微絨毛封入体病の鍼灸【原因・定義・症状】

公開日:2022年 12月 2日

更新日:2023年  1月13日

本日は微絨毛封入体病について解説させていただきます。

☆本記事の内容

  • 微絨毛封入体病とは
  • 微絨毛封入体病の原因
  • 微絨毛封入体病の症状
  • 微絨毛封入体病の改善方法
  • 微絨毛封入体病のまとめ
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銀座そうぜん鍼灸院の宗前です。

このページを書いている私は、鍼灸師として13年、担当した利用者様数80,000人を誇り、病気の休職者300人を社会復帰できるまで回復させてきた実績があります。

 

微絨毛封入体病は、大量の水様の下痢が現れる病気

微絨毛封入体病は、腸管上皮細胞の微絨毛が腸管腔側に正しい状態で局在できないことによって大量の水様の下痢が現れる病気です。先天性微絨毛萎縮症と呼ばれることもあります。

 

微絨毛封入体病では、体から水や電解質や重炭酸が失われ、栄養素の吸収に障害が起きます。

微絨毛封入体病は、MYO5B遺伝子の異常

微絨毛封入体病は、MYO5B遺伝子の異常です。

 

本来、腸管上皮細胞が成熟する過程で起こるはずの細胞内での微細構造の移送に関係している機能に異常が起こることによって、微絨毛が腸管腔側に正常に局在できないことによって発症するのです。

 

微絨毛封入体病の原因となる遺伝子がMYO5B遺伝子であるということを報告したのは、Mueller Tらで2008年に報告されています。

微絨毛封入体病は、非常にまれな遺伝性の病気で、小腸の吸収機能が大幅に低下することが特徴です。MVIDは、主に新生児期に発症し、重度の下痢や栄養不良、脱水などの症状を引き起こします。この病気は、生命にかかわる合併症を引き起こす可能性があり、適切な改善をおこなわなければ生存率が低いことが知られています。

 

MVIDの原因は、主にMYO5B遺伝子の変異です。MYO5B遺伝子は、小腸上皮細胞の微絨毛の機能に関与しており、特に栄養素の吸収を助ける役割があります。MYO5B遺伝子の変異によって、微絨毛の構造や機能が正常に働かなくなり、MVIDの症状が発現します。この遺伝子変異は、常染色体劣性遺伝のパターンで受け継がれます。つまり、両親から変異したMYO5B遺伝子を1つずつ受け継ぐことで、子どもがMVIDを発症するリスクがあります。

 

MVIDの原因となる遺伝子変異の種類は、人によって異なります。一部の人では、MYO5B遺伝子の変異以外にも、STX3遺伝子やSTXBP2遺伝子の変異が関与していることが報告されています。これらの遺伝子も、小腸の吸収機能に関与しており、変異がMVIDの症状を引き起こすと考えられています。

 

MVIDの発症メカニズムは、まだ完全には解明されていませんが、微絨毛の機能障害が栄養素の吸収不良を引き起こすことが主要な要因であると考えられています。さらなる研究によって、MVIDの原因や発症メカニズムに関する理解が進むことが期待されています。

微絨毛封入体病の症状は、明らかな水様下痢

微絨毛封入体病の症状は、明らかな水様下痢です。水様下痢は、生まれた後、数日以内に起こります。水様下痢の量は1日で体重1kgあたり100〜500mLとも言われています。明らかに脱水し、代謝性アシドーシスが見られます。

 

便の中には塩類や重炭酸が漏れ出て常に著しい浸透圧性下痢になり、血清カルシウムやマグネシウムやリンも低下していきます。

 

経口や経腸で栄養を摂取しても吸収効率が非常に悪く、栄養のほとんどを経静脈的に補給することが必要になります。

MVIDは、主に新生児期に発症し、小腸の吸収機能が大幅に低下することが特徴です。その結果、以下のような症状が現れます。

 

