精神運動発達遅滞の鍼灸【原因・定義・症状】

公開日:2021年 9月 3日

更新日:2021年 9月11日

本日は精神運動発達遅滞について解説させていただきます。

☆本記事の内容

  • 精神運動発達遅滞とは
  • 精神運動発達遅滞の原因
  • 精神運動発達遅滞の症状
  • 精神運動発達遅滞の改善方法
  • 精神運動発達遅滞のまとめ
足のしびれ、痛み

銀座そうぜん鍼灸院の宗前です。

このページを書いている私は、鍼灸師として13年、担当した利用者様数80,000人を誇り、病気の休職者300人を社会復帰できるまで回復させてきた実績があります。

 

精神運動発達遅滞は、成長が遅れている状態

精神運動発達遅滞は、成長の過程で一般的にできるとされている年齢から成長が遅れている状態のことです。運動能力と精神能力に発達の遅れが見られます。

 

運動能力の遅れの症状には、首が座らない、歩くことができないなどがあり、精神能力の発達の遅れには、言葉を話すことができない、人とコミュニケーションが取れないなどがあります。

 

精神運動発達遅滞の症状には大きく個人差があり、日常生活を送る上で困難なことが多くある場合もあるため周りの人のサポートが重要です。

精神運動発達遅滞の原因は様々な疾患

精神運動発達遅滞の原因は様々な疾患です。

 

ダウン症などの先天的な異常による疾患や脳炎や脳腫瘍などの後天的な異常による疾患が原因になります。

 

他にも、母体の風疹などの妊娠中の異常による疾患や仮死分娩などの分娩時の異常による疾患など生まれてくる時や生まれる前の異常によって起こる疾患も精神運動発達遅滞の原因となることがあります。

1. 遺伝的要因

染色体異常

ダウン症候群:21番染色体のトリソミーにより、知的障害とともに運動発達の遅れが見られます。

フラジャイルX症候群:X染色体の異常により、知的障害や運動機能の遅れが生じます。

遺伝子異常

ウィリアムズ症候群:7番染色体の一部欠失により、知的障害と特徴的な顔貌、心臓病が見られます。

プラダー・ウィリー症候群:15番染色体の異常により、知的障害、筋力低下、過食による肥満が特徴です。

 

2. 環境要因

出生前の環境

妊娠中の感染症:妊婦が風疹、サイトメガロウイルス、トキソプラズマ症などに感染すると、胎児に影響を及ぼし、発達遅滞を引き起こすことがあります。

薬物やアルコールの摂取:妊娠中の薬物やアルコールの摂取が胎児の脳の発達に悪影響を与えます。

出生後の環境

栄養不足:栄養不足や偏った食事が、乳幼児の脳の発達に影響を与えます。

虐待やネグレクト:幼児期の虐待やネグレクトが、精神運動発達に悪影響を及ぼします。

 

3. 出生前・出生後の健康状態

出生前の問題

低酸素性虚血性脳症:出産時の酸素不足により脳にダメージが生じ、発達遅滞を引き起こすことがあります。

早産:早産により、未熟な脳が正常に発達しないことがあります。

出生後の問題

脳の外傷:幼児期の頭部外傷が脳にダメージを与え、発達遅滞を引き起こすことがあります。

重症感染症:乳幼児期の重症感染症(例えば、髄膜炎や脳炎)が脳に影響を及ぼすことがあります。

 

4. 代謝異常

フェニルケトン尿症(PKU):体内でフェニルアラニンを正常に代謝できないことにより、知的障害や運動機能の遅れが生じます。

ガラクトース血症:ガラクトースを正常に代謝できないことにより、脳や肝臓にダメージが生じ、発達遅滞を引き起こすことがあります。

 

5. 感染症

先天性トキソプラズマ症:母体から胎児に感染し、脳や目に障害を引き起こすことがあります。

先天性風疹症候群:妊娠初期の風疹感染により、胎児に心臓病、難聴、知的障害などが生じます。

精神運動発達遅滞では運動能力と精神能力に発達の遅れが見られる

精神運動発達遅滞では、運動能力と精神能力に発達の遅れが見られます。

 

運動能力の遅れで現れる症状は、首が座らない、座ることができない、歩くことができない、飛び跳ねることができないなどです。精神能力の発達の遅れで現れる症状は、言葉を話すことができない、人とコミュニケーションが取れないなどです。

 

知的機能が平均より明らかに低いため、年齢に合わせた行動をすることができず、行動が実際の年齢と伴っていないことが多いです。どのくらい発達が遅れているかについては個人差が大きく、中には日常生活を送ることが困難な場合もあります。

