公開日:2022年 3月 3日
更新日:2024年 4月10日
本日は不安障害について解説させていただきます。
☆本記事の内容
銀座そうぜん鍼灸院の宗前です。
このページを書いている私は、鍼灸師として13年、担当した利用者様数80,000人を誇り、病気の休職者300人を社会復帰できるまで回復させてきた実績があります。
不安障害は大きな枠組みの1つで、頭鳴りや耳鳴りやめまいなどと関連しています。不安障害では強度や継続性によって日常生活に影響を与えるほど症状が大きくなることがあります。
不安障害の定義は、日常生活の様々な状況の過度な不安や恐怖感を特徴とする精神的な健康上の問題です。この生涯は、持続性で日常生活や仕事人間関係に影響を及ぼす可能性があるのです。症状の重症度は原因によって違います。
不安障害では毎日生活する上で、慢性的になんとなくの不安や心配をずっと持った状態になります。不安や心配が尽きず、少しずつ身体的にも精神的にも症状が現れ、さらに不安になったり心配になったりするという悪循環がおきます。
不安障害で現れる不安は、一時的ではなく持続的に続くもので程度も明らかに過剰なため、思うように気持ちをコントロールすることができなくなります。
不安障害の原因は今のところはっきりと明らかになっていません。原因に関係していると考えられていることは、性格や遺伝、ストレスや自律神経の障害などです。
特に性格が神経質の場合、原因になる可能性があると考えられています。
パニック障害や社交不安障害の場合はっきりとした苦手な状況がありますが、全般性不安障害の場合非常に幅広い状況で不安を感じます。日常生活の中で起きること全てが不安に感じる対象になります。
そのため、周りの人も、心配性な人や少し神経質な人と思ってしまうだけのことが多いです。
遺伝的要因:不安障害は家族内で発生することがあり、これは遺伝的要素が関与していることを示唆しています。特定の遺伝子が不安障害のリスクを高める可能性があります。
脳の神経化学的不均衡:セロトニン、ノルアドレナリン、ドーパミンなどの神経伝達物質の不均衡が、不安障害の発症に関与していると考えられています。これらの物質は気分や感情の調整に重要な役割を担っています。
脳構造の異常:脳の特定の部位の異常や機能不全が、不安障害の発症に寄与することが示されています。これらの領域は感情の処理や恐怖の評価に関与しています。
個人の性格特性:ネガティブ思考、完璧主義、自己評価の低さなどの性格特性が不安障害のリスクを高めることがあります。
ストレスフルな生活イベント:死別、離婚、職場でのストレス、経済的困難など、重大な生活の変化やストレスが多い環境は、不安障害を引き起こすか、既存の症状を悪化させることがあります。
育児や家庭環境:過保護または過度の批判的な家庭環境、親の不安障害などが子どもの不安障害の発症に影響を与えることがあります。
物質使用:アルコール、カフェイン、薬物の乱用が不安障害を引き起こしたり悪化させたりすることがあります。
健康問題:慢性的な健康問題や特定の状態も、不安を感じやすくすることがあります。
不安障害の脳内の機序はあまり解明されていませんが、現在の研究に基づくと脳の様々なところが関与していると言われています。
扁桃体は脳の中で感情を処理する領域の一部です。恐怖や危険に対する反応を制御している部分で、不安障害がある人は扁桃体が過敏に反応していると言われています。
扁桃体は脳の側頭葉の内側に位置するアーモンド状の脳の各群で、情緒の処理を担当しています。特に恐怖や快感の感覚を伴う記憶の形成に関与しています。
頭鳴りの人は音を記憶してしまっているのではないかという話があります。音を認識するエリアは側頭葉の聴覚野で、その真裏に扁桃体があるため、恐怖心や頭鳴りや耳鳴りに対する記憶の形成は必然なのです。
【扁桃体の働き】
①恐怖刺激を受け取り情報を解析して適切な身体反応を起こす
同じ状況で頭鳴りが起こる人は多く、頭鳴りのシチュエーションを記憶しているということです。
②情緒的な記憶の形成
恐怖や快感などの強い感情を伴う出来事は扁桃体を通して記憶として認識されます。
③社会的認知の形成
扁桃体は他者の感情を理解し、社会的な状況を評価する時にも作用する
扁桃体の異常は不安障害を始め、PTSDや自閉症などの心の問題と関連性がある領域なのです。
頭前皮質は、意思決定や計画、社会的行動、意識的な感情制御などを担当している部分です。
