脂漏性皮膚炎の鍼灸【原因・定義・症状】

公開日:2022年  5月 10日

更新日:2022年  8月  2日

本日は脂漏性皮膚炎について解説させていただきます。

☆本記事の内容

  • 脂漏性皮膚炎とは
  • 脂漏性皮膚炎の原因
  • 脂漏性皮膚炎の症状
  • 脂漏性皮膚炎の改善方法
  • 脂漏性皮膚炎のまとめ
足のしびれ、痛み

銀座そうぜん鍼灸院の宗前です。

このページを書いている私は、鍼灸師として13年、担当した利用者様数80,000人を誇り、病気の休職者300人を社会復帰できるまで回復させてきた実績があります。

 

汗疹は、多くの汗をかくことで起こる発疹のこと

脂漏性皮膚炎は、頭や顔面などの皮脂の分泌が盛んな場所に現れる湿疹のことです。発症する年齢は非常に幅広く赤ちゃんから大人まで全ての年齢で発症する可能性があります。

 

脂漏性皮膚炎では、角質が目立つ肌に、赤みのある発疹ができたり、黄色のようなかさぶたができたりします。

 

脂漏性皮膚炎は、脂漏性湿疹と呼ばれることもあります。生まれて数ヶ月頃に皮脂が過剰に分泌されて脂漏性皮膚炎の場合は、乳児脂漏性皮膚炎と呼ばれます。

マラセチアの異常な増加や皮脂の分泌、肌質などが関係する

脂漏性皮膚炎の原因には、マラセチアが異常に増えることや皮脂の分泌、肌質などが関係しています。マラセチアは、皮膚に常に存在しているカビの一種です。

 

皮脂には、3本の脂肪酸がグリセロールと呼ばれる物質で束ねられた構造をし中性を示すトリグリセリドという脂肪が含まれています。

 

皮膚から皮脂が分泌され、マラセチアがトリグリセリドを遊離脂肪酸へ分解すると、遊離脂肪酸が皮膚に炎症を引き起こし、脂漏性皮膚炎を発症すると考えられているのです。

脂漏性皮膚炎(Seborrheic Dermatitis)は、皮膚の炎症性の病気の一つであり、主に頭皮、顔、耳、胸部、背中、腹部などの脂腺の多い部位に発症します。この病気は慢性的な経過をたどり、生活に影響を及ぼすことがあります。脂漏性皮膚炎の原因は多様で複雑であり、遺伝的要因、皮脂の異常、マラセチア菌の増殖、免疫反応の異常、環境要因などが関与しています。

 

【遺伝的要因】

 

脂漏性皮膚炎は遺伝的な要因によって影響を受ける可能性があります。家族歴に脂漏性皮膚炎のある人は発症リスクが高くなることがあります。遺伝子の変異が皮膚のバリア機能に影響を与え、炎症が引き起こされる可能性が考えられています。

 

【皮脂の異常】

 

脂漏性皮膚炎は、皮脂の異常による影響が考えられることがあります。皮脂は皮膚を保護し、乾燥を防ぐ役割を持っていますが、皮膚のバリア機能が低下することで炎症が引き起こされる可能性があります。皮脂の分泌が過剰になる場合や逆に不足する場合、または皮脂の組成に異常がある場合に脂漏性皮膚炎が発症することがあります。

 

【マラセチア菌の増殖】

脂漏性皮膚炎の原因には、Malassezia(マラセチア)菌の増殖も関与しています。Malassezia菌は通常皮膚に存在する常在菌であり、健康な人でも一定の数が存在します。しかし、一部の人ではMalassezia菌の増殖が異常に活発になることがあります。この過剰なMalassezia菌の増殖が皮脂の代謝を促進し、皮脂酸や脂肪酸などの有害な代謝物を生成します。これらの代謝物が皮膚の炎症を引き起こし、脂漏性皮膚炎の症状が悪化する可能性があります。

 

【免疫反応の異常】

免疫系の異常が脂漏性皮膚炎の原因の一つとして考えられます。免疫系は体内の異物や病原体と戦い、健康な状態を維持する重要な役割を果たしています。しかし、一部の人では免疫反応が過剰になり、異常な炎症が引き起こされることがあります。この過剰な免疫反応が皮脂腺や皮脂の代謝に対して影響を与え、脂漏性皮膚炎の症状を引き起こす可能性があります。

 

【ホルモンの影響】

一部の研究によれば、ホルモンの変化が脂漏性皮膚炎の原因に関与している可能性があります。特に男性ホルモン(テストステロン)や女性ホルモン(エストロゲン)の変動が、皮脂の分泌や皮膚のバリア機能に影響を与えると考えられています。ホルモンの変動が脂漏性皮膚炎の悪化に寄与することがあるとされています。

 

