低ホスファターゼ症の鍼灸【原因・定義・症状】

公開日:2021年  7月20日

更新日:2021年 11月 9日

本日は低ホスファターゼ症について解説させていただきます。

本記事の内容

  • 低ホスファターゼ症とは
  • 低ホスファターゼ症の原因
  • 低ホスファターゼ症の症状
  • 低ホスファターゼ症の改善方法
  • 低ホスファターゼ症のまとめ
足のしびれ、痛み

銀座そうぜん鍼灸院の宗前です。

このページを書いている私は、鍼灸師として13年、担当した利用者様数80,000人を誇り、病気の休職者300人を社会復帰できるまで回復させてきた実績があります。

 

低ホスファターゼ症は、骨の石灰化に障害が起き骨が弱くなる病気

低ホスファターゼ症は、骨の石灰化に障害が起き骨が弱くなる病気です。骨の石灰化が障害されるのは、アルカリホスファターゼという酵素の異常が原因です。

 

発症する年齢は様々です。症状の程度に関しても非常に個人差が大きく、改善を行わなければ命に危険が及ぶほど重症の場合もあれば、ほとんど症状が見られない場合もあります。

低ホスファターゼ症の原因は、遺伝子の変異

低ホスファターゼ症の原因は、遺伝子の変異です。組織非特異型アルカリホスファターゼ遺伝子が変異することで低ホスファターゼ症を発症するのです。

 

遺伝性があり、遺伝形式はほとんどが常染色体劣性遺伝です。そのため、父親と母親が変異している遺伝子をそれぞれ1つずつ持っており、父親からも母親からも変異した遺伝子が伝わった場合、子供は低ホスファターゼ症を発症するのです。

 

症状が軽い人では、常染色体優性遺伝の形式で遺伝する場合もあります。

低ホスファターゼ症は、ヒト体内の酵素であるアルカリホスファターゼ(ALP)の活性が低下する病気です。これは、血液中のリン酸塩レベルが低下することで、骨や組織の正常な形成と機能が妨げられます。その原因は主に遺伝的なもので、特定の遺伝子の変異が関与しています。

 

まず、低ホスファターゼ症は、最も一般的な形態である仮性低リン血症(XLH)を含む一連の遺伝的疾患の一部であり、それぞれが特定の遺伝子変異に関連しています。XLHは、PHEX遺伝子の変異が原因で、この遺伝子は骨と歯の健康に重要な役割を果たします。PHEX遺伝子の変異は、血液中のリン酸塩レベルを制御するホルモン、FGF23の過剰な産生を引き起こします。その結果、腎臓がリンを再吸収する能力が低下し、尿とともにリンが体外に排出されます。これが血液中のリンレベル低下、すなわち低ホスファターゼ症を引き起こします。

 

他の低ホスファターゼ症もまた遺伝的な原因を持ちます。例えば、ハーセルバッハ・アディチ症候群(HHRH)は、SLC34A3遺伝子の変異が原因で、この遺伝子は腎臓のリン再吸収をコントロールします。また、FGF23遺伝子の変異も低ホスファターゼ症を引き起こす可能性があります。

 

低ホスファターゼ症の遺伝形態は、主に常染色体優性またはX連鎖という形をとります。常染色体優性遺伝では、変異遺伝子の一つだけが子に伝えられれば病気が発症します。一方、X連鎖遺伝では、男性はX染色体上の変異遺伝子一つで病気になりますが

 

 

 

 

 

 

女性では、病気になるためにはその遺伝子の両方が変異している必要があります。しかし、変異遺伝子を一つだけ持つ女性(ヘテロ接合体)も、一部の症状を示すことがあります。

 

低ホスファターゼ症の原因は遺伝的なものが主ですが、一部の人々では他の病気や状態が低ホスファターゼ症を引き起こすことがあります。たとえば、慢性腎病や一部の薬(例えば、抗がん剤やいくつかの抗生物質)は、リンの排泄を増加させ、リンの血中濃度を低下させる可能性があります。しかし、これらの状況下で発生する低ホスファターゼ症は通常、原因となる状態が改善されると解消します。

 

また、栄養不足、特にビタミンDやリンの不足は、低ホスファターゼ症を引き起こす可能性があります。これらの栄養素は、骨の健康と成長に必要です。ビタミンD不足は、腎臓がリンを再吸収する能力を低下させ、リンの排泄を増加させる可能性があります。その結果、血液中のリンレベルが低下し、低ホスファターゼ症を引き起こす可能性があります。

 

