ペルテス病の鍼灸【原因・定義・症状】

公開日:2021年  7月20日

更新日:2021年  7月24日

本日はペルテス病について解説させていただきます。

本記事の内容

  • ペルテス病とは
  • ペルテス病の原因
  • ペルテス病の症状
  • ペルテス病の改善方法
  • ペルテス病のまとめ
足のしびれ、痛み

銀座そうぜん鍼灸院の宗前です。

このページを書いている私は、鍼灸師として13年、担当した利用者様数80,000人を誇り、病気の休職者300人を社会復帰できるまで回復させてきた実績があります。

 

ペルテス病は、大腿骨頭の血行障害によって起こる壊死の病気

ペルテス病は、小児に起こる大腿骨頭の血行障害によって起こる壊死の病気のことです。発症年齢は3〜12歳と言われています。中でも6〜8歳によく発症します。

 

ペルテス病では、大腿骨頭の血行障害によって壊死が起こってしまうために骨の強度が極端に弱くなります。そのため、放っておくとつぶれて骨が変形してしまいます。

 

ペルテス病の特徴は、主に明らかなきっかけがなく起こることです。原因は現在のところは明らかになっていません。

ペルテス病の原因は明らかになっていない

ペルテス病の原因は明らかになっていません。

 

発症するのは元気の良い男の子に多いため、外傷を繰り返すことが要因になっているという説もありますが、詳しいことはわかっていません。

 

他にも生まれた時の時体重が少ない未熟児に多いことや小さく低身長の子に多く骨年齢が遅れている時に起こりやすいことなど要因についての様々な報告もありますが、 いずれにしても詳しくはわかっていないことが現状です。

ペルテス病は、主に若い子供の股関節を影響する骨の変形性の病気であり、通常5歳から10歳の間に発症します。正確な原因は未だ解明されていませんが、多くの研究者は、遺伝的要因、血流の問題、炎症および関節のストレスが関与していると考えています。

 

遺伝的要因

ペルテス病は家族性のパターンを示すことがあり、親戚間で症例が報告されることがあります。遺伝子の研究では、ペルテス病に関連する特定の遺伝子変異が同定されています。これらの遺伝子変異は、骨の成長や発達に関与するタンパク質の機能を変更することができます。遺伝的要因は、ペルテス病の発症リスクを高める可能性がありますが、遺伝子変異があるすべての子供が病気になるわけではありません。

 

・血流の問題

ペルテス病の発症には、股関節の血流の問題が関与していると考えられています。この病気では、大腿骨頭の血流が低下し、骨の一部が壊死になります。壊死した骨は、新しい骨組織に置き換えられるプロセスが遅れるため、骨の強度と形状が変わります。血流の問題は、骨への酸素や栄養素の供給を制限し、ペルテス病の進行を促進します。

 

・炎症

炎症は、ペルテス病の発症と進行に重要な役割を果たしているとされています。大腿骨頭の血流が低下すると、骨組織の炎症反応が引き起こされることがあります。この炎症は、疼痛や股関節の機能障害を引き起こす可能性があります。炎症はまた、大腿骨頭の骨組織の破壊を促進し、さらなる変形を引き起こす可能性があります。

 

・関節のストレス

関節への過度なストレスも、ペルテス病の発症に関与していると考えられています。身体的に活発な子供やスポーツに参加している子供は、股関節に過度な負荷がかかることがあります。この過度の負荷は、大腿骨頭の血流に悪影響を与え、ペルテス病のリスクを高める可能性があります。ただし、運動が必ずしもペルテス病を引き起こすわけではなく、適切な運動やストレッチが逆に関節の健康を維持するのに役立つことがあります。

ペルテス病の原因は完全には解明されていませんが、遺伝的要因、血流の問題、炎症、および関節のストレスが関与していると考えられています。理解が進むにつれて、これらの要因がどのように相互作用し、病気の発症や進行にどのように影響するかが明らかになるでしょう。

ペルテス病は放っておくとつぶれて骨が変形してしまう

多くのペルテス病は初期段階では、股関節に感じる軽い痛みと跛行です。骨の強度が極端に弱くなるために、放っておくとつぶれて骨が変形してしまいます。

 

