椎骨動脈解離の鍼灸【原因・定義・症状】

公開日:2022年  5月11日

更新日:2022年 10月10日

本日は椎骨動脈解離について解説させていただきます。

☆本記事の内容

  • 椎骨動脈解離とは
  • 椎骨動脈解離の原因
  • 椎骨動脈解離の症状
  • 椎骨動脈解離の改善方法
  • 椎骨動脈解離のまとめ
足のしびれ、痛み

銀座そうぜん鍼灸院の宗前です。

このページを書いている私は、鍼灸師として13年、担当した利用者様数80,000人を誇り、病気の休職者300人を社会復帰できるまで回復させてきた実績があります。

 

椎骨動脈解離は、椎骨動脈の内膜に傷がつき、血管が裂けていく病気

椎骨動脈解離は、椎骨動脈の内膜に傷がつき、血液が血管の壁の中に入り込むことで血管が裂けていく病気です。

 

首から脳に血液を送っている動脈は、首の前側にある頚動脈と首の骨の中にある椎骨動脈です。動脈解離は全身の動脈に起こる可能性がありますが、頭部で1番よく起こるのは、椎骨動脈の解離です。

 

椎骨動脈解離が起こると、突然激しい頭痛が起こります。このときに適切に改善を行い、血管の裂ける程度が軽く、現れる症状が頭痛だけの場合は、大きな問題は起こらないことが多いです。

 

しかし、血管の裂ける場所や裂ける程度の重さによっては、裂けた血管が詰まり脳に血液を送ることができなくなったり血栓が血管の中を移動して末梢血管を閉塞したりすることがあり、脳梗塞につながることもあります。

椎骨動脈解離の原因は、スポーツや首を急に曲げる動作など

椎骨動脈解離の原因は、カイロプラクティックやスポーツ、首を急に曲げる動作や頭部をぶつけた外傷、交通事故や首をひねる動作などです。

 

ただし、椎骨動脈解離は原因がはっきりとわからず起こることもあります。

1. 外傷や事故

 

外傷や事故による急激な頭部・首の動きが、椎骨動脈解離の主な原因として挙げられます。交通事故、スポーツ中の急な動作、転倒などの外力が頚椎に加わることで、動脈の内壁に裂けが生じる可能性があります。頚椎が大きく曲げられたり、突然の激しい回旋運動が加わったりすることで、動脈に負担がかかり解離が引き起こされることがあります。

 

2. 血管の先天的な異常

 

椎骨動脈解離の原因として、血管自体の先天的な異常が関与することがあります。血管の壁の強度が低い、コラーゲンの欠陥がある、血管の形状が異常であるなど、血管の構造や素材に問題がある場合には解離しやすくなります。これらの先天的な異常がある場合、比較的軽度な外力でも動脈解離が発生する可能性があります。

 

3. 血管壁へのストレス

 

椎骨動脈は首の骨の間を通り、頭部に酸素や栄養を供給する重要な血管です。しかし、この血管は首の動きによって常にストレスを受けています。日常的な動作や姿勢による首の反復運動やストレスが、椎骨動脈解離を引き起こす要因になることがあります。特に頚椎の矯正などを行う施術やマッサージ、スポーツ活動などが、動脈に過度の負担をかける場合があります。

 

4. 頚椎の病気

 

頚椎に病気や変形がある場合、椎骨動脈に圧迫や引っ張りがかかり、解離を引き起こす可能性があります。頚椎の変形や椎間板ヘルニア、頸椎椎間関節の異常、頸椎の骨折などが、椎骨動脈解離の原因になることがあります。

 

5. 器質的な病気

 

血管の壁の強度に影響を与えるような器質的な病気が存在する場合にも、椎骨動脈解離が起こる可能性があります。例としては、結節性多発性動脈炎、線維筋痛症、エーラスダンロス症候群などが挙げられます。これらの病気は、血管の壁に影響を及ぼす組織の異常によって、解離のリスクを高めることがあります。

 

6. ホルモン変動

 

女性の場合、ホルモンの変動が椎骨動脈解離に影響を与えることがあります。特に妊娠、出産、経口避妊薬の使用などが、ホルモン変動による血管壁への影響を引き起こし、解離のリスクを高める可能性があります。