要するに、低ホスファターゼ症の主な原因は、遺伝子の変異によるものですが、他の病気、薬物、栄養不足などが原因となることもあるのです。

低ホスファターゼ症の症状は、非常に個人差が大きい

低ホスファターゼ症の症状は、様々です。症状には非常に個人差が大きく、年齢や症状の程度によって色々な症状が現れます。

 

骨に現れる症状は、骨の変形や骨折、骨の痛み、腕や足の短縮、低身長などです。けいれんや腎臓に結石ができる場合もあります。

 

乳児期には、哺乳不良が起こったり体重が増えなかったりという症状もあります。

低ホスファターゼ症は、血液中のリン酸塩レベルが異常に低い状態を指します。リン酸塩は、エネルギー産生、DNAとRNAの構造、細胞膜の構成、そして骨と歯のミネラル化に必要な重要なミネラルです。この病気の症状は、その原因となる特定の遺伝的変異や、その他の病状による影響の範囲と深刻さにより異なります。

 

低ホスファターゼ症の最も一般的な形態であるX連鎖性低リン血症(XLH)の症状には、子供の成長障害や骨の変形(ラキティス)があります。これは、リンが骨形成に必要なため、リンの低下は骨の成長と発達に影響を与えます。その結果、子供たちは通常、成長が遅く、歩行に困難を伴うことがあります。また、歯の発育不全や頻繁な虫歯が見られることもあります。

 

大人では、低ホスファターゼ症の症状は骨の痛み、骨折、歯の問題(例えば、脱落したり、虫歯になりやすかったりする)、そして筋力の低下を含む可能性があります。骨の痛みや骨折は、骨のミネラル化が不十分であるために起こります。また、筋力の低下は、リンがエネルギー産生に必要であるため、筋肉の正常な機能に影響を及ぼします。

 

低ホスファターゼ症はまた、一部に聴覚障害を引き起こす可能性があります。これは、内耳の構造がリンの不足により影響を受ける可能性があるためです。

 

それ以外の低ホスファターゼ症の形態、例えばハーセルバッハ・アディチ症候群(HHRH)では、症状はXLHと似ていますが、通常、骨の変形はより軽度であり、腎結石や腎不全のリスクが増加します。これは、HHRHが腎臓のリン再吸収に影響を与える遺伝子変異に関連しているためです。

 

さらに、低ホスファターゼ症の症状は、その他の病状や環境的要因によっても引き起こされる可能性があります。例えば、慢性腎病は血液中のリンレベルを低下させ、骨の疼痛、疲労、そして成長障害などの症状を引き起こす可能性があります。また、一部の薬、特に抗がん剤や一部の抗生物質は、リンの排泄を増加させる可能性があります。

 

栄養不足、特にビタミンDやリンの不足も低ホスファターゼ症の症状を引き起こす可能性があります。これらの栄養素は骨の健康と成長に必要です。ビタミンD不足は、腎臓がリンを再吸収する能力を低下させ、リンの排泄を増加させる可能性があります。その結果、血液中のリンレベルが低下し、骨の疼痛、疲労、および成長障害などの症状が現れる可能性があります。

 

要するに、低ホスファターゼ症の症状は、骨の問題(成長障害、骨の変形、骨痛、骨折)、歯の問題、筋力の低下、聴覚障害など、多岐にわたるのです。

足りない酵素を補充する酵素薬で改善を行う

以前は、低ホスファターゼ症の根本的な改善方法はなく、現れている症状に対して対処をし、改善を行なっていました。

 

しかし最近では、足りないアルカリホスファターゼ酵素を補充する酵素薬が開発され、酵素薬によって酵素を足りない補充することで改善の効果が期待できるようになりました。

 

今後は酵素を補充する方法で改善を行い、さらに症状に合わせて対処をして改善に取り組んでいくのではないかと考えられています。

低ホスファターゼ症は、血液中のリン酸塩レベルが異常に低い状態で、これに対する改善方法はその原因となる病気や症状の重症度によって異なります。このブログでは、低ホスファターゼ症の一般的な改善法について詳しく説明します。

 

一般的な改善法の一つは、リンと活性型ビタミンDの補充です。これは、血液中のリンレベルを増加させ、ビタミンDがリンとカルシウムの吸収を促進するためです。リンの補充は通常、一日数回の投与が必要です。しかし、これらの改善方法は副作用を引き起こす可能性があります。例えば、リン補充は下痢を引き起こす可能性があり、また、活性型ビタミンDはカルシウムの過剰な蓄積を引き起こす可能性があります。

 

最近では、低ホスファターゼ症の改善方法としてFGF23抑制剤が開発されています。これは、FGF23というホルモンがリンの再吸収を阻害することを利用したものです。FGF23抑制剤は、FGF23の働きをブロックし、リンの再吸収を促進します。この改善方法は、特にX連鎖性低リン血症(XLH)の場合に有効であることが示されています。

