シャルコー・マリー・トゥース病の鍼灸【原因・定義・症状】

公開日:2021年  11月 1日

更新日:2021年  12月 2日

本日はシャルコー・マリー・トゥース病について解説させていただきます。

☆本記事の内容

  • シャルコー・マリー・トゥース病とは
  • シャルコー・マリー・トゥース病の原因
  • シャルコー・マリー・トゥース病の症状
  • シャルコー・マリー・トゥース病の改善方法
  • シャルコー・マリー・トゥース病のまとめ
足のしびれ、痛み

銀座そうぜん鍼灸院の宗前です。

このページを書いている私は、鍼灸師として13年、担当した利用者様数80,000人を誇り、病気の休職者300人を社会復帰できるまで回復させてきた実績があります。

 

シャルコー・マリー・トゥース病は、遺伝子異常によって起こる

シャルコー・マリー・トゥース病は、主に遺伝子異常によって起こる末梢神経 疾患です。1886年に報告された病気で、末梢神経障害によって四肢遠位部優位の筋力の低下や感覚の低下が起こります。

 

発症には基本的に男女の差はありません。ほとんどの場合0歳から20歳頃までに発症しますが、60才以降に発症している例もあります。

 

一般的には珍しい病気であると言われていますが、1万人に1人発症していると言われています。

シャルコー・マリー・トゥース病の原因は遺伝

シャルコー・マリー・トゥース病の原因は遺伝です。原因となる遺伝子は60種類以上あるということがわかっています。

 

シャルコー・マリー・トゥース病の遺伝形式には常染色体優性遺伝、常染色体劣性遺伝、X染色体劣性遺伝などがあります。ただし、必ずしも親から子供遺伝するわけではありません。

 

シャルコー・マリー・トゥース病は、異なる遺伝子の異常によって同じ症状が現れる遺伝的多様性という特徴があると言われています。

 

原因となる遺伝子の異常がどのようなメカニズムで症状を引き起こしているのかについては今のところわかっていません。

シャルコー・マリー・トゥース病は、遺伝性の神経の病気で、知られる中でも最も一般的な遺伝的神経障害の一つです。この病気は末梢神経の変性または機能不全を引き起こし、主に手足の筋肉の弱さや萎縮をもたらします。

 

 

 

CMTの原因は、異常な遺伝子変異によるものです。これらの変異は、末梢神経の健康や機能を維持するのに必要なたんぱく質の形成や機能に影響を及ぼします。CMTは多くの異なる遺伝子変異に関連しており、これが病気の異なるタイプや亜型を生む原因となっています。

 

Myelinの問題: 多くのCMTの形態は、神経を覆う絶縁物質であるミエリンの問題に関連しています。ミエリンは神経インパルスの伝播を高速化する役割があり、このミエリンの形成または機能が損なわれると、神経信号の伝達が遅れるか、正しく伝達されなくなります。

 

Axonalの問題: いくつかのCMTの亜型は、神経軸索(神経細胞の一部で、神経インパルスを伝達する部分)の問題に関連しています。これらの問題は、神経信号の伝達の効率を低下させる可能性があります。

 

遺伝的要因

 

CMTは主に以下の遺伝的伝達方法で家族間で伝えられます。

 

常染色体優性遺伝: CMTの最も一般的な形態は、一方の親から異常な遺伝子を受け取った場合に発症します。

 

常染色体劣性遺伝: この形態は両方の親から異常な遺伝子を受け取った場合に発症します。

 

X連鎖: X染色体上の異常な遺伝子が関与する場合、主に男性に影響を与えます。

症状は、四肢遠位部の筋肉が萎縮し、感覚が少し鈍くなること

シャルコー・マリー・トゥース病の症状は、足や下腿、手や前腕などの四肢遠位部の筋肉の萎縮が少しずつ進み、感覚が鈍くなることです。

 

症状は子供の頃から現れることが多く、場合によっては生まれた時にすでに症状が現れていることもあります。

 

多くの場合、足や足趾の変形や足の筋力の低下が見られ、鶏のように両方の大腿を大げさに上げて両趾先を垂れて歩く特徴的な歩き方をします。

 

目の見えにくさや音の聞こえにくさなどの症状も現れることがあります。シャルコー・マリー・トゥース病は人によって非常に様々な症状が現れるのです。

シャルコー・マリー・トゥース病は、遺伝的な原因による神経障害であり、主に末梢神経の変性または機能不全を引き起こす病気で、数多くのサブタイプに分類され、それぞれ特定の遺伝子の変異に関連しています。そのため、症状は個人によって異なる場合がありますが、いくつかの共通点も見られます。

 

主な症状

筋肉の弱さ: 多く場合に最初に経験する症状は、足の筋肉の弱さです。特に足首や足の裏側の筋肉が弱くなることが多い。これにより、足を引きずるように歩く「足首の下垂」と呼ばれる歩行障害が出現することがあります。

 

筋肉の萎縮: 筋肉の弱さに伴い、特に下肢の筋肉が萎縮します。足の筋肉の萎縮により、足の骨や関節が目立つようになることがあります。

 

感覚の障害: 皮膚の感覚が鈍くなることがあり、特に手や足の感覚の喪失が見られます。これにより、熱や冷たさ、痛みを感じにくくなることがあります。

 

歩行障害: 上記の筋肉の弱さや感覚の喪失により、歩行時にバランスを取りにくくなることがある。また、足を高く上げないと障害物につまずくことが増えるため、特有の「ステップゲイト」と呼ばれる歩行パターンが見られることがあります。

 

