脊髄髄膜瘤の鍼灸【原因・定義・症状】

公開日:2022年   8月20日

更新日:2022年   8月26日

本日は脊髄髄膜瘤について解説させていただきます。

本記事の内容

  • 脊髄髄膜瘤とは
  • 脊髄髄膜瘤の原因
  • 脊髄髄膜瘤の症状
  • 脊髄髄膜瘤の改善方法
  • 脊髄髄膜瘤について
足のしびれ、痛み

銀座そうぜん鍼灸院の宗前です。

このページを書いている私は、鍼灸師として13年、担当した利用者様数80,000人を誇り、病気の休職者300人を社会復帰できるまで回復させてきた実績があります。

 

脊髄髄膜瘤は、主に腰やお尻の上の皮膚や骨がしっかりと閉じない

脊髄髄膜瘤は、主に腰やお尻の上の皮膚や骨がしっかりと閉じず、脊髄も開いたまま体表に出ている状態になることです。これは人が母親の胎内で形成される過程で起こります。

 

脊髄髄膜瘤は顕在性二分脊椎症、開放性二分脊椎症、脊髄披裂などと呼ばれることもあります。

 

脊髄髄膜瘤ではどのくらいの症状が現れるのかについては人よって違いますが、生まれたときから足の変形や動きや感覚の鈍さが見られます。成長に合わせていろいろなケアを行うことが必要になる病気なのです。

原因には、栄養因子、遺伝因子、環境因子などが関係している

脊髄髄膜瘤の原因には、栄養因子、遺伝因子、環境因子などが複雑に関係しています。1〜2割の人は、遺伝するということも分かっています。

 

妊娠する前から十分な量の葉酸を内服することで、脊髄髄膜瘤の発症を6〜7割防ぐことができると言われています。

 

脊髄髄膜瘤の発症は世界的に少なくなってきています。これには、栄養状態が改善されてきたことや妊娠の可能性がある女性が葉酸を内服するようになったことなどが関係しています。

 

しかし、母親が肥満の場合や糖尿病を発症している場合、抗けいれん薬を内服している場合は、脊髄髄膜瘤を持った子供が生まれてくる可能性が上がります。

脊髄髄膜瘤は、主に成人に発生し、脊髄に発生する腫瘍の約30%を占めます。ここでは、脊髄髄膜瘤の原因について説明します。

 

遺伝的要因

脊髄髄膜瘤の原因の一つとして遺伝的要因が考えられます。特定の遺伝症候群が脊髄髄膜瘤のリスクを高めることがあります。例えば、神経線維腫症タイプ2は、髄膜瘤を発症するリスクが高い遺伝症候群です。NF2は、NF2遺伝子の突然変異によって引き起こされます。この遺伝子は、腫瘍抑制遺伝子として働くため、その機能が失われると腫瘍が発生しやすくなります。

 

放射線照射

放射線は、がんなどの病気の改善のために使用されることがありますが、過去に放射線を受けた場合、後に脊髄髄膜瘤を発症するリスクが高まることがあります。特に、頭部や首の放射線を受けた場合に、脳や脊髄の髄膜瘤が発生するリスクが高いとされています。

 

環境要因

脊髄髄膜瘤の発症に影響を与える環境要因も存在します。例えば、環境中の化学物質や毒素にさらされることが、脊髄髄膜瘤のリスクを高めることがあります。しかし、具体的な化学物質や毒素が特定されているわけではなく、環境要因が脊髄髄膜瘤の発症にどの程度影響を与えるかは、まだ十分に解明されていません。さらなる研究が必要ですが、一般的には、健康な生活習慣を維持し、化学物質や毒素にさらされるリスクを減らすことが推奨されています。

 

免疫系の異常

免疫系の異常が脊髄髄膜瘤の発症に関与する可能性もあります。免疫系は、体内に侵入した異物や細胞の異常を検出し、排除する役割を果たしています。しかし、免疫系が正常に機能しない場合、異常な細胞が腫瘍として増殖することがあります。現在のところ、免疫系の異常が脊髄髄膜瘤の発症にどのように関与するかは明らかになっていませんが、今後の研究で解明されることが期待されています。

 

加齢

脊髄髄膜瘤は、加齢とともに発症リスクが増加することが知られています。年齢が上がると、細胞のDNAがダメージを受けやすくなり、修復機能も低下します。この結果、細胞の異常が増え、腫瘍が発生しやすくなると考えられます。ただし、加齢が脊髄髄膜瘤の唯一の原因ではなく、他の要因と組み合わさって発症することが一般的です。