【環境要因】

環境要因も脂漏性皮膚炎の原因に影響を与えることがあります。乾燥した環境や寒冷な気候、冬季などの乾燥が悪化の要因となることがあります。また、ストレスや不規則な生活、過度な洗顔や頻繁なシャンプーなどの行動も皮膚の状態に影響を与える可能性があります。

脂漏性皮膚炎の症状は、赤みやかゆみ、皮むけなど

脂漏性皮膚炎の症状は、赤みやかゆみ、皮むけなどです。症状は、顔や頭、わき、陰部、耳の裏などの皮脂の分泌が活発な場所に現れます。

 

頭皮に炎症が起こった場合は、皮膚が剥がれてフケのようなものが見られるようになります。

 

症状によっては、顔に現れるアトピー性皮膚炎や接触皮膚炎と似ていることもあり、判別することが難しい場合もあります。

脂漏性皮膚炎(Seborrheic Dermatitis)は、皮膚の炎症性の病気の一つであり、主に頭皮、顔、耳、胸部、背中、腹部などの脂腺の多い部位に発生する症状が特徴的です。この病気は慢性的な経過をたどり、周期的な悪化と緩和を繰り返すことがあります。脂漏性皮膚炎の症状は個人差がありますが、一般的な症状とその特徴について詳しく説明します。

 

頭皮の症状:

脂漏性皮膚炎は、頭皮の症状が最も一般的であり、特に成人や高齢者に見られることが多いです。頭皮の症状は軽度なフケからひどいフケまで幅広く、ふけだけでなく、頭皮のかゆみや赤み、皮脂の増加が見られることがあります。特に冬季や乾燥した環境では、症状が悪化することがよくあります。フケは白っぽいものから黄色っぽいものまであり、頭皮全体に広がることがあります。

 

顔の症状:

脂漏性皮膚炎は顔にも多く現れることがあります。特に、鼻の周り、眉毛の間、眉毛の下、耳の後ろ、口の周りなど、皮脂腺が密集している部位に症状が出やすいです。顔の症状は赤みと軽度のふけ、時にはびらんやただれが見られることがあります。症状がひどい場合、顔の皮膚が不快感を伴うほどのかゆみを引き起こすことがあります。

 

耳の症状:

脂漏性皮膚炎は耳の中や耳の周りにも発生することがあります。耳の中にかさぶたやフケがたまることで、聴覚に影響を及ぼすことがあるため、注意が必要です。耳の後ろにも赤みやかゆみが見られることがあります。

 

胸部、背中、腹部などの症状:

脂漏性皮膚炎は、胸部、背中、腹部などの体幹部位にも症状が現れることがあります。これらの部位では、赤みとふけが見られることが一般的です。特に乾燥した環境やストレスの増加によって悪化することがあります。

 

乳児に見られる症状:

脂漏性皮膚炎は乳児にも見られることがあり、特に頭部やおでこ、頬に発症することが多いです。乳児の場合、ふけがよく見られ、黄色っぽいかさぶたが頭皮全体に広がることがあります。一般的に3ヶ月から1歳までの間に発症することが多く、2歳を過ぎると自然に症状が改善する場合があります。

 

ストレスによる悪化:

脂漏性皮膚炎の症状は、ストレスや心理的な要因によって悪化することがよくあります。ストレスが増加すると自律神経のバランスが崩れ、皮脂の分泌が増加することで症状が悪化することが考えられています。

 

日光による影響:

脂漏性皮膚炎の症状は、日光によっても影響を受けることがあります。紫外線は皮脂の代謝を促進し、炎症を悪化させる可能性があるため、日光に長時間さらされることは慎重に避ける必要があります。

改善方法は、抗真菌薬やステロイドが含まれた薬を使うこと

脂漏性皮膚炎の改善方法は、抗真菌薬やステロイドが含まれた薬を使うことです。薬には、軟膏やクリームタイプ、ローションタイプのものがあります。

 

頭皮に症状が現れている場合は、軟膏やクリームタイプの薬は塗りにくいため、ローションの薬を使うことをお勧めします。頭皮に薬を塗るときには、髪の根元に塗ることを心がけましょう。

 

皮脂の分泌を抑えるためにビタミンB2やビタミンB6の飲み薬を使って改善に取り組むこともあります。また、強いかゆみがある場合は、抗ヒスタミン薬の飲み薬を使うこともあります。

生活習慣を見直すことも非常に大事

脂漏性皮膚炎の改善には、生活習慣を見直すことも非常に大事です。油を多く含む食事を減らすことやきちんとストレスを解消すること、十分な睡眠を摂ることなどを心がけましょう。

 

生活習慣を見直すことは、脂質性皮膚炎の悪化を防ぐためにも、脂質性皮膚炎の発症を防ぐためにも大事です。

 