1. 知的発達の遅れ

・言語発達の遅れ

言葉の遅れ:初語(最初の単語)の発語が遅れたり、語彙が増えない。

言語理解の遅れ:指示に対する理解が遅く、言葉によるコミュニケーションが困難。

発音の問題:明瞭な発音が難しく、他者が理解しにくい。

 

認知能力の遅れ

問題解決能力の遅れ:年齢相応の問題解決や推論が難しい。

記憶力の問題:短期記憶や長期記憶に問題があり、学習が遅れる。

注意集中の問題:注意を持続させることが難しく、集中力が続かない。

 

学習障害

学習の困難:文字や数字の認識、書き取り、計算など、基礎的な学習が困難。

認知発達の遅れ:概念の理解や抽象的思考が遅れる。

 

2. 運動発達の遅れ

・粗大運動の遅れ

寝返りやお座りの遅れ:寝返りを打つ、座るなどの基本的な運動が遅れる。

立ち上がりや歩行の遅れ:立ち上がる、歩く、走るなどの動作が遅れる。

バランスの問題:歩行や走行中にバランスを取ることが難しい。

 

微細運動の遅れ

手指の運動の遅れ:手先の器用さが発達しない。例えば、ボタンを留める、箸を使う、描くなどの動作が困難。

目と手の協調の問題:視覚と手の動きを協調させることが難しく、物を掴む、操作する動作が遅れる。

 

筋力と筋緊張の異常

筋力低下:全体的な筋力が弱く、運動能力が制限される。

筋緊張の異常:筋肉が緊張しすぎたり、緩みすぎたりする。

 

3. 社会性の遅れ

・社会的相互作用の困難

対人関係の問題:他人と関わるのが難しく、友達を作るのが遅れる。

感情表現の問題:感情を適切に表現できず、他人の感情を理解するのが難しい。

 

遊びの遅れ

想像遊びの遅れ:想像力を使った遊びができず、単純な繰り返しの遊びに留まる。

役割遊びの欠如:他の子供と一緒に役割を演じる遊びができない。

 

4. 自律性の遅れ

・日常生活動作の遅れ

食事の自立の遅れ:自分で食事をする、飲み物を飲むことが難しい。

着替えの自立の遅れ:自分で衣服を着る、脱ぐ動作が遅れる。

トイレトレーニングの遅れ:排泄の自立が遅れる。

 

5. 感覚統合の問題

・感覚過敏または鈍感

感覚過敏:音、光、触覚などに対して過敏に反応し、不快感を示す。

感覚鈍感:痛みや温度などの感覚に対して鈍感で、適切に反応できない。

 

感覚統合の問題

動作の不調和:複数の感覚情報を統合して適切に反応することが難しい。

精神運動発達遅滞の主な改善方法は、薬

精神運動発達遅滞の主な改善方法は、薬です。改善には非常に長い期間かかることが多いです。そのため、根気強く改善を行っていくことが必要です。

 

精神運動発達遅滞の子供は、情緒不安定になったり衝動的な行動や奇妙な行動をしたりすることが多いです。ストレスにも弱く心も身体も非常にいろいろなことに大きく反応してしまう傾向が強いのです。

 

そのため、精神安定剤などを使って改善を行なっていきます。

1. 早期介入と教育プログラム

・理学療法(PT)

運動機能の向上:理学療法士が運動能力を向上させるためのトレーニングを行います。具体的には、筋力強化、バランス訓練、歩行訓練などが含まれます。

動作の発達:基本的な運動スキル(寝返り、座る、立つ、歩く)の発達を促進します。

 

作業療法(OT)

日常生活動作の支援:作業療法士が食事、着替え、トイレなどの日常生活動作を支援します。

微細運動の改善:手先の器用さを高めるトレーニングや、視覚と手の協調を促進する活動が行われます。

 

言語療法(ST)

言語発達の支援:言語療法士が言葉の発達を支援し、発音や語彙の増加、言語理解を促します。

コミュニケーション能力の向上:言葉だけでなく、非言語的なコミュニケーション(ジェスチャーや表情など)の発達も支援します。

 

・特別支援教育

個別教育プログラム(IEP):個々のニーズに合わせた教育プランを作成し、特別支援教育を提供します。

小グループまたは個別指導:特定のスキルや課題に対して、より集中した支援を提供します。

 

2. 家族支援と教育

・家族教育

情報提供とサポート:子供の発達についての情報を提供し、家族が適切に対応できるよう支援します。

家庭での介入方法:家庭でも実践できる簡単なトレーニングや遊びを教え、日常生活で発達を促す方法を提供します。

 

・家族支援グループ

経験共有と交流:同じような課題を抱える家族同士が交流し、支え合う場を提供します。

心理的サポート:家族のストレスや不安を軽減するための心理的サポートを提供します。

 

