肥厚性瘢痕の鍼灸【原因・定義・症状】

公開日:2023年 2月 1日

更新日:2023年 2月 3日

本日は肥厚性瘢痕について解説させていただきます。

☆本記事の内容

  • 肥厚性瘢痕とは
  • 肥厚性瘢痕の原因
  • 肥厚性瘢痕の症状
  • 肥厚性瘢痕の改善方法
  • 肥厚性瘢痕のまとめ
足のしびれ、痛み

銀座そうぜん鍼灸院の宗前です。

このページを書いている私は、鍼灸師として13年、担当した利用者様数80,000人を誇り、病気の休職者300人を社会復帰できるまで回復させてきた実績があります。

 

肥厚性瘢痕は、炎症が引かず、赤くみみず腫れのように盛り上がる

肥厚性瘢痕は、真皮に傷ができたとき、傷痕の炎症が引かず、1~3ヵ月経ってから赤くなりみみず腫れのように盛り上がってくることです。

 

真皮は皮膚の深い部分のことで、通常は傷ができても時間が経つにつれて傷がふさがり、白く目立たない傷痕になります。肥厚性瘢痕は自然に軽くなることもあります。

肥厚性瘢痕の原因は、傷の改善が遅れること

肥厚性瘢痕の原因は、傷の改善が遅れることです。傷の改善が遅れると、その過程で炎症が続き、コラーゲンが溜まったり血管が増殖したりするため、傷が赤くなり盛り上がるのです。

 

傷の原因が遅れる原因で特に重要なのは、体の動きによって引っ張られる力が働くことです。傷は改善する過程で硬くなるため、傷に強い力がかかると力を逃がすことができず、炎症が長く強く続くことにつながるのです。

 

年齢や体質、性ホルモンの異常や高血圧、過剰な炎症反応などの全身的な要因も傷の改善が遅れることに関係しているため、肥厚性瘢痕と関係があると言われています。

肥厚性瘢痕は、一般的な瘢痕とは異なる特徴を持つ皮膚の過剰な改善への反応です。通常の瘢痕が傷や手術などの組織の修復によって形成されるのに対し、肥厚性瘢痕は皮膚の改善の過程が異常に進行し、瘢痕が過度に肥厚してしまう状態です。肥厚性瘢痕の原因は複雑であり、様々な要因が関与していると考えられています。以下に、肥厚性瘢痕の主な原因について詳しく説明します。

 

皮膚の外傷:

皮膚の外傷や手術などが肥厚性瘢痕の主な原因として挙げられます。怪我や手術によって皮膚が損傷を受けると、体はその部位を修復しようとしますが、時に過剰な線維芽細胞の増殖やコラーゲンの産生が起こり、肥厚した瘢痕が形成されることがあります。

 

皮膚感染症:

瘢痕形成において、皮膚感染症も一因となることがあります。感染が瘢痕部位で起こると、炎症反応が増強されて瘢痕の肥厚を引き起こす可能性があります。

 

細胞の遺伝的異常:

肥厚性瘢痕の原因は遺伝的要因にも関連していると考えられています。一部の人々は、遺伝的に肥厚性瘢痕を発症しやすい体質を持っているため、瘢痕形成が通常よりも顕著に現れることがあります。

 

皮膚のタイプと色:

肥厚性瘢痕の発症は、個人の皮膚のタイプや色によっても影響を受けることがあります。特にアジア人や黒人の肌質では、肥厚性瘢痕がより頻繁に見られる傾向があります。

 

年齢と性別:

年齢と性別も肥厚性瘢痕の原因として考えられます。一般的に、10代から30代の若い人々や女性が肥厚性瘢痕を発症する可能性が高いとされています。

 

炎症性の病気:

過去に炎症性の病気を経験した人々は、肥厚性瘢痕のリスクが高まることがあります。例えば、にきびや湿疹のような慢性的な皮膚炎症が肥厚性瘢痕を引き起こすことがあります。

 

肥厚性瘢痕の遺伝:

肥厚性瘢痕は一部の遺伝的な病気と関連している場合があります。家族内で肥厚性瘢痕を持つ人が複数いる場合、遺伝的な要因が瘢痕形成に寄与している可能性があります。

 

乾燥や強い日光による刺激:

肥厚性瘢痕の形成は、皮膚の乾燥や強い日光による刺激も影響を受けることがあります。皮膚が乾燥していると、傷が治癒する過程で正常な組織の再生が阻害され、瘢痕の肥厚が起こることがあります。

 

ストレッチマーク:

妊娠や急激な体重増減によってできるストレッチマークも、肥厚性瘢痕の一種と見なされることがあります。これらの瘢痕は肌の弾力を失い、肥厚して発症することがあります。

 

