トロサ・ハント症候群の鍼灸【原因・定義・症状】

公開日:2022年 10月 3日

更新日:2022年 10月15日

本日はトロサ・ハント症候群について解説させていただきます。

☆本記事の内容

  • トロサ・ハント症候群とは
  • トロサ・ハント症候群の原因
  • トロサ・ハント症候群の症状
  • トロサ・ハント症候群の改善方法
  • トロサ・ハント症候群のまとめ
足のしびれ、痛み

銀座そうぜん鍼灸院の宗前です。

このページを書いている私は、鍼灸師として13年、担当した利用者様数80,000人を誇り、病気の休職者300人を社会復帰できるまで回復させてきた実績があります。

 

トロサ・ハント症候群は眼窩部の激しい痛みや外眼筋に麻痺が起きる

トロサ・ハント症候群は、眼窩部の激しい痛みや外眼筋に麻痺が起きる病気です。

 

片側の眼の周りの痛みと眼を動きが悪くなる病気であるため、虚血性眼球運動神経麻痺による頭痛と同じ症状が現れます。

 

しかし、トロサ・ハント症候群で起きる疼痛や脳神経麻痺は、海綿静脈洞と眼窩尖端部という神経が密集している場所に起きた炎症性の肉芽腫性病変が原因です。

 

トロサ・ハント症候群という病名は、医師のエドゥアルド・トロサとウィリアム・エドワード・ハントの名前が由来になっています。

トロサ・ハント症候群の原因は、原因がわからない炎症性の肉芽腫

トロサ・ハント症候群の原因は、眼の真後ろあたりの頭蓋内の静脈の集まりである海綿静脈洞や眼窩の外側にある隙間である上眼窩裂の近くで、原因がわからない炎症性の肉芽腫ができることです。

 

多くの場合は MRIでガドリニウムという薬で造影される病変が見られますが、 約1割の人には臨床的にはトロサ・ハント症候群と考えられても、MRIで病変が見られないことがあります。

トロサ・ハント症候群は、眼窩後部に存在する洞(特に上顎洞や蝶形骨洞)の炎症により引き起こされる症候群であり、神経痛や眼の動きの障害が特徴的です。この病気の詳しい原因を三千字で詳細に解説します。

 

1. 病気の概要

トロサ・ハント症候群(THS)は、洞の炎症が原因で生じる、頭痛や特定の脳神経(特に3、4、6脳神経)の麻痺を伴う病気です。この症状は、神経を取り囲む膜の炎症や圧迫に起因します。

 

2. 炎症の起源

THSの主な原因は、炎症反応です。この炎症は、原因となる感染、自己免疫の病気、またはその他の病気によって引き起こされることがあります。

 

感染:多くの場合、特定の感染がTHSの原因として特定されることは少ないですが、細菌、ウイルス、真菌などの感染が潜在的な原因となることがあるとされています。

 

自己免疫の病気:いくつかの症例では、自己免疫疾患が関与している可能性が考えられます。これは、体が自分の組織や細胞を誤って攻撃する結果として、炎症が発生することを意味します。

 

3. 神経の影響

洞の炎症は、近くの脳神経に影響を及ぼします。特に、眼の動きを制御する脳神経(3、4、6脳神経)が主に影響を受けます。これらの神経が炎症の結果として圧迫されるか、直接炎症に巻き込まれることで、神経伝達が妨げられ、症状が現れます。

 

THSの原因を特定するのは難しく、多くの場合、他の病気や病因を除外することによって判断が下されます。MRIやCTスキャンなどの画像では、洞の炎症や液体の蓄積を明らかにすることができますが、具体的な原因を特定するための確定的な判断方法は存在しません。

トロサ・ハント症候群の症状は、外眼筋麻痺や強い痛み

トロサ・ハント症候群の症状は、病巣側に外眼筋麻痺がみられることと、眼窩部に強い痛みが現れることです。外眼筋麻痺は、通常、片眼に現れます。他にも、眼瞼下垂や前頭部の感覚低下も現れます。

 

外眼筋麻痺は、動眼神経と滑車神経と外転神経に障害が起きることが原因で起こります。

トロサ・ハント症候群(THS)は、眼の後部に位置する洞(特に上顎洞や蝶形骨洞)の炎症によるもので、その影響で脳神経が障害を受けることが主な原因で発症します。以下、THSの症状に関する詳しい説明を行います。

 

1. 主要な症状

激しい頭痛:THSのもっとも典型的な症状は、激しい頭痛です。特に、目の後ろや側頭部に痛みを感じることが一般的です。

眼の動きの制限:炎症の影響で、眼の動きを制御する脳神経(3、4、6脳神経)が障害を受けることがあります。これにより、眼の動きに制限が生じたり、二重視(ものが二重に見える)などの症状が出現します。

顔面の感覚異常:感覚を制御する5脳神経が障害を受けることにより、顔の一部分にしびれや感覚の鈍化が現れることがあります。

 