不安障害では前頭前皮質の活動の異常や他の脳の領域の接続に問題があるとされています。
不安障害には、セロトニンやドーパミン、ノルアドレナリンといった神経伝達物質の不均衡が関係しています。
長期的なストレスや不安が継続すると脳の構造や機能が変わると言われています。これを神経の可塑性といい、不安障害の発症や持続に関係しています。
虐待やトラウマなどの強い記憶は脳にこびりついて脳が萎縮するという報告もあります。
ストレスホルモンであるコルチゾルの過剰な分泌や調節の問題が不安障害の発症に関与していると言われています。
コルチゾルは副腎皮質から分泌されるため、当院では副腎皮質からのアプローチを多く行っています。
全般性不安障害では、精神的にも身体的にも症状が現れます。色々な症状は、過剰な不安や心配が尽きず、コントロールすることができなくなることで起こります。
身体的に現れる症状には、頭痛や頭の圧迫感や緊張感、めまい、悪寒や熱感、手足の冷え、便秘や頻尿などがあります。
精神的に現れる症状には、注意力が散漫になる、記憶力が悪くなる、疲れやすい、根気がない、イライラする、怒りっぽくなる、悲観的になる、人に会いたくなくなる、寝つきが悪いなどがあります。
【精神的・感情的症状】
過度の心配や不安:日常的な事柄に対して常に過度に心配し、これが長期間にわたって続きます。
集中困難:不安が原因で、日常の活動や仕事、学習に集中することが困難になります。
緊張感:常に神経が高ぶっており、落ち着かない感覚があります。
過敏性:小さな刺激やストレスに対しても過剰に反応するようになります。
不安による回避行動:不安を引き起こす可能性のある場面や活動を避けるようになります。
不安からくるイライラ:身の回りの事に対して怒りやすく、イライラすることが多くなります。
【身体的症状】
筋肉の緊張:長期間にわたり筋肉が緊張し、リラックスすることが難しくなります。
疲労感:常に疲れている感じがし、エネルギーがなくなります。
睡眠障害:入眠困難、中途覚醒、早朝覚醒など、質の良い睡眠を取ることができなくなります。
身体的な不調:頭痛、胃痛、吐き気などの身体的な症状が現れることがあります。
心拍数の増加:不安を感じると心拍数が上がり、動悸が感じられることがあります。
呼吸困難:不安が強い時に、息苦しさや呼吸が浅くなる感じがします。
【社会的影響】
対人関係の問題:不安障害により、友人や家族との関係が悪化することがあります。
職場や学校での問題:不安によって職場や学校でのパフォーマンスが低下します。
全般性不安障害の改善方法は、薬とカウンセリングです。過剰な心配が尽きない時には、カウンセリングだけで改善することは難しいため、薬を使って気持ちを落ちつかせることも必要になるのです。
身体的な緊張や不眠が続く場合は、抗不安薬のベンゾジアゼピンを使います。持続的に続く不安や心配には、SSRIを使うことが多いです。
薬を使って、心と体の症状をやわらげていき、症状が楽になると、不安な気持ちを受け止めることができるようになります。不安を受け止めることができるようになり症状が軽くなると、カウンセリングなどで改善を行います。
カウンセリングでは、出来事に対する認知を修正していくことを行います。改善に向けて目標を設定し、目標に向かって取り組むことを繰り返し、よりよい行動習慣ができるようになることで改善が期待できます。
・認知行動療法
不安を引き起こす思考や行動のパターンを測定し、それらを変えることを目的とするアプローチです。不安を管理し、回避行動を減らし、リラクゼーション技術を学ぶことに焦点を当てて行います。
・カウンセリング
個人の感情や悩みを共有し、問題解決の手助けをする方法です。
・リラクゼーション
深呼吸や瞑想などの技法を利用して心身の緊張を和らげる方法です。運動を行うこともあります。鍼による改善はリラクゼーションに分類されます。
●抗不安薬
・ベンゾジアゼピン系の薬(デパス、リボトリール、ジアゼパム)
短期間の不安の緩和に役立ちます。ガンマアミノ酪酸という神経伝達物質の活性を高め、中枢神経系を鎮静します。長期の使用は依存のリスクがあります。
●抗うつ剤
・SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害剤)、SNRI(セロトニノルアドレナリン再取り込み阻害剤)