 

総括

脊髄髄膜瘤の原因は、遺伝的要因、放射線照射、環境要因、免疫系の異常、加齢などが考えられますが、現時点ではまだ完全には解明されていません。今後の研究によって、脊髄髄膜瘤の発症メカニズムや予防法がさらに明らかになることが期待されています。

両足の変形や動きの鈍さ、足やお尻の感覚鈍麻、排尿排便障害

脊髄髄膜瘤の主な症状は、両足の変形や動きの鈍さ、足やお尻の感覚鈍麻、排尿排便障害です。どのくらい症状が現れるのかについては人によって違います。

 

水頭症などの影響で、発達に遅れが見られることもあります。発達の遅れの程度も人によって違います。脳への影響の程度によってはてんかんが起こることもあります。

 

さらに、感覚が低下することによって、お尻や腰の皮膚障害が現れることもあります。

脊髄髄膜瘤の症状は、腫瘍の大きさや位置、成長速度によって異なります。以下に、脊髄髄膜瘤の主な症状を挙げていきます。

 

・疼痛

脊髄髄膜瘤は、脊髄や神経根を圧迫することで疼痛を引き起こすことがあります。痛みは、腫瘍が圧迫する部位によって、首、背中、腰、下肢など様々な部位に現れることがあります。痛みは徐々に悪化することが一般的で、夜間や横になると痛みが増すことがあります。

 

・感覚異常

脊髄髄膜瘤が神経を圧迫することで、感覚異常が現れることがあります。しびれ、痺れ、感覚の鈍化などが起こり、手足や体幹に影響を与えることがあります。

 

・運動障害

脊髄髄膜瘤は、運動神経を圧迫することで筋力低下や筋萎縮を引き起こすことがあります。この結果、歩行困難、手足の動きの制限、バランスの喪失などの運動障害が生じることがあります。

 

・排尿、排便障害

腫瘍が脊髄の下部を圧迫すると、膀胱や直腸の制御に関与する神経が影響を受けることがあります。これにより、排尿や排便のコントロールが困難になることがあります。

 

・性機能障害

脊髄髄膜瘤が性機能に関与する神経を圧迫することで、性機能障害が生じることがあります。勃起不全や性欲減退などの症状が現れることがあります。

 

頭痛と嘔吐

脳内に髄膜瘤が発生した場合、腫瘍が脳脊髄液の流れを妨げることがあります。その結果、脳脊髄液が蓄積し、頭蓋内圧が上昇することがあります。この状態は、頭痛や嘔吐などの症状を引き起こすことがあります。

 

・視力障害

脳内の髄膜瘤が視神経を圧迫することがあるため、視力低下や視野欠損、二重視などの視力障害が現れることがあります。

 

・聴力障害

脳内の髄膜瘤が聴神経を圧迫することで、耳鳴りや聴力低下、平衡感覚の喪失などの聴力障害が生じることがあります。

 

・顔面神経麻痺

脳内の髄膜瘤が顔面神経を圧迫することがあるため、顔の筋肉の運動障害や感覚異常が生じることがあります。これにより、表情筋の麻痺やまひ、顔の感覚の鈍化が起こることがあります。

 

・発作

脳内の髄膜瘤が脳の機能を妨げることで、発作が発生することがあります。特に、脳の電気活動を制御する神経細胞が影響を受けると、痙攣や意識喪失などの発作症状が生じることがあります。

 

脊髄髄膜瘤の症状は、多岐にわたります。腫瘍が小さく、神経に影響を与えない場合は無症状であることもあります。

生まれてすぐに脊髄髄膜瘤の修復術を行う

脊髄髄膜瘤を改善する根本的な方法は今のところありません。生まれてすぐに脊髄髄膜瘤の修復術を行い、感染や症状が悪くなることを防ぎます。

 

水頭症に対しては、程度がどのくらいであるかによって、改善方法も異なります。足の症状に対してはリハビリテーションを行います。場合によっては、変形を直すために手術を行うこともあります。

 

排尿や排便の症状に対しては、清潔間欠的自己導尿や浣腸などを行います。

脊髄髄膜瘤は、脊髄や脳を覆う髄膜から発生する良性腫瘍です。改善方法は、腫瘍の大きさ、位置、成長速度、患者の年齢や健康状態などによって異なります。

小さな脊髄髄膜瘤で症状がほとんどない場合、患者の健康状態や年齢を考慮して、積極的なことを行わずに経過観察することが選択されることがあります。

 

