脂肪肝の鍼灸【原因・定義・症状】

公開日:2021年  2月23日

更新日:2022年  3月 3日

本日は脂肪肝について解説させていただきます。

☆本記事の内容

  • 脂肪肝とは
  • 脂肪肝の原因
  • 脂肪肝の症状
  • 脂肪肝の改善方法
  • 脂肪肝の予防
足のしびれ、痛み

銀座そうぜん鍼灸院の宗前です。

このページを書いている私は、鍼灸師として13年、担当した利用者様数80,000人を誇り、病気の休職者300人を社会復帰できるまで回復させてきた実績があります。

 

脂肪肝は、中性脂肪が肝臓にたまっていく病気

脂肪肝は、中性脂肪が肝臓にたまっていく病気です。脂肪肝の原因は、アルコールの過剰摂取や肥満、生活習慣病です。

 

脂肪肝にはアルコール性脂肪肝と非アルコール性脂肪肝の2種類あります。アルコールが原因の脂肪肝をアルコール性脂肪肝、それ以外のことが原因の脂肪肝が非アルコール性脂肪肝です。

 

体の中の脂肪の割合が肝細胞全体の3割ある場合、脂肪肝と判断されます。

脂肪肝の中には、肝臓の線維化が進んで慢性肝炎になることがあります。慢性肝炎からさらに肝硬変や肝臓がんに進んでしまうこともあります。

 

脂肪肝の原因の1つはアルコールの過剰摂取ですが、アルコールをあまり摂取しない人も脂肪肝になる可能性はあります。

 

肝臓は他の臓器に比べて再生能力が優れています。そのため、ダメージを受けても残りの細胞が機能を保つことができます。機能が保たれることで、痛みなどの自覚症状が出てきません。異常があったとしても自分で気がつくことが難しいため、発見された時には病気が進んでいることも多くあります。

脂肪肝の主な原因は、過度なアルコールの摂取、肥満、糖尿病

脂肪肝の主な原因は、過度なアルコールの摂取、肥満、糖尿病です。

 

他にも、中性脂肪高値などの脂質異常症、甲状腺機能亢進症、ステロイドなどの薬剤が原因となって脂肪肝を引き起こすこともあります。

 

アルコールは分解するときに中性脂肪に合成されやすいため、脂肪肝の原因となることが多いです。多くのアルコールを摂取する場には食事も伴います。そのため、アルコールの飲み過ぎだけでなく、食べ過ぎが原因で脂肪肝を起こすことも多くあります。

過度に脂質や糖質を摂取している人が運動不足などでエネルギーを消費しきることいができないと、摂取した脂質や糖質と消費エネルギーとのバランスが崩れてしまいます。

 

すると消費することができなかった脂肪酸やブドウ糖は中性脂肪やグリコーゲンとして肝臓に溜まっていきます。このようにして肝臓に中性脂肪が溜まっていくと、脂肪肝を引き起こしてしまいます。

脂肪肝は、肝臓に脂肪が蓄積する状態を指します。脂肪肝には、非アルコール性脂肪肝症とアルコール性脂肪肝症の2つの主要なタイプがあります。

 

アルコール摂取が原因ではない脂肪肝は、以下の要因によって引き起こされることがあります。

肥満:肥満は、脂肪肝の主要な原因の1つであり、体内で脂肪が蓄積しやすくなります。

高脂血症:高脂血症は、血液中の脂質が異常に高い状態です。これは、肝臓への脂肪蓄積を促進します。

糖尿病:糖尿病患者は、脂肪肝のリスクが高まります。インスリン抵抗性が脂肪蓄積を促進するためです。

高血圧:高血圧は、肝臓に対する負担を増加させ、脂肪肝のリスクが高まります。

代謝症候群:代謝症候群は、肥満、高血圧、高血糖、高脂血症の組み合わせであり、脂肪肝のリスクが高まります。

遺伝:遺伝的要因は、脂肪肝の発症リスクに影響を与える可能性があります。

 

