線毛機能不全症候群の鍼灸【原因・定義・症状】

公開日:2022年 12月13日

更新日:2024年  2月17日

本日は線毛機能不全症候群について解説させていただきます。

☆本記事の内容

  • 線毛機能不全症候群とは
  • 線毛機能不全症候群の原因
  • 線毛機能不全症候群の症状
  • 線毛機能不全症候群の改善方法
  • 線毛機能不全症候群のまとめ

目次

足のしびれ、痛み

銀座そうぜん鍼灸院の宗前です。

このページを書いている私は、鍼灸師として13年、担当した利用者様数80,000人を誇り、病気の休職者300人を社会復帰できるまで回復させてきた実績があります。

 

線毛機能不全症候群は先天的な異常によって線毛運動に障害が起きる

線毛機能不全症候群は、先天的な異常によって線毛運動に障害が起き、呼吸器系の易感染性が見られる病気です。多くの場合は、慢性副鼻腔炎や気管支拡張症も合わせて引き起こします。

 

気道上皮細胞の表面にはたくさんの線毛があり、運動をすることによって粘液層の流れがおき、微粒子状の異物や細菌、喀痰などを取り除き気道内を清浄に保っています。

 

正常な構造で線毛が機能を発揮するためには、たくさんの遺伝子が関係しています。その遺伝子に異常があることによって繊毛が正常な構造機で機能を発揮できず、繊毛機能不全症候群を発症するのです。

繊毛機能不全症候群の原因は、遺伝子の異常

繊毛機能不全症候群は、遺伝子の異常です。多くの場合は、常染色体劣性遺伝によって先天的に発症します。

 

線毛の構造を司る何らかの遺伝子に異常があると考えられており、線毛の異常によって気道に侵入した細菌やウイルスなどの病原体を排除する能力が低下するのです。

 

慢性副鼻腔炎、気管支拡張症、内臓逆位の3兆候を有する場合、Kartagener症候群と呼ばれます。

繊毛の役割と構造:人間の身体には、気道や耳、精巣、卵巣などに繊毛が存在します。繊毛は、気道内の異物や痰を排除する役割を果たしています。その構造は非常に複雑で、多数のタンパク質で構成されています。

 

遺伝的背景:PCDは遺伝的な原因による病気であり、特定の遺伝子変異が関与していることが知られています。これらの遺伝子変異は、繊毛の構造や動きを正常に保つためのタンパク質の形成や機能に影響を及ぼします。現在、PCDと関連する多数の遺伝子が特定されており、その数は増え続けています。

 

繊毛の動きの異常:繊毛は、正常に動くことができません。これは、繊毛を構成するタンパク質の異常や、繊毛内部の構造(例:ダイニンアームの欠損)に起因することが多いです。

 

異位性:内臓の配置が正常とは異なる「異位性」という状態が見られます。これは、胚発生時に繊毛の動きが影響を受け、内臓の正常な配置が妨げられるためです。

 

影響を受ける組織や器官:繊毛の異常は、気道だけでなく、耳や生殖器にも影響を及ぼすことがあります。これは、これらの器官にも繊毛が存在し、その機能が障害されるためです。

 

繊毛機能不全症候群は、繊毛の構造や動きに関与する遺伝子変異が原因となる遺伝性の病気です。この病気は、気道のみならず、耳や生殖器などの多くの器官に影響を及ぼすことが知られています。

繊毛機能不全症候群の症状は、乳幼児期の慢性的な鼻漏と咳嗽

繊毛機能不全症候群の症状は、乳幼児期に起きる慢性的な鼻漏と咳嗽です。咳嗽は湿性で、運動や深呼吸などによって引き起こされます。喀痰は粘稠で、肺炎や気管支炎の遷延、反復などが見られます。

 

多くの場合、新生児期には、数日から2~3週間酸素投与が必要になる一過性の呼吸窮迫が起こります。

 

何度も感染による増悪を繰り返し起こすと、気管支拡張症を引き起こし、喘鳴や呼吸困難、ばち状指が見られます。

 

他にも、副鼻腔炎や中耳炎を引き起こすこともあります。線毛は気道以外の臓器にも広く存在しているため、気道以外にも、内臓逆位や不妊症、水頭症、嗅覚障害や視覚障害などが現れることもあります。

繊毛機能不全症候群は繊毛の動きや構造に異常があることによる遺伝性の病気です。繊毛は、人体の気道や耳、生殖器などに存在し、さまざまな役割を果たしています。繊毛の異常は、これらの部位において様々な症状を引き起こす可能性があります。

 

