レックリングハウゼン病の鍼灸【原因・定義・症状】

公開日:2022年  7月20日

更新日:2022年  8月 9日

本日はレックリングハウゼン病について解説させていただきます。

本記事の内容

  • レックリングハウゼン病とは
  • レックリングハウゼン病の原因
  • レックリングハウゼン病の症状
  • レックリングハウゼン病の改善方法
  • レックリングハウゼン病のまとめ
足のしびれ、痛み

銀座そうぜん鍼灸院の宗前です。

このページを書いている私は、鍼灸師として13年、担当した利用者様数80,000人を誇り、病気の休職者300人を社会復帰できるまで回復させてきた実績があります。

 

レックリングハウゼン病は、神経線維腫症I型のこと

レックリングハウゼン病は、神経線維腫症I型のことです。レックリングハウゼン病には、カフェ・オ・レ斑や神経線維腫という皮膚の病変という特徴があります。

 

レックリングハウゼン病の名前の由来は、初めて1882年にドイツの病理学者レックリングハウゼン氏によって報告された病気であることです。

 

レックリングハウゼン病では、他にも、骨や眼、神経系などに色々な病変が現れる遺伝性の病気で、約3000人に1人の割合で発症すると言われています。

レックリングハウゼン病の原因は、遺伝子の異常

レックリングハウゼン病の原因は、遺伝子の異常で、遺伝する病気です。原因となる遺伝子は17番染色体にあります。

 

原因となる遺伝子の蛋白産物はニューロフィブロミンと呼ばれており、細胞の増殖を抑える働きをしています。そのため、遺伝子の異常がおこることで増殖のシグナルが活性化されて色々な病変が起きると言われています。

 

レックリングハウゼン病は遺伝性の病気ですが、レックリングハウゼン病を発症している人の中で半分以上は家族に発症している人がいないと言われています。

レックリングハウゼン病は、神経線維腫症1型とも呼ばれ、遺伝性の神経の病気です。NF1は、皮膚、末梢神経、および骨に影響を与えることがあります。この病気は、NF1遺伝子の変異によって引き起こされます。

 

NF1遺伝子は、神経細胞において増殖を抑制する役割を果たすタンパク質をコードしています。NF1遺伝子の変異は、ネウロフィブロミン1の機能喪失につながり、神経細胞の過剰な増殖を引き起こすことがあります。

 

レックリングハウゼン病は、常染色体優性遺伝形式で遺伝します。これは、NF1遺伝子の変異を持つ親から子どもに伝わることを意味します。親がNF1遺伝子の変異を持っている場合、子どもは50%の確率で病気を継承します。ただし、NF1の約半数の症例は新規変異によるものです。

 

NF1遺伝子の変異は、多様であり、それぞれの人によって異なる症状や病程を示すことがあります。

レックリングハウゼン病の主な症状は、皮膚の色素斑と神経線維腫

レックリングハウゼン病の主な症状は、皮膚の色素斑と神経線維腫です。皮膚の色素斑はミルクコーヒーのような色をしており、カフェ・オ・レ斑と呼ばれます。このカフェ・オ・レ斑は、生まれた時からみられます。

 

カフェ・オ・レ斑の多くは、長い円形の形をしています。大きさは子供の場合5mmより大きくなり大人の場合は15より大きくなります。

 

脇や足の付け根にできる小さな色素斑は雀卵斑様色素斑と呼ばれています。珍しいケースでは大きな色素斑ができることもありますが、多くの場合は、少しずつ色素斑の部分がふくらんできます。

 

皮膚の神経線維腫は、思春期の頃から少しずつできてきます。神経線維腫がいくつくらいできるのかについては、人によって違います。

 

レックリングハウゼン病によって現れる症状や程度は個人差があり、家族の中でも違うこともあります。年齢によっても気をつけることが違うため、症状や改善について医師からきちんと話を聞いておくことが大事です。