食生活では、ビタミンB類を多く含む牛乳や卵、レバー、しじみ、ほうれん草、トマト、キャベツなどをできるだけ摂取するように心がけ、コーヒーやアルコール、香辛料は摂りすぎないようにしましょう。

 

脂質性皮膚炎で頭皮に症状が現れている場合はシャンプーが原因となっていることもあります。頭皮の状態には大きな個人差があり、人によって合うシャンプーが違うためです。

 

自分の頭皮や髪質に合ったシャンプーを選び、シャンプーが原因になっている場合はシャンプーを変えることが大事です。

脂漏性皮膚炎(Seborrheic Dermatitis)の改善法は、症状の軽度から重度に応じて異なります。改善の目的は炎症の抑制、かゆみの軽減、再発予防、生活の質の向上です。

 

保湿:

脂漏性皮膚炎の改善には、皮膚の乾燥を改善する保湿が重要です。乾燥した皮膚は炎症を悪化させる要因となるため、保湿剤や保湿クリームを定期的に塗布して皮膚を潤すことが推奨されます。特に入浴後や手を洗った後に保湿を行うことで、水分を閉じ込めることができます。保湿剤にはアロエベラ、ヒアルロン酸、グリセリンなどの成分が含まれているものが効果的です。

 

トピカルステロイド薬の使用:

脂漏性皮膚炎の炎症やかゆみを抑えるために、トピカルステロイド薬が処方されることがあります。ただし、ステロイド薬は長期間の使用や誤った使用により副作用が生じることがあるため、必ず医師の指導のもとで使用することが重要です。低強度のステロイド薬から始め、症状が軽減された場合は徐々に使用頻度を減らすことが行われます。また、顔やデリケートな部位には、より弱いステロイド薬の使用が推奨されることがあります。

 

カルシネリン阻害薬の使用:

一部の脂漏性皮膚炎では、カルシネリン阻害薬(タクロリムスやピメクロリムス)が使用されることがあります。これらの薬剤はステロイド薬とは異なる作用機序で炎症を抑えるため、ステロイド薬に対する耐性がある場合や、ステロイド薬による副作用が懸念される場合に選択されることがあります。特に顔やデリケートな部位での使用に適していることが特長です。

 

アンチファンガル薬の使用:

脂漏性皮膚炎には、Malassezia(マラセチア)菌の増殖が関与していることがあります。この菌に対して有効なアンチファンガル薬(抗真菌薬)が、トピカルまたはオーラル(内服)の形で処方されることがあります。アンチファンガル薬にはケトコナゾール、クロトリマゾール、セレン、亜硫酸塩などが含まれます。薬剤の選択は症状の重症度や個別の要因によって異なります。

 

ピロクトンオラミンの使用:

ピロクトンオラミンは抗真菌作用だけでなく、炎症を抑える効果もあります。そのため、脂漏性皮膚炎の改善に使用されることがあります。特に頭皮や顔の症状に対して効果的で、継続的な使用が重要です。

 

抗生物質の使用:

皮膚の感染が疑われる場合には、抗生物質の使用が考慮されることがあります。細菌感染が発症や再発の要因となることがあるため、感染の有無を確認し、必要に応じて抗生物質を処方することが行われます。

 

抗ヒスタミン薬の使用:

かゆみを緩和するために、抗ヒスタミン薬が使用されることがあります。かゆみによる掻破を防ぐために、かゆみの強い場合には、医師に相談して抗ヒスタミン薬の使用が検討されることがあります。

 

光線法:

UVB光線法やPUVA法(光線法に光敏剤を併用するもの)は、脂漏性皮膚炎の一部に対して有効とされることがあります。ただし、日光感受性があるため、日焼け止めの使用が必要で、専門的な判断と監視のもとで行われるべきです。

 

生活習慣の改善:

脂漏性皮膚炎の改善には、健康的な生活習慣の取り入れが重要です。ストレスや不規則な生活は症状を悪化させる要因となるため、ストレス管理や十分な睡眠の確保が必要です。バランスの取れた食事、適度な運動、喫煙や飲酒の過剰摂取を避けることも皮膚の健康に寄与します。

 

脱脂石鹸の使用:

脂漏性皮膚炎の改善には、脱脂石鹸の使用が推奨されることがあります。通常の石鹸は皮脂を取り除き過ぎる可能性があるため、脂漏性皮膚炎には脱脂石鹸が適しています。皮膚を刺激せずに皮脂を除去し、炎症を抑えます。

脂漏性皮膚炎に効果的なツボ

肩髎

・合谷

・血海

肩髎

肩髎は、汗疹や蕁麻疹や湿疹、毛嚢炎などに効果を発揮するツボです。肌の表面に現れる問題を和らげてくれるため、脂漏性皮膚炎にも効果が期待できます。

 