以上のように、肥厚性瘢痕の原因は多岐にわたります。

肥厚性瘢痕は、傷痕が赤くなりみみず腫れのように盛り上がる

肥厚性瘢痕の症状は、外傷、熱傷、手術などを受けたあと、1~3ヵ月経ってから傷痕が赤くなりみみず腫れのように盛り上がることです。そして、見た目的にも目立つようになります。

 

場合によっては、痛みやかゆみ、引きつれ感を感じることもあります。肥厚性瘢痕の赤くなり盛り上がる範囲は、傷を受けた範囲です。

 

肥厚性瘢痕は体のどこの部分にでもできる可能性があります。しかし、関節の周りなどの体の動きで引っ張られる力が働く部位や、胸や腹部の手術によってできる傷痕に発生しやすいということがわかっています。

肥厚性瘢痕は、傷の修復が異常に進行して、瘢痕が肥厚し、突起や盛り上がった部分が形成される特徴があります。

 

盛り上がりと硬さ:

肥厚性瘢痕は一般的な瘢痕よりも盛り上がりが大きく、皮膚が硬くなることが特徴です。瘢痕部位は周囲の健康な皮膚と比べて高さがあり、指で触れると硬さを感じることがあります。

 

色の変化:

初期の肥厚性瘢痕は赤みを帯びることが多いですが、時間とともに色が変化して白っぽくなることがあります。色の変化は個人差があり、一部では長期間にわたって赤みが残ることもあります。

 

大きさと形状:

肥厚性瘢痕の大きさや形状は人によって異なります。一部では小さな突起にとどまる場合もありますが、他では大きな盛り上がりや複数の突起が現れることもあります。形状はしばしば凹凸のある不規則なパターンを示すことがあります。

 

痛みとかゆみ:

肥厚性瘢痕は痛みやかゆみを伴うことがあります。特に大きな瘢痕や皮膚が引き締められるところに形成される場合、痛みを感じることがあります。かゆみは瘢痕部位が乾燥しやすいため、かゆみを伴うことがあります。

 

機能障害:

肥厚性瘢痕が関節や皮膚の可動域に影響を与えることがあり、機能障害を引き起こすことがあります。瘢痕が関節を制限する場合、可動域が制約されることがあります。

 

心理的影響:

肥厚性瘢痕の見た目が気になり、自己意識を高めることがあります。瘢痕の存在によって心理的な負担を感じることがあり、自己評価や自己肯定感に影響を及ぼすことがあります。

 

炎症反応:

肥厚性瘢痕は周囲の正常な皮膚よりも炎症反応が強いことがあります。瘢痕部位が赤く腫れることがあり、感染が疑われる場合には痛みや発熱を伴うことがあります。

 

再発:

肥厚性瘢痕は一度できると、自然には消えることがありません。一部の患者では新たな外傷や刺激によって再発することがあります。

 

肥厚性瘢痕は改善が難しい病気であり、一度できた瘢痕を完全に改善することは難しいことがあります。

肥厚性瘢痕の改善方法は、薬と圧迫固定する方法

肥厚性瘢痕の改善方法は、薬と圧迫固定する方法です。薬は、ステロイドや非ステロイド性の抗炎症薬や保湿剤などの外用薬を使います。抗炎症効果が期待できる内服薬やステロイドの注射薬などを使うこともあります。

 

圧迫固定する方法は、サポーターや包帯などで固定し、圧迫して安静にする方法のことです。固定して圧迫した状態で安静にすることで、過剰な血流を抑えて炎症を抑えることができるのです。

 

なかなか改善が見られない場合や瘢痕拘縮という状態になった場合、目立つ部位で傷痕が残りそうな場合などは手術を行うこともあります。

 

手術にはいろいろな方法がありますが、目立たない傷痕にするためにZ形成術やW形成術などが行われます。

トピカル:

トピカルとしては、主に以下の薬剤が使用されます。

シリコンゲルシート: シリコンゲルシートは肥厚性瘢痕の改善に効果的な方法の一つです。透明なシートを瘢痕部位に貼り付けることで、瘢痕の赤みや硬さを軽減し、柔軟性を促進します。日常生活に装着しやすく、持続的な改善効果が期待されます。

 

トピカルステロイド薬: 軽度から中等度の肥厚性瘢痕に対して、トピカルステロイド薬が使用されることがあります。ステロイド薬は瘢痕部位の炎症を抑え、肥厚を軽減する効果が期待されます。ただし、長期的な使用は避け、医師の指示に従うことが重要です。

 

抗炎症薬: ノンステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)や抗生物質なども、瘢痕の炎症を抑えるために使用されることがあります。

