子宮後屈の鍼灸【原因・定義・症状】

公開日:2021年  8月23日

更新日:2021年  9月 5日

本日は子宮後屈について解説させていただきます。

☆本記事の内容

  • 子宮後屈とは
  • 子宮後屈の原因
  • 子宮後屈の症状
  • 子宮後屈の改善方法
  • 子宮後屈のまとめ
足のしびれ、痛み

銀座そうぜん鍼灸院の宗前です。

このページを書いている私は、鍼灸師として13年、担当した利用者様数80,000人を誇り、病気の休職者300人を社会復帰できるまで回復させてきた実績があります。

 

子宮後屈は子宮体部の位置が子宮頚部に対して後ろに傾いている状態

子宮後屈は、子宮体部の位置が子宮頚部に対して後ろに傾いている状態のことです。子宮はしっかり固定されているわけではなく可動性が良い臓器です。そのため、傾いた状態になることもあるのです。

 

子宮頚部に対する体部の傾きの向きはいろいろあります。子宮頚部に対して体部が前に傾いている人が約70%、後ろに傾いている人が約20%いるといわれています。

 

子宮が後ろに傾いている状態であるだけの場合は特に病的な意味はありません。しかし、子宮内膜症や炎症の後に癒着が起こったことによって子宮が後ろに傾いた状態が固定されている場合は注意が必要です。

原因は、子宮体の位置の変化と子宮と直腸や骨盤腹膜の癒着

子宮後屈の原因は、子宮体の位置が変わることと子宮が直腸や骨盤腹膜とくっついて子宮が背中側に引っ張られることです。

 

子宮体の位置が変わる要因は、骨盤の異常や筋肉人体の支持組織の異常です。子宮と直腸や骨盤腹膜との癒着は、子宮内膜症などによって起こります。

〈先天的な要因〉

遺伝的要素: 子宮後屈は、先天的に持って生まれることがあります。家族歴に子宮後屈の女性がいる場合、その体質を受け継ぐ可能性が高くなります。

骨盤の形状: 骨盤の形状や子宮の位置は個人差があり、生まれつき子宮が後方に傾いていることがあります。このような場合、特に痛みや症状がない限り、日常生活に大きな支障をきたさないことが多いです。

 

加齢や体型の変化〉

加齢: 年齢を重ねるにつれて、骨盤底筋が緩んだり、支持組織が弱くなることがあります。これにより、子宮の位置が後方に傾くことがあります。

体型の変化: 体重の増減や筋肉の衰えが、骨盤内の臓器の配置に影響を与えることがあります。特に骨盤底筋が弱くなると、子宮が後方に傾きやすくなります。

 

出産〉

分娩の影響: 出産時に子宮の靭帯や筋肉が引き伸ばされることで、子宮の位置が変わることがあります。特に複数回の出産を経験した女性では、骨盤底筋の支持が弱くなり、子宮が後屈する可能性が高まります。

帝王切開: 帝王切開手術を受けた後、子宮が後屈することもあります。これは手術による組織の変化や瘢痕形成が原因となることがあります。

 

子宮や骨盤の病気〉

子宮内膜症: 子宮内膜症は、子宮の内膜が本来の位置以外の場所に発生する疾患です。これが骨盤内に炎症や癒着を引き起こし、子宮が後方に引っ張られる原因になることがあります。

子宮筋腫: 子宮筋腫が存在することで、子宮の位置や形状が変わり、後屈することがあります。特に大きな筋腫が骨盤内のスペースを圧迫する場合、子宮が後方に押し出されることがあります。

骨盤炎症性疾患: 骨盤内の感染や炎症が原因で、組織の癒着が起こり、子宮が後方に引っ張られることがあります。PIDは、改善していない性感染症が原因で発症することが多いです。

 

骨盤内の癒着〉

手術や外傷: 腹部または骨盤の手術後に瘢痕組織が形成されることがあります。この瘢痕組織が周囲の組織と癒着することで、子宮が後方に引き寄せられることがあります。

慢性の炎症: 骨盤内の慢性的な炎症が組織の癒着を引き起こし、子宮が後方に固定されることがあります。

 

その他の原因〉

骨盤底筋の弱化: 長期間の立ち仕事や重い物を持つ作業を続けることによって、骨盤底筋が緩み、子宮が後屈することがあります。出産や肥満も骨盤底筋の弱化の原因となります。

腫瘍や嚢胞: 骨盤内に腫瘍や嚢胞ができると、その位置や大きさによっては、子宮を後方に押しやる力が働くことがあります。

 

習慣や生活習慣の影響〉

姿勢の悪さ: 長時間のデスクワークや不良姿勢が、骨盤内の臓器に圧力をかけることがあります。これが長期的には子宮後屈の要因となることがあります。

場合によって月経困難症や腰痛の症状が現れることもある

子宮後屈で起こる症状は、膣の縦軸に対して子宮体全体が後ろに傾くことと子宮体と子宮頸が鋭角を作って曲がることです。子宮後屈は子宮が異常な位置になることなのです。

 