皮膚のトラブルだけではなく、肩こりや上腕の痛みによって腕が上がらない時や四十肩、五十肩の改善にも役立つツボです。

合谷

合谷は、自律神経やホルモンのバランスを整える働きがあります。自律神経やホルモンのバランスが崩れると、皮脂の分泌が過剰になります。

 

脂漏性皮膚炎は、皮脂の分泌が過剰になることで起こるため、合谷を刺激して肌の新陳代謝を調整し、正常な状態にすることで改善が期待できるのです。

血海

血海はホルモンバランスを整える働きがあります。ホルモンバランスが整っていることは、皮脂の分泌において非常に重要です。

 

血海を刺激し、ホルモンバランスを整え、過剰な皮脂の分泌を防ぐことで脂漏性皮膚炎の改善や予防につながると考えられるのです。

ツボの位置と押し方

肩髎

肩髎は、肩峰の後下方にあるツボです。腕を上げたときに肩関節には2つのくぼみができます。2つのうち後ろ側にあるくぼみが肩髎です。

 

押すときは、中指で押します。繰り返し押すだけではなく、ツボを押したまま腕を上下に動かすことでも効果が期待できます。

合谷

合谷は、手の甲側の親指と人差し指の間のくぼんでいる部分にあります。

 

押すときは、親指を使って押します。このとき、親指の爪を立てないように注意しましょう。力加減は、少し痛みを感じるくらいがおすすめです。

血海

血海は、膝のお皿の内側端から上に指3本分上に上がったところにあるツボです。

 

押すときは、膝を曲げて両手で膝を挟むようにして押します。親指の腹を使うと押しやすいです。

脂漏性皮膚炎の改善例

人によって症状や重症度が異なるため、脂漏性皮膚炎の改善は個別に行われます。

 

プロフィール】

Aは30歳の女性で、顔や頭皮に症状が現れる脂漏性皮膚炎を持っています。最近、症状が悪化してかゆみや赤みが増してきたため、皮膚科に行くことにしました。

 

【判断と初期改善】

Aは皮膚科医による判断で脂漏性皮膚炎と確定されました。医師はAの症状と病歴を詳しく聞き取り、調べました。その結果、Aの症状は脂漏性皮膚炎の典型的なものであり、顔や頭皮に赤みとふけが広がっていることが確認されました。

 

初期の改善方法として、医師は以下の改善法を提案しました。

 

保湿:

乾燥が悪化を招くため、保湿剤を使用して皮膚の乾燥を防ぐよう指導されました。シャワーや洗顔後に保湿剤を塗布し、皮膚のバリア機能を保つことが重要です。

 

トピカルステロイド薬の使用:

炎症やかゆみを抑えるため、弱いトピカルステロイド薬が処方されました。医師は使用方法や使用期間について丁寧に説明し、ステロイド薬の誤った使用を避けるようアドバイスしました。

 

抗真菌薬の使用:

Malassezia菌の増殖を抑えるため、ピロクトンオラミンが含まれる抗真菌薬の使用が推奨されました。特に頭皮の症状に対して効果的です。

 

【改善経過】

Aは改善を開始してから1週間後に再度病院に行きました。その際、症状の改善が見られ、顔の赤みとかゆみが軽減されていることが確認されました。頭皮のかゆみも以前よりも軽くなっており、フケの量も減少していました。

 

医師はAに引き続き改善を継続するようアドバイスしました。さらに、以下の点についても注意を促しました。

 

定期的なフォローアップ:

Aは経過を定期的に報告するために、2週間後に再度病院に行きました。効果を確認し、必要に応じて改善法を調整することが目的です。

 

ストレス管理:

ストレスは脂漏性皮膚炎の症状を悪化させる要因として考えられるため、ストレス管理が重要です。リラクゼーション法や趣味を楽しむことなど、ストレスを軽減する方法をAに提案しました。

 

日焼け予防:

脂漏性皮膚炎は紫外線によって悪化することがあるため、日焼け止めの使用や日光を避けることが重要です。外出時には日傘や帽子を使用することで、皮膚を保護するようアドバイスしました。

 

【改善の継続と再発予防】

Aは定期的なフォローアップを受けながら改善を継続しました。2週間後の病院では、顔や頭皮の症状が更に改善されており、かゆみや赤みはほぼ見られなくなりました。Aは改善の成果に満足し、生活の質が向上していることを実感しています。

 

しかし、脂漏性皮膚炎は慢性的な病気であり、再発のリスクがあることを理解しています。再発予防のために、Aは引き続き保湿と適切なスキンケアを行っています。また、ストレス管理や日焼け予防にも意識を向けています。

 

以上のように、脂漏性皮膚炎の改善は個別の症状や生活状況に応じて行われます。

 
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