多発性のう胞腎の鍼灸【原因・定義・症状】

公開日:2022年  6月10日

更新日:2023年 12月17日

本日は多発性のう胞腎について解説させていただきます。

☆本記事の内容

  • 多発性のう胞腎とは
  • 多発性のう胞腎の原因
  • 多発性のう胞腎の症状
  • 多発性のう胞腎の改善方法
  • 多発性のう胞腎のまとめ
足のしびれ、痛み

銀座そうぜん鍼灸院の宗前です。

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多発性のう胞腎は、のう胞が左右の腎臓にできる病気

多発性のう胞腎は、のう胞が左右の腎臓にできる病気です。のう胞は、体液のたまった袋のことで、のう胞自体は悪性ではありません。しかし、年齢を重ねると少しずつ大きくなり数も増えていき、腎臓の機能の低下につながります。

 

多発性のう胞腎は遺伝性の病気です。遺伝の特徴によって2種類に分けられており、常染色体優性の場合常染色体優性多発性のう胞腎、常染色体劣性の場合常染色体劣性多発性のう胞腎と言われています。

 

多発性のう胞腎の多くは、成人になってから発症します。約半分の人は70歳までに腎不全になると言われています。のう胞は、腎臓だけではなく他の臓器にもできることがあります。

多発性のう胞腎の原因は、遺伝子の異常

多発性のう胞腎の原因は、遺伝子の異常です。尿の吸収は、腎臓の中にある尿細管と呼ばれる管の太さを調節することで行っています。

 

この調節機能の役割をしている遺伝子はPKDです。常染色体優性多発性のう胞腎は、PKD遺伝子に何かの原因で異常が起き、突然変異を起こすこと調整機能の役割を果たすことができなくなり発症します。

 

PKD遺伝子はPKD1遺伝子とPKD2遺伝子に分かれており、PKD1遺伝子に異常が現れることが多いです。基本的にはPKD1遺伝子よりもPKD2遺伝子が原因になっているケースの方が症状が軽いといわれています。

 

常染色体劣性多発性のう胞腎は、PKHD1という遺伝子が変異することによって発症します。

多発性のう胞腎は、遺伝的な要因によって主に引き起こされる病態です。この病気には、主に常染色体優性多発性のう胞腎(ADPKD)と常染色体劣性多発性のう胞腎(ARPKD)の二つの形態があります。

 

・常染色体優性多発性のう胞腎(ADPKD)

遺伝的要因: ADPKDは最も一般的な形態で、特定の遺伝子の変異が原因です。

関連する遺伝子: 主にPKD1またはPKD2の変異が関与します。

遺伝のパターン: 優性遺伝のため、親の一方が病気を持っている場合、子供に病気が発症するリスクは約50%です。

 

・常染色体劣性多発性のう胞腎(ARPKD)

遺伝的要因: ARPKDはより稀で、通常、幼児期または新生児期に判断されます。

関連する遺伝子: PKHD1の変異が主に関与します。

遺伝のパターン: 劣性遺伝のため、両親がともに変異遺伝子のキャリアである場合に発症するリスクがあります。

 

その他の要因

環境的要因: 遺伝的要因に加えて、高血圧、肥満、喫煙などの環境要因が症状の進行を促進する可能性があります。

血尿や腹痛、腰や背中の痛みなどの症状が現れる

多発性のう胞腎の症状は、初期段階ではあまり現れません。しかし、病気が進行すると腎臓や肝臓が大きくなります。そのため、血尿や腹痛、腰や背中の痛みなどの症状が現れるようになります。

 

他にも、腹部の張りや食欲不振、倦怠感、頭痛、息切れなども現れます。のう胞に細菌が感染すると、発熱が現れることもあります。また、多くの人に尿路結石が見られます。

 

多発性のう胞腎では、肝臓にものう胞ができたり、血圧が高くなったり、脳動脈瘤ができたりするというような合併症を発症することもあります。

多発性のう胞腎は、腎臓に多数の嚢胞が形成される遺伝性の病気です。この病気には主にの常染色体優性多発性のう胞腎と常染色体劣性多発性のう胞腎2つのタイプがあります。以下に、特にADPKDの症状を詳しく説明します。

 

腰痛または側腹部の痛み:嚢胞の成長や感染、破裂により、腰や側腹部に痛みを感じることがあります。

 

血尿:嚢胞が破裂すると、尿中に血液が混じることがあります。

 

高血圧:腎臓の機能障害により、血圧が上昇することが一般的です。

 

頻尿:腎臓の機能障害により、特に夜間に尿の回数が増えることがあります。

 