アルコール性脂肪肝症は、過度のアルコール摂取が原因で肝臓に脂肪が蓄積する症状です。アルコールは、肝臓が脂肪を正常に処理する能力を低下させ、脂肪が肝臓に蓄積する原因となります。

 

他にも、薬や急激な減量、ウイルス性肝炎、自己免疫性肝炎などが原因になることがあります。

ほとんどの脂肪肝は症状がない

ほとんどの脂肪肝は症状がありません。そのため、ほとんどの場合は、人間ドックなどで肝機能障害を調べた際に発見されます。

 

アルコール性脂肪肝の場合、禁酒をしなければアルコール性肝炎やアルコール性肝硬変へと進む危険性が高く、アルコール性肝炎やアルコール性肝硬変に進んだ場合には症状が現れてきます。

 

その場合、初めの頃は倦怠感や食欲不振の症状が見られ、症状が進んでいくと逆流性食道炎や吐血などの消化器症状やしびれや歩行障害などの神経症状、依存症やうつ病や睡眠障害などの精神神経症状も合わせて起こすようになります。

脂肪肝の多くは自覚症状はありません。しかし、ある程度まで脂肪肝の症状が進んだ場合には、自覚症状が現れることもあります。

 

脂肪肝になると血液がドロドロの状態になり、血流が悪くなります。そして、全身の細胞に酸素と栄養分が行き渡らなくなります。

 

そのことによって、だるさや疲れやすさを感じたり、肩こりが現れたりすることがあるのです。他にも、腹部の違和感などが起こることもあります。

脂肪肝は、肝臓に脂肪が蓄積される状態を指します。脂肪肝の症状について、以下に詳しく述べます。

 

無症状:脂肪肝の初期段階では、多くの場合が無症状であり、偶然発見されることが多いです。

 

肝機能異常:肝臓に脂肪が蓄積することで、肝臓の働きが低下し、肝機能の値が上昇することがあります。

 

腹部不快感:脂肪肝が進行すると、右上腹部に違和感や軽い痛みが生じることがあります。

 

疲労感:脂肪肝が慢性的に進行すると、疲れやすくなることがあります。

 

黄疸:脂肪肝が肝臓の働きを著しく低下させた場合、皮膚や目の白目が黄色くなる黄疸が現れることがあります。しかし、これは脂肪肝だけでなく、他の肝臓の病気でも起こります。

 

脂肪肝の進行:非アルコール性脂肪性肝炎や肝硬変、肝がんへの進行が懸念される場合、それぞれの症状や合併症が現れることがあります。これらの状態では、肝臓の炎症が進行し、肝臓の機能低下が著しくなります。

 

脂肪肝の症状は、病状の進行や個人差によって異なります。

食べ過ぎないこと、適度に運動をすること、減量すること

脂肪肝を改善するには、食べ過ぎないこと、適度に運動をすること、減量することが基本です。非アルコール性脂肪肝の人のほとんどの原因は食べ過ぎだといわれています。食べ過ぎない、運動をする、減量する、この3つが改善には必要なのです。

 

糖尿病などの生活習慣病が原因で脂肪肝が起こっている場合は、食生活の改善やダイエットなどが改善に必要なことです。

 

肝臓に脂肪がたまることを防ぐ薬を使って改善していくこともありますが、基本的にはまず生活習慣を整えて脂肪肝の原因を改善することが大事です。

アルコール性脂肪肝の場合は改善するためには、まず禁酒です。禁酒によって肝機能障害が改善されることが多く、肝機能障害が改善されることでアルコール性肝硬変に進んでしまうことを避けることができます。

 

食事は高タンパク食にして、緑黄色野菜などを積極的に食べてビタミンやミネラルを摂取するよう心がけましょう。

 

アルコールが原因の場合は、とにかく禁酒することが大切です。

脂肪肝の改善では、主に生活習慣の改善によって進行を抑えることが目的です。

 

