公開日:2022年 9月 5日
更新日:2022年 10月 4日
本日は化膿性関節炎について解説させていただきます。
本記事の内容
銀座そうぜん鍼灸院の宗前です。
このページを書いている私は、鍼灸師として13年、担当した利用者様数80,000人を誇り、病気の休職者300人を社会復帰できるまで回復させてきた実績があります。
化膿性関節炎は、関節の中に細菌が入り込んで化膿する病気のことです。
関節の中に細菌が入り込む経路として考えられるものは3つあります。1つ目は、肺炎や尿路感染など他の感染巣があり、その病原菌が血液の流れによって関節の中に入り込むケースです。
2つ目は、皮膚や脂肪や筋肉などの周りの軟部組織や骨に感染が起き、関節の中にまで及ぶケースです。3つ目は、けがや手術、関節の中に行う注射などによって関節の中に細菌が直接入り込むケースです。
化膿性関節炎を発症し、症状が進むと、骨が溶けることもあります。化膿性関節炎の症状が進むスピードは早いため、できるだけ早く改善に取り組むことが大事です。
化膿性関節炎の原因は、細菌に感染することです。原因となる菌で1番多いのは黄色ブドウ球菌です。次に多いのは連鎖球菌、肺炎球菌、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌であるといわれています。
細菌が関節の中に入り込む経路は、いくつかあります。
肺炎や尿路感染など他の感染巣から血の流れによって関節の中に運ばれる場合、皮膚や脂肪、筋肉周りの軟部組織や骨に感染が起き関節の中に及ぶ場合、けがや手術や関節の中への注射などによって関節の中に細菌が直接入り込む場合です。
・細菌感染
化膿性関節炎の主な原因は、細菌感染です。関節炎を引き起こす最も一般的な細菌は、黄色ブドウ球菌や肺炎球菌です。他の原因として、大腸菌やヘモフィルス・インフルエンザ菌も挙げられます。
化膿性関節炎は、いくつかの経路で感染が関節内に広がることにより発症します。感染経路の例は、以下の3つです。
1.血行感染:他の部位での感染症が血流を介して関節に到達し、感染が広がる。
2.直接感染:外傷や手術などで関節が直接感染する。
3.関節周囲の感染:骨折や関節周辺の軟部組織感染が関節に広がる。
化膿性関節炎の発症には、いくつかの危険因子が関与します。これらの因子には、以下のようなものがあります。
a. 免疫力の低下:糖尿病、がん、HIV感染、ステロイドなど、免疫力が低下する状態。
b. 関節の病変:リウマチ性関節炎、変形性関節症、関節置換術など、関節に病変がある場合。
c. 高齢:高齢者は免疫力の低下や関節の変形など、感染に対する抵抗力が低下する。
d. 関節穿刺、関節鏡で調べること:関節内に細菌が侵入するリスクがある関節穿刺や関節鏡で調べる行為が感染の原因となることがある。
e. 関節周辺の皮膚感染:関節近くの皮膚感染が関節内へ広がり、化膿性関節炎を引き起こすことがある。
f. 遺伝的要因:遺伝的な免疫不全症候群など、遺伝的な要因が関与することがある。
g. 関節内の異物:関節内に異物が存在する場合、細菌が付着しやすくなる。
h. 関節内出血:血友病や抗凝固療法などで関節内出血がある場合、関節の炎症が起こりやすい。
化膿性関節炎の症状は、痛みや腫れ、発赤や熱感が現れることです。
強い痛みと腫れが起こることによって、関節の可動域は制限され、立ったり歩いたりすることができなくなることや発熱や全身倦怠感などの全身に症状が現れることもあります。
乳児の可能性関節炎の発症も多く見られますが、乳児の場合は見た目で関節の炎症が起こっているということがわかりにくいこともあります。
化膿性関節炎は急性または慢性の症状が現れ、以下のような症状が現れます。
・関節痛
関節内に細菌感染が起こると、関節痛が発生します。感染により関節の炎症が生じ、関節周囲の組織が刺激されるため、激しい疼痛を感じます。関節痛は通常、感染している関節に限定されます。
・関節の腫れ
関節内の感染と炎症が進行すると、関節周囲の組織が腫れることがあります。関節の腫れは、関節液の増加や炎症性浮腫によるものです。
・関節の機能障害
化膿性関節炎による炎症や腫れは、関節の可動域が制限され、機能障害が生じることがあります。患者は関節の動かしにくさや、動かす際の痛みを感じることがあります。
・発熱
細菌感染による全身症状として、発熱が現れることがあります。発熱は、免疫システムが感染と戦う過程で生じます。
・悪寒と寒気
化膿性関節炎の全身症状として、悪寒や寒気を伴うことがあります。これらの症状は、免疫システムが感染に反応して発生します。
・皮膚の発赤
感染した関節周辺の皮膚が発赤することがあります。これは、炎症が皮膚表面の血管を拡張させ、血流が増加することが原因です。
・動悸、息切れ、全身倦怠感
感染が全身に広がると、動悸や息切れ、全身倦怠感が生じることがあります。これらの症状は、感染と闘う免疫システムが身体全体に影響を与えるために発生します。重度の感染では、血行動態が不安定になり、ショック症状が生じることもあります。
