腰椎すべり症の鍼灸【原因・定義・症状】

公開日:2024年 4月 3日

更新日:2024年 4月11日

本日は腰椎すべり症について解説させていただきます。

☆本記事の内容

  • 腰椎すべり症とは
  • 腰椎すべり症の原因
  • 腰椎すべり症の症状
  • 腰椎すべり症の改善方法
  • 腰椎すべり症のまとめ

銀座そうぜん鍼灸院の宗前です。

このページを書いている私は、鍼灸師として13年、担当した利用者様数80,000人を誇り、病気の休職者300人を社会復帰できるまで回復させてきた実績があります。

 

頚椎症とは神経根の圧迫により起こる痛み

腰椎すべり症は、椎体と椎体がずれることで変性して突出した椎間板に脊髄神経や馬尾神経、神経根などが圧迫される状態のことです。腰椎や下肢、下肢の痺れ、歩行困難などを起こします。

 

腰椎すべり症は、積み木のように連なる腰椎が前方へ滑り出してしまうことによって色々な症状が起こる病気なのです。

 

腰椎すべり症には大きく分けて2種類あります。変性すべり症と分離すべり症です。変性すべり症は、背骨や椎間板などの変性によって起こる腰椎すべり症で、分離すべり症は腰椎分離症によって発生する腰椎すべり症です。

 

腰椎すべり症では腰部脊柱管狭窄症と同じような症状が現れます。立ったり歩いたりするとお尻や太ももの部分にたみが起こり歩くことができなくなり、少し休めば症状が軽くなり歩けるようになります。

腰椎変性すべり症は高齢者に発症が多い

腰椎すべり症の原因は、腰椎がずれることです。腰椎がずれることで脊柱管が狭くなり、馬尾神経や神経根が圧迫されます。この圧迫によって症状が現れるのです。

腰椎変性すべり症は明らかな原因はわかっていませんが多くの場合は加齢で起こると言われています。そのため腰椎変性すべり症は高齢者に発症が多いとされています。

 

年齢を重ねることで、椎間板や靭帯、関節などの腰椎を固定している組織が変性を起こし腰椎の安定性が失われ、腰椎にずれが起こることで発症するのです。

 

さらに男性より女性の方が骨などの組織が変性を起こしやすいため、腰椎変性すべり症は女性に多いと言われています。

腰椎分離すべり症は、椎体と後ろ側で関節を構成している椎弓が分離することによって起こります。椎体と椎弓が分離した状態のまま放っておくと、分離した部分の腰椎の安定性が失われ上下の骨にずれがおき、腰椎分離すべり症が起こるのです。

 

腰椎分離症は10代で起こることが多く、特に脊椎骨の成長が未熟な14歳未満で発症すると、その後、腰椎分離すべり症に進行することがあると言われています。

腰椎すべり症の主な原因

・先天性原因

先天性脊椎異常:生まれながらにして脊椎の形状が異常である場合、腰椎が安定せず、すべりやすくなることがあります。

 

・獲得性原因

過度の物理的負荷:ゴルフや重量挙げなどの重い物を持ち上げる仕事やスポーツや事故による怪我など、腰に過度の負担がかかる活動は、腰椎を滑らせる原因になることがあります。

 

・脊椎の変性

椎間板変性:加齢や慢性的な負荷によって、椎間板が劣化し、椎体が前方に滑る原因となることがあります。

椎間関節の変性:椎間関節の変性や関節の不安定性も腰椎すべり症を引き起こす原因になります。

 

・脊椎の損傷や病気

骨折や脊椎手術:腰椎の骨折や脊椎手術後の合併症として腰椎すべり症が発生することがあります。

感染症や腫瘍:脊椎を侵す感染症や腫瘍が原因で、椎骨の構造が弱まり、すべりを引き起こすことがあります。

 

・ホルモン的影響

妊娠:妊娠中に分泌されるリラキシンなどのホルモンは、骨盤の靭帯を緩め、脊椎の安定性を低下させる可能性があります。これが腰椎すべり症のリスクを高めることがあります。

 