 

さらに、骨変形や成長障害などの重篤な骨の問題がある場合は、整形外科的手術が必要となることがあります。これは、骨の変形を修正し、関節の機能を改善し、痛みを軽減するためのものです。

 

また、低ホスファターゼ症の症状を引き起こす他の病気や状態(例えば慢性腎病や特定の薬)がある場合は、それらの病気や状態を管理または改善を行うことが重要です。

 

栄養不足が低ホスファターゼ症の原因である場合は、適切な栄養補給と食生活の改善が必要です。これには、リンとビタミンDが豊富な食品の摂取や、必要に応じて栄養補助食品の利用が含まれます。

 

個人さんの症状や健康状態により、これらの改善方法は個々に調整されます。一部では、これらの改善方法を組み合わせて使用することもあります。

 

重要なのは、低ホスファターゼ症の改善は、個人の特定の症状やニーズに合わせてカスタマイズされるということです。

 

改善を行うときの目標は、症状を管理し、生活の質を改善し、可能な限り正常な生活を送ることができるようにすることです。専門家と密接に連携し、計画を作成し、適切な改善を受けることが重要です。

低ホスファターゼ症の症状の程度は人によって様々

低ホスファターゼ症の症状の程度は人によって様々です。症状のある場合は、定期的に病院に行くことが大切です。

 

症状がほとんどないという場合でも、骨折したり歯周病が起こったりしやすい状態になっていることがあるため、骨の痛みや歯の健康など、注意して生活をすることが大切です。

低ホスファターゼ症の改善例

Mさんのケースを紹介します。彼女は10歳の時にX連鎖性低リン血症(XLH)と判断されました。この時点で、Mさんはすでに身長の遅れと腿骨の変形を経験していました。さらに、歩行時には痛みを感じることがありました。Mさんの症例は、低ホスファターゼ症の一般的な症状と合致していました。

 

まず、Mさんの改善の計画はリンと活性型ビタミンDの補充から始まりました。これは、血液中のリンのレベルを上げ、骨のミネラル化を促進するためです。リンは一日に数回、食事と一緒に摂取されました。また、ビタミンDは、リンとカルシウムの吸収を助けるために一日一回投与されました。

 

この方法は、血液中のリンレベルを増加させるのに役立ちましたが、Mさんの骨の変形と成長の問題は改善されませんでした。そのため、新たな方法としてFGF23抑制剤が導入されました。これは、リンの再吸収を阻害するFGF23というホルモンの活動を抑制することで、血液中のリンレベルをさらに上げるものです。

 

FGF23抑制剤の投与開始後、Mさんの血液中のリンレベルはさらに改善し、身長の成長速度も上昇しました。さらに、骨の痛みも軽減され、歩行時の不便さも減少しました。

 

しかし、Mさんの腿骨の変形は依然として改善が見られなかったため、整形外科的手術を行うことに決定しました。手術は成功し、Mさんの歩行能力は大幅に改善されました。

 

Mさんの改善方法は、症状の改善と生活の質の向上に焦点を当てています。改善の進行と共に、定期的に血液や身体を調べ、改善の効果を評価しています。これにより、必要な調整を行い、Mさんの健康状態を最適に保つことが可能となります。

 

このケースは、低ホスファターゼ症の改善方法が複数のアプローチを組み合わせた個別化された計画に基づいて行われることを示しています。そして、Mさんのケースのように、初期の改善法がすべての症状に対して効果的でない場合でも、新たな方法を導入することで症状の改善と生活の質の向上を達成することが可能です。

 

Mさんの改善方法は、血液中のリンレベルの管理、骨の変形の修正、そして身体の成長と機能の最適化を目指しています。そして、Mさん自身がその計画に積極的に関与し、それぞれのステップでの彼女のフィードバックが改善の成功に大きく貢献しています。

 

さらに、Mさんの家族は彼女の改善を行うにあたって大きな支援を提供しています。家族は、Mさんが必要な改善を適切に受けることができるように、彼女の日常生活を調整し、専門家との定期的なコミュニケーションを保つための役割を果たしています。

 

最後に、Mさんが行った改善では、彼女の生活の質と健康状態を改善するだけでなく、他の低ホスファターゼ症を発症した人にとっての重要な学習の機会を提供しています。Mさんのケースは、低ホスファターゼ症を発症した人が適切な改善を受けることで、症状を管理し、生活の質を改善し、可能な限り正常な生活を送ることができることを示しています。

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