・関節内の膿
化膿性関節炎では、関節内に膿が溜まることがあります。関節液を調べると、膿が確認されることがあります。
・関節周囲の軟部組織炎症
関節周囲の軟部組織が炎症を起こすことがあります。皮膚、筋肉、腱、靭帯などが赤く腫れ、熱を持つことがあります。
・関節損傷
化膿性関節炎が進行すると、関節軟骨や骨が損傷し、関節の変形や機能喪失が生じることがあります。適切な改善が行われない場合、永久的な障害を負う可能性があります。
化膿性関節炎の症状は、感染の程度や患者の免疫状態によって異なります。症状が現れた場合は、できるだけ早く適切な改善を開始することが重要です。
化膿性関節炎の改善方法は、手術を行うことと抗生物質を使うことです。手術によって関節の中の洗浄を行い、全身に抗生物質を投与するのです。
一度壊れてしまった関節が元の状態に戻ることはありません。そのため、関節が壊れていることによって痛みが残ったり、関節が不安定になったりすることもあります。その場合は、関節固定術などを行って改善に取り組みます。
・抗生物質
化膿性関節炎の根本的な改善方法は、原因となる細菌を排除する抗生物質の投与です。関節液を調べたり血液を培養することによって原因菌が同定された場合、感染に対して効果的な抗生物質が選択されます。原因菌が特定できない場合や改善の開始を急ぐ必要がある場合は、広域抗生物質が使用されます。
抗生物質は通常、静脈内投与で開始され、感染が改善されると経口投与に切り替えられます。期間は2週間から数ヶ月に及ぶことがあります。
・関節ドレナージ
関節内に膿が溜まっている場合、関節ドレナージが行われます。これは、針を用いて関節内の膿を吸引する方法や、手術によって関節内の膿を除去する方法があります。ドレナージは、感染の拡大を防ぎ、関節の機能を回復する効果があります。
・関節鏡手術
関節鏡手術は、関節内の状態を直接観察し、膿や炎症組織を除去するために行われます。関節鏡手術は、関節への侵襲が少なく、回復が速いという利点があります。
・開放手術
重度の感染や関節の破壊がある場合、開放手術が必要になることがあります。開放手術では、関節内の膿や壊死組織を除去し、感染源を排除します。また、関節の機能を回復するための手術が行われることがあります。
_リハビリテーション
改善が進行し、炎症が改善されたら、リハビリテーションが開始されます。リハビリテーションは、関節の可動域や筋力を回復させるために行われます。リハビリテーションは、関節の機能回復や患者の生活の質向上に重要な役割を果たします。
・関節置換手術
化膿性関節炎が進行し、関節が破壊されて機能が回復しない場合、関節置換手術が検討されることがあります。関節置換手術は、破壊された関節を人工関節に置き換える手術です。手術により、関節の機能を回復し、痛みや不便を軽減します。
・抗菌薬の予防投与
手術や関節穿刺、歯科での処置などを受ける際、感染リスクが高まることがあります。そのため、リスクが高い場合は、抗菌薬の予防投与が行われることがあります。
高齢者で膝などの関節内注射を受けた数日後に、化膿性関節炎が疑われるような痛みや腫れなどの症状が見られた場合は、すぐに病院に行くことをおすすめします。
乳児に現れる化膿性関節炎は、股関節に起きることもあります。乳児の場合は見た目で関節の炎症であるということが分かりにくいこともあります。急に片方の足を痛がって動かさなくなるなどの症状が見られた場合は病院に行きましょう。
50歳の男性が、右膝関節の痛み、腫れ、発熱を訴えました。1週間前から右膝関節痛が始まり、次第に悪化。数日前から発熱が出現しました。
炎症の兆候があり、CRP値が高く、膝関節から採取した関節液に膿が確認され、化膿性関節炎と判断されました。
原因菌が特定されるまでの間、広域抗生物質を静脈内投与で開始。関節液培養の結果、黄色ブドウ球菌が検出され、抗生物質を選択しました。
膝関節内の膿を除去するために、針を用いた関節ドレナージを行い、その後、症状の改善状況に応じて、繰り返しドレナージを実施。膝関節内の状態を観察し、膿や炎症組織を除去するために関節鏡手術を行いました。関節鏡を挿入した際、関節軟骨へのダメージが確認されるが、手術により感染の拡大が防がれました。
関節鏡手術後も、感染が完全に改善するまで抗生物質を続け、炎症マーカーの改善を確認し、感染が収まったことを確認後、経口抗生物質に切り替えました。
抗生物質は、感染が完全に鎮静化したことを確認した上で、医師の指示に従って段階的に減量し、最終的に終了します。
痛みと腫れが軽減し、関節の可動域が回復するまで、リハビリテーションを行いました。状態に合わせた運動や日常生活動作の指導を行い、関節の機能回復を促しました。
この例では、化膿性関節炎の早期発見と迅速な改善が行われたため、関節機能の回復が達成され、生活の質が向上しました。