クロウ・深瀬症候群の鍼灸【原因・定義・症状】

公開日:2021年 10月23日

更新日:2023年 12月14日

本日はクロウ・深瀬症候群の鍼灸について解説させていただきます。

☆本記事の内容

  • クロウ・深瀬症候群とは
  • クロウ・深瀬症候群の原因
  • クロウ・深瀬症候群の症状
  • クロウ・深瀬症候群の改善方法
  • クロウ・深瀬症候群のまとめ
足のしびれ、痛み

銀座そうぜん鍼灸院の宗前です。

このページを書いている私は、鍼灸師として13年、担当した利用者様数80,000人を誇り、病気の休職者300人を社会復帰できるまで回復させてきた実績があります。

 

クロウ・深瀬症候群は、様々な症状が全身に現れる病気

クロウ・深瀬症候群は、欧米でPOEMS症候群とも呼ばれている病気で、全身に様々な症状が現れます。

 

現れる症状には、末梢神経障害による手足のむくみや色素沈着や血管腫などの皮膚の変化、胸水や腹水などがあります。

 

日本では報告者の名前からクロウ・深瀬症候群と呼ばれています。女性と男性では、男性の方が発症する割合が高いです。発症する年齢の平均は40歳代ですが、若い場合は30歳ごろ、高齢の場合は80歳ごろに発症することもあります。

クロウ・深瀬症候群の原因には血管内皮増殖因子が関係している

クロウ・深瀬症候群の原因は詳しくはあきらかになっていません。

 

今のところ、骨髄や一部のリンパ節に形質細胞ができ、増えてしまうことによって血管内皮増殖因子というタンパク質ができ、症状が現れていると言われています。

 

血管内皮増殖因子は血管の増殖をすすめ、体液の血管の外への透過性を亢進させる働きをします。そのためにいろいろな症状が現れるのです。

クロウ・深瀬症候群、別名POEMS症候群は、多岐にわたる臨床症状を持つ希少な病気で、正確な原因はまだ完全には解明されていませんが以下の要因が関与していると考えられています。

 

単クローン性プラズマ細胞増殖症:POEMS症候群は、単クローン性プラズマ細胞の異常増殖と関連しています。この異常増殖により、特定の免疫グロブリン(モノクローナルプロテイン)が産生され、体内の様々な器官に影響を与えると考えられています。

 

サイトカインの異常分泌:異常増殖したプラズマ細胞が、炎症や組織損傷に関与するサイトカイン(例:VEGF、TNF-α、IL-1、IL-6)を過剰に分泌することが、POEMS症候群の症状を引き起こす一因とされています。VEGF(血管内皮成長因子)の過剰な分泌は、特にこの症候群の特徴である血管新生や水腫の原因となる可能性が高いです。

 

遺伝的要因:遺伝的要因がこの症候群の発症に関与している可能性は指摘されていますが、具体的な遺伝子や遺伝的メカニズムはまだ明確には特定されていません。

 

免疫学的要因:免疫系の異常もPOEMS症候群の発症に関連していると考えられています。

クロウ・深瀬症候群の症状は様々な全身症状

クロウ・深瀬症候群の症状は、末梢神経障害や手足のむくみ、色素沈着や血管腫などの皮膚の変化、胸水や腹水など様々です。

 

発症すると多くの場合は初めに、末梢神経障害による手や足先のしびれ感や脱力が現れます。症状が進むと、皮膚の色素沈着や手足のむくみが現れます。胸水や腹水が早い段階で起きることもあります。

 

症状は少しずつ進んでいき、症状が進むと様々な症状が現れるようになります。

クロウ・深瀬症候群は、POEMS症候群とも呼ばれます。POEMSはPolyneuropathy(多発性神経症)、Organomegaly(臓器腫大)、Endocrinopathy(内分泌異常)、Monoclonal gammopathy(単クローン性ガンマグロブリン症)、Skin changes(皮膚変化)の頭文字をとったものです。

 

多発性神経症(Polyneuropathy):手足のしびれや弱さ、歩行困難などの末梢神経障害が現れます。

 

