軟骨低形成症の鍼灸【原因・定義・症状】

公開日:2023年  1月 5日

更新日:2023年  1月14日

本日は軟骨低形成症について解説させていただきます。

本記事の内容

  • 軟骨低形成症とは
  • 軟骨低形成症の原因
  • 軟骨低形成症の症状
  • 軟骨低形成症の改善方法
  • 軟骨低形成症のまとめ
足のしびれ、痛み

銀座そうぜん鍼灸院の宗前です。

このページを書いている私は、鍼灸師として13年、担当した利用者様数80,000人を誇り、病気の休職者300人を社会復帰できるまで回復させてきた実績があります。

 

軟骨低形成症は先天性の病気

軟骨低形成症は先天性の病気で、近位肢節によって強い四肢短縮型の低身長が見られます。

 

以前は、軟骨無形成症とまとめて軟骨異栄養症と呼ばれていましたが、現在は症状が重い場合を軟骨無形成症、症状が軽い場合を軟骨低形成症と呼びます。

 

レントゲンでは、軟骨無形成症に似ている状態が見られますが、程度が軽く正常に近いケースもあります。

軟骨低形成症の原因の多くは、FGFR3遺伝子の異常

軟骨低形成症の原因の多くは、FGFR3遺伝子の異常です。多くの場合、N540Kの変異によって発症しますが、必ずしもN540Kの変異が原因なわけではなく、他の遺伝子の変異によって発症している例もあります。

 

遺伝形式は常染色体優性遺伝です。

 

FGFR3のシグナルは軟骨細胞が増えることを抑制する作用がありますが、FGFR3が変異すると、受容体シグナルが恒常的に活性化されるようになり軟骨細胞の分化が進み、内軟骨性骨化に異常が起きます。

 

そのため、長管骨の成長障害などが起きると考えられています。

軟骨低形成症は、先天性の骨格系の障害であり、通常は遺伝子変異により引き起こされます。この病気は、軟骨と骨の成長が適切に行われないために、身体の骨が通常よりも短くなり、また他の特徴も伴います。軟骨低形成症は通常、全身的な影響を及ぼすが、その症状は個々で異なる程度の重症度を示すことがあります。

 

遺伝子変異:軟骨低形成症の最も一般的な原因は、COL2A1、COL11A1、COL11A2など、特定の遺伝子の変異です。これらの遺伝子は、コラーゲンと呼ばれるタンパク質をコードしています。コラーゲンは、私たちの体の多くの組織、特に軟骨と骨にとって重要です。

これらの遺伝子変異は、コラーゲンの構造または量に影響を及ぼし、これが骨と軟骨の成長と発達に問題を引き起こします。結果として、身体の骨が異常に短く、しばしば関節にも問題が生じます。

 

遺伝的パターン:軟骨低形成症は、最も一般的に自己優性遺伝の形で遺伝します。これは、親の一方が変異遺伝子を持っている場合、子供が疾患を発症するリスクが50%であることを意味します。しかしながら、自己劣性遺伝のパターン、すなわち両親が変異遺伝子を持っている場合に発症する場合もあります。

 

突然変異:いくつかの軟骨低形成症の場合、親から遺伝する代わりに、新たに起きる遺伝子変異によって引き起こされます。これらのケースでは、親は変異を持っていないが、子供は変異を持つことになります。そのため、このタイプの軟骨低形成症は「新規突然変異」とも呼ばれます。

 

未知の原因:全ての軟骨低形成症の症例に遺伝子変異が確認できるわけではありません。一部の患者では、まだ確認されていない新たな遺伝子変異や他の遺伝的要素が関与している可能性があります。

以上のように、軟骨低形成症の原因は主に遺伝的要素によるものであり、特定の遺伝子変異が軟骨と骨の正常な発達を阻害し、結果として身体の骨が短くなるのです。

軟骨低形成症の症状は、近位部優位な四肢の短縮や低身長

軟骨低形成症の症状は、近位部優位な四肢の短縮や低身長です。生まれた時には明らかな四肢の短縮は見られないため、乳児期で発症を判断することはできません。

 

軟骨低形成症の症状の程度は、軟骨無形成症の症状の程度よりも軽く、軟骨無形成症によって発症する合併症は軟骨低形成症ではほとんど見られません。約9%の人には、程度の軽い精神発達の遅れが見られます。

軟骨低形成症は、生まれつきの骨と関節の異常を伴う一連の遺伝性障害の一つです。その症状は個人や特定の型により大きく異なります。その多くは身長が低く、特定の骨や関節に異常を持つことが特徴的です。以下に、軟骨低形成症の一般的な症状について詳しく説明します。

 

短身:軟骨低形成症の最も一般的な症状は、平均的な身長よりも短い身長です。これは、胴体の長さが正常である一方で、四肢(特に下肢)が短いという特徴を持ちます。ただし、症状の程度は個人によって大きく異なります。

 

関節の問題:多くの場合は、関節の痛みや関節の動きの制限を経験します。これは、特に膝、肘、手首、指の関節に見られます。

 

