ラーセン症候群の鍼灸【原因・定義・症状】

公開日:2023年  1月 2日

更新日:2023年  1月11日

本日はラーセン症候群について解説させていただきます。

本記事の内容

  • ラーセン症候群とは
  • ラーセン症候群の原因
  • ラーセン症候群の症状
  • ラーセン症候群の改善方法
  • ラーセン症候群について
足のしびれ、痛み

銀座そうぜん鍼灸院の宗前です。

このページを書いている私は、鍼灸師として13年、担当した利用者様数80,000人を誇り、病気の休職者300人を社会復帰できるまで回復させてきた実績があります。

 

ラーセン症候群は、顔貌異常が現れる多発性先天性脱臼を有する病気

ラーセン症候群は、顔貌異常が現れる多発性先天性脱臼を有する病気です。ラーセン症候群という病名は、1950年にラーセンによってはじめて報告されたことからつけられています。

 

ラーセン症候群の特徴は、前頭部突出や顔面中央部の低形成、眼間開離、小顎などの顔貌異常と脱臼や拘縮などの多発関節障害、へら状の指です。

 

日常生活を送る上で、股、膝、肘などの大きな関節の多発脱臼と内反足が特に大きな問題になります。

ラーセン症候群の原因は、フィラミンB遺伝子の変異

ラーセン症候群の原因は、フィラミンB遺伝子の変異です。しかし、フィラミンB遺伝子に変異が起こることによってなぜラーセン症候群の色々な症状が現れるのかについては今のところわかっていません。

 

遺伝形式は、多くの場合常染色体優性遺伝です。

ラーセン症候群は、先天性の骨格異常を伴うレアな遺伝性の病気であり、その名前は、病気を初めて詳しく報告したアメリカの医師、Joseph A. Larsen Jr.に由来します。この症候群は、人間の骨格形成に深く関与する特定の遺伝子に変異があることによって引き起こされます。

 

ラーセン症候群の主な原因は、"FLNB"と呼ばれる遺伝子に生じる変異です。この遺伝子は、フィリン-Bというタンパク質をコードしています。フィリン-Bは、細胞の形状や移動、分裂を調節するために、細胞骨格を構成するアクチンフィラメントの組織化に重要な役割を果たしています。

 

特に、フィリン-Bは骨と軟骨の発生、形成において重要な機能を果たします。したがって、この遺伝子に変異があると、骨格の形成が不適切になり、ラーセン症候群の特徴である多数の関節異常や他の骨格異常を引き起こすことがあります。

 

ラーセン症候群は、一般的に自己優性遺伝のパターンを辿ります。つまり、変異した遺伝子の1つが親から子に伝えられるだけで、病気を発症する可能性があります。親が変異した遺伝子を持っている場合、その親の子供が病気を継承する可能性は50%です。

 

しかしながら、多くの場合、ラーセン症候群は新規の変異、すなわち両親がFLNB遺伝子の変異を持たない状況下で発生します。これは、卵子または精子が形成される過程での突然変異によるもので、この現象はデノヴォ(新規)変異と呼ばれます。

 

これまでに、FLNB遺伝子のさまざまな変異がラーセン症候群の原因として特定されています。

ラーセン症候群の症状は、多発性先天性関節脱臼と顔貌異常

ラーセン症候群の症状は、多発性先天性関節脱臼と顔貌異常、へら状指です。

 

多発性先天性関節脱臼は大きな関節に起こります。特に股や膝、肘関節に多く、膝関節脱臼によって起きる反張膝はラーセン症候群の特徴的な症状です。顔貌異常の典型的な特徴は前頭部突出、眼間解離、下顎の低形成です。

 

他にも、拘縮が強い内反足変形や関節弛緩性によって起こる外反踵足変形が見られることも多いです。椎体間の関節弛緩性によって起こる頚椎後弯や胸腰椎後側弯が見られることもあります。

 

場合によっては、低身長や口唇裂、口蓋裂、水頭症、白内障、停留睾丸、混合性難聴、合指症などがみられることもあります。

ラーセン症候群は、関節や骨格の異常を伴う遺伝性の病気であり、これらの症状は生まれつき存在することが多いです。しかし、症状の程度は個人により大きく異なり、一部では比較的軽度の症状が見られる一方で、他では重篤な身体的な制約が見られます。

 

一般的に、ラーセン症候群の主な症状は以下のようにまとめることができます。

 

関節の異常:ラーセン症候群患者の最も一般的な症状は、肘、膝、足首、手足の関節の脱臼または亜脱臼です。これらの関節異常はしばしば複雑で、特に足首と足の関節に重篤な影響を与え、歩行困難を引き起こすことがあります。

 

顔面特徴:顔面特徴もラーセン症候群の一部となります。これらは通常、平坦な顔、広い鼻梁、前頭部の隆起、深い目窩などを含みます。また、顔面骨格の異常は中耳に影響を及ぼし、結果として慢性的な中耳炎や難聴を引き起こすことがあります。

 

脊柱の異常:脊柱側彎(背骨が"S"または"C"字形に曲がる症状)や脊柱前彎(腰部が前方に突出する症状)などの脊椎の形状の異常もラーセン症候群の典型的な症状です。これらの症状は肩、背中、または腰の不快感や痛みを引き起こす可能性があります。

 

心血管異常:ラーセン症候群の一部では、心臓の異常や血管の異常を示すことがあります。これには先天性心の病気、大動脈瘤、または大動脈解離などが含まれます。

呼吸器系の問題:特に重度のラーセン症候群では、頚部の脊椎異常が気道を圧迫し、呼吸困難や睡眠時無呼吸を引き起こすことがあります。これらの問題は、特に新生児期または幼児期に深刻であることがあります。

