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公開日:2021年 10月 1日
更新日:2025年 10月14日
本日は下垂体前葉機能低下症について解説させていただきます。
☆本記事の内容
銀座そうぜん鍼灸院の宗前です。
このページを書いている私は、鍼灸師として13年、担当した利用者様数80,000人を誇り、病気の休職者300人を社会復帰できるまで回復させてきた実績があります。
下垂体前葉機能低下症は、下垂体前葉ホルモンの一部、もしくは全てがじゅうぶんに分泌できないことによって、下垂体ホルモンそのものや末梢ホルモンが欠けている状態のことです。
下垂体は、前葉と後葉の2つの部分からできています。
前葉は、副腎皮質刺激ホルモン、甲状腺刺激ホルモン、成長ホルモン、黄体化ホルモン、卵胞刺激ホルモン、プロラクチンを分泌しており、後葉は抗利尿ホルモン(バゾプレシンとオキシトシンを分泌しています。
そのため、下垂体ホルモンの分泌がじゅうぶんにできなくなると、様々なホルモンに異常が起き、ホルモンの種類によっていろいろな症状が現れます。
下垂体前葉機能低下症は、原因やホルモンの種類がたくさんあります。そのため、下垂体前葉機能低下症を発症している人は多いと考えられています。
下垂体前葉機能低下症の原因は、炎症、腫瘍、頭部外傷などです。下垂体や間脳に障害が起きることで下垂体前用機能低下症を発症するのです。
原因不明の場合もあります。原因不明の場合、免疫異常が関係している可能性も考えられています。
遺伝で発症することはほとんどありませんが、遺伝的なことが原因となる場合もあります。
・器質的な原因(下垂体そのものの障害)
下垂体腫瘍や外傷、手術などによって、前葉細胞が破壊されることで起こるケースです。主な原因は、下垂体腺腫、頭部外傷、脳神経外科手術や放射線改善後、下垂体卒中、Sheehan症候群、結核や真菌感染などの感染、炎症性の病気、自己免疫性下垂体炎です。
・視床下部の障害(上位中枢の異常)
下垂体前葉の働きは、上位中枢である視床下部の刺激によってコントロールされています。このため、視床下部が障害されても同様のホルモン低下が起こります。主な原因は視床下部腫瘍、放射線による障害、頭部外傷、炎症や感染です。
・先天性、遺伝性の原因
先天性下垂体機能低下症、先天性中枢性甲状腺機能低下症、成長ホルモン分泌不全症などが主な原因になります。
・機能的、可逆的な原因
ストレスや栄養不良や慢性腎不全、肝不全によって下垂体機能が一時的に抑制されることで起こります。精神的な病気や拒食症などによる視床下部抑制も原因になります。
下垂体前葉機能低下症の症状は、欠けてしまったホルモンの種類によって様々です。
副腎皮質ホルモンが欠けてしまった場合、疲れやすさや血圧の低下、食欲低下、体重減少、血糖値や血中ナトリウム値の低下などの副腎不全症状が現れます。
甲状腺ホルモンが欠けてしまった場合、 低体温や脱毛、皮膚の乾燥、脈の遅さ、記憶力の低下、集中力の低下などの甲状腺機能低下症状が現れます。
GHホルモンが欠けてしまうと、子供の場合は低身長などの成長障害が起こり、成人の場合は、体脂肪の増加や筋肉の減少、骨粗鬆症、スタミナの低下などの症状が起こります。
性ホルモンが欠けてしまうと、子供の場合二次性徴の出現の遅さ、成人の男性の場合性欲の低下、EDなど、成人の女性の場合無月経や不妊などが現れます。プロラクチンが欠けてしまった場合は、授乳中の乳汁の分泌が低下します。
成長ホルモン欠乏は大人の場合、疲れやすい、体脂肪の増加、筋肉量の減少、うつや集中力低下、低血圧、冷えを引き起こします。小児では、低身長、成長遅延、筋力低下、運動能力の遅れを引き起こします。小児期ではもっとも顕著な症状が成長障害です。
甲状腺刺激ホルモン欠乏は二次性甲状腺機能低下症を引き起こし、全身の代謝が低下します。そのため、疲労感、倦怠感、寒がり、体重増加、皮膚の乾燥、むくみや脈拍の低下、集中力低下や記憶力低下などの典型的な甲状腺機能低下症と似た症状を呈します。
副腎皮質刺激ホルモン欠乏は二次性副腎皮質機能低下症を引き起こし、急に悪化すると命に関わる副腎クリーゼを起こすこともあります。そのため、強い倦怠感や低血圧、食欲不振、体重減少、低血糖、立ちくらみ、脱力感、ストレス耐性の低下などを引き起こします。また、風邪や手術などのストレスで急変することもあるため注意が必要です。
性腺刺激ホルモン欠乏は男性の場合性欲低下、勃起障害、筋肉量の減少、体毛の減少、不妊を引き起こします。女性の場合月経不順または無月経、不妊、更年期様症状、乳房萎縮を引き起こします。
下垂体前葉機能低下症の改善方法は、原因を改善することです。下垂体前葉機能低下症の原因がわかっている場合、まずは原因となっている病気などに対しての改善を行います。そして、現れている症状に対しては末梢ホルモンの補充を行います。
副腎皮質ホルモンと甲状腺ホルモンは特に生きていくために重要なホルモンです。そのため、欠けている場合は薬などで補充を行うことが多いです。そのほかのホルモンもかけてしまっている場合は薬や注射などで補充を行うこともあります。
下垂体前葉機能低下症は、原因や症状が人によって違うため、その人に合わせた改善方法を行うことが大事です。中でも子供の下垂体機能低下症の場合は、症状や改善方法が成人と違うことがあるため医師ときちんと相談することが必要です。
・原因となる病気の改善
下垂体前葉の機能低下は、多くの場合二次的な原因によって起こります。そのため、まず原因を突き止めて治療することがとても重要です。下垂体腺腫の場合外科的摘出または薬や放射線、Sheehan症候群にはホルモン補充、炎症や感染には抗菌薬やステロイド、外傷や放射線障害には進行予防とホルモン補充を行います。
・ホルモン補充
副腎皮質刺激ホルモン欠乏には副腎皮質ホルモン補充をするためにヒドロコルチゾン や プレドニゾロンなどを内服します。甲状腺刺激ホルモン欠乏には甲状腺ホルモン補充をするためにレボチロキシンを服用します。性腺刺激ホルモン欠乏には性ホルモン補充を行います。女性の場合エストラジオールや黄体ホルモン製剤によるホルモン補充、男性の場合テストステロン補充を行います。成長ホルモン欠乏には成長ホルモン補充をするためにソマトロピンの皮下注射を行います。
障害を受けた下垂体組織が自然に再生して機能を回復することは一般的にあまりありません。そのため、長い期間にわたってホルモンの補充を行い続けることが必要になります。
自己判断やめたり、量を変えたりせずに医師と相談しながら改善を続けることが大事です。
特に、副腎皮質ホルモンが欠けている場合、感染症や発熱、手術などのストレスがある状態になると、量を増やすことが必要になることもあります。医師の指導のもと、改善を行いましょう。