・病理学的すべり

脊椎の病理学的変化:骨粗鬆症などの病気によって骨が弱くなると、腰椎すべり症を引き起こす可能性があります。

腰椎すべり症の症状は、腰痛と坐骨神経痛

腰椎すべり症の症状は、腰痛と坐骨神経痛です。すべりが強くなると腰椎の後方を走る脊髄神経が圧迫され下半身に痛みやしびれが現れるようになります。

 

間欠性跛行も多く見られる症状です。これは、長い距離を歩くと痛みやしびれが現れ、かがむことで楽になるという症状です。短い距離であれば歩くことができますが、立ったり歩いたりしているとお尻や太ももの部分に痛みが起こり歩くことができなくなります。少し休めば楽になるため、また歩けるようになります。

 

どのくらいの距離を歩くことができるのかは、人によって違います。また、日によっても違います。

腰椎滑り症では、骨盤が前傾になります。骨盤が前傾になると代償動作が起きます。

 

<骨盤前傾の代償動作>

背骨の前弯

・股関節伸展位

・腹筋に力が入りにくくなる

・お尻の筋肉、太ももの前側の筋肉が硬くなる

・過緊張状態に入り関節の緩みが出にくくなる

 

滑り症の人の多くは、腰の痛みとともに太ももの側面の痛みや内股の痛み、お尻の痛みなど足に症状が出ます。膝にも負担がかかり、下も痛くなります。すべり症の症状の特徴は、腰の痛みが足に連動していくことです。

腰椎すべり症の主な症状

・腰痛

腰椎すべり症の最も一般的な症状の一つです。痛みは一定ではなく、活動によって悪化することが多いです。長時間同じ姿勢を続けた後や、重い物を持ち上げた時に痛みが強くなることがあります。

 

・脚への放散痛

滑り出した椎体が神経根を圧迫すると、腰から臀部、太もも、下腿、時には足まで痛みやしびれ、弱さが広がることがあります。この症状はしばしば片側にのみ現れます。

 

・神経学的症状

神経根の圧迫または刺激により、足のしびれ、感覚の低下、筋力の低下が起こることがあります。特定の神経経路に沿った感覚異常や筋力の低下は、椎体のどの部分が影響を受けているかを示唆することがあります。

 

・歩行困難

激しい痛みや神経学的症状のために、正常に歩行できなくなることがあります。足の引きずりやバランスの問題が生じることもあります。

 

・姿勢の変化

重度の腰椎すべり症の場合、体の姿勢に影響を及ぼすことがあります。痛みを避けるために、前かがみや片足に体重をかけたような特徴的な姿勢を取ることがあります。

 

・活動時の痛みの増加

体を前に曲げる動作や重いものを持ち上げる動作をした際に痛みが増すことが多いです。一方で、座位や仰向けになると痛みが和らぐことがあります。

 

・症状の周期性

症状は活動量によって日によって異なることがあり、時には症状が軽減する期間があるかもしれません。

腰椎すべり症の鍼灸で改善するタイプと改善しないタイプ

<改善するタイプ>

・足が痺れている

・股関節が痛い

・腰が痛い

痺れと痛みが強い人は鍼灸やセルフケアで対応可能です。

 

<改善しないタイプ>

・陰部に症状が出ている

・馬尾神経圧迫症状

陰部に症状がある人は鍼灸やセルフケア、整体では効きません。必ず手術が必要になります。

腰椎すべり症の改善方法は、腰の負担を軽減し症状を軽くすること

腰椎すべり症の改善方法としてまず1番に選択される改善方法は、腰の負担を軽減し症状を軽くすることです。腰の負担を軽減するためにはコルセットなどを使います。痛みに対しては、消炎鎮痛剤やブロック注射などを行います。

 

さらに、リハビリも行います。リハビリではストレッチや腹筋などの筋力訓練などを行います。

 

痛みやしびれが強い場合や足などに麻痺が現れている場合など生活に支障が出るときには手術を検討することもあります。

腰椎すべり症の主な改善方法

・物理的方法

エクササイズ: 背中と腹部の筋肉を強化することで脊椎を支え、痛みを緩和します。

ストレッチ: 柔軟性を高め、痛みを軽減するために特定のストレッチングが推奨されます。

 