手の筋肉の弱さ: 進行すると、手の筋肉の弱さや萎縮も見られるようになります。これにより、細かい動作や持ち物が困難になることがあります。

 

筋肉のけいれんや痛み: 一部では筋肉のけいれんや痛みを経験することがあります。

 

ハイアーチフット: 足の形が変わり、特に足の中央部が高くなるハイアーチフットが見られることが多い。

 

平足: ハイアーチフットと逆に、一部では平足を示すことがあります。

 

振戦: 稀に、手や腕に振戦が見られることがあります。

 

呼吸困難: 重症の場合、呼吸筋の弱さにより呼吸困難が生じることがあります。

効果的な改善方法については現在研究が進められている

シャルコー・マリー・トゥース病に対して非常に効果があると言われている改善方法はありません。抗ホルモン剤やビタミンB12、クルクミンなどで改善を行いますが、今のところ安全性や効果について詳しいことはわかっていません。

 

シャルコー・マリー・トゥース病の効果的な改善方法については現在研究が進められています。

シャルコー・マリー・トゥース病は、遺伝的な原因に基づく神経の病気であり、主に末梢神経に影響を与えます。現在、CMTを完全に改善する薬や手段は存在しませんが、症状の進行を遅らせたり、生活の質を向上させたりするための多くの方法が利用されています。

 

薬: いくつかの薬がCMTの症状を軽減するために試みられていますが、現在、病気そのものを改善する特定の薬は認められていません。しかし、痛みや筋肉のけいれんなどの特定の症状を緩和するための薬が処方されることがあります。

 

運動プログラムやストレッチング: 筋力の維持や増強、関節の可動域の拡大、日常生活動作の改善を目指して行われます。定期的な運動プログラムやストレッチングが推奨され、筋肉の硬直や萎縮の予防に役立ちます。

 

日常生活の動作のサポート: 例えば、手の筋力が低下している場合、特別な器具や変更された方法での日常のタスクの実行が助けとなります。

 

装具: 足首の筋肉が弱くなると、歩行が困難になることがあります。この場合、足首足底装具(AFO)などの特製の装具が推奨されることがあり、これにより歩行の安定性や効率性が向上します。

 

外科手術: 一部では、高足アーチや平足などの骨格の変形を修正するための外科手術を検討することがあります。

 

遺伝カウンセリング: CMTは遺伝性の病気であるため、家族計画を考えている場合などに対して、遺伝カウンセリングが提供されることがあります。

 

感覚器具: 感覚の低下を補うための器具や技術、例えば、大きな字の本や特定のタイプのシューズなどが推奨されることがあります。

 

近年の研究により、CMTの原因となる遺伝子変異をターゲットにした改善法が開発されつつあります。未来の改善の可能性として注目されている手法もありますが、これらの改善法はまだ臨床段階であり、一般的には利用されていません。

シャルコー・マリー・トゥース病は末梢神経の遺伝的な病気であり、筋肉の弱さや萎縮、感覚の変化などの症状が特徴です。運動プログラムやストレッチングは、これらの症状の管理や予防に有効な方法の一つとされています。以下は、CMTの改善のための運動やストレッチングの具体的な方法とその効果についての説明です。

 

1. ストレッチング

 

足首のストレッチ: 足首の下垂が見られる場合、腓骨筋やアキレス腱を伸ばすことが推奨されます。床に座り、タオルやベルトを足の裏にかけ、ゆっくりと足首を自分の方に引っ張ります。この動作は毎日数回、各回20-30秒維持するのが理想的です。

ハムストリングストレッチ: 腿の裏側の筋肉を伸ばすために行います。床に座り、片方の足を前に伸ばし、もう片方の足を内側に曲げます。上体を前に倒して、伸ばした足のつま先を掴むようにします。

効果: 筋肉の硬直の予防、関節の可動域の維持、歩行時の足首の動きの改善。

 

2. 筋力トレーニング

 

抵抗バンドを使用した足首のエクササイズ: 抵抗バンドを足の前部にかけ、足を外側や内側、上方向に動かすことで、足首の筋肉を鍛えます。

手の筋肉強化: 軟球を握って力を入れたり、ゴムバンドを指にかけて開閉するエクササイズなどで、手の筋肉を強化します。

効果: 筋肉の弱化や萎縮の進行を遅らせる、日常生活動作のサポート。

 

3. バランストレーニング

 

片足立ち: 安全な場所で、片足だけで立つことで、バランス感覚を鍛えます。必要に応じて、壁や家具を支えにすることも可能です。

足を前後に動かすエクササイズ: 立った状態で、片足を前後に動かしてバランスをとる練習を行います。

効果: 転倒リスクの低減、歩行の安定性の向上。

 

注意事項: CMTでは筋肉の過度な疲労を避けるため、強度や頻度は専門家のアドバイスに従い、個人の状態に合わせて調整することが重要です。運動前には十分なウォームアップと、運動後にはクールダウンを行うことを忘れずに行いましょう。

 

CMTの適切な運動プログラムやストレッチングは、筋肉の健康を維持し、関節の可動域を保持し、日常生活の質を向上させる上で非常に有益です。

前向きに過ごすことが大切

シャルコー・マリー・トゥース病は効果的な改善方法が今のところわかっていませんが、一般的に命に危険が及ぶ病気ではありません。多くの場合で仕事を続けたり杖を使えば自分の足で歩いたりすることができます。

 

自分に合う靴を使ったり下肢装具などを使ったりすることで機能的な面では改善が期待できます。筋力と筋の耐性を保つためには、適度な運動も必要であると言われています。

 

改善方法が明らかになっていないからと言っても悲観的にならず前向きに過ごすことが大切です。

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