自己免疫性筋炎の鍼灸【原因・定義・症状】

公開日:2022年  7月 5日

更新日:2022年  8月 7日

本日は自己免疫性筋炎について解説させていただきます。

本記事の内容

  • 自己免疫性筋炎とは
  • 自己免疫性筋炎の原因
  • 自己免疫性筋炎の症状
  • 自己免疫性筋炎の改善方法
  • 自己免疫性筋炎のまとめ
足のしびれ、痛み

銀座そうぜん鍼灸院の宗前です。

このページを書いている私は、鍼灸師として13年、担当した利用者様数80,000人を誇り、病気の休職者300人を社会復帰できるまで回復させてきた実績があります。

 

自己免疫性筋炎は、全身性のリウマチ性疾患

自己免疫性筋炎は、全身性のリウマチ性疾患です。中でも、多発性筋炎や皮膚筋炎の炎症性変化や変性変化が特徴のものを自己免疫性筋炎と言います。

 

自己免疫性筋炎は、今まで封入体筋炎や多発筋炎、皮膚筋炎に分類されていました。しかし、近年、封入体筋炎や免疫介在性壊死性ミオパチー、皮膚筋炎、抗合成酵素症候群に分ける新たな分類が提唱されるようになっています。

 

自己免疫性筋炎では、筋力の低下や圧痛、筋肉の線維組織への置換などの症状が見られます。場合によっては、萎縮が見られることもあります。萎縮は、主に肢帯の近位筋にみられます。

自己免疫性筋炎の原因は、筋組織に対する自己免疫反応

自己免疫性筋炎の原因は、筋組織に対する自己免疫反応であると考えられています。遺伝的なことが関係して起こる自己免疫反応によって発症すると言われているため、家族の中で同じ病気が見られることがあります。

 

病気のきっかけとなる出来事としては、ウイルス性筋炎やがんなどが考えられています。

 

自己免疫性筋炎を発症している人の筋細胞の中には、ピコルナウイルス様の構造があることがわかっていますが、なぜピコルナウイルス様の構造ができるのかについては今のところわかっていません。

自己免疫性筋炎は、免疫システムが誤って正常な筋肉組織を攻撃し、筋肉の炎症と弱さを引き起こす一群の病気です。

 

自己免疫性筋炎にはいくつかのタイプがありますが、主要なものには以下のようなものがあります。

 

・多発性筋炎(PM)

・皮膚筋炎(DM)

・全身性筋炎(IBM)

・反合成症抗体陽性筋炎

 

自己免疫性筋炎の正確な原因はまだ完全には解明されていませんが、遺伝的要因や環境要因が関与していると考えられています。また、ウイルス感染や薬物の使用が、自己免疫性筋炎の発症を引き金にすることがあるとされています。

症状は、対称性の筋力低下や圧痛、筋肉の線維組織への置換など

自己免疫性筋炎の症状は、対称性の筋力低下や圧痛、筋肉の線維組織への置換などです。場合によっては、筋肉の萎縮が見られることもあります。筋肉の萎縮は、主に肢帯の近位筋にみられます。

 

手や足や顔面の筋肉は、他の骨格筋よりも炎症による影響が少ないです。咽頭や上部食道の筋肉、心臓の筋肉に炎症が起こると、働きに対して障害が起こることもあります。人によっては、関節や肺にも炎症が起きることもあります。

 

他にも、多発性関節痛やレイノー症候群、発熱や疲労、体重の減少などが現れることもあります。

 

自己免疫性筋炎の発症は急性の場合も潜行性の場合もあります。

自己免疫性筋炎は、免疫システムが誤って筋肉組織を攻撃することで筋肉の炎症と弱さを引き起こす病気のため、以下のような一般的な症状を経験します。

 

筋力低下: 筋肉の炎症が進行することで筋力が低下し、特に上肢や下肢の筋肉に影響が出ます。これにより、階段の昇降や立ち上がり、持ち上げる動作などが困難になります。

 

筋痛: 炎症によって筋肉が痛みを感じることがあります。筋痛は激しい場合もあれば、軽度の場合もあります。

 

疲労感: 疲れやすくなることがあり、日常生活でのエネルギー消費が増加することが原因です。

 

発熱: 自己免疫性筋炎は炎症性の病気であるため、発熱が起こることがあります。

 

関節痛: 筋肉や関節周囲の炎症により、関節痛が生じることがあります。

 

体重減少: 食欲不振や筋肉の減少により、体重が減少することがあります。

 