重度の下痢: MVIDの最も一般的な症状は、生まれてすぐに始まる重度の下痢です。下痢は持続的であり、脱水や電解質の不均衡を引き起こすことがあります。

 

脱水: 重度の下痢により、急速に脱水状態に陥ることがあります。脱水は、血圧低下、脈拍の増加、皮膚の乾燥、尿量の減少などの症状を引き起こします。

 

栄養不良: 小腸の吸収機能が低下するため、MVIDでは栄養不良に陥りやすくなります。これにより、体重増加の遅れ、発育不全、免疫機能の低下などの症状が現れます。

 

電解質の不均衡: 下痢や脱水により、体内のナトリウム、カリウム、カルシウムなどの電解質バランスが乱れることがあります。これは、筋肉のけいれん、不整脈、痙攣などの症状を引き起こすことがあります。

 

腸管機能障害: MVIDでは、腸管運動の異常や腸管内圧の上昇が報告されています。これにより、便秘や腸閉塞のリスクが高まります。

 

肝疾患: MVIDを発症している人の一部では、肝臓の機能障害や肝硬変が報告されています。これは、長期の栄養不良や脂肪の蓄積によるものと考えられています。

 

MVIDの症状は、異なる程度の重症度で現れます。そのため、個々に対して適切な改善やケアが必要とされます。重症度によっては、以下のような追加の症状や合併症が現れることがあります。

 

貧血: 栄養不良や電解質の不均衡により、貧血を発症することがあります。貧血は、疲労感、息切れ、めまい、頻脈などの症状を引き起こします。

 

骨粗鬆症: 長期の栄養不良やカルシウム吸収不良により、MVIDでは骨粗鬆症のリスクが高まります。骨粗鬆症は、骨折や骨の変形、身長の低下などの症状を引き起こすことがあります。

 

皮膚の病気: 栄養不良や免疫機能の低下により、皮膚感染や皮膚炎のリスクが高まります。また、脱水による皮膚の乾燥やかゆみも現れることがあります。

 

成長遅延: MVIDでは、栄養不良により身体的および精神的な発達が遅れることがあります。これは、学業や社会的な活動に悪影響を与える可能性があります。

微絨毛封入体病の改善に大事なことは、中心静脈ルートの確保

微絨毛封入体病を改善するために大事なことは、早い段階で中心静脈ルートの確保をすることです。これは、新生児期に高度の脱水とアシドーシスが見られるために必要になることです。

 

経腸栄養の吸収効率が非常に悪くなるため、経静脈栄養に依存してしまうようになります。そのため、肝障害や腎障害のことを考えた栄養管理も重要です。

以下は、微絨毛封入体病の改善法です。

 

 

栄養サポート: MVIDでは、小腸の吸収機能が低下するため、栄養補助が必要です。経口摂取が困難な場合、全栄養剤を用いた静脈から栄養を補給する方法が行われます。ただし、長期間のTPN使用は肝障害や感染のリスクがあるため、適切な管理が重要です。

 

脱水と電解質の管理: MVIDでは脱水や電解質不均衡のリスクが高いため、輸液や電解質補給が必要です。特にナトリウム、カリウム、カルシウムの補給が重要で、血中濃度を適切に維持することが求められます。

 

抗生物質: 免疫機能の低下により、感染症のリスクが高まります。感染が疑われる場合、抗生物質が使用されます。また、長期のTPNでの改善に伴うカテーテル関連感染の予防も重要です。

 

腸管機能の改善: MVIDでは腸管運動の異常や腸管内圧の上昇が報告されており、腸管機能を改善する方法が試みられることがあります。例えば、プロキネティック薬が使用されることがあります。

 

小腸移植: 重症の場合には、小腸移植が検討されることがあります。小腸移植は根治的な改善方法であり、成功すればTPNからの離脱が可能となります。ただし、移植の成功率や合併症のリスクが存在するため、慎重な評価が必要です。