 

7. 高血圧

 

高血圧は、血管壁に対する負担が増えることで、血管の損傷や解離を引き起こすリスクを増加させる要因となります。高血圧によって血圧が頻繁に上昇し、血管壁に負荷がかかることで、血管の内層が剥離する可能性が高まります。高血圧患者は椎骨動脈解離のリスクが増加するため、適切な高血圧の管理が重要とされています。

 

8. 喫煙とアルコールの摂取

 

喫煙やアルコールの過剰な摂取は、血管の健康に悪影響を及ぼすことがあります。特に喫煙は血管内壁を傷つける作用があり、アルコールは血圧の上昇に寄与することが知られています。これらの要因が組み合わさると、椎骨動脈解離のリスクが高まる可能性があります。

 

9. 高コレステロール血症

 

高コレステロール血症は、血管内にコレステロールが蓄積することで動脈硬化を引き起こす状態です。血管内壁にコレステロールプラークが形成されることで、血管の内腔が狭くなり、血液の流れが妨げられることがあります。この状態が椎骨動脈解離の原因になることがあるため、コレステロールの管理が重要です。

 

10. 年齢

 

年齢も椎骨動脈解離のリスクに影響を与える要因です。加齢に伴い、血管壁の弾力性が低下し、血管がより傷つきやすくなる傾向があります。加齢による血管の変化が、解離のリスクを増加させることがあります。

椎骨動脈解離の症状は、突然の頭痛

椎骨動脈解離の症状は、突然の頭痛です。左右どちらかの頭の後ろや首に突然痛みを感じます。痛みを感じる側は右側の方が多いと言われていますが、なぜ右側に痛みが起こることが多いのかということについてはわかっていません。

 

解離が続いている間は強い痛みが続きます。その後、裂けた血管が詰まり脳に血液を送ることができなくなったり血栓が血管の中を移動して末梢血管を閉塞したりした場合は、脳への血液の流れが減ります。

 

脳への血液の流れが減ると、意識障害やめまい、嘔吐、手足の麻痺など、脳梗塞につながることもあります。

1. 頭痛

 

椎骨動脈解離の初期症状として、頭痛が現れることがあります。頭痛は一過性のものから持続的なものまで、症状の程度は個人差があります。頭痛の特徴として、一般的な片頭痛とは異なり、首や後頭部に局在することが多いことが挙げられます。

 

2. 首の痛み

 

椎骨動脈解離によって、頚椎周辺の血管や神経が刺激されることで、首の痛みが生じることがあります。首の後ろ側に鋭い痛みや圧迫感が現れることがありますが、これも他の頸部の病気との鑑別が重要です。

 

3. めまい・ふらつき

 

椎骨動脈解離によって脳への血流が低下したり、血管内の血液の流れが乱れたりすることで、めまいやふらつきが現れることがあります。特に頭や首の動きによって症状が増悪することがあるため、頭部を急に動かさないよう注意が必要です。

 

4. 視覚異常

 

椎骨動脈解離による血流の低下や血管内の血液の流れの乱れが、視覚に影響を与えることがあります。一時的な視覚異常が現れることがあり、視界がかすんだり、点々が見えたりすることがあります。

 

5. 錐体外路症状

 

椎骨動脈解離が脳幹に影響を及ぼす場合、錐体外路症状と呼ばれる神経学的症状が生じることがあります。片麻痺、筋力低下、感覚障害、坐骨神経痛などが現れる場合があります。これらの症状が見られる場合は、脳幹に影響を及ぼす合併症がある可能性を考慮する必要があります。

 

6. 面のしびれ・麻痺

 

椎骨動脈解離が頭部や顔面に影響を及ぼす場合、面のしびれや麻痺が現れることがあります。特に片側の顔面に異常を感じたり、顔半面の感覚が鈍くなることがあります。これは椎骨動脈解離によって脳幹や三叉神経に影響を及ぼすことが原因となります。

 

7. 吐き気・嘔吐

 

脳への血流が低下したり、血管内の血液の流れが乱れることで、吐き気や嘔吐が生じることがあります。特に頭部の動きによって症状が増悪する場合があります。これらの症状が頭痛やめまいと共に現れた場合は、椎骨動脈解離の可能性を疑う必要があります。

