異汗性湿疹の鍼灸【原因・定義・症状】

公開日:2022年 8月 10日

更新日:2022年 8月 13日

本日は異汗性湿疹について解説させていただきます。

☆本記事の内容

  • 異汗性湿疹とは
  • 異汗性湿疹の原因
  • 異汗性湿疹の症状
  • 異汗性湿疹の改善方法
  • 異汗性湿疹のまとめ
足のしびれ、痛み

銀座そうぜん鍼灸院の宗前です。

このページを書いている私は、鍼灸師として13年、担当した利用者様数80,000人を誇り、病気の休職者300人を社会復帰できるまで回復させてきた実績があります。

 

異汗性湿疹は、水ぶくれが出たり消えたりする病気

異汗性湿疹は、明らかな誘因がないにもかかわらず、手の平や指の間、足の裏に水ぶくれが出たり消えたりする病気です。手足に汗をかきやすい体質の人に多くみられます。 

 

異汗性湿疹の症状の程度は人によって違います。小さい水ぶくれがたくさんできてうすく皮がむけるものや、大きな水ぶくれになり赤みや痒みが現れるものなどがあります。

異汗性湿疹の原因には、汗による刺激などが関係している

異汗性湿疹の原因には、汗による刺激などが関係していると考えられています。詳しい原因は明らかになっていませんが、金属アレルギーや体質、ストレスや多汗症、避妊薬、喫煙などと関係しているということも考えられています。

 

以前は、汗が溜まることによって手足の水ぶくれができると考えられていたために、異汗性湿疹という名前がつけられました。

 

しかし現在は、汗がたまることで発症するのではなく、汗による刺激を受けることで発症するということがわかっています。

 

真菌などによる感染症ではないため他の人にうつることはありません。

異汗性湿疹は、汗腺の異常や皮膚のバリア機能の低下により引き起こされる皮膚病の一つです。発汗時や湿度が高い状況下で皮膚に発疹が出現することが特徴的で、かゆみや炎症を伴うことがあります。

 

異汗性湿疹の原因は、その特定のメカニズムが完全には理解されていないため、完全に明確化されていません。しかし、いくつかの要素がこの病態の発生に関与していると考えられています。

 

汗腺の機能異常:異汗性湿疹では、汗腺の機能異常が認められることがあります。具体的には、汗が適切に排出されず、皮膚の内部に溜まってしまう状態です。この過剰な汗が皮膚を刺激し、皮膚病変を引き起こします。

 

皮膚のバリア機能の低下:皮膚は外部からの刺激や物質の侵入を防ぐバリアの役割を果たしています。しかし、皮膚のバリア機能が低下すると、皮膚の外部からの刺激に対する防御能力が弱まり、湿疹が発生しやすくなります。

 

遺伝的要素:異汗性湿疹は、ある種の遺伝的要素を持つことがあると報告されています。つまり、家族内で湿疹が見られる場合、その家族は異汗性湿疹を発症しやすい傾向があります。

 

環境要素:湿度が高い環境や高温環境は、異汗性湿疹を引き起こす可能性があります。これらの環境は皮膚の発汗を促し、皮膚を刺激します。また、特定の衣類や洗剤、化粧品なども異汗性湿疹の発症に関与することがあります。

 

ストレス:心理的ストレスや身体的ストレスも異汗性湿疹の発症に寄与することがあります。ストレスは自律神経を刺激し、汗の分泌を促します。過剰な発汗は皮膚を刺激し、湿疹を引き起こす可能性があります。

 

免疫システムの異常:免疫システムが適切に機能しない場合、異汗性湿疹を引き起こす可能性があります。免疫システムの異常は皮膚の炎症反応を引き起こし、結果として湿疹が発生します。

以上の要素が一部または複数重複して存在すると、皮膚は過度の刺激やストレスにさらされ、結果として異汗性湿疹が発生します。

汗疱が何度も繰り返し起こる

異汗性湿疹の症状は、手のひらや足の裏、指趾側面などに直径1~2mmの小水疱がたくさん現れ、薄く円く襟飾り状に皮がむける汗疱が何度も繰り返し起こることです。

 

症状がどのくらいの程度であるかについては人によって違い、小さい水ぶくれがたくさんできてうすく皮がむけるだけで痛みや痒みがない人もいれば、大きな水ぶくれになり赤みや痒みが現れる人もいます。

異汗性湿疹は、暑さや運動による発汗がトリガーとなり発症する皮膚の炎症です。この症状は一般的に汗をかきやすい部位、特に手のひら、足の裏、頭部、または胸部に現れます。ここでは、異汗性湿疹の主な症状について説明します。

 

まず、異汗性湿疹の最初の兆候は、しばしば発疹や皮膚の赤みです。この赤みは汗をかいた後に現れ、ひどい痒みを伴うことがあります。発症した人は、皮膚に小さな水疱が形成されることも報告しています。これらの水疱は通常、クリアな液体を含み、プロセスが進行すると割れて乾燥した皮膚を露出させることがあります。この皮膚の状態は、「剥離」とも称されます。

 

