においての病気の診断というのは、身体診察や検査などのデータなどにより特別な原因物質のみを取り上げて、身局所的、理論的に分析していきますが、東洋医学ではそれらの原因物質のみにとらわれず、身体の不調に対する根本的な原因を探るため、患部だけではなく全身を診てから治療法を判断します。  

からだの不調を診断する際は、衰弱していると見られる臓腑の相克・相生関係にある臓腑も同時に診ていきます。両方の機能を高めることで、また衰弱しそうになった際にもカバーできる体にしようと試みます。 

☆本記事の内容

  • 東洋医学の「胃」とは
  • 西洋医学の「胃」とは
  • 「胃」の機能や他の臓腑との関係性
  • 「胃」の機能が弱っている際のサイン
足のしびれ、痛み

銀座そうぜん鍼灸院の宗前です。

このページを書いている私は、鍼灸師として13年、担当した利用者様数80,000人を誇り、病気の休職者300人を社会復帰できるまで回復させてきた実績があります。

 

 

動画でもご説明しておりますのでこちらもご参考くださいませ。

 

本記事は、現代医学でいう"胃"の機能ではなく、東洋医学の観点からの「胃」の役割について掲載しております。内容をより理解しやすくするためには、「東洋医学」の記事を先にお読み頂くことをお勧めします。

東洋医学でいう「胃」とは

食べ物は歯でよく噛み砕かれ胃に送られます。胃が食べ物を受け入れることを東洋医学では「受納(じゅのう)」といいます。

胃で一旦蓄えられた食べたものが大腸に送られるまで、個人差はありますがだいたい6~8時間といわれています。この間、胃で初期消化して発酵させていますが、このプロセスを「腐熟(ふじゅく)」といい、ドロドロに発酵したものを「食糜(しょくび)」といいます。

 

食糜は小腸に送られて細かく砕かれドロドロにした後、身体に必要なものは消化吸収し、エネルギーのもととなります。

「胃」の性質

「喜潤悪燥」という性質

胃は飲食物である水分や穀物を溜めており、常に潤った状態を好み、乾燥を嫌うことから「喜潤悪燥」といわれており、別称「水穀の海」とも呼ばれております。

胃は六腑の中でもとくに熱が旺盛で、熱が籠りやすい性質をもっています。

胃が熱を持つと食欲が旺盛になり、食欲は亢進しますが、熱が水分を損傷するため便秘がちになります。

 

それでも胃はどんどん食べ物を消化するので、すぐにお腹が減ってまた食べてしまいます。このような状態を「消穀善飢」といいます。

胃で受け入れられた食べ物は、軽く消化され、小腸・大腸へ下っていきさらに細かく分けられますが、この下に降ろす作用がおかしくなると脾の昇清作用(エネルギーを上の臓器である肺・心臓・頭などにあげる作用)にも異常がおこります。

また、消化物を下降させる機能が滞ると、当然おなかの調子にも影響します。お腹が張ったり、気持ちが悪い、嘔吐などの症状が現れます。

 

胃の調子は、五臓六腑のうちわりと自覚しやすく、私たちの健康のバロメーターとなっております。また、消化器系のコントロールをするはじまりであり中心部分になるのです。

 

胃の不調は必然的にその下にある、腸(小腸・大腸)の不調にも繋がってしまい、脾の昇清作用にも影響するため、常にベストコンディションにしておくことが望ましいといえます。

西洋医学においての「胃」

 

 

胃に飲食物が入ると、液体はすぐに十二指腸に送られますが、ほとんどの食塊は胃に一旦とどまります。そして、食物自身の重みで胃壁が伸び縮みし、胃の蠕動運動が始まります。筋肉をしごくように動かすことで、食塊と胃液が混じり、殺菌されながらかき混ぜられて粥状になります。

 

胃の蠕動運動の際に胃液が十分に分泌されないと、かき混ぜや殺菌が不十分なまま内容物が十二指腸に送られることになります。 胃の内容物が十二指腸に送られるのに要する時間は、約3〜6時間です。胃での滞在時間が最も短いのは糖質で、次いでタンパク質、脂肪の順になっています。