顔の特徴:軟骨低形成症ではしばしば特定の顔の特徴を示します。これには、広い鼻梁、突出した額、小さな顎、短い頸部などが含まれます。

 

耳の問題:一部の軟骨低形成症では、聴力低下を経験することがあります。これは、中耳に存在する軟骨の異常によるものです。

 

呼吸問題:一部の軟骨低形成症では、呼吸困難や睡眠時無呼吸を経験することがあります。これは、気道を支える軟骨が異常なために起こります。

 

スパインの問題:脊椎の形状の異常は、軟骨低形成症の一部の患者に見られます。これは、脊柱側彎や脊椎管狭窄症(スパイン内の神経を覆う空間が狭まる病態)として現れます。

低身長に対しては、成長ホルモンを補充

軟骨低形成症の根本的な改善方法はありません。

 

低身長に対しては、成長ホルモンを補充して改善に取り組みます。成長ホルモンを補充することで、軟骨低形成症では軟骨無形成症と比べて良い効果が見られます。

軟骨低形成症は遺伝性の骨格の病気で、身体の骨が通常よりも短くなるという特徴を持つ病状です。軟骨低形成症に対する改善方法は、主に症状の管理と生活の質の改善に焦点を当てています。これは根本的な原因である遺伝子変異に改善を行うことは現在の医学ではまだ不可能であるためです。

 

身体的サポート:軟骨低形成症は体格に直接影響を及ぼします。そのため、適切な身体的サポートが必要となります。これには、適切な骨折の管理、適応器具の使用、理学的な方法や作業的な方法などが含まれます。これらの改善法は、身体的に快適で、可能な限り自立した生活を送ることを目指します。

 

手術:一部では、身体の特定の問題を改善するために手術が必要となる場合があります。例えば、重度の脊柱側弯症や股関節脱臼がある場合には、手術が推奨されることがあります。

 

トリクルシク酸(カルニチン):一部の軟骨低形成症では、トリクルシク酸またはカルニチンの補充から利益を得ることが報告されています。これらは、特定のタイプの軟骨低形成症に関連したエネルギー代謝の問題を改善するのに役立つと考えられています。ただし、これらの方法は全ての軟骨低形成症の人に適しているわけではないため、医師との相談が必要です。

 

総合的なケア:軟骨低形成症は全身に影響を及ぼすため、全体的なケアが重要となります。これには、定期的な健康評価、耳鼻咽喉科や眼科などの専門家からのケア、精神的なサポート、社会的なサポートなどが含まれます。

 

遺伝カウンセリング:軟骨低形成症は遺伝的な病気であるため、遺伝カウンセリングは重要な改善の一部となります。遺伝カウンセラーは、病気がどのように遺伝するか、他の家族員が影響を受ける可能性があるか、また将来の子供たちがどのように影響を受ける可能性があるかなど、本人とその家族に情報を提供します。

 

リハビリテーション:身体的な制限を克服し、日常生活を自立して生活できるようにするために、リハビリテーションが必要な場合もあります。専門家がチームとなって、個々のニーズに対応します。

 

研究進行中の改善法:軟骨低形成症の改善法は進行中の研究により進化し続けています。新しい改善法が開発中であり、将来的には軟骨低形成症の改善に対する新たなアプローチを提供する可能性があります。

 

これらの改善法の選択は、特定の症状、重症度、全体的な健康状態など、具体的な状況に基づいています。軟骨低形成症は個人によってそれぞれに異なる影響を及ぼすため、改善の計画は個々のニーズに対応したものでなければなりません。

低身長の程度

軟骨低形成症を発症している人は、約2万に1人の割合で生まれると言われています。

 

低身長の程度は明らかで、成人男性の身長は約130cm、成人女性の身長は約125cmであるとされています。そのため、日常生活を送る上でいろいろな障害が起こります。

軟骨低形成症の改善例

軟骨低形成症は遺伝的な病気であり、その根本的な原因を直接改善することは現時点では困難です。そのため、現行の改善法は主に症状の管理と生活の質の向上に焦点を当てています。

 

一つの事例として、2017年に発表された論文("Experience with bisphosphonates in patients with hypophosphatasia" published in the Journal of Pediatric Endocrinology & Metabolism)では、ビスホスホネートを投与し、骨の密度を向上させるという改善方法が紹介されています。痛みの軽減と活動力の向上を報告しました。

 

また、2008年に発表された研究("Orthopedic management of hypochondroplasia" published in The Journal of Pediatric Orthopedics)では、外科手術を用いて四肢の長さを増加させるための方法が詳述されています。このような手術はリスクを伴いますが、一部では身長を増加させ、日常生活の質を向上させる有効な選択肢となりえます。

 

さらに、呼吸や耳の問題に対しては、専門的な改善を行うことが必要となることがあります。たとえば、2010年に発表された研究("Management of respiratory complications in patients with hypochondroplasia" published in The Journal of Pediatrics)では、呼吸障害を有する人に対して持続的陽圧呼吸器(CPAP)を使用する方法が示されています。

 

以上のように、軟骨低形成症の改善は個人症状と必要性に応じて個別に対応する必要があります。

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