また、異汗性湿疹では、皮膚の異常な発汗(過剰な発汗または発汗不足)を経験する人もいます。特に、患部が汗をかくことができない(無汗症)という症状は一般的で、その地域の皮膚が乾燥し、かゆみが悪化する可能性があります。無汗症が発生すると、体温調節に影響を与え、暑さに対する耐性を低下させることがあります。

 

さらに、病状が進行すると皮膚にひび割れやスケールが発生することがあります。これらの皮膚の変化は不快感を増加させ、皮膚のバリア機能を損ない、二次感染のリスクを増加させる可能性があります。皮膚が乾燥し、割れ、硬化すると、それ自体が新たなストレス源となり、皮膚症状をさらに悪化させることがあります。

 

その他の異汗性湿疹の症状には、一般的な不快感、疲労感、不眠、または気分の落ち込みが含まれます。これらの症状は皮膚の問題だけでなく、日常生活全体に影響を及ぼすことがあります。例えば、激しいかゆみや皮膚の不快感は睡眠を妨げ、これがさらなる疲労感や気分の落ち込みにつながる可能性があります。また、皮膚の見た目に自信が持てなくなると、社会的な状況に参加することを避けたり、自己意識が高まったりすることもあります。これらは、精神的な健康にも影響を及ぼします。

 

さらに、異汗性湿疹の症状は季節や気候によって変化することもあります。特に、暖かく湿った環境は汗をかく機会が増え、症状を悪化させる可能性があります。また、暖房やエアコンの使用は皮膚を乾燥させ、かゆみや皮膚の乾燥を悪化させる可能性があります。

 

このように、異汗性湿疹の症状は多岐にわたります。それぞれ個人が経験する症状は異なり、症状の強度も個々の状況や環境によって変化します。

異汗性湿疹の改善方法は、症状の程度によって違う

異汗性湿疹の改善方法は、症状の程度によって違います。皮がむけているだけの場合は保湿剤を使って改善を行います。

 

赤みや痒み、痛みがある場合はステロイド軟膏を使って改善を行い、強い痒みがある場合は抗ヒスタミン剤や抗アレルギー剤を使います。

 

多汗症がある場合は、こまめに手足を洗い、できるだけゴム手袋などのむれやすいものは使わないことを心がけることも大事です。

異汗性湿疹の改善方法は、症状の程度と全体的な健康状態により異なります。

 

トピカルステロイド: 最初の一線として広く使用されています。これらの薬剤は皮膚の炎症を減少させ、かゆみを和らげます。ハイドロコルチゾンやクロベタゾールなどの薬剤があります。しかし、長期的な使用は皮膚の薄化を引き起こす可能性があるため注意が必要です (出典: "Topical corticosteroids: back to basics", West J Med. 1998).

 

非ステロイド性抗炎症薬: これらはステロイド薬に代わるものとして用いられ、皮膚の炎症とかゆみを和らげる効果があります。例えば、タクロリムス軟膏やピメクロリムスクリームなどがあります (出典: "Topical calcineurin inhibitors in dermatology", Indian J Dermatol. 2013).

 

光線: これは皮膚に紫外線B波を照射し、炎症反応を抑制する方法です。これは一般的に中等度から重度の異汗性湿疹の場合に推奨されます。ただし、紫外線は皮膚がんのリスクを高めるため、長期間の改善には注意が必要です (出典: "Ultraviolet B phototherapy for eczema", Cochrane Database Syst Rev. 2017).

 

系統的: 中等度から重度の場合に対して、ステロイド薬、シクロスポリン、メトトレキサートなどの内服薬が用いられます。これらの薬は免疫系の反応を抑制することで皮膚の炎症を和らげます。しかし、これらの薬は副作用があり、定期的な血液の調べが必要になることがあります (出典: "Systemic Treatment of Severe Atopic Dermatitis: A Systematic Review", Acta Derm Venereol. 2017).

 

生活習慣の改善: 汗を引き起こす要因を避ける、皮膚を清潔に保つ、保湿剤を頻繁に使用するなどの生活習慣の改善も重要です。また、食事改善や適度な運動も症状改善に役立つことがあります (出典: "Lifestyle modifications and nutritional interventions in chronic inflammatory skin diseases", Ann Dermatol. 2020).

 

心理的なサポート: 異汗性湿疹は、心理的なストレスを引き起こすことがあります。したがって、心理的なサポートも重要な一部であり、リラクゼーションテクニックの導入などが推奨されます (出典: "Psychological interventions for atopic eczema", Cochrane Database Syst Rev. 2018).