レックリングハウゼン病は、遺伝性の病気で、神経系、皮膚、骨、および内臓に影響を与えることがあります。症状は個人差があり、軽度から重度までの広い範囲を示すことがあります。以下は、レックリングハウゼン病の主な症状です。

 

神経線維腫:これらは皮膚の下にできる良性の腫瘍で、大きさや形状が異なります。ほとんどの神経線維腫は無痛で問題を引き起こさないことが多いですが、時には痛みや感覚の喪失を引き起こすことがあります。

 

カフェオレ斑:これらはコーヒーのような色をした平坦な皮膚色素沈着で、出生時または幼児期に現れることが一般的です。ほとんどの場合、これらの斑点は無害ですが、NF1の判断の手がかりになることがあります。

 

リッシュ結節:これらは虹彩にできる良性の腫瘍で、通常は視力に影響を与えません。リッシュ結節は、NF1の診断の一部として特定されることがあります。

 

骨の異常:レックリングハウゼン病では、骨の成長や発育に問題が生じることがあります。例として、脊柱側osis、長骨の変形、または短母指症(が挙げられます。

 

学習障害および認知機能の問題:NF1では、学習障害や注意欠陥、多動性障害のリスクが高まります。また、言語、運動、社会スキルの発達に遅れが生じることがあります。

 

眼の症状:視神経腫瘍が発生することがあります。これらの腫瘍は通常、良性ですが、視力低下や視野欠損を引き起こす場合があります。

 

循環器および心臓の症状:NF1では、高血圧や心臓の構造異常、血管の異常など、循環器系の問題を抱えるリスクが高くなります。

 

腫瘍の悪性変化:稀な場合、神経線維腫が悪性周囲神経鞘腫瘍という悪性の腫瘍に変化することがあります。MPNSTは神経組織に起源を持つがんです。

 

成長および発育の遅れ:NF1では、身長の低さや思春期の遅れなど、成長や発育に関連する問題を経験することがあります。

 

神経障害:末梢神経の損傷や圧迫により、痛み、感覚の喪失、筋力低下、運動機能の障害が生じることがあります。

 

症状は、人によって異なる程度の重症度で現れます。また、症状は年齢や病気の進行に伴って変化することがあります。

現れている症状に対して改善を行う

今のところ、レックリングハウゼン病の根本的な改善方法はありません。そのため、現れている症状に対して改善を行うことになります。

 

皮膚の色素斑はあまり目立ちませんが、レーザーなどを使って改善を行うこともあります。しかし、一度色が薄くなっても再び色素斑ができることも多いです。

 

皮膚の神経線維腫が気になる場合は手術でとることも可能です。他にも、骨や神経系などに症状が現れた場合は、できるだけはやめに病院に行くことが大事です。

レックリングハウゼン病の改善方法は、症状や状況に応じて個別化される必要があります。現在、病気そのものを治す方法はありませんが、症状の管理や合併症の予防を目的として改善が行われます。

 

神経線維腫の管理:痛みや機能障害を引き起こす神経線維腫は、外科的な除去が必要となる場合があります。ただし、すべての神経線維腫が手術を必要とするわけではなく、多くの場合は経過観察が選択されます。

 

学習障害および認知機能の問題の対処:NF1では、学習障害や認知機能の問題がある場合、個別化された教育プログラムなどの介入が役立つことがあります。また、注意欠陥、多動性障害の症状がある場合は、適切な薬が効果的であることがあります。

 

眼の症状の対処:視神経腫瘍が視力に影響を与える場合、放射線や外科手術、または薬が選択されることがあります。ただし、これらの方法は副作用や合併症を引き起こす可能性があるため、慎重な検討が必要です。

 

骨の異常の対処:NF1に関連する骨の異常は、外科手術や装具などで対処されることがあります。

 

循環器および心臓の問題の管理:高血圧や心臓の構造異常がある場合、薬や外科手術が必要となることがあります。

 