体重の管理:脂肪肝の改善において最も重要な要素は、体重の管理です。適切な食事と運動によって体重を減らし、BMIを適切な範囲に保ちます。目標は、体重を徐々に減らすことで、肝臓への負担を軽減させることです。

 

食事の改善:低脂肪、低カロリーの食事を心がけ、炭水化物や脂肪の摂取量を調整します。食物繊維や抗酸化物質を多く含む野菜や果物を摂取し、ビタミンEやオメガ3脂肪酸も適切に摂ることが推奨されます。

 

適度な運動:運動は、脂肪肝の改善に役立ちます。有酸素運動を週に3~5回、30分以上行うことが効果的です。運動を始める前には、医師と相談し、自分に適した運動プログラムを立てましょう。

 

アルコール摂取の制限:アルコールは、肝臓に負担をかけるため、脂肪肝の場合には適度な制限が必要です。医師の指示に従い、適切な量のアルコール摂取を心がけましょう。

 

合併症の管理:糖尿病、高血圧、高脂血症などの合併症がある場合は、それらの病状を適切に管理することが重要です。医師と連携して、薬を使ったり生活習慣の改善を行なったりしましょう。

 

薬:現在、特定の脂肪肝に対する薬はありませんが、症状や合併症に応じて、抗炎症薬やインスリン感受性を改善する薬、コレステロール低下薬などが処方されることがあります。また、非アルコール性脂肪性肝炎の薬が開発中です。

 

肝臓の保護:肝臓に負担をかける薬や化学物質の摂取を避けることで、肝臓の保護に役立ちます。処方された薬の中にも肝臓に影響を与えるものがあるため、医師と相談し、適切な薬物管理を行いましょう。

 

脂肪肝の進行状況を把握するために、定期的に調べることも重要です。これにより、改善の効果や病状の変化を確認し、適切な対策を講じることができます。また、改善の過程で、精神的なサポートが必要な場合があります。サポートグループやカウンセリングを利用することも効果的です。

 

脂肪肝の改善は、状況や症状に応じて柔軟に対応することが重要です

脂肪肝を予防するには

脂肪肝を予防するためには、習慣的にアルコールを摂取している人は、自分の飲んでいるお酒の量を自分で把握し、過剰に摂取しないように気をつけることが大切です。

 

脂肪分の多い食事や運動不足は、糖尿病などの生活習慣病の原因になることがあります。そのため、バランス良い食事と適度な運動を心がけることで、生活習慣病の予防につながり、脂肪肝の予防にもつながるのです。

 

脂っぽい食事を控えることも予防には重要ですが、糖質の摂り過ぎに注意することも予防には非常に重要です。

脂肪肝の発症には、ストレスや喫煙、紫外線などから発生する活性酸素も関係しているといわれています。緑茶に含まれるカテキンは活性酸素を消してくれる働きがあるため、意識して摂取すると良いでしょう。

 

血糖値の上昇を穏やかにしてインスリンの分泌を抑えることも脂肪肝の予防には大切なことです。脂肪肝は自覚症状がないことがほとんどですが、放っておくと肝炎や肝硬変、肝がんに進んでいく危険があります。

 

定期的に異常がないかどうか調べておくことが大切です。

脂肪肝に効果的なツボ

太衝

中封

蠡溝

太衝

太衝は、肝経の基本になるツボです。そのため、太衝を刺激することは肝経の働きを整える効果があります。

 

太衝は、肝臓の機能を高めるために作用するため、血をきれいするために効果を発揮します。そのため、生殖器や泌尿器の問題や腹部の冷え、消化不良などに効果的です。

 

脂肪肝は肝臓に脂肪が溜まっていくため、肝経の働きを整え、血をきれいにすることで改善が期待できます。

中封

中封は、ギックリ腰に非常に効果的なツボです。他にも腹部の冷えや足の冷え、尿の出の異常に効果を発揮します。

 