 

視覚問題:いくつかの症例では、近視、弱視、白内障、緑内障などの眼の病気を示すことがあります。

 

成長遅滞:一部のラーセン症候群では、生長遅滞を経験することがあります。これは、骨格の異常や慢性的な痛みが食事摂取を妨げ、栄養不足につながるためです。

 

知的障害と学習障害:ラーセン症候群の一部では、知的障害や学習障害を示すことがありますが、これは比較的まれで、全てに当てはまるわけではありません。

整形外科的な問題に対して対処を行う

ラーセン症候群の根本的な改善方法はありません。整形外科的な問題に対して対処を行うことになります。ただし、全身の状態が安定している場合にのみ行うことができます。

 

多発性の変形や脱臼に対しては、いつ改善を始めるのか、どのような方法で改善を行うのかなど色々なことを考えた上で改善を行うことが大事です。

 

膝関節と足部については、できるだけ早い時期からギプス矯正や装具が必要になります。

 

頸椎後弯がある場合は、不可逆的な頚髄損傷につながる可能性もあるため、頚髄損傷を防ぐために手術を行うことが必要です。

ラーセン症候群の改善方法は、症状の範囲と重症度、全体的な健康状態に大いに依存します。一部では、生活の質を向上させるための方法が求められます。一方、症状の管理や予防的手術が必要になるかもしれません。

 

整形外科的介入:関節の脱臼や亜脱臼、脊柱の異常などの骨格異常の改善方法には、一般的に整形外科的介入が必要です。これは、関節の安定化、骨折の修復、または脊柱の直正など、手術を含みます。具体的な手術方法は、個々の病状と健康状態による。

 

リハビリテーション:物理的な方法や作業は、日常生活の活動を可能な限り自立して行うことを支援します。これらの方法は、関節の可動域を改善し、筋力を向上させ、運動の均整を保つことに重点を置いています。

 

特別なサポート:視覚や聴覚の問題がある場合には、適切な補助具やサービスが必要です。これには、補聴器、視覚支援技術、または特別な教育サービスが含まれます。

 

心血管系のケア:心臓や血管の異常を持つ場合は、専門的な心臓科医のケアが必要です。これは、薬や手術などの方法を含むことがあります。

 

呼吸器系のケア:呼吸困難を経験する場合は、呼吸器専門医のケアが必要です。これは、呼吸補助器具の使用や特定の手術を含むことがあります。

 

栄養サポート:一部では食事摂取の困難さや慢性的な痛みにより、栄養不足に陥る可能性があります。その場合、栄養士や他のヘルスケアプロバイダーと協力して、適切な食事計画を作成することが求められます。

 

心理的支援:ラーセン症候群の本人やその家族は、病気の影響に対処するための心理的な支援を必要とすることがあります。これはカウンセリング、心理的介入、または支援グループへの参加を含むことがあります。

 

教育的支援:学習障害を持つ子どもは、特別な教育サービスや支援が必要です。これには、個別教育プログラム(IEP)の作成や学習支援サービスへのアクセスが含まれます。

 

定期的な評価:ラーセン症候群では、病状の進行と効果を確認するために、定期的な評価を必要とします。

 

ラーセン症候群の改善方法は、個々の症状に対応するために個別化され、一人一人の必要性と能力に基づいて調整されます。

ラーセン症候群の整形外科的な問題は、抵抗性がある

ラーセン症候群の整形外科的な問題は、改善を行っても抵抗性があるため、小児期に適切に改善に取り組んだとしても成人期以降に脊柱の変形や関節の障害などが残ることも多いです。

 

そのため、ギプス矯正や装具をつけていたとしても手術が必要になることがほとんどです。

 

ラーセン症候群の改善例

個々の症状、全般的な健康状態、ライフスタイルの要素によって大きく左右されます。痛みの管理、運動能力の改善、日常生活への適応力の向上、および合併症の予防。これは、薬、リハビリテーション、手術、および精神的なサポートを通じて達成されます。

 

それでは、科学的な研究や公開された医学的なケーススタディに基づいて、ラーセン症候群の改善例を想像的に説明します。

 

田中くん(仮名)は、生後すぐに多くの関節の脱臼(肘、膝、肩)と頸部の脊柱異常を伴って判断されました。田中くんの計画は、専門的なチームによって彼の病状に合わせて策定されました。

 

まず、彼の頸部の脊柱異常に対処するために、田中くんは整形外科医と神経外科医による手術を受けました。これにより、頸部の安定化が達成され、将来的な神経障害のリスクが軽減されました。

 

次に、田中くんの多数の関節脱臼に対処するために、彼は物理的な方法と作業方法を開始しました。これらの方法は、彼の筋肉を強化し、関節の可動域を改善し、彼が日常的な活動を行う能力を向上させることを目指しています。

 

また、田中くんは定期的な栄養的評価を受けています。ラーセン症候群は、食事摂取の困難さや慢性的な痛みにより、栄養不足を引き起こす可能性があります。したがって、彼の栄養状態は定期的に評価され、必要に応じて特別な食事計画が作成されています。

 

最後に、田中くんと彼の家族は、彼の病気とその影響についてカウンセリングを受けています。これは、彼と彼の家族が病気の心理的な側面に対処する手助けとなり、彼が積極的で自立した生活を送るための支援を提供しています。

 

このケースは仮想的なものですが、このようにラーセン症候群の改善方法は、一人一人の具体的な症状と需要に応じてカスタマイズされます。

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