自己免疫性筋炎にはいくつかのタイプがあり、それぞれ独自の症状があります。皮膚筋炎では皮膚に特徴的な発疹が現れることがあります。この発疹は、顔や指関節周囲、胸部、背中などに現れることがあります。

 

また、皮膚筋炎の場合は、カルシニオーシスを発症することがあります。

自己免疫性筋炎の改善法はコルチコステロイドや免疫抑制薬の使用

自己免疫性筋炎の改善方法は、コルチコステロイドや免疫抑制薬を使うことです。特にコルチコステロイドの使用は、まず最初に行われる改善方法です。

 

場合によっては、高用量のコルチコステロイドで長い期間改善を行うと、疼痛のないステロイドミオパチーが重なり、筋力がさらに低下することもあります。そのため、注意が必要です。

 

特に、がんがある場合は、コルチコステロイドに対してより強く抵抗が現れることがあります。がんがある場合は、手術を行い、腫瘍を取り除くことで改善が見られることもあります。

 

自己免疫性筋炎では、炎症がおさまるまでは、適度に身体活動を制限することも必要になります。

自己免疫性筋炎は、免疫系の異常により筋肉が炎症を起こし、筋力低下や筋痛などの症状が現れる病気です。多発性筋炎、皮膚筋炎)、全身性線維筋痛症などが代表的です。

 

ここでは、自己免疫性筋炎の最新の改善法について、論文の引用を交えながら解説します。

 

・薬

(1) ステロイド

ステロイドは自己免疫性筋炎の初期に用いられる主要な改善法で、プレドニゾロンが一般的に使用されます。ステロイドは、炎症を抑制し、筋力低下を改善する効果があります(Dalakas, M.C. (2015) Inflammatory muscle diseases. N Engl J Med 372, 1734–1747)。

 

(2) 免疫抑制薬

ステロイドの効果が不十分な場合や、副作用を減らすために免疫抑制薬が併用されることがあります。メトトレキサート、アザチオプリン、シクロスポリンなどが用いられます。これらの薬は、免疫系の活性を抑制し、筋炎の進行を遅らせる効果があります(Oddis, C.V., et al. (2013) Rituximab in the treatment of refractory adult and juvenile dermatomyositis and adult polymyositis: a randomized, placebo-phase trial. Arthritis Rheum 65, 314–324)。

 

(3) 免疫グロブリン

IVIgは、ステロイドや免疫抑制薬に効果がない場合に使用される改善法です。IVIgは、炎症を抑制し、筋力低下を改善する効果があります(Dalakas, M.C. (2015) Inflammatory muscle diseases. N Engl J Med 372, 1734–1747)。

 

(4) 生物学的製剤

生物学的製剤は、特定の免疫細胞やサイトカインに作用し、免疫反応を調節することで筋炎の改善に効果を示す新しい改善法です。リツキシマブやトシリズマブが、特になかなか改善が見られない場合に対して効果があることが報告されています(Oddis, C.V., et al. (2013) Rituximab in the treatment of refractory adult and juvenile dermatomyositis and adult polymyositis: a randomized, placebo-phase trial. Arthritis Rheum 65, 314–324; Paik, J.J., et al. (2017) Tocilizumab in the treatment of refractory adult polymyositis and dermatomyositis. Ann Rheum Dis 76, 173–174)。

 

・薬以外

(1) 筋力トレーニング、可動域訓練、ストレッチングなど

筋力低下や可動域制限を改善するため、筋力トレーニング、可動域訓練、ストレッチングなどが行われ、筋肉の柔軟性と力を回復させることが目的です(Alexanderson, H. (2012) Exercise in myositis. Curr Treatm Opt Rheumatol 14, 247–253)。

 

(2) 作業に焦点を当てた改善

日常生活動作の改善や維持を目的として行われます。自己免疫性筋炎による筋力低下や関節可動域制限が生活に影響を与える場合、ニーズに合わせて指導を行います(Alexanderson, H. (2012) Exercise in myositis. Curr Treatm Opt Rheumatol 14, 247–253)。

 

(3) 栄養

筋肉の健康維持や回復に必要な栄養素を摂取することが重要です。ビタミンDやカルシウム、必須アミノ酸などの適切な摂取が推奨されます(Wasserman, A.M. (2011) Diagnosis and management of rheumatoid arthritis. Am Fam Physician 84, 1245–1252)。