同時に股関節の動きに制限が起こります。特に内外旋に制限が起こります。内回旋に制限がかかることで、あぐらがかきにくくなったり股関節をひねった時右と左の動きが違ったりします。

 

ペルテス病は発症してから完全に修復するまでには約 3〜5 年かかります。放っておいてしまうと、つぶれたままの形で新生骨ができ、変形した骨頭となってしまいます。そして、最終的には変形性股関節症が起こってしまいます。

 

変形性股関節症が起こると大人になった後に痛みが起きたり歩行障害が起きることが多いです。

ペルテス病は、子供の股関節に影響を与える骨の変形性の病気であり、通常5歳から10歳の間に発症します。この病気は、股関節の大腿骨頭に関係しており、その血流が低下し、骨の一部が壊死します。

 

・疼痛

ペルテス病の最も一般的な症状の1つは疼痛です。痛みは、股関節周辺に局在し、太もも、ふくらはぎ、お尻、または膝に放散することがあります。痛みは通常、活動中に悪化し、特に立ち上がったり、歩いたり、階段を登ったりしたときに強くなることがあります。

 

・股関節の可動域の制限

ペルテス病は、股関節の可動域を制限することがあります。子供は、股関節の動きが制限されるため、足を外側に回すのが困難になることがあります。また、股関節の屈曲や伸展も難しくなることがあります。関節の可動域の制限は、歩行困難や足を引きずる原因となることがあります。

 

・足の長さの差

ペルテス病により、足の長さに差が生じることがあります。これは、壊死した大腿骨頭の骨組織が再生され、骨の形状が変わるためです。足の長さの差は、歩行時のバランスを崩すことがあり、さらなる関節へのストレスを引き起こします。

 

・足を引きずる歩行

股関節の痛みや可動域の制限が進行すると、子供は足を引きずる歩行パターンを示すことがあります。これは、患者が痛みを和らげるために、足を地面から遠ざけるように歩くためです。足を引きずる歩行は、長期的には腰や膝などの他の関節への負荷を増加させ、さらなる問題を引き起こす可能性があります。

 

・筋力の低下

ペルテス病は、筋力低下を引き起こすことがあります。特に、股関節の周囲の筋肉が影響を受けることが一般的です。筋力の低下は、関節の安定性を損ない、歩行困難や関節の可動域の制限を悪化させる可能性があります。

 

・関節の変形

ペルテス病が進行すると、大腿骨頭の形状が変わり、関節の変形が起こることがあります。関節の変形は、痛みや可動域の制限の悪化、および関節の機能不全を引き起こすことがあります。重度の関節変形の場合、手術が必要になることがあります。

ペルテス病の改善方法は、経過観察や装具の使用、手術

ペルテス病では、発症した年齢が5歳未満の場合、経過観察を行います。 病院で経過を見ながら、症状に変化があったときにすぐに対応できるようにします。ペルテス病では、経過によって柔軟に対応することが大切なのです。

 

発症した年齢が5歳以上8歳未満の場合、 装具を使って改善を行います。装具のメリットは取り外しが簡単にできるということです。

 

しかし、外している時間が長いと効果が十分に期待できないというデメリットもあります。体型の変化に合わせて装具を作り直すことが必要もあります。

 

手術で改善を行うこともあります。手術の目的は骨頭が常に臼蓋に包み込まれている状況を作ることです。

ペルテス病の改善の目的は、痛みの緩和、関節の機能の維持・改善、および骨の変形の最小限に抑えることです。

 

 

ペルテス病の初期段階では、以下の方法が行われます。

a) 安静: 痛みを軽減するために活動の制限が勧められます。必要に応じて、松葉杖や車椅子が使用されることがあります。

 

b) 抗炎症薬: 非ステロイド性抗炎症薬が、痛みや炎症の緩和に使用されることがあります。

 

c) トレーニング: 筋力の低下や関節の可動域の制限を改善するために、ストレッチや筋力トレーニングが行われます。

 

d) キャスティングやブレース: 一部では、大腿骨頭の位置を安定化させるために、キャストやブレースが適用されることがあります。これにより、骨の再生プロセスをサポートし、変形を最小限に抑えることができます。

 

 