 

8. 耳鳴り

 

椎骨動脈解離によって、耳鳴りが現れることがあります。血液の流れが乱れたり、脳への血流が低下することによって、耳に異常な音を感じることがあります。

 

9. 意識障害

 

椎骨動脈解離が脳幹に影響を及ぼす場合、意識障害が生じることがあります。めまいや錐体外路症状と共に、意識が混濁したり、一時的な意識消失が起こる場合があります。

 

これらの症状が生じた場合、特に外傷や急激な頭部・首の動きを経験した後に現れる場合は、椎骨動脈解離の可能性を考慮する必要があります。しかし、これらの症状は様々な病気や症状と類似するため、一般的な頭痛やめまいとの鑑別が重要です。

 

椎骨動脈解離は、命に関わる合併症を引き起こすことがあります。そのため、早期の発見と適切な改善が重要です。頭痛やめまい、視覚異常、意識障害などが生じた場合は、直ちに病院に行き、調べて改善を行うことが必要です。

椎骨動脈解離の改善法は、入院して安静にし血圧の管理を行うこと

椎骨動脈解離の改善方法は、入院をして安静にし、血圧の管理を行うことです。椎骨動脈解離では、血管がそれ以上裂けないようにすることが大事なのです。

 

一般的には薬を使って改善を行いますが、椎骨動脈解離によって脳梗塞やくも膜下出血を起こした場合は状態によっては緊急手術が必要になることもあります。

 

しかし、最近は精密に脳を調べることができるようになったために、症状が軽いうちに椎骨動脈解離であるということがわかることが増え、重症になる人が減ってきています。

改善法の選択

 

椎骨動脈解離の改善法は、解離の程度や症状の重症度、年齢や一般的な健康状態によって異なります。改善法の選択は個々の症例によって異なるため、医師による適切な評価と判断が必要です。主な改善法には、保存的な方法と手術的な方法があります。

 

1. 保存的な方法

 

椎骨動脈解離の一部の軽度の症例では、保存的な改善方法が適用されることがあります。この方法は、解離部位を安静にし、血圧や血中凝固因子を管理することで、血栓の形成や脳への血流の改善を促すものです。

 

安静:頭部や首を急激な動きから守るために、安静を保つことが重要です。過度な頭部の回転や曲げなどの動作は避けるようにしましょう。

血圧管理:高血圧は椎骨動脈解離の進行を促進する可能性があるため、血圧を適切に管理することが重要です。医師の指示に従って降圧剤を処方される場合があります。

血中凝固因子管理:血中凝固因子の異常が血栓形成を促す原因となることがあるため、血液凝固機能を監視することが必要です。

2. 抗凝固法

 

抗凝固法は、解離部位の血栓を予防、改善するために使用される改善法です。血栓を予防することで、脳への血流を改善し、脳梗塞や脳梗塞を防ぐことが目的です。一般的に、解離の程度や症状の重症度に応じて、ヘパリンや抗血小板薬(アスピリンなど)などが使用されます。

 

ヘパリン:ヘパリンは抗凝固薬の一つで、血液の凝固を防ぐ効果があります。血栓の形成を予防し、血管内の血流を改善することが期待されます。

3. 血栓除去

 

重度の椎骨動脈解離や合併症のある場合には、血栓除去が必要となることがあります。血栓除去は、血管内の血栓を取り除く手術的な処置です。

 

血管内の改善:カテーテルを用いて血管内に進入し、解離部位に近づける改善法です。血栓を除去したり、バルーンを使用して血管内の血流を改善したりすることが可能です。この方法は侵襲性が低いため、一般的に椎骨動脈解離の初期の改善方法として選択されることがあります。

4. 手術

 

重篤な椎骨動脈解離や合併症がある場合には、手術が検討されることがあります。手術は、開頭手術を行い血管の外側から解離部位にアクセスし、血栓や血管の修復を行う方法です。

 

血管バイパス手術:椎骨動脈解離によって血管の通路が妨害されている場合、他の血管を移植する血管バイパス手術が行われることがあります。これにより、脳への血流が改善されることが期待されます。

5. 血管内ステント留置

 