 

注射:

肥厚性瘢痕に対して、注射が行われることもあります。以下は一般的な注射療法の一部です。

ステロイド注射: トリアムシノロン酢酸などのステロイド薬を肥厚性瘢痕部位に直接注射することで、瘢痕の膨張や硬さを軽減することが期待されます。ステロイドは瘢痕の炎症を抑え、柔軟性を促進します。

 

抗繊維芽細胞薬の注射: 肥厚性瘢痕の改善には、5-フルオロウラシルやミトマイシンCなどの抗繊維芽細胞薬の注射が用いられることもあります。これらの薬剤は、瘢痕の増殖を抑える効果が期待されます。

 

レーザー:

肥厚性瘢痕の改善には、レーザーも用いられることがあります。レーザーは皮膚の特定の部位に集中したエネルギーを照射することで、瘢痕の肥厚を改善します。レーザーは瘢痕の赤みや硬さを減少させる効果が期待されます。

 

手術:

肥厚性瘢痕の重症例に対しては、手術が必要となることがあります。以下は一般的な手術の一部です。

 

瘢痕切除: 重度の肥厚性瘢痕に対して、瘢痕部位を切除する手術が行われることがあります。ただし、瘢痕の切除によって新たな瘢痕ができるリスクもあるため、手術は慎重に行われます。

 

動物由来のコラーゲン注入: 瘢痕部位に動物由来のコラーゲンを注入することで、瘢痕の凹凸を改善する手術も行われることがあります。

 

放射線:

重度の肥厚性瘢痕に対しては、放射線が用いられることがあります。放射線は瘢痕部位の線維芽細胞を抑え、瘢痕の膨張を抑制する効果が期待されます。しかし、放射線は副作用があるため、他の改善法が効果的でなかった場合にのみ選択されます。

肥厚性瘢痕を防ぐためには

肥厚性瘢痕を防ぐためには、傷ができたときに傷痕を適切に保護して刺激を避けるような改善を行ったり、セルフケアを行うことが有効です。

 

傷ができてしばらくの間は体を動かすときにも注意をすることが大事です。また、肥厚性瘢痕は、過剰に飲酒をしたり長い時間入浴したりすることで、血流が増えると、痛みが現れることもあるため、避けましょう。

 

外傷や熱傷を負ったときに病院に行くことは大事ですが、自分で改善したという判断を勝手にせず、医師の指示があるまで通院を続けることも大事です。

肥厚性瘢痕に効果的なツボ

三陰交

外関

厲兌

三陰交

三陰交は、血行が悪いことによって起こる肌荒れに効果的なツボです。そのため、生理中に肌が荒れたり血色が悪く冷えもあるというような場合におすすめのツボです。

 

肥厚性瘢痕は傷がなかなか改善しないことによって起こるため、できるだけ肌の状態を良くすることで役に立つことが期待できます。三陰交は、生理不順など女性特有の悩みにも非常に有効です。

外関

外関は、水の流れをよくして衛気を強くする作用があります。

 

衛気とは、東洋医学で皮膚の表面の保護の役割をしている免疫のことです。衛気は、水の流れが悪くなると低下していきます。衛気が低下することは、皮膚を守るものがなくなることになるため、乾燥や肌荒れにつながります。

 

外関は、衛気を強くする効果があるため、肌の状態を良くするために効果を発揮するツボなのです。

厲兌

厲兌は、鼻血が出たとき、急性胃炎や慢性胃炎の症状があるときなどに効果的なツボです。顔のむくみや肌の乾燥などにも効果を発揮するため、肌の状態をよくすることにも役立つと考えられます。

 

厲兌は、消化器の機能の回復にも効果があるため、胃もたれや膨満感などの症状に悩んでいるときにもおすすめです。

ツボの位置と押し方

三陰交

山陰交の場所は、足の内くるぶしから、約指4本上に上がった場所です。その場所に骨があり、その骨の際にツボがあります。 

 

まず1日山陰交を1回押すことから始めましょう。習慣がついたら自分の体調に合わせて朝と夜などに1回ずつ、1日2回ほど押すことをお勧めします。

外関

外関の場所は、手のひらを下に向けたとき、手の甲と手首の境目にあるしわの中央から肘側に指3本分進んだ場所です。

 

押すときは、反対側の手の人差し指を使って押します。ゆっくりと5秒かけて押します。左右両方を3回ほど押すことをお勧めします。

厲兌

厲兌の場所は、足の人差し指の爪の際です。

 