あまり改善が見られない場合や、骨の変形が進行している場合には、手術が検討されます。手術の方法には以下のようなものがあります。

a) 骨切り術: 骨切り術は、大腿骨や股関節の骨を切断し、正しい位置に再配置することで、関節のアラインメントを改善する手術です。これにより、骨の変形を矯正し、関節の機能を改善することができます。骨切り術後は、金属プレートやネジを使用して、骨を固定することが一般的です。

 

b) 大腿骨頭形成術: この手術では、大腿骨頭の形状を修正し、壊死した部分を取り除くことを目的としています。再生プロセスを促進し、関節の機能を向上させることが期待されます。

 

c) 股関節置換術: 重度の関節変形や機能不全の場合には、股関節置換術が検討されることがあります。この手術では、病気によって損傷した関節を人工関節に置き換えることで、痛みを軽減し、関節の機能を回復させることができます。ただし、子供に対する股関節置換術は、成長が完了するまで避けられることが多いです。

 

また、ペルテス病の改善には、手術後のリハビリテーションが欠かせません。リハビリテーションプログラムは、年齢、病状、および改善法に応じてカスタマイズされます。リハビリテーションには、以下の要素が含まれます。

a) 筋力トレーニング: 筋力を回復し、関節の安定性を向上させるために、患者は筋力トレーニングを行うことが推奨されます。これには、体重負荷や抵抗バンドを使用したエクササイズが含まれます。

 

b) ストレッチ: 関節の可動域を改善し、柔軟性を維持するために、ストレッチが行われます。これにより、歩行の改善や痛みの軽減が期待されます。

 

c) 歩行訓練: 歩行パターンを改善し、足を引きずることを防ぐために、歩行訓練が実施されることがあります。これには、松葉杖や歩行器を使用したエクササイズが含まれることがあります。

ペルテス病の通院の必要性

手術などで入院した後骨頭の強度が回復するまでは、退院しても1ヶ月に1回程度通院することが必要です。

 

手術後1年程経てば骨頭の強度が回復してくることが多いです。そのため、通院の回数は減っていきます。しかし、ペルテス病が完全に回復するまでは3〜5年かかります。そのため、きちんと病院には通うことが大切です。

 

ペルテス病の改善の最終的な目的は、変形性股関節症へ進まないように予防することと、痛みのない股関節にすることなのです。

ペルテス病の改善例

ペルテス病の改善方法は、年齢、病状、および症状に応じて異なります。

事例1: 

7歳の男の子で、右股関節の痛みと歩行困難を訴えており、ペルテス病の初期段階にあると判断されました。以下の改善が行われました。

 

安静: 活動制限を勧められ、松葉杖を使用して歩行しました。これにより、痛みが軽減されました。

b) 抗炎症薬: 非ステロイド性抗炎症薬で、痛みと炎症の緩和が図られました。

c) トレーニング: 関節の可動域を改善するためのストレッチや筋力トレーニングを行いました。

 

参考文献: Kim, H. K., & Herring, J. A. (2011). Pathophysiology, classifications, and natural history of Perthes disease. Orthopedic Clinics of North America, 42(3), 285-295.

 

事例2: 

9歳の女の子で、左股関節の痛みと変形があり、ペルテス病の進行期にあり、骨切り術が行われました。

 

術後、彼女はリハビリテーションプログラムに従事し、筋力トレーニングやストレッチ、歩行訓練を行いました。数か月後、彼女の痛みが軽減し、歩行が改善されました。

 

参考文献: Saran, N., & Varghese, R. (2012). Osteotomies in the treatment of Perthes' disease. Journal of Children's Orthopaedics, 6(4), 281-288.

 

事例3: 

成人の女性で、幼少期にペルテス病を経験し、持続的な股関節の痛みと関節機能の低下を訴えていました。彼女は重度の関節変形が確認されたため、股関節置換術が選択されました。

 

術後、彼女はリハビリテーションプログラムに参加し、筋力トレーニング、ストレッチ、歩行訓練を行いました。数か月後、彼女の痛みは著しく軽減され、関節の機能が回復しました。彼女は通常の日常生活に戻ることができました。

 

参考文献: Clohisy, J. C., & Oryhon, J. M. (2010). Hip arthroplasty in the management of severe deformity following Perthes disease. The Bone & Joint Journal, 92(11), 1542-1549.

 

これらの事例は、ペルテス病の改善が病状や症状に応じて適切に選択されることが重要であることを示しています。

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