血管内ステント留置は、手術と血管外の改善方法の中間的な改善法です。カテーテルを用いて血管内にステントを挿入し、解離部位の血管を拡張することで、血流の改善を図る改善法です。ステントは血管内に留置され、血管を支える役割を果たします。

 

6. 血管結紮

 

まれなケースでは、椎骨動脈解離の解離部位を特定し、血管を結紮して血液の流れを止めることが行われることがあります。これにより、解離部位の血流が停止し、血栓の形成や脳への血流改善が期待されます。ただし、血管結紮は慎重に行われる必要があり、他の改善法が選択されることが一般的です。

 

椎骨動脈解離の改善方法は、早期の発見と適切な改善法の選択が重要です。改善法は個別の症例によって異なるため、状態や症状の重症度に応じて適切な改善方法が行われることが重要です。また、改善後も定期的なフォローアップが必要となります。改善後の経過観察や血圧管理、生活習慣の見直しを行うことで、再発や合併症の予防につながります。

 

椎骨動脈解離は、命に関わる合併症を引き起こす可能性があるため、早期の発見と適切な改善方法が重要です。症状が現れた場合は、速やかに病院に行き、適切に調べて改善を行うことが必要です。

特に多く発症が見られるのは、若年者や働き盛りの男性

椎骨動脈解離はどの年代でも発症する可能性のある病気です。中でも特に多く発症が見られるのは、若年者や働き盛りの男性であると言われています。

 

原因がはっきりと分からないこともありますが、首を急に動かす動作は椎骨動脈解離を発症する可能性があるため、首を急に動かす動作は控えることが大事です。

 

さらに、脳を含めた全身の血管に非常に悪い影響を及ぼすものにタバコがあります。そのため、禁煙することも椎骨動脈解離を防ぐために重要であると言われています。

椎骨動脈解離の改善例

例:50歳の女性、椎骨動脈解離と頭痛

 

50歳の女性が、突然の激しい頭痛とめまいを訴えて病院に行きました。頭痛は右側頭部から始まり、頸部にも広がっていると訴えています。また、めまいや吐き気も感じており、一時的に視界がぼやけることもあると言います。症状が非常に辛く、日常生活にも影響を及ぼすようになりました。

 

家族歴には、高血圧や心血管の病気がありますが、自身は特に健康面で問題を感じたことはありませんでした。右側頭部と頸部に触れると痛みを訴え、軽度の頸部の運動制限が確認されました。大きな異常はありませんでしたが、頸動脈のパルスはやや弱く感じられました。

 

椎骨動脈解離が疑われるため、画像での判断が行われることになりました。MRIとアンギオグラフィーにより、右側の椎骨動脈に解離が見られることが確認されました。また、解離部位近くに血栓が形成されていることも分かりました。この血栓によって、右側の椎骨動脈の血流が一部遮断されており、脳への血流に影響を及ぼしている状態でした。

 

椎骨動脈解離は重篤な状態であり、脳卒中や脳梗塞のリスクが高まるため、早急な改善を行うことが必要となります。この場合、解離が初期段階であり、血栓の形成も限定的であったため、保存的な方法が選択されました。

 

まず、頭部や首の急激な動きを避けるよう指導が行われました。また、血圧や血液凝固機能の異常がないことが確認されたため、血圧管理と抗凝固法は行われませんでした。その代わりに、症状の軽減を目的として鎮痛剤や抗めまい薬が処方されました。

 

安静を保ち、特に頭部や首の動きを制限しながら日常生活を送ることとなりました。頭痛やめまいが軽減されるにつれ、症状は改善していきました。数週間後には、頭痛は軽度になり、めまいや視界のぼやけも減少していることが確認されました。

 

定期的なフォローアップを受けながら、安静と症状の管理が続けられました。数カ月後には頭痛やめまいはほとんど消失し、頸部の運動制限も改善されました。MRIとアンギオグラフィーの結果も改善しており、解離部位の血流も回復していることが確認されました。

 

この場合、早期の発見と適切な改善が合併症を防ぎ、症状の改善につながりました。保存的な改善によって、手術や血栓除去を回避し、無理なく改善が行われたことが良い結果につながったと言えます。

 

椎骨動脈解離の改善方法は、個々の症例によって異なります。症状の重症度や解離の進行状況、年齢や健康状態に応じて、改善法が選択されます。

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