3. 環境改善と適応

・環境整備

安全で刺激的な環境:子供が安全に探索し、遊びながら学べる環境を整えます。

適切な遊具や教材:発達を促進するための適切な遊具や教材を提供します。

・感覚統合療法

感覚刺激の調整:感覚過敏や鈍感を調整するための感覚統合療法を行います。これは、子供が適切に感覚情報を処理し、反応できるようにするための方法です。

 

4. 医療的支援

・薬

必要に応じた薬:特定の行動問題や代謝異常に対して、医師が適切な薬物を行います。例えば、注意欠如多動性障害(ADHD)やてんかんに対する改善方法が含まれます。

 

定期的な健康チェック

健康管理:定期的な健康チェックを行い、成長や発達の状況をモニターします。これには、視覚、聴覚、栄養状態の評価が含まれます。

 

5. コミュニティリソースの活用

・地域の支援サービス

早期介入プログラム:地域の早期介入プログラムに参加し、専門的な支援を受けることができます。

親子教室や育児サポート:地域の親子教室や育児サポートグループに参加し、他の親と交流しながら支援を受けることができます。

 

支援機関との連携

多職種連携:色々な専門家が連携し、包括的な支援を提供します。これにより、子供の全体的な発達を促進します。

判断をするために調べる時には入院をすることもある

精神運動発達遅滞は、血液や尿を調べ判断します。脳のCTスキャンやMRIなどで異常がないかを調べることもあります。さらに、心エコーや耳鼻科、眼科などでも異常がないかを調べ総合的に状態を見て判断します。

 

精神運動発達遅滞の判断をするために詳細を調べる時には入院をすることもあります。

 

精神運動発達遅滞は、どの部分の成長がどのくらい遅れているのかということにおいて非常に個人差が大きいです。そのためきちんと調べて判断し、改善を行う際も医師と相談しながら進めていくことが重要なのです。

1. 病歴の聴取

妊娠中および出産時の状況:母親の妊娠中の健康状態、薬物使用、感染症、出産時のトラブル(低酸素状態、早産など)を確認します。

発達歴:初語の発語時期、歩行開始時期など、基本的な発達マイルストーンの達成状況を確認します。

家族歴:家族内に同様の症状や遺伝性の病気があるかどうかを確認します。

 

2. 身体

身体を通じて、全身の健康状態とともに、発達遅滞の兆候を観察します。

成長:身長、体重、頭囲などの身体測定を行い、成長曲線を確認します。

神経学的:反射、筋力、筋緊張、協調運動の評価を行います。

視覚・聴覚:視覚および聴覚を調べ、これらの感覚機能の問題が発達遅滞に関連していないか確認します。

 

3. 発達評価

発達評価は、精神運動発達遅滞を特定し、その程度を判断するために重要です。これには、標準化された発達検査を使用します。

ベイリー乳幼児発達尺度(Bayley Scales of Infant and Toddler Development):認知、運動、言語、社会性など、様々な発達領域を評価します。

デンバー発達スクリーニング(Denver Developmental Screening Test):運動、言語、社会的スキルなどの発達マイルストーンをスクリーニングします。

ウィスクラー幼児用知能(Wechsler Preschool and Primary Scale of Intelligence):知的能力の評価を行います。

 

4. 画像

画像は、脳の構造的異常や損傷を確認するために行われます。

脳のMRI:脳の構造を詳細に観察し、先天的な異常や損傷、腫瘍などの有無を確認します。

頭部CTスキャン:脳の異常や損傷の有無を迅速に確認するために使用されます。

 

5. 遺伝子

遺伝的要因が疑われる場合、遺伝子を調べます。

染色体:染色体の数や構造に異常がないかを確認します。例えば、ダウン症候群(21トリソミー)などが含まれます。

遺伝子パネル:特定の遺伝子異常を特定するための遺伝子パネルを行います。これは、フラジャイルX症候群やウィリアムズ症候群などの判断に使用されます。

 

6. 代謝

代謝異常が疑われる場合、血液や尿を調べて、特定の代謝異常を確認します。

新生児スクリーニング:フェニルケトン尿症(PKU)やガラクトース血症などの代謝異常を早期に発見するために行われます。

血液・尿:アミノ酸、脂肪酸、糖などの代謝産物を測定し、代謝異常を特定します。

 

7. 専門家による評価

小児科医:全体的な健康状態と発達の評価を行います。

発達心理学者:心理的および認知的な評価を行います。

言語聴覚士:言語およびコミュニケーション能力の評価を行います。

理学療法士および作業療法士:運動機能および日常生活動作の評価を行います。

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