2. 一般的な症状

瞼の下垂:眼の上部の筋肉の動きが制限されることで、瞼が正常よりも低い位置になることがあります。

赤みや腫れ:眼やまぶた周辺が赤くなったり、腫れ上がることがあります。これは、炎症や腫れの影響で血流が増加するためです。

光の感度:明るい光に対する感度が高まることがあり、太陽光や室内の明るい照明が眩しいと感じることがあります。

 

3. 症状の進行

THSの症状は、通常、数日から数週間の間に徐々に現れます。最初は軽度の痛みや不快感から始まることが多く、時間とともに症状が悪化していくことが一般的です。

 

4. 他の可能性のある症状

目の乾燥や涙の過剰分泌:眼の周辺の炎症や神経の障害により、涙の生成や排出が乱れることがあります。

耳の痛みや聴覚の問題:一部では、耳に痛みが生じることが報告されています。これは、炎症が耳の近くの神経や組織に影響を及ぼすためです。

改善方法は、コルチコステロイドを使うこと

トロサ・ハント症候群の改善方法は、コルチコステロイドを使うことです。

 

ステロイドを使っても、症状が続いたり他の神経徴候が現れたりした場合は、海綿静脈洞に別の病気が起きている可能性もあります。

 

海綿静脈洞に起きる病気には、腫瘍や血管病変、感染症などがあります。そのような病気ではないかどうかを判断することがきちんと大事です。

トロサ・ハント症候群(THS)は、特定の洞の炎症に伴い発症する神経性の病気です。この病気の改善の目的は、症状の軽減と神経の障害の予防です。

 

1. ステロイド

目的:炎症を抑制し、痛みや他の症状を軽減することが目的です。

使用される薬物:プレドニゾロンやデキサメタゾンなどのコルチコステロイドが主に使用されます。

改善の進行:通常、高い用量から開始され、症状が改善されるにつれて用量は徐々に減少していきます。

 

2. 神経ブロック

目的:慢性的な痛みをコントロールするために、特定の神経を一時的にブロックする改善が行われることがあります。

方法:局所麻酔薬を使用して、痛みの原因となっている神経を一時的に麻痺させます。

 

3. 神経刺激

目的:痛みを管理し、神経の機能を向上させることを目的としています。

方法:電気刺激器を使用して、特定の神経を刺激する方法が行われます。

 

4. 抗生物質

目的:感染が症状の原因である場合、感染の改善が必要です。

使用される薬物:感染の原因となる細菌や他の病原体の種類に応じて、ペニシリン系、マクロライド系、テトラサイクリン系などの抗生物質が選択されます。

 

5. リハビリテーション

目的:神経の障害による機能の喪失や制限を改善することを目的としています。

方法:リハビリテーションプログラムが推奨されることがあります。

 

6. 補助的改善

痛み管理:非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)や鎮痛剤が痛みの管理のために処方されることがあります。

生活習慣の改善:ストレス管理、十分な休息、バランスのとれた食事など、生活習慣の改善も改善の一部として推奨されることがあります。

 

7. 手術

目的:炎症の原因となっている物質や組織を取り除くことを目的としています。方法:洞の拡大や排膿手術など、状況に応じた手術が選択されます。

手術は、通常、薬などが効果を示さない場合や、洞の構造的な問題などの特定の原因が明確である場合に考慮されます。

 

手術の目的

排膿:洞内に蓄積した膿を排出することで、炎症や感染をコントロールします。

洞の通気性の改善:洞の出口部が塞がっている場合や、その他の構造的な問題が存在する場合、手術を行って洞の通気性を改善することが狙われます。

生検:原因不明の炎症や腫瘍の可能性が考えられる場合、確定診断を得るために洞内の組織を採取することがあります。

 

手術方法

蝶形骨洞手術:蝶形骨洞は鼻の奥、眼の下部に位置します。蝶形骨洞手術は、鼻から内視鏡を用いて行われることが一般的です。手術中に、洞の開口部を拡大したり、洞内の膿や他の物質を取り除いたりします。

上顎洞手術:上顎洞は、上歯の根の上部に位置する大きな空間です。上顎洞手術は、鼻から、または口の中から行われることがあります。この手術でも、洞の開口部の拡大や、洞内の膿の排出が主な目的となります。

生検:疑わしい組織や腫瘤を取り除き、病理学的な検査のためのサンプルとして使用します。この方法は、炎症の原因を特定するためや、良性・悪性腫瘍の判断のために行われます。

 

全ての手術には、出血、感染、麻酔に関連するリスクなどの一般的なリスクが伴います。特に、蝶形骨洞や上顎洞手術では、近隣の組織や神経へのダメージのリスクがあります。手術を受ける前に、手術のリスクや利益、予後について医師と十分に話し合うことが重要です。

病院に行って判断してもらうことが大事

片側の眼に強い痛みがあり、物が二重に見えたりまぶたが落ちてきたりした場合は、病院に行くことが大事です。

 

片側に強い眼の痛身があるだけで他の症状が特にない場合は、片頭痛や群発頭痛の可能性が高いですが、眼の痛みが続く場合、緑内障など病気が隠れていることもあります。そのため、病院に行って判断してもらうことが大事なのです。

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