びまん性軸索損傷の鍼灸【原因・定義・症状】

公開日:2021年  10月 5日

更新日:2021年  10月13日

本日はびまん性軸索損傷について解説させていただきます。

☆本記事の内容

  • びまん性軸索損傷とは
  • びまん性軸索損傷の原因
  • びまん性軸索損傷の症状
  • びまん性軸索損傷の改善方法
  • びまん性軸索損傷のまとめ
足のしびれ、痛み

銀座そうぜん鍼灸院の宗前です。

このページを書いている私は、鍼灸師として13年、担当した利用者様数80,000人を誇り、病気の休職者300人を社会復帰できるまで回復させてきた実績があります。

 

びまん性軸索損傷は、明らかな異常はなくても意識障害があること

びまん性軸索損傷は、外傷を受けた後にCTやMRIで調べたとき、明らかな異常はないのにもかかわらず意識障害があることです。

 

頭蓋の中で起こる出血などによって意識障害が起こるのではなく、神経線維に断裂が起こることによって意識障害が起こるためにCTやMRIで調べても明らかな異常が見られません。

 

びまん性軸索損傷は回復しても後遺症が残ることが多いです。後遺症として現れる症状は、意識障害や高次機能障害や麻痺などです。

びまん性軸索損傷の主な原因は、転倒や転落、自動車の衝突

びまん性軸索損傷の主な原因は、転倒や転落、自動車の衝突です。他にも、乱暴に揺さぶられたり投げつけられたりした乳幼児にみられる脳損傷である、揺さぶられっ子症候群で起こることもあります。

 

強い外からの力を受けることによって、脳に回転する力が起きると、脳の深部は脳の表部よりも遅れて回転することになります。

 

そのため、脳がねじれ、強く軸索が引っ張られます。そして広い範囲で断裂を起こし、機能を失うことでびまん性軸索損傷が起こると考えられています。

びまん性軸索損傷は、脳の神経細胞の一部である軸索が広範囲にわたって損傷する症状の一つです。これは通常、頭部外傷後の患者に見られる重篤な症状であり、脳損傷による昏睡や慢性的な神経学的障害の主要な原因となります。

 

びまん性軸索損傷の主な原因は、高エネルギーの頭部外傷です。これは、交通事故、落下事故、スポーツ事故、暴行などによるもので、これらの事故は頭部に対して急激かつ強烈な力が加わる結果として起こります。しかし、頭部が直接打撃を受けることなく、頭部が急激に回転することでもびまん性軸索損傷は発生します。

 

頭部外傷がびまん性軸索損傷を引き起こすメカニズムを理解するには、まず神経細胞の構造と軸索の役割を理解することが重要です。神経細胞は、電気信号を伝えるための細長い部分(軸索)と、他の神経細胞から信号を受け取る部分(樹状突起)で構成されています。軸索は神経細胞体から電気信号を伝え、情報を神経系全体に伝播します。

 

軸索が広範囲に損傷すると、神経細胞間の通信が阻害され、様々な神経学的症状が発生します。びまん性軸索損傷はその名の通り、「びまん性」、つまり脳全体にわたる損傷です。これは頭部が急激に加速または減速するとき、脳の異なる部分が異なる速度で動くために起こります。これは特に脳の硬い部分(白質)と柔らかい部分(灰質)の間で起こります。

 

このような高速の加速や減速によって脳がひずみ、その結果、脳内の神経細胞の軸索が引き伸ばされ、断裂したり、機能を失ったりします。軸索が断裂すると、神経細胞間の通信が遮断され、脳の機能が広範に亘って損なわれることになります。これがびまん性軸索損傷の主な機序です。

 

更に、軸索の損傷はすぐに起こるだけではなく、損傷後の数時間から数日にわたって進行することが研究でわかっています。この遅延性の損傷は、初期の軸索の損傷が細胞内のカルシウムバランスを乱すことで引き起こされる可能性があります。これにより、細胞内の酵素が活性化し、さらに軸索を損傷させると考えられています。

びまん性軸索損傷の症状は、6時間以上続く意識の消失

びまん性軸索損傷の症状は、6時間以上続く意識の消失です。場合によっては、脳損傷で現れる症状があることもあります。

 

びまん性軸索損傷が起こると脳細胞が壊れて死んでしまいます。すると、脳が腫れて頭蓋骨の中の圧力が高まり、脳への血流が減り、損傷が悪くなっていくのです。

 

頭蓋骨の中の圧力が高くなり損傷が悪くなっていくと昏睡が起こることもあります。

 

他にも、びまん性軸索損傷の症状には認知障害と行動障害があります。認知障害では記憶障害や注意障害など、行動障害では感情コントロールの低下や意欲の低下などが起こります。

びまん性軸索損傷は、頭部外傷の結果として生じる広範囲の脳損傷です。この損傷は脳の白質部分に存在する軸索、つまり神経細胞が他の細胞と情報をやり取りするための長い繊維が広範囲にわたり損傷することで特徴付けられます。DAIはしばしば生命を脅かすものであり、意識障害、昏睡、永続的な障害、さらには死に至ることもあります。

 

びまん性軸索損傷の症状は、軸索の損傷の程度と位置によりますが、一般的には以下のような症状が見られます。

 

意識障害: DAIでは、しばしば意識障害を経験します。これは混乱から昏睡状態、さらには昏睡に至るまでの意識の低下を含みます。これは脳の覚醒と意識を制御する構造が広範囲にわたって損傷するために起こります。

 

物理的および認知的障害: DAIは広範囲の物理的および認知的な障害を引き起こします。これには運動機能の障害、言語障害、視覚障害、聴覚障害、感覚障害、記憶障害、集中力の低下、判断力の低下などが含まれます。