ー胃の形と機能ー

アルファベットのJの字に似ています。胃は、「胃袋」と言われるように筋肉でできた袋状の臓器でアルファベットのJのような形体をしています。
胃は伸び縮みするので、空腹のときはぺちゃんこですが、食物が送られてくると、胃壁が伸びて、風船のように膨らみ、その容量は、大人の胃で約1.5~2リットルになります。

 

胃の入口である噴門は食物が入ると閉じて、出口である幽門では、食物を少しずつ十二指腸に送り、一気に流れ出ないように内容物の通過をコントロールしています。

胃の不調と別の臓腑との関係性

●ストレスと胃の関係

「ストレスが胃にくる」とよく言いますが、東洋医学の“※五志”でいう脾・胃は「思い悩み」に該当します。

 

※五志:東洋医学では万物を[木火土金水]5つの元素に分けて考えますが、それに対応する情緒の部分を[五志]と言います。

五行

五臓

六腑

小腸

大腸

膀胱

五志

七情

悲・憂

恐・驚

五気

上がる

縮む

詰まる

消える

下がる

 

 

 胃はストレスとの関係が深く、うまく付き合っていく必要があるということになります。考えすぎて精神疲労が過度になると、気が詰まります。その結果、腹部膨張、食欲不振、軟便といった胃に関する症状が現れます。

 

また、胃が弱るとエネルギーであるエネルギーを生成する力が不足するので、それらと関連の深い免疫力も低下します。
胃で消化された物が次に行く場所は腸です。西洋医学で腸は人体最大の免疫器官とされているので、胃が弱ると腸内の免疫細胞に影響が及び、免疫力の低下に繋がるのです。

・睡眠に影響

眠るにもエネルギーが必要です。
食養生でエネルギーを補うことは、よい睡眠には欠かせませんが、日頃の暴飲暴食や就寝直前の食事は睡眠中にも胃腸をフルで働かせてしまうため安眠の妨げになります。すると、きちんと睡眠は取れていても胃が休まっていないため疲れが取れず、日中はだるく眠くなり身体のリズムを乱してしまいます。

 

・肌荒れ、しみ、しわ

胃と脾は表裏の関係にあるので「脾」が不調なら「胃」も自ずと調子が悪くなります。また両者の不調が進行するとその先の「腎」に悪影響が及び、ホルモンバランスが乱れて月経異常や腰痛、全身の冷えを招きます。「腎」は老化ともかかわりが深いので、しみ、しわ、たるみなどを引き起こすきっかけにもなります。

 

・アレルギー花粉症

花粉症をはじめとしたアレルギー症状の原因は免疫力の過剰反応です。花粉・ダニなど、アレルギー反応の引き金となる原因物質が体内に入ると、体内の免疫細胞はそれらを異物と判断し、くしゃみや咳、鼻水、痒みなどといった症状を引き起こすことによって異物を身体の外に出そうとします。暴飲暴食や夜遅くの食事など、食生活の乱れは免疫系のバランスを乱し、これらのアレルギーの症状を悪化させる原因となります。

「胃」を健康に保つために

食べるものの種類も、調理の仕方も豊富にあり、手軽に飲食物を摂取できる現代社会においてストレスに弱い現代人をつくっている原因の1つには、食生活においての栄養バランスの乱れがあるといえるでしょう。

胃はストレスに敏感な臓器です。ストレスを暴飲暴食で解消しようとしてしまえば、過剰に胃を働かせることになり、身体にとってはさらにストレスに負の連鎖になります。

食欲を抑えたいとき、胸やけや腹部膨満感を感じたときは、手のひらの中指を内側に曲げたとき、指先が接するところから手首との中間点にある「胃腸点」というツボを親指でゆっくりと押しもむと良いとされています。

また、ひざの外側、ひざ下のくぼみから指4本下にある「足三里」は、胃腸のはたらきを高め、腸の蠕動運動を活発にしてくれると言われています。

座った状態でひざを軽く曲げ、親指をツボに当てたまま、ほかの指をふくらはぎに添え、やや強めに押しもみます。

当院では、東洋医学の捉え方と現代医学を融合させつつ、病院では中々診断のつかない不調の改善を目指しています。

まとめ

本ページをまとめます。

  • 胃には「喜潤悪燥」という性質がある
  • 胃の蠕動運動により食塊と胃液が混じり粥状にし消化しやすくしている
  • 胃はストレスとの関係が非常に深い

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