 

脊髄髄膜瘤の主要な改善方法は手術です。目的は、腫瘍を完全に摘出し、神経機能の損傷を最小限に抑えることです。手術方法は、腫瘍の位置や大きさによって異なります。一般的には、顕微鏡下で腫瘍を摘出するマイクロサージェリーが行われます。完全摘出が困難な場合、部分的に腫瘍を除去し、症状の緩和を図ることがあります。

 

 

手術が適切でない場合や、手術後に残存した腫瘍がある場合には、放射線が行われることがあります。放射線は、腫瘍細胞に放射線を照射し、細胞のDNAを損傷させて腫瘍の成長を抑制する方法です。

 

 

脊髄髄膜瘤は、一般的に抗がん剤に反応しないことが多いですが、手術や放射線が適切でない場合や、悪性化した脊髄髄膜瘤の改善のために抗がん剤が用いられることがあります。

 

抗がん剤を用いて腫瘍細胞の増殖を抑制しますが、効果は個人差があり、副作用も懸念されるため、慎重に選択されます。

 

 

症状の緩和を目的に薬が使われることもあります。疼痛や神経障害に対して、鎮痛剤や抗炎症薬、抗てんかん薬、ステロイドなどを使います。薬は、症状の改善を目指して行われますが、腫瘍そのものを治療するものではありません。

 

 

手術や放射線の後に、神経機能の回復や症状の緩和を目的としたリハビリテーションが行われることがあります。

ストレッチやリハビリテーションを行うことが必要

脊髄髄膜瘤では、足の機能が低下しないように、ストレッチやリハビリテーションを行うことが必要です。ストレッチやリハビリテーションで大事なことは、続けることです。

 

水頭症に対して脳室腹腔シャントを設置している場合は、きちんと経過を観察し、頭痛などのシャント機能不全の兆候を見逃さない様にすることが大事になります。

脊髄髄膜瘤の改善例

背景:

50歳の男性。数か月前から徐々にひどくなる背中の痛みと、左下肢のしびれを訴えている。彼は整形外科でMRIが実施された。MRIの結果、脊髄髄膜瘤の疑いがあり、神経外科の専門医に紹介された。

 

判断:

神経外科医は、詳細な神経学的検査を行い、さらにMRIを詳細に分析した。結果、腰椎4番目と5番目の間にある脊髄の髄膜から発生した脊髄髄膜瘤であることが判明した。腫瘍は脊柱管内に広がっており、脊髄の圧迫が左下肢のしびれと痛みの原因と考えられた。

 

改善計画:

神経外科医は、本人と家族と相談のもと、脊髄髄膜瘤の手術的摘出が最善の方法であると判断した。手術のリスクと利益、および潜在的な合併症について説明した上で、手術を受けることに決定した。

 

術前準備:

術前の検査として、血液を調べたりや心電図、胸部X線などが行われたりして、全身の状態が評価された。全身麻酔を使用することが決定され、術前には抗生物質が投与され、感染予防が行われた。

 

手術:

外科医は、腰椎4番目と5番目の間の領域にアプローチするために皮膚切開を行い、筋肉や組織を慎重に剥がしていった。神経根の圧迫を回避するため、脊柱固定術が同時に行われた。これにより、椎間板と一部の椎骨が取り除かれ、その後人工椎間体とネジ・ロッドによる固定が行われた。

 

腫瘍を露出させた後、外科医は顕微鏡を使用して、脊髄髄膜瘤をできるだけ完全に摘出することを試みた。腫瘍と脊髄との境界が明確であったため、外科医は腫瘍を神経機能を損なわないように慎重に摘出した。

 

手術後の経過:

手術は成功し、術後の経過も良好であった。術後のMRIで、脊髄髄膜瘤がほぼ完全に摘出されていることが確認された。術後の痛み管理として、鎮痛薬が投与された。また、感染予防のために抗生物質が引き続き使用された。

 

リハビリテーション:

術後、リハビリテーションプログラムに参加した。これは、筋力と柔軟性の回復を目的としていた。リハビリテーションの期間中、痛みやしびれは徐々に改善されていった。

 

フォローアップ:

外科医は、定期的なフォローアップを行い、回復状況を評価した。MRIも定期的に行われ、腫瘍の再発がないことを確認した。徐々に日常生活に戻り、6か月後には仕事に復帰できるまでに回復した。

おすすめ記事