中封は、肝経のツボであるため、肝臓の機能を高める効果もあります。そのため、脂肪肝の改善に対しても効果が期待できます。

蠡溝

蠡溝は、生理不順やおりもの、男子生殖器の問題などに対して効果を発揮するツボです。肝臓や胆嚢の強化、滋養強壮、冷えなどを改善するために使われることも多いです。

 

肝経のツボのため、肝臓の機能を高めることで脂肪肝の改善に対しての効果も期待できます。

ツボの位置と押し方

太衝

太衝は、足の甲側にあるツボで、親指と第二指の中足骨の間を触って上がってきたとき、骨と骨がくっついているところにあります。

 

3秒押して3秒離す方法で押すことをお勧めします。お風呂に入っている時などリラックスしながら行うこともお勧めです。

中封

中封は、軽くつま先を上げたとき浮き上がってくるスジの内側とくるぶしの間の溝にあります。

 

押して痛い場合はお灸で温めることも効果的です。

蠡溝

蠡溝は、脛骨の中央にあるツボです。内くるぶしから5寸上に上がった場所にあります。

 

押すときは、親指を使ってゆっくり押します。離す時もゆっくり離すことがポイントです。

脂肪肝の改善例

生活習慣の改善による脂肪肝の改善

Promrat K, Kleiner DE, Niemeier HM, et al. Randomized controlled trial testing the effects of weight loss on nonalcoholic steatohepatitis. Hepatology. 2010;51(1):121-129.

この研究では、非アルコール性脂肪肝の発症者を対象に、カロリー制限と運動による減量が脂肪肝の改善にどの程度効果があるかを検証しました。結果として、対象者の約80%が脂肪肝の改善を達成し、その多くが体重減少によって肝臓への脂肪蓄積が減少したことが示されました。

 

ビタミンEの効果

Sanyal AJ, Chalasani N, Kowdley KV, et al. Pioglitazone, vitamin E, or placebo for nonalcoholic steatohepatitis. N Engl J Med. 2010;362(18):1675-1685.

この論文では、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)患者に対してビタミンEを投与した結果、プラセボと比較して有意な肝臓の炎症と脂肪蓄積の改善が見られたと報告されています。ただし、ビタミンE療法は長期間の安全性が確立されていないため、医師の指示に従って使用することが重要です。

 

薬物療法

Cusi K, Orsak B, Bril F, et al. Long-Term Pioglitazone Treatment for Patients With Nonalcoholic Steatohepatitis and Prediabetes or Type 2 Diabetes Mellitus: A Randomized Trial. Ann Intern Med. 2016;165(5):305-315.

この論文では、NASHおよび糖尿病の発症者に対してピオグリタゾンが投与され、その結果、肝臓の炎症と線維化の改善が見られました。ただし、ピオグリタゾンは副作用が報告されているため、医師と相談の上、慎重に使用する必要があります。

 

肝臓移植

Yalamanchili K, Saadeh S, Klintmalm GB, et al. Nonalcoholic fatty liver disease after liver transplantation for cryptogenic cirrhosis or nonalcoholic fatty liver disease. Liver Transpl. 2010;16(4):431-439.

 

この研究では、原因不明の肝硬変や非アルコール性脂肪肝症による肝不全のために肝移植を受けた人を対象に、移植後の脂肪肝の再発や移植の有効性を評価しました。結果として、移植後の脂肪肝の再発率は比較的低く、肝移植はNAFLDによる肝不全の改善の選択肢の1つであることが示されました。ただし、肝移植は侵襲的な手術であり、適切なドナーが見つかるまで待機が必要な場合もあるため、他の改善法が効果が不十分である場合にのみ選択されるべきです。

 

これらの研究に基づくと、脂肪肝の改善には生活習慣の改善、栄養補助食品、薬、そして最終手段として肝移植が挙げられます。しかし、改善法の選択は状態や医師の判断によって変わるため、適切な改善法を見つけるために専門家と十分に相談することが重要です。

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