腫瘍の悪性変化の対処:悪性周囲神経鞘腫瘍の発症が疑われる場合には外科手術、放射線、および抗がん剤などが含まれることがあります。

 

支援およびカウンセリング:NF1の発症者やその家族は、病気に対処するために心理的な支援やカウンセリングを受けることが有益です。また、NF1に関連する症状や合併症に対処するための情報や支援を提供する支援団体が存在します。

 

現在、NF1の改善方法に関する研究が進行中であり、新しい改善方法が開発される可能性があります。

担当の医師と話し合って改善方法を決めていくことが大事

レックリングハウゼン病では、改善が難しい症状もあります。そのため、担当の医師とよく話し合って改善方法を決めていくことが大事です。

 

場合によってはレックリングハウゼン病に詳しい医師に相談することも必要になることもあります。

 

レックリングハウゼン病の改善方法については、現在研究が海外で進められていますが、全ての人に効果があるだけでありません。今のところは、日本で使える薬はありません。

レックリングハウゼン病の改善例

レックリングハウゼン病は、神経細胞が過剰に増殖し、皮膚や内臓に腫瘍を形成する遺伝性の病気で、改善を行うときには症状や状況に応じて個別化される必要があります。

例1: 視神経腫瘍

Plotkin et al. (2013)の研究では、NF1に関連した視神経腫瘍の成長を抑制するために、分子標的薬セリュリンが使用されました。この方法は、腫瘍サイズの減少と視力の改善を示しました。

参考文献: Plotkin, S. R., Duda, D. G., Muzikansky, A., Allen, J., Blakeley, J., Rosser, T., ... & Yap, J. T. (2013). Multicenter, Prospective, Phase II and Biomarker Study of High-Dose Bevacizumab as Induction Therapy in Patients with Neurofibromatosis Type 1 and Progressive Optic Pathway Gliomas. Neuro-oncology, 15(12), 1667-1674.

 

例2: 皮膚神経線維腫

Riccardi (2007)は、顔面の皮膚神経線維腫を外科的に除去し、再建手術を行うことで、容姿および生活の質が改善された事例を報告しました。

参考文献: Riccardi, V. M. (2007). The management of neurofibromatosis type 1. Journal of Pediatric Health Care, 21(1), 59-60.

 

例3: 学習障害の対処

Hyman et al. (2005)の研究では、現れている学習障害に対して、個別化された教育計画と認知行動への介入が用いられました。これらの介入により、学業成績や社会的スキルが向上しました。

参考文献: Hyman, S. L., Shores, A., & North, K. N. (2005). The nature and frequency of cognitive deficits in children with neurofibromatosis type 1Neurology, 65(7), 1037-1044.

 

例4: 高血圧の管理

Friedman et al. (2002)の研究では、高血圧の改善のために薬が用いられました。これらの薬は、血圧のコントロールと、腎動脈狭窄などの循環器合併症のリスクの軽減に役立ちました。

参考文献: Friedman, J. M., Arbiser, J., Epstein, J. A., Gutmann, D. H., Huot, S. J., Lin, A. E., ... & North, K. (2002). Cardiovascular disease in neurofibromatosis 1: report of the NF1 Cardiovascular Task Force. Genetics in Medicine, 4(3), 105-111.

 

例5: 骨の異常の対処

Stevenson et al. (2007)の研究では、レックリングハウゼン病に関連する骨の異常に対して、外科手術、装具、および物理的な介入が適用されました。これらの方法は、骨の成長や発育の改善、および機能障害の軽減を目的としています。

参考文献: Stevenson, D. A., Birch, P. H., Friedman, J. M., Viskochil, D. H., Balestrazzi, P., & Boni, S. (2007). Descriptive analysis of tibial pseudarthrosis in patients with neurofibromatosis 1. American Journal of Medical Genetics Part A, 143A(18), 2100-2111.

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