押すときは、手の親指と人差し指を使って押します。つまむようにしてもむ方法がお勧めです。

肥厚性瘢痕の改善例

Bは25歳の女性で、10年前に交通事故で顔に大きなケガを負いました。その後、ケガが改善したものの、肥厚性瘢痕が形成され、右頬に盛り上がった瘢痕ができてしまいました。この瘢痕はBの容姿に大きな影響を与え、自己評価や自己肯定感を下げてしまいました。また、瘢痕の盛り上がりによって右目のまわりの皮膚が引き締まっているため、右目が開きにくくなってしまっている状態です。

 

Bは肥厚性瘢痕の改善を希望し、皮膚科医のもとで改善計画が立てられました。まず初めに、肥厚性瘢痕の程度と瘢痕の状態を評価するため、皮膚科医はBの病歴を詳しく聞き取り、瘢痕を調べた結果、Bの瘢痕は明らかな肥厚性瘢痕であり、改善が必要とされることが確認されました。

 

改善計画は以下のように立てられました。

 

シリコンゲルシートの使用:

Bの肥厚性瘢痕は比較的軽度なものであったため、まずはトピカルとしてシリコンゲルシートの使用が提案されました。シリコンゲルシートは瘢痕部位に貼り付けることで、瘢痕の赤みや硬さを軽減し、柔軟性を促進する効果が期待されます。Bにはシリコンゲルシートの正しい使用法と、毎日の装着時間について指導が行われました。

 

ステロイド注射:

Bの瘢痕には一部の膨らんだ部分が見られたため、ステロイド注射が追加されることになりました。ステロイド注射では、トリアムシノロン酢酸のステロイド薬を瘢痕部位に直接注射することで、瘢痕の膨張や硬さを軽減する効果が期待されます。注射はBが辛いと感じる部位に行われ、痛みを軽減するために局所麻酔が使用されました。

 

Bは改善を開始してから、毎日のシリコンゲルシートの使用とステロイド注射を定期的に受けるようにしました。改善経過では、数週間後に瘢痕の赤みが軽減され、瘢痕部位の硬さも改善されていくことが確認されました。さらに、瘢痕部位の引き締まりも緩和され、右目の開きが改善されていることが見られました。

 

Bは改善経過に満足し、自己評価や自己肯定感が向上していると実感しています。また、瘢痕が目立たなくなったことで、他人との交流や社会生活に対しても積極的になることができました。

 

肥厚性瘢痕の改善は完全には改善されない場合があるため、Bは引き続き改善を継続することがアドバイスされました。シリコンゲルシートの使用とステロイド注射の継続と再発予防について、Bには以下のようなアドバイスが行われました。

 

シリコンゲルシートの継続的な使用:

シリコンゲルシートは瘢痕の改善に有効なトピカルの一つですが、効果を得るためには継続的な使用が重要です。Bには、毎日一定の時間帯を設けてシリコンゲルシートを貼り付けるように指導が行われました。また、シリコンゲルシートの交換のタイミングについても理解することで、改善の効果を最大化することが期待されます。

 

ステロイド注射の定期的な受ける:

ステロイド注射も効果的な改善法ですが、瘢痕の改善を維持するためには定期的な受ける必要があります。改善の間隔や回数については、Bの瘢痕の状態や改善の効果を考慮して、皮膚科医と相談しながら決定されます。

 

日常的なスキンケア:

適切なスキンケアは肥厚性瘢痕の改善にも重要です。Bには、保湿クリームの使用や紫外線対策などの日常的なケア方法について指導が行われました。乾燥を防ぐことで瘢痕の柔軟性を保ち、紫外線を避けることで瘢痕の色素沈着を抑える効果が期待されます。

 

健康的な生活習慣の維持:

健康的な生活習慣の維持も瘢痕の治療と再発予防に重要です。バランスの取れた食事、十分な睡眠、適度な運動などは皮膚の健康をサポートし、改善力を高めることにつながります。

 

瘢痕の経過観察:

瘢痕の改善後も定期的な経過観察が必要です。瘢痕が再び盛り上がるなどの変化が見られた場合は、早期に対応することで再発を予防できる可能性があります。定期的に病院に行くことで改善の効果を確認し、必要に応じて計画の調整が行われます。

Bはシリコンゲルシートの定期的な使用とステロイド注射を継続し、日常的なスキンケアにも注意を払いました。改善を開始してから数ヶ月後、Bの瘢痕は明らかに改善されていることが確認されました。瘢痕の盛り上がりが軽減し、赤みや硬さも減少していました。また、瘢痕が右目の周囲の皮膚を引き締める問題も改善され、右目の開きが改善しました。

 

Bは改善の結果に大変満足しており、自己評価や自己肯定感が向上しています。瘢痕の見た目が改善したことで、他人との交流や社会生活に対しても自信を持って参加することができるようになりました。

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