腎機能の低下:腎臓に形成される嚢胞により、腎機能が徐々に低下します。

 

腎石:嚢胞による尿路の障害が原因で、腎石を形成することがあります。

 

腎臓外の嚢胞:肝臓や他の臓器にも嚢胞ができることがあります。

 

頭痛:脳血管の異常に関連する頭痛が生じることがあります。

 

消化器症状:便秘や腹部膨満感などの消化器系の症状が現れることがあります。

 

多発性のう胞腎は、症状が進行するにつれて腎不全を引き起こす可能性があります。

できるだけ腎臓の機能を低下させないようにすることが改善の目的

今のところ、多発性のう胞腎の根本的な改善方法はありません。そのため、できるだけ腎臓の機能を低下させないようにすることを目的に改善に取り組みます。

 

薬では、トルバプタンという抗利尿ホルモンの作用をブロックしのう胞の発生や増大を助長する物質の活性を減らし、腎臓の機能を守る薬を使うことが多いです。他にも、血圧のコントロールをする降圧薬なども使われます。

 

さらに、水を積極的に飲むことも改善のために必要であると言われています。推奨されている1日の水の量は、2.5~4リットルです。

多発性のう胞腎は、現在根本的な改善方法は存在しませんが、症状の管理と腎機能の維持に焦点を当てた改善方法が行われます。以下に、詳しく説明します。

 

高血圧の管理:PKDにおいて高血圧は一般的な合併症で、腎機能のさらなる悪化を防ぐためには血圧を適切な範囲に保つことが重要です。ACE阻害剤やアンジオテンシンII受容体拮抗薬などの薬物が使用されることが多いです。

 

痛みの管理:腰痛や側腹部の痛みに対しては、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)や鎮痛剤が処方されることがあります。

 

腎嚢胞の感染予防と改善:嚢胞の感染を予防し、発生した場合には抗生物質による改善が行われます。

 

腎機能のモニタリングとサポート:定期的に血液と尿を調べることにより、腎機能の状態をモニタリングします。腎機能が大幅に低下した場合には、透析や腎移植が検討されることがあります。

 

ライフスタイルの変更:塩分摂取の制限、適度な運動、禁煙、適切な水分摂取などの健康的なライフスタイルが推奨されます。

 

尿路感染症の改善:尿路感染症がある場合は、適切な抗生物質による改善が必要です。

 

特定の薬:例えば、トルバプタン(Jynarque)はADPKDの進行を遅らせるために承認された薬剤ですが、特定の人にのみ適しています。

 

改善方法は、病状の進行度や健康状態に応じて個別に調整される必要があります。

多発性のう胞腎の改善には、特に病気の進行を遅らせることを目的とした特定の薬が用いられます。以下に、PKDの改善に使われる主な薬剤を説明します。

 

トルバプタン(Jynarque / Jinarc / Tolvaptan)

効果: ADPKD(常染色体優性多発性のう胞腎)の進行を遅らせることが示されています。

作用機序: 抗利尿ホルモン(バソプレッシン)の受容体を阻害し、のう胞の増大と腎機能の悪化を減少させます。

副作用: 頻尿、多尿、肝臓への影響など。

 

高血圧の薬

例: ACE阻害剤(エナラプリルなど)、アンジオテンシンII受容体拮抗薬(ロサルタンなど)。

効果: 高血圧を管理し、腎臓へのさらなる損傷を防ぎます。

 

利尿剤

効果: 浮腫や高血圧の管理に使用されます。

 

・腎嚢胞の薬

抗生物質: 嚢胞の感染がある場合に処方されます。

 

・痛み管理薬

非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)や他の鎮痛剤が用いられることがあります。

 

脂質低下薬

スタチンなどの薬剤が高脂血症の管理に使用されることがあります。

 

これらの薬剤の使用は、PKDのタイプ、症状、腎機能の状態、および他の健康問題に基づいて医師によって決定されます。

血圧の管理については、医師の指示に従って生活習慣を改善する

血圧の管理については、医師の指示に従って生活習慣を改善することが大事です。生活習慣の改善を行なってもなかなか良くならない場合は降圧薬を使って血圧の管理をします。

 

さらに食事管理も大事になります。塩分や脂肪分の取り過ぎには注意しましょう。

 

腎臓が腫れて大きくなると、腹部が圧迫されます。そのような状態になった場合は、手術を行うこともあります。

 

また、症状が進み、腎臓の機能が非常に悪い状態になると、上手に尿が出せなくなることもあります。その場合は、人工透析を行うこともあります。場合によっては、腎臓移植が行われることもあります。

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