 

遺伝子: MVIDの原因となる遺伝子変異を対象とした遺伝子での改善の研究が進められています。将来的には、遺伝子編集技術を用いた根治的な改善方法が開発されることが期待されています。ただし、現段階では遺伝子は臨床試験段階であり、一般的にはまだ利用されていません。

 

サポート: MVIDでは、栄養不良や免疫機能低下による合併症のリスクが高いため、サポートが重要です。例えば、貧血の場合、鉄剤やビタミンB12、葉酸の補給が行われます。骨粗鬆症の予防や改善には、ビタミンDやカルシウムの補給が重要です。

 

緩和ケア: MVIDでの症状緩和や生活の質向上を目指して、緩和ケアが提供されます。痛みや不快感を和らげる薬や、心理的なケア、社会的な支援が含まれます。

 

多職種チームによるケア: MVIDの改善では、多職種のチームによる連携が重要です。消化器内科医、外科医、栄養士、看護師、薬剤師、精神科医、社会福祉士などが協力して改善を行います。

 

MVIDの改善方法は、症状や合併症の重症度、年齢、一般的な健康状態などによって異なります。

微絨毛封入体病を発症している人

微絨毛封入体病を発症している人は、ヨーロッパでは約200人であると言われています。英国では20万に1人が発症していると言われています。

 

しかし、日本でどのくらいの人が発症しているのかについてはわかっていません。今のところ、欧米の報告に比べると日本の発症率は非常に低いとされています。

 

微絨毛封入体病の改善例

実際に微絨毛封入体病で行われた改善例について説明できます。

 

例1:

出典: Halac, U., Lacaille, F., Joly, F., Hugot, J. P., Talbotec, C., Colomb, V., ... & Goulet, O. (2011). Microvillous inclusion disease: how to improve the prognosis of a severe congenital enterocyte disorder. Journal of pediatric gastroenterology and nutrition, 52(4), 460-465.

 

この研究では、6例のMVID発症者に対して、以下のような改善が行われました。

 

栄養サポート: すべての人に対して、生後早期から全栄養剤を用いた静脈での栄養補給が行われました。

腸管移植: 6例中4例は、小腸移植が実施されました。移植後の経過は良好で、3例はTPNから離脱しました。

抗生物質: 感染症の予防や改善のため、抗生物質が適宜使用されました。

例2:

出典: Groisman, G. M., Amar, M., & Livne, E. (2000). CD10: a valuable tool for the light microscopic diagnosis of microvillous inclusion disease (familial microvillous atrophy). The American journal of surgical pathology, 24(7), 902-907.

 

この症例報告では、1例のMVIDに対して、以下のような改善方法が行われました。

 

栄養サポート: TPNを用いた静脈での栄養補給が実施されました。

腸管移植: 腸管移植の適応とされましたが、移植前に合併症のため亡くなりました。

例3:

出典: Pohl, J. F., Shub, M. D., Stein, J. E., & Swanson, K. (1999). Microvillous inclusion disease: prenatal ultrasound findings and review of the literature. Journal of clinical gastroenterology, 28(1), 84-86.

 

この症例報告では、1例のMVIDに対して、以下のような改善が行われました。

 

栄養サポート: TPNを用いた静脈での栄養補給が実施されました。

腸管移植: 腸管移植の適応でしたが、移植前に合併症のため亡くなりました。

 

これらの例から、MVIDに対する主な改善法は、栄養サポートと腸管移植であることがわかります。特に、腸管移植は、MVIDの栄養状態を改善し、TPNから離脱するための重要な改善法です。しかし、移植手術にはリスクが伴い、合併症が発生することもあります。

 

MVIDに対する改善方法は、病態の進行や合併症の状況によって異なります。改善を行う目的は、栄養状態の改善、合併症の予防や管理、および生活の質の向上です。個人に合わせて最適な改善法は、医師や専門家のチームによって判断されるべきです。

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