 

情動障害: DAIではしばしば情動障害を経験します。これにはうつ病、不安、怒り、情緒不安定、自己認識の低下などが含まれます。

 

昏睡状態と植物状態: 重度のDAIは、昏睡状態または植物状態に至ることがあります。これらの状態は、患者が意識を失い、身体的および認知的な反応が最小限または存在しない状態を示すものです。これは脳の覚醒と意識を制御する領域が広範囲に損傷を受けた結果として生じます。

 

びまん性軸索損傷の症状は損傷の程度と位置によりますが、損傷が広範囲にわたるため、神経系の多くの機能が影響を受けます。

呼吸と血圧を適切に保ち頭蓋骨内の圧力の上昇を防ぐ

びまん性軸索損傷の改善方法は、その他の頭部外傷を改善する方法と同じです。改善をする時に大切なことは、呼吸と血圧を適切な値に保って、頭蓋骨の中の圧力が上がりすぎないようにすることです。

 

手術によって改善を行うことはほとんどありません。

びまん性軸索損傷:改善の道筋

 

びまん性軸索損傷(Diffuse Axonal Injury、DAI)は、脳の神経細胞をつなぐ軸索が広範囲にわたって損傷する深刻な頭部外傷です。現在、DAIの特異的な改善法はありませんが、一連の多面的な戦略が予後を改善し、生活の質を高めるのに役立つことが確認されています。

 

1. 初期: DAIの初期の改善は、生命を維持し、安定化を目指すものです。これは、呼吸と血行を維持し、脳圧を管理し、さらなる脳損傷を防ぐために行われます。この段階では、手術が必要な場合もあります。

 

2. リハビリテーション: 脳の回復と再編成は時間と努力を必要とします。通常、リハビリテーションプログラムに参加します。これらは、身体的機能を改善し、認知的なスキルを再建し、生活の質を向上を行います。

 

3. 物理的な介入: 筋力、柔軟性、エンデュランス、バランス、協調性を向上させることを目指します。また、運動パターンの再教育、歩行訓練、義肢や装具の使用訓練も行われます。

 

4. 日常生活活動への介入:食事、着替え、トイレなどの行動を自分で行えるようにすることを目指します。また、認知的なスキルの改善も焦点に置かれます。

 

5. 言語の介入: 言語への介入は、話す、理解する、読む、書く能力を改善することを目指します。また、非言語的コミュニケーションスキルの使用も教えられます。

 

6•心理的なサポートとカウンセリング: DAIは本人だけなく、その家族にも深刻な精神的な影響を及ぼすことがあります。心理的なサポートとカウンセリングは、精神的な困難に対処し、新たな生活状況に適応する手助けをします。カウンセリングは、個別のセッションだけでなく、グループセッションや家族セッションとしても提供されます。

 

7. 薬: 一部の人には、症状を管理するために薬が必要となる場合があります。これは、脳の化学的な不均衡を調整するため、または特定の症状を管理するためのものです。

 

8. 個別化された計画: 最も重要なことは、改善の計画は個々のニーズと目標に基づいて作成されるべきであるということです。これには、専門家チームとびまん性軸索損傷を発症している本人、およびその家族の密接な協力が必要です。

 

9. 生活の質の向上: DAIの改善の最終的な目標は、生活の質を改善することです。これは、身体的な機能と認知的なスキルの改善、精神的な困難の管理、そして自分の生活に対するコントロールと満足感を取り戻すことを含みます。

脳だけでなく、体の他の部分にも損傷を受けていることが多い

びまん性軸索損傷の特徴は、衝撃が脳全体に及んでいるということです。しかし、損傷が全体に均一に広がっているわけではなく、脳の部位によって激しく損傷している部位から損傷していない部位まで損傷の程度は様々です。

 

びまん性軸索損傷は、脳に強い損傷を受けている状態です。しかし、臓器の損傷や手足の骨折など、脳だけでなく、体の他の部分にも損傷を受けていることが多いです。

 

そのため、命が危険な状態になっていることもあります。びまん性軸索損傷が起こったらできるだけ早く病院に行くことが大事です。

びまん性軸索損傷の改善例

びまん性軸索損傷(Diffuse Axonal Injury、DAI)の改善方法は、個々の症状とニーズに対応するために、多種多様でカスタマイズされたアプローチが必要となります。

 

ケース1:ジョン

ジョンは25歳の男性で、交通事故によりDAIを負いました。彼は病院で数日間昏睡状態にあり、その後、覚醒状態に移行しましたが、意識障害が残りました。初期には、生命維持と脳の腫れの管理に集中しました。脳圧を管理するために、医師は脳室内圧測定器を使用しました(参照: "Intracranial pressure monitoring in diffuse axonal injury", Journal of Neurosurgery, 2016)。

 

その後、ジョンはリハビリテーションプログラムに移行しました。彼の計画にはリハビリテーションが含まれていました。彼の筋力とバランスの回復に努め、専門家は彼が日常生活活動を自分で行えるように助けたり、コミュニケーションスキルの回復の支援をしたりしました。

 

ケース2:エマ

エマは40歳の女性で、スキー事故によりDAIを負いました。彼女は病院で改善を行なった後、長期的なリハビリテーションプログラムに参加しました。彼女のリハビリテーションは、運動機能と認知能力の両方を対象としていました。

 

彼女のリハビリテーションは、筋力、柔軟性、エンデュランスの向上が目指されました。彼女が日常生活活動を自分で行えるようにすることが目指されました。また、彼女の記憶と注意力の問題を改善するための認知リハビリテーションも行われました(参照: "Cognitive rehabilitation for memory deficits following stroke", Cochrane Database of Systematic Reviews, 2016)。

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