自己免疫性筋炎に含まれる病気

自己免疫性筋炎には、多発性筋炎、皮膚筋炎、免疫介在性壊死性ミオパチー、封入体筋炎が含まれます。

 

皮膚筋炎と多発性筋炎は、筋疾患として現れる場合と抗合成酵素症候群の一部として現れる場合があります。

 

抗合成酵素症候群の一部として現れる場合は、関節炎や発熱、間質性肺疾患、手指橈側面の過角化、 レイノー症候群などの症状も見られます。

 

免疫介在性壊死性ミオパチーは、通常、病気の進むスピードが早いと言われています。ただし、筋肉以外の臓器にも障害が現れることはありません。

 

封入体筋炎は、高齢者に発症する病気です。多くの場合、手足の筋肉などの遠位筋に炎症が起きます。

自己免疫性筋炎の改善例

以下に示す例は、典型的な症例ではなく、特定の改善法がすべての人に適用できるわけではありません。

 

多発性筋炎(PM)40歳、女性の改善

症状:筋力低下、筋痛、疲労感

判断:筋酵素値の上昇、抗核抗体陽性、筋生検で炎症所見

 

改善方法:

(1) ステロイド:プレドニゾロン(初期投与量:1mg/kg/day)(Dalakas, M.C. (2015) Inflammatory muscle diseases. N Engl J Med 372, 1734–1747)

(2) 免疫抑制薬:メトトレキサート(初期投与量:7.5mg/週)(Oddis, C.V., et al. (2013) Rituximab in the treatment of refractory adult and juvenile dermatomyositis and adult polymyositis: a randomized, placebo-phase trial. Arthritis Rheum 65, 314–324)

(3) 理学的な介入:筋力トレーニング、可動域訓練、ストレッチング(Alexanderson, H. (2012) Exercise in myositis. Curr Treatm Opt Rheumatol 14, 247–253)

 

経過:

4週間後:筋力低下や筋痛の改善が認められる

3ヶ月後:筋力が回復し、日常生活動作が改善

6ヶ月後:ステロイドとメトトレキサートの維持を続け、症状が安定

 

皮膚筋炎(DM)30歳、男性の改善例

症状:筋力低下、皮疹、関節痛

判断:筋酵素値の上昇、抗ミオシン抗体陽性

 

改善方法:

(1) ステロイド:プレドニゾロン(初期投与量:1mg/kg/day)(Dalakas, M.C. (2015) Inflammatory muscle diseases. N Engl J Med 372, 1734–1747)

(2) 免疫抑制薬:アザチオプリン(初期投与量:2-2.5mg/kg/day)(Oddis, C.V., et al. (2013) Rituximab in the treatment of refractory adult and juvenile dermatomyositis and adult polymyositis: a randomized, placebo-phase trial. Arthritis Rheum 65, 314–324)

(3) 理学的な介入:筋力トレーニング、可動域訓練、ストレッチング(Alexanderson, H. (2012) Exercise in myositis. Curr Treatm Opt Rheumatol 14, 247–253)

(4) 皮膚症状の管理:保湿剤やステロイド外用薬を使用

 

経過:

2週間後:皮疹が軽減し、筋力低下の改善が認められる

3ヶ月後:筋力が回復し、日常生活動作が改善

6ヶ月後:ステロイドとアザチオプリンの維持を続け、症状が安定

 

全身性線維筋痛症(IBM)60歳、女性の改善

症状:筋力低下、筋痛、嚥下障害

判断:筋酵素値の上昇、抗核抗体陽性

 

改善方法:

(1) ステロイド:プレドニゾロン(初期投与量:0.75mg/kg/day)(Dalakas, M.C. (2015) Inflammatory muscle diseases. N Engl J Med 372, 1734–1747)

(2) 免疫グロブリン:IVIg(初期投与量:2g/kg、分割投与)(Dalakas, M.C. (2015) Inflammatory muscle diseases. N Engl J Med 372, 1734–1747)

(3) 理学的な介入:筋力トレーニング、可動域訓練、ストレッチング(Alexanderson, H. (2012) Exercise in myositis. Curr Treatm Opt Rheumatol 14, 247–253)

 

経過:

4週間後:筋力低下や筋痛の改善が認められるものの、嚥下障害は継続している

3ヶ月後:筋力が徐々に回復し、嚥下障害も軽減。しかし、完全な回復には至らず

6ヶ月後:ステロイドとIVIgの維持を続け、症状が安定。トレーニングなどによる筋力維持に努める

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