臓器腫大(Organomegaly):肝臓、脾臓、リンパ節などの臓器の腫大が見られます。

 

内分泌異常(Endocrinopathy):甲状腺機能異常、糖尿病、性腺機能低下など様々な内分泌系の異常が起こり得ます。

 

単クローン性ガンマグロブリン症(Monoclonal gammopathy):血液中に特定の異常な免疫グロブリン(Mタンパク質)が存在します。

 

皮膚変化(Skin changes):色素沈着、皮膚の肥厚、発疹、異常な発汗などが生じます。

 

その他にも浮腫、呼吸困難、胸痛、腹痛、体重減少、視力障害などが起こることがあります。

 

POEMS症候群の症状は個人によって異なり、症状の範囲と重症度は広範囲にわたります。

クロウ・深瀬症候群の改善方法は確立されていない

クロウ・深瀬症候群の改善方法は確立されていません。

 

異常形質細胞による骨病変が1箇所だけの場合は、骨病変を取り除いたり放射線を照射したりして改善を行います。

 

しかし、骨病変がいくつもあったりいくつあるかが分からなかったりする場合は、副腎皮質ホルモンや抗がん剤を使って改善を行います。

 

近年は、自分の細胞を使って移植する改善方法で、症状が非常に軽くなったという報告があります。

 

そのため、全身の状態が良い65歳以下の人の場合は、この方法で改善を行うことで、症状が落ち着き日常生活にあまり影響がない状態になることが期待されています

クロウ・深瀬症候群の改善法は、症候群の複雑な性質と多様な症状を考慮して、個々に合わせて行われます。

 

抗がん剤:POEMS症候群は、単クローン性プラズマ細胞異常に関連しているため、抗がん剤が用いられることがあります。メルファラン、シクロホスファミド、レナリドミドなどの薬剤が使用されます。

 

放射線:単一のプラズマ細胞腫が原因である場合、放射線が効果的な選択肢となることがあります。

 

ステロイド:ステロイドは、炎症を減少させ、症状の緩和に役立ちます。

 

幹細胞移植:一部では、自己幹細胞移植が症状の改善に効果的です。特に若くて他の重大な健康問題がない場合に対して推奨されることがあります。

 

症状に対する対処:神経症状に対しては、神経痛に対する薬物(例:ガバペンチン)が処方されることがあります。内分泌異常に対しては、ホルモンの補充が必要になることがあります。浮腫に対しては利尿剤の使用が考慮されます。

 

サポート法:栄養補助、理学法、心理社会的支援などが重要です。

 

計画は症状、全身状態、病状の進行度によって異なります。POEMS症候群は多系統に影響を及ぼすため、改善は複数の専門家によるチームアプローチで行われることが一般的です。

クロウ・深瀬症候群の改善に用いられる薬は、症状の重症度と個々の状態に基づいて選択されます。以下に主な薬の種類とその使用目的を説明します。

 

メルファラン: しばしばPOEMS症候群に使用される薬です。

 

レナリドミド: イムノモジュレーターであり、プラズマ細胞の増殖を抑制します。

 

シクロホスファミド: 免疫系に作用し、異常プラズマ細胞の増殖を抑制する薬です。

 

デキサメタゾン:炎症を軽減し、化学療法の効果を高めるために使用されます。

 

ベバシズマブ: VEGF(血管内皮成長因子)を阻害し、血管新生を減少させる薬剤です。

 

ガバペンチンやプレガバリン: 神経痛を和らげるために処方されます。

 

利尿剤:浮腫に対して利尿剤が用いられることがあります。

 

これらの薬は、POEMS症候群に伴うさまざまな症状や合併症を管理するために使用されます。

改善を行わなければ命に危険が及ぶ

クロウ・深瀬症候群は人によって症状が進む速さは異なります。しかし、改善を行わなければ、数年の間に末梢神経障害によって手足の麻痺が進み、大量の胸水と腹水が溜まって心不全や腎不全に至ると言われています。

 

心不全や腎不全になってしまうと命が非常に危険な状態になってしまいます。そのため、いろいろな改善方法が研究されているのです。

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