以上の方法は、個人の具体的な症状と健康状態により異なる結果をもたらします。

異汗性湿疹と水虫

異汗性湿疹は、痒みや水疱、皮がむけるなど水虫と症状が非常に良く似ています。

 

水虫だと思い皮膚科に行く人の中で2~3人に1人は水虫ではない別の病気だといわれており、その中でも異汗性湿疹であるケースが最も多いと言われています。

 

足の裏の皮がむけたり痒くなったり水疱ができたりすると水虫を疑うことが多いですが、実は水虫以外にも同じような症状が現れる病気があるのです。

 

専門医でも目で見ただけでは、水虫であるか異汗性湿疹であるかを判断することが難しいと言われています。

異汗性湿疹に効果的なツボ

神門

・太渓

太淵

神門

神門は、自律神経を正常にする効果があります。自律神経が正しい状態になると、発汗もきちんと調整されるようになります。そのため、汗をコントロールすることができるようになるのです。

 

異汗性湿疹の原因には汗による刺激が関係していると言われているため、汗をコントロールすることで症状の改善や予防に役立つことが期待されます。

 

また、発汗を調整できるようになることから多汗症の改善にもつながるツボのため、もともと多汗症があり異汗性湿疹を発症している場合はより効果が期待できます。

太渓

太渓は、体温を調節する効果があるため、汗のコントロールをすることが期待できるツボです。そのため、汗による刺激が関係しているとされる異汗性湿疹の改善に効果が期待できます。

 

体温を調節することから、太渓は冷え性にも有効です。中でも、足の冷えが強いときにおすすめのツボです。

太淵

太淵は蕁麻疹に効果的なツボです。慢性的な皮膚の痒みを抑える働きがあるため、異汗性湿疹にも効果が期待できます。

 

症状として痒みも現れているときに刺激をすることをお勧めします。

ツボの位置と押し方

神門

神門の場所は、手首の横じわの小指側にある窪みです。探すとき、手首のしわを小指に向かって触っていき、骨のでっぱりの手前にある窪んでいるところです。

 

押すときは、親指を使います。親指以外の指で手首をつかむように持って押すと押しやすいです。

太渓

太渓の場所は、アキレス腱と内くるぶしの間です。アキレス腱と内くるぶしの間を指で押さえてツボを探したとき、くぼみんでいる場所です。

 

押すときは、人さし指を使います。人差し指をアキレス腱に引っかけるようにして押すことをお勧めします。

太淵

太淵の場所は、手の親指のつけ根にある骨の出っ張りの下です。

 

押すときは、ゆっくりと呼吸を行いながら押しましょう。親指以外の指で手首をつかむようにして、親指でツボを押すと押しやすいです。

異汗性湿疹の改善例

・30代男性

主に手のひらと足の裏に異汗性湿疹の症状がありました。彼の症状はかなり重度で、日常生活に支障をきたしていました。最初に彼に行った改善方法は、中等度のステロイドクリームの使用でした。しかし、数週間後にはほとんど改善が見られませんでした。

 

そこで、次に提案したのは光線でした。この方法は一般的に中等度から重度の異汗性湿疹の場合に推奨されます。彼は毎週皮膚科クリニックで光線のセッションを受け、同時に適切な保湿と生活習慣の改善を続けました。数ヶ月後、彼の症状は大幅に改善し、日常生活の質も向上しました (参照: "Ultraviolet B phototherapy for eczema", Cochrane Database Syst Rev. 2017).

 

・20代女性

彼女の症状は顔と首に集中しており、見た目に影響が出ていました。彼女に対しては、まずは低濃度のステロイドクリームを試しましたが、彼女の症状に対しては効果が十分ではありませんでした。

 

そのため、彼女には次に非ステロイド性抗炎症薬のタクロリムス軟膏を試すことを提案しました。彼女はこの方法を開始し、数週間後には症状が明らかに改善しました。この改善方法は、長期的には副作用のリスクが少なく、特に顔などの敏感な部位に適しています (参照: "Topical calcineurin inhibitors in dermatology", Indian J Dermatol. 2013).

 

これらの実例は、異汗性湿疹の改善方法が個々の症状、生活習慣、忍容性などによって異なることを示しています。また、これらの例からは、一つの方法がすべての人にとって最適なわけではなく、改善法の選択や変更が必要な場合もあることがわかります。

 

一方で、改善は薬だけに限られるものではありません。

 

・50代の女性

異汗性湿疹の症状がストレスによって悪化することが明らかでした。彼女は、皮膚の症状を管理するためのトピカルステロイドと共に、ストレス管理のための心理的介入を受けました。彼女はマインドフルネス瞑想とリラクゼーションテクニックを学び、日常生活に組み込みました。その結果、彼女の症状は改善し、異汗性湿疹が彼女の生活に与えるストレスも軽減されました (参照: "Psychological interventions for atopic eczema", Cochrane Database Syst Rev. 2018).

 

また、皮膚の保湿と日常生活の改善も重要な一部となります。

 

・60代の男性

皮膚が乾燥しやすい職場環境にいます。彼は頻繁に保湿剤を使用し、職場での皮膚への負担を減らすための対策を講じました。これにより、彼の皮膚の状態は改善し、異汗性湿疹の症状も軽減されました (参照: "Lifestyle modifications and nutritional interventions in chronic inflammatory skin diseases", Ann Dermatol. 2020).

 

これらの改善例は、異汗性湿疹の管理が医学的な方法だけでなく、生活習慣の改善や心理的サポートなど、全体的な生活に基づいたアプローチも必要であることを示しています。

おすすめ記事

営業時間

11時から21時

営業日
 

11時~21時迄

休業日

年末年始

お問合せ
080-1802-9798