公開日:2019年 12月23日
更新日:2025年 3月 5日
本日はむち打ち後遺症について解説させていただきます。
☆本記事の内容
目次
銀座そうぜん鍼灸院の宗前です。
このページを書いている私は、鍼灸師として13年、担当した利用者様数80,000人を誇り、病気の休職者300人を社会復帰できるまで回復させてきた実績があります。
むち打ち後遺症は、交通事故などの追突や衝突によって首の急激な過伸展、過屈曲運動が起きたために生じる首の損傷のことです。症状がちょうどムチのしなるような状態での首振り現象から起こるのでこの名で呼ばれています。
医学上の病名では、「頚椎捻挫」「頸部挫傷」「外傷性頚部症候群」などと呼ばれます。
むち打ち後遺症は事故直後に出るとは限らず、事故から一定期間を経過してから症状が現れる可能性もあります。
下記に記載の症状を参照の上、医師の判断に従って継続的な改善を続けていくことが大切です。後遺症が「後遺障害等級として評価されるものなのか」を手続きによって明らかにしていくことが必要になります。
むち打ち後遺症の症状は多岐にわたります。多く見られる症状には頭痛、首の痛み、首の運動制限、目の極度な疲れ、視力障害、耳鳴り、上下肢のしびれ感、首・肩の凝り、めまい、吐き気や疲労感等が見られます。
しかし多くの場合これら自覚症状は、レントゲンや脳波などを調べた結果に現れる他覚的所見に乏しいです。
・頸部、肩、背中の痛みやこり
慢性的な首の痛みやこり、肩こりや背中の張りが続く、首を動かすと痛みが増す、天気が悪いと症状が悪化する
・頭痛
後頭部~側頭部にかけての鈍い痛み、肩や首の筋緊張による緊張型頭痛、首の神経圧迫による片頭痛
・めまい、ふらつき
立ち上がるとフラフラする、車酔いしやすくなる、グルグル回るような回転性のめまい、足元がふわふわする浮動性めまい
・耳鳴り、難聴
「キーン」「ジー」といった耳鳴り、耳が詰まったような違和感、聞こえが悪くなる
・視覚異常(目の疲れ・かすみ・ピントが合わない)
目がかすむ、ピントが合いづらい、目が疲れやすくなる、光がまぶしく感じる
・自律神経の乱れ(倦怠感・睡眠障害・冷え)
疲れやすく常にだるい、不眠、手足の冷え
・動悸や息切れ
胃腸の不調
・手足のしびれ、神経症状
指先のしびれや感覚異常、握力低下、足のしびれや脱力感、長時間立っていると足がだるくなる
・記憶力、集中力の低下
頭がボーッとする、考えがまとまりにくい、物忘れが増える、集中力が続かない
・精神的な影響(不安・うつ・イライラ)
不安感が強くなる、気分の落ち込みが続く、イライラしやすくなる、パニック発作
むち打ちの後遺症の種類
頚椎の捻挫 | むち打ち後遺症の症状の大部分を占めていて、首や肩、背中の痛みと凝りなどが見られる。 |
バレー・ルー症状
| 首の神経が傷ついたことにより、頭痛・めまい・吐き気・耳鳴り・息切れ・後頭部の痛みに伴う倦怠感や食欲不振。 |
神経根症状
| 手足のしびれや力が入らないといった症状。首の神経根と呼ばれる部分に負荷がかかった状態を指す。 |
脳脊髄液減少症
| 脳髄液が漏れ出すケースで症状としては重い。 |
脊髄症状
| 脊髄損傷を伴うもので、五感に悪影響を起こす。 |
高次脳機能障害
| 脳の損傷によって、記憶障害や注意障害など日常生活に支障が出る症状が特徴。 |
そもそも「後遺症」とは改善を続けても、完全な回復が見込めない症状のことを指しています。当院では、上記に記載したむち打ち後遺症で生じる主な症状に対応しています。
めまい・吐き気・耳鳴り・目の疲れなどの症状に対し、自律神経系のバランス調整、痛みの緩和、筋肉の緊張を緩和し、血行を促進することで、改善を図ります。
・整形外科の場合
レントゲンやMRIで頸椎の状態を確認し痛み止めや筋弛緩薬の処方を行います。痛みが強い場合は神経ブロック注射を行います。
・整体、カイロプラクティックの場合
首や背骨の歪みを調整して神経の圧迫を軽減します。肩や首の可動域を改善し、血流を促進します。
・鍼灸の場合
頸部の血流改善、筋緊張の緩和を行います。自律神経のバランスを整え、めまいや頭痛の軽減を図ります。
事故によるむち打ち後遺症の場合「後遺障害」と言って負ったけがや障害が、改善を続けても改善しない「症状固定」の状態になったものもあります。後遺症のうち一定の要件をクリアしたものが後遺障害として認められます。
認定は、医師が作成した書類をもとに、損害保険料率算出機構・自賠責損害調査事務所が行います。後遺障害と認定されれば、症状に応じた慰謝料の請求が可能なため、ご自身が当てはまるかどうか見ていく必要があります。
「自動車損害賠償保障法施行令別表(等級表)」によって、1~14級までの等級が定められており、具体的な症状が公表されています。
むちうちの場合、「局部に頑固な神経症状を残すもの(12級13号)」もしくは「局部に神経症状を残すもの(14級9号)」にあてはまるケースが多いです。
12級
・障害局所の存在が医学的に証明できる
・他覚的所見として画像診断や神経学的所見などが認められたもの
14級
・医学的に可能な説明ができ、障害を残す所見がある
むちうちの後遺症によって請求できる慰謝料は、以下のような金額です。
等級 | 自賠責保険基準 | 弁護士基準 |
12級 | 94万円 | 290万円 |
14級 | 32万円 | 110万円 |
手足のしびれや首の痛みといったむちうちの一般的な症状よりも重く、記憶障害や注意障害など日常生活に支障をきたす高次脳機能障害の症状が見られれば、等級はさらに高くなる可能性もあり、請求できる慰謝料も異なってくる場合があります。
むちうちは「軽度」「中等度」「重度」**に分けられ、それぞれの回復期間は異なります。
・軽症の場合(2週間~1ヶ月)
筋肉の炎症や軽い捻挫程度であれば、適切な対応で比較的早く改善します。ストレッチや軽いリハビリを続けることで後遺症を防げます。
・中等度の場合(1ヶ月~3ヶ月)
頸椎の靭帯や関節包が損傷していると、回復に時間がかかります。放置すると筋肉が固まり、慢性的な首こりや頭痛、めまいの後遺症が残る可能性があります。
・重症の場合(3ヶ月~半年以上)
神経圧迫や自律神経の影響があると、長期間回復しないことがあります。しびれや倦怠感が長引く場合、リハビリや整体、鍼灸を併用するのが効果的です。