・手術

椎体間固定術: 滑った椎体を元の位置に固定するために、骨や金属の器具を用いて隣接する椎骨を一緒に固定します。

椎間板切除: 椎間板の一部または全部を除去し、椎骨間の圧迫を緩和します。

 

ライフスタイルの変更と補助具

体重管理: 適切な体重を維持することで、脊椎への負担を減らすことができます。

姿勢の改善: 日常生活での正しい姿勢を維持することは、痛みの予防と管理に役立ちます。

補助具: 痛みや不安定性を管理するために、腰部サポートや歩行器を使用することが推奨される場合があります。

腰椎すべり症の改善に使用する薬

・非ステロイド性抗炎症薬

イブプロフェン、ナプロキセン、ジクロフェナク:炎症と痛みを減少させるために用いられます。プロスタグランジンの合成を阻害することで、炎症反応を抑制し、痛みを軽減します。

 

・筋弛緩薬

シクロベンザプリン、メタクサロン:筋肉の緊張を緩和し、痛みを減らします。中枢神経系に作用して筋肉の緊張を減少させ、痛みや不快感を軽減します。

 

・硬膜外ステロイド注射

炎症を減少させ、神経根の圧迫による痛みを緩和します。椎間板ヘルニアや腰椎すべり症による炎症を減少させ、神経根の圧迫による痛みを緩和します。

 

・鎮痛薬

アセトアミノフェン: 軽度から中等度の痛みを緩和するために用いられることがあります。非ステロイド性抗炎症薬と異なり、炎症を抑える作用はありませんが、胃腸への負担が少ないという利点があります。

 

・抗てんかん薬

ガバペンチンやプレガバリン: 神経性疼痛を対象とした薬で、腰椎すべり症による神経根の圧迫からくる痛みの管理に用いられることがあります。

 

抗うつ薬

三環系抗うつ薬やセロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害剤: 特に慢性的な痛みの管理に有効であり、痛みの閾値を高めることで痛みを軽減させる効果が期待されます。

 

トピカル薬

トピカルNSAIDsや局所麻酔薬:直接塗布することで痛みを緩和します。局所的な使用のため、全身への影響が少ないという利点があります。

 

ビタミンDとカルシウム

骨の健康をサポートし、特に骨粗鬆症が懸念される場合に推奨されることがあります。

 

注射以外の注入

プロロセラピーや血小板豊富プラズマ注射: 特定の症例において、改善のプロセスを促進し、長期的な痛みの緩和を目指す方法として用いられることがあります。これらの改善方法はまだ広くは採用されていないか、研究段階のものもありますが、一部では有効な選択肢となる可能性があります。

腰椎すべり症のセルフケア

<背骨を後弯させるアプローチ>

前弯している背骨にアプローチするとすぐに症状が悪化してしまうため、改善するには背骨を後弯させることが大事です。

 

脊椎を丸める。

②体育座りする。

③寝ころがる。

④足を胸にゆっくり近づける。

 

1日30回行いましょう。

 

股関節が痛い時は無理せずできる範囲で行うことが大事です。

 

自分の力で腰を丸めてできれば腹筋も使いましょう。腹直筋、腹斜筋を使うことが大事です。難しければ手を使っても良いです。腰の筋肉がストレッチされ、伸びていると感じることができれば尚良いです。だんだん負荷をかけていきましょう。

<梨状筋アプローチ>

滑り症の人は体勢を維持するために常にお尻と太ももの前側の筋肉(大腿直筋)を使っているため、股関節を緩め股関節の可動性を作ることが大事です。

 

足を4の字にする。

②足に胸をつけるようにする。

 

※痛い方も痛くない方も両方の股関節を緩めましょう。1日30回を目安に行います。

 

痛い場合は4の字を浅くして、痛くなければ深くしても良いです。まず軽い状態で行い、軽い状態でストレッチできていれば無理せず軽い状態で続けましょう。

 

※お尻の梨状筋という筋肉をほぐすことが大事ですが、無理すると明らかに悪化するため注意しましょう。腰椎すべり症は、梨状筋、大腿四頭筋、大腿筋膜張筋の緩みをださなければ症状が悪化する症状です。