長期間の不安の改善に使われます。 セロトニンの再取り込みを阻害し脳内のセロトニン濃度を増加させることで気分が改善され、不安が軽減されます。
ベンゾジアゼピン系の薬は依存性が心配で、当院にいらっしゃるコロナ後遺症の人のおおくはベンゾジアゼピン系の薬の薬害の話をします。しかし、これは薬物依存の定義に当てはまる薬物を繰り返し使いたいという気持ちに駆られる種類の依存ではありません。ベンゾジアゼピン系の薬は、直接ドーパミン放出ニューロンに作用する報告はないのです。
脳の腹側被蓋野という領域でドーパミン放出に影響を与える可能性が報告されています。心地よい刺激や気持ちいいなという感覚を求めて積極的ににベンゾジアゼピン系の薬を常用する依存性は効きにくいと考えられています。
より問題とされているのは薬剤耐性の獲得と離脱症状の辛さです。ベンゾジアゼピン系の薬は使い続けると脳が恒常性を保とうとして薬剤の効果が薄まります。また、薬を減らすと不安感や焦燥感の高まり不眠症などの離脱症状が現れる可能性があります。
そのため、数年といった長期的な薬を使い続けることはあまりお勧めされてはいません。
不安障害の東洋医学の解釈は、西洋医学とは異なります。東洋医学では、主に体内のエネルギーのバランスや内臓の機能と感情の関連性を重視しています。
・気のバランス
東洋医学では、気と呼ばれる生命エネルギーのバランスが健康の鍵と考えられています。不安障害は気の流れが滞ったり不足することで発症するという考え方があります。
・内臓と感情の関連
東洋医学では内臓の機能と感情が密接につながっているとされています。特に肝は怒りや不安の感情と関連していると考えられており、肝気上逆や肝気が滞ることで不安感が増すと考えられています。
・陰と陽のバランス
陰と陽は東洋医学の根本的な概念とされており、陰と陽がバランスを保っていることが健康の基本であるとされています。陰も陽も50:50がちょうど良いとされており、不安障害は陰の要素が強くなると起こるとされています。
不安障害はあまり知られていない病気です。全ての出来事に対して不安になったり心配になったりすることから周りも自分も心配性であるというように考え、病気であると気が付かないことも多いです。
さらに、病院に行っても、自律神経失調症や更年期障害という判断をされることもあります。
不安障害を発症すると、うつ病やパニック障害、社会不安障害などの病気につながることも多いです。そのため、気になることがあるときは病院に相談に行くことをお勧めします。
・四神総
・壇中
・期門
四神総は、うつ病の改善に効果を発揮するツボです。精神を落ち着かせ、自律神経のバランスを整える効果があるため、不安障害にも非常に効果的です。
また、自律神経のバランスが整うことで頭の感じをスッキリさせる効果もあり、集中力アップや記憶力アップなどの効果も期待できます。
膻中には鎮痛安定作用があります。緊張や気分の不安、気分の落ち込みなどにとても効果があり、不安障害にも非常に効果的なツボです。
気の病に効果的なツボ、イライラや胸の痛み、息苦しさ、喉の痛み、自律神経の調節などにの効果もあります。
期門は、精神的に落ち着かない時や動悸がする時などにオススメのツボです。期門には、肝臓に溜まった余分なエネルギーを解く効果があり、肝気が滞ることで不安感が増す不安障害にも非常に効果的です。
めまいやイライラ、緊張などにも効果を発揮します。
四神総は、頭のてっぺんにある百会から外と2cm程度のところあるくぼみにあります。
前、後ろ、右、左で4つくぼみがあります。この4つのくぼみを押していきます。
壇中は、乳頭の間に線を引いて真ん中の部分にあります。胸骨の上にあり、骨のくぼみにツボがあります。ポイントに当たると背中に響きます。
押すときはそこまで強く押す必要はありませんが、ぐりぐりと刺激していきましょう。
期門は、肋骨の近くにあるツボです。当院では、肝臓の右側をよく狙います。肋骨周辺を親指以外の4本指でなぞると1点だけ異常に痛い場所があります。ここにツボがあります。
肋骨と肋骨の間をゆっくり押しましょう。
11時から21時
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11時~21時迄 | ◯ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
年末年始