子宮はしっかり固定されているわけではなく可動性が良い臓器のため、傾いた状態になることもあります。たまに移動して後屈している状態になる場合は特に問題はありません。

 

しかし、子宮が直腸や骨盤腹膜とくっついて背中側に引っ張られ後屈している状態になっている場合は、月経困難症や腰痛などの症状が起こることも多いです。

・月経痛の悪化

月経期間中に下腹部や骨盤周辺に強い痛みを感じることがあります。痛みは持続的で鈍い痛みから、鋭いけいれんのような痛みにまで及ぶことがあります。

 

・性交時痛

性交中、特に深い挿入時に骨盤や下腹部に痛みを感じることがあります。この痛みは鋭い痛みや圧迫感として現れることが多いです。

 

排便時や排尿時の不快感

排便時に痛みや圧迫感を感じたり、排便が難しく感じることがあります。また、排尿時にも不快感を覚えることがあります。

 

腰痛や骨盤痛

特に月経中や性交時、長時間の立ち仕事や座りっぱなしの状態で腰痛や骨盤痛を感じることがあります。

 

不妊症

子宮後屈の一部の女性では、妊娠しにくい、または不妊の問題を抱えることがあります。

 

月経不順や月経量の変化

月経周期が不規則になったり、経血量が通常よりも多くなったり少なくなったりすることがあります。

 

腹部の膨満感や圧迫感

下腹部が腫れぼったい感じや膨満感を感じることがあります。

 

慢性的な疲労感

子宮後屈の影響で痛みや不快感が続くと、慢性的な疲労感を感じることがあります。

 

便秘や下痢

 一部の女性は便秘や下痢の症状を経験することがあります。便秘がちになったり、逆に下痢をすることがあるかもしれません。

 

尿失禁や頻尿

尿を漏らしやすくなったり、頻繁にトイレに行きたくなることがあります。

子宮後屈の改善方法は、手術

子宮後屈の改善方法は、手術です。ただし、手術によって改善を行うことは周りの臓器と子宮が癒着し子宮後屈が起こっている場合のみです。

 

癒着によって子宮後屈を起こしている場合は痛みが発生することが多いため、癒着を外し子宮を元の位置に戻すのです。

 

特に痛みなどの症状がない場合は病気ではなく、妊娠や出産をきっかけに正しい位置に戻ることもあります。先天的で症状がない場合は特に改善を行わなくても良いのです。

子宮後屈の手術の目的は、子宮後屈を修正し、正常な位置に戻すことで、痛みや不快感、不妊の改善を図ることと、深部性交痛、排便時や排尿時の不快感、腰痛などの症状を軽減することです。

 

子宮内膜症や骨盤内の癒着など、子宮後屈に関連する他の病気がある場合、その改善も兼ねて手術が行われることがあります。

 

〈手術の種類〉

・腹腔鏡を用いた低侵襲手術で、腹部に数か所の小さな切開を加え、カメラと手術器具を挿入して行う腹腔鏡下子宮前方固定術

傷が小さく、回復が早い、入院期間が短く、術後の痛みが少ないというメリットがあります。

 

・開腹手術で子宮を前方に固定する子宮前方固定術

腹腔鏡手術が難しい場合や、他の骨盤内疾患がある場合に行われる方法で、腹腔鏡では対応できない複雑なケースに適しているというメリットがあります。

 

・子宮後屈の原因が子宮内膜症や骨盤内の癒着を剥離する子宮内膜症や癒着の剥離手術

内膜症や癒着を直接改善することで、症状の根本的な改善を目指すことができるというメリットがあります。

 

子宮を他の支持組織に吊り上げる子宮サスペンション手術

子宮の位置を安定させ、後屈を防ぐ効果があるというメリットがあります。

不安なときは病院へ

子宮後屈は健康に影響が出ることはあまりないといわれています。しかし、腰痛や生理痛につながることもあるため、状態を調べておくことで安心できる場合もあります。

 

調べるときは、膣内に指を入れ子宮の形状や向きや大きさなどをみたり超音波を使ったりします。

 

気になることがある場合は、不安にならないためにも病院に相談に行くと良いでしょう。

鎮痛剤: 痛みが軽度である場合、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)や鎮痛剤が処方されることがあります。これらは月経痛や慢性的な骨盤痛の緩和に役立ちます。

 

ホルモン療法: 子宮内膜症や月経痛の軽減を目的として、低用量ピル、プロゲスチン製剤、GnRHアゴニストなどが推奨されることがあります。ホルモンバランスを調整し、症状の改善を図ります。

 

骨盤底筋トレーニング: 子宮後屈が骨盤底筋の弱化に関連している場合、骨盤底筋の強化運動が勧められることがあります。これにより、子宮の支持力を強化し、症状の改善が期待できます。

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