内側広筋、外側広筋アプローチ>

腰椎すべり症では代償動作によって太もも周りの筋肉が硬くなります。滑り症の人は常にロックしている状態のため、常に固まり続けてしまいどんどん痛みが強くなります。何も負荷をかけない状態で筋肉を伸び縮みさせることが必要です。

 

①足を長座にする。後ろに背もたれがあると理想です。

②足をバタバタさせる。この時足が張ります。

 

膝の周りの筋肉に力を入れる癖をつけるために1日30回行いましょう。

 

※ポイントは代償動作によって大腿直筋に負荷がかかる代わりに内側広筋、外側広筋が全然働かなくなり、膝に痛みが出てしまいます。内側広筋、外側広筋に効率よく力を入れて大腿直筋の負荷を減らすことが大事です。

<丹田に力を入れるセルフケア>

腰椎すべり症になると代償動作によって腹直筋に力が入らなくなります。骨盤の前腕していることによって背筋に力が入り、お腹の筋肉が自然と弛むようになるのです。意識的にお腹に力を入れることで背筋も緩み、体の支えが効くため滑り症に対する負荷が減ります

 

呼吸を整える。

②足を肩幅くらいに開く。

③お腹のおへそのところに両手を当てる。

④おへその下に力を入れ、腹斜筋、腹直筋に力を入れるイメージをする。

 

※お尻もお腹も閉まることで腹横筋が働きます。腹直筋は、天然の腰痛ベルトと言われており腰痛ベルトの役割をする筋肉です。腹直筋に力を入れると腰の痛みが消え、背骨の負荷も減り足の痛みも消えます。

 

股関節前傾による代償が猛威を奮っているため、脱却しなければ痛みが強くなります。背骨の後弯、股関節の緩み、お腹を緩めることが重要で、中でも丹田に力を入れることが特に大事です。

 

股関節前傾の人は丹田に力を入れにくく、入れるタイミングや機会がないため、1日3回は行いましょう。

腰椎すべり症の手術

腰椎すべり症によって手術するかどうかは、症状や日常生活への影響の度合いなどで判断します。

 

代表的な手術は固定術と呼ばれ、骨を削って神経の通り道を広げてすべりを起こしている背骨部分を自分の骨や金属などで固定する方法です。脊柱管が狭窄している場合は脊柱管を広げる手術を行います。

 

手術をするかどうかは、脊柱の専門医ときちんと相談することが大事です。

腰椎すべり症に効果的なツボ

腎兪

委中

犢鼻

腎兪

腎兪は、腰にあるツボで腰痛に対して効果を発揮するツボです。腰部の血行を良くしてくれる効果があるため、腰背筋の緊張をゆるめ、背骨を整え、姿勢を整えることにも有効です。

 

坐骨神経痛や腰の重さ、足のだるさなどにも効果的です。他にも、めまいや耳鳴り、消化不良や食欲不振などにも使われることがあるツボです。

委中

委中は、急な腰の痛みに効果を発揮するツボです。背中の痛みにも有効です。

 

さらに、委中は膀胱の障害や膀胱の炎症、脚の浮腫や動きの改善にもなどにも効果があります。

犢鼻

犢鼻の効果は、膝の皿の下のほうの痛みを和らげることです。膝の痛みや膝に水がたまる症状、足のだるさなども和らげる効果もあります。

 

リウマチ、リウマチ性関節炎など、膝痛、膝の痺れ、膝の曲げ伸ばしができない症状などにも使われるツボです。

ツボの場所と押し方

腎兪

腎兪は、腰にあるツボでウエストラインの高さにあります。おへその高さで腰に両手を置いたとき自然に親指が届く場所にあります。

 

イスに座って左右のツボにボールを当てて転がして刺激したり、カイロなどで温めたりする方法もお勧めです。

委中

委中は、膝の後ろの中央にあるツボです。

 

押すときは、膝の周りを両手で包むようにして、両手の中指を使って押します。膝を軽く曲げて押しやすい形で押すと良いです。

犢鼻

犢鼻は、膝を軽く曲げたとき、膝蓋骨と膝蓋靭帯の外下方にできるへこみにあります。膝のお皿の真下すぐに少しくぼんでいる部分があります。そこから外側に指をずらすとさらにくぼんだ場所があり、そこにツボがあります。

 

押すだけでなく、お灸もお勧めです。

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