呼吸器系の症状

慢性の鼻づまりや分泌物:繊毛の動きが障害されると、気道での粘液の移動が滞り、鼻づまりや分泌物の増加を引き起こすことが多いです。

繰り返しの気管支炎や肺炎:粘液の排泄が困難になるため、細菌やウイルスの感染リスクが高まり、気管支炎や肺炎を繰り返しやすくなります。

気道の拡張:慢性の気道の炎症や感染により、気道が拡張し、慢性閉塞性の肺の病気(COPD)のような症状を示すことがある。

 

耳の症状

中耳炎:耳の繊毛の異常により、中耳の粘液の排泄が滞ることで、中耳炎を繰り返しやすくなります。

聴力低下:繰り返しの中耳炎や、中耳の粘液の貯留により、伝導性の聴力低下が生じることがあります。

 

生殖器の症状

男性の不妊:精巣の繊毛や鞭毛が正常に動かないことで、精子の動きが障害され、不妊の原因となることがあります。

女性の不妊や妊娠の問題:卵管の繊毛の異常により、受精卵の移動が滞ることで、 ectopic pregnancy(子宮外妊娠)のリスクが上昇することがあります。

 

異位性

内臓の配置が正常とは異なる「異位性」という状態が見られることがある。これは、胚発生時に繊毛の動きが影響を受け、内臓の正常な配置が妨げられるためです。心臓が体の右側に位置するなどの特徴が見られます。

 

その他の症状

一部では、顔面の非対称、手足の指の形成異常など、他の身体の部位にも影響が出ることが報告されています。

 

繊毛機能不全症候群は、繊毛の動きや構造の異常に起因する遺伝性の病気であり、呼吸器、耳、生殖器などの多岐にわたる症状を引き起こします。

改善方法は、振動を与え咳嗽を誘導する方法や薬

繊毛機能不全症候群の改善方法は、早朝空腹時、昼食30分前、就寝前にそれぞれ5分間を目安に病変部を上にした体位で振動を与え同時に咳嗽を誘導する方法や薬を使うことです。

 

振動によって咳嗽を誘導する方法は毎日行う習慣をつけることが必要です。多少の嘔吐が起きることもありますが、嘔吐によって排痰が促進されることが多いため、嘔吐することを理由に止める必要はありません。

 

薬は、基本的には去痰薬と気管支拡張薬を使います。

繊毛機能不全症候群は、繊毛の動きや構造に関連する遺伝的な異常による病気です。この病気には現在、根本的な改善法が確立されていないものの、症状を軽減し、生活の質を向上させるためのさまざまなアプローチが存在します。以下では、PCDの改善方法について詳しく探ることとします。

 

気道クリアランス法

胸部物理法(CPT):この方法は、手や専用の器具を用いて胸部を叩くことで、気道の粘液を柔らかくし、咳とともに排出を促進します。

高周波胸壁振動(HFCWO):この装置は、外部から胸部に振動を与え、粘液の排出を助けるものです。

PEP(Positive Expiratory Pressure)装置:息を吹き出す際の圧力を一定に保ち、気道を開放することで、粘液の排出を助けます。

 

粘液を薄くする薬:粘液の粘度を下げ、排出を容易にする薬剤(例:アセチルシステイン)が用いられます。

抗生物質:繰り返しの感染を予防・改善するため、抗生物質が使用されることがあります。特定の細菌に対する持続的な抗生物質の投与が必要な場合もあります。

気管支拡張剤:気管支炎の症状を和らげるために、気管支を拡張する薬剤が使われることがあります。

 

手術

副鼻腔手術:繰り返しの副鼻腔炎がある場合、副鼻腔の通気や排泄を改善するための手術が考慮されることがあります。

耳の手術:中耳炎の改善のため、耳管にチューブを挿入する手術が行われることがあります。

 

定期的に耳を調べる:中耳炎や耳垢の蓄積を早期に検出し、適切に改善することで、聴力の低下やその他の合併症を防ぎます。

肺リハビリテーション:呼吸機能を向上させるための運動や、呼吸法の指導を受けることが推奨されます。これにより、肺機能の維持や改善、運動耐量の増加を目指します。

健康的な生活習慣:喫煙は肺機能に悪影響を及ぼすため、絶対に避ける必要があります。また、バランスのとれた食事、適度な運動、十分な休息が症状の改善や予防に役立ちます。

 

繊毛機能不全症候群は遺伝性の病気であり、現在のところ根本的な改善法は存在しません。しかし、上述したような多岐にわたる改善やケアにより、症状の軽減や生活の質の向上を図ることが可能です。

繊毛機能不全症候群は、繊毛の動きや構造が異常であるために、気道の粘膜からの粘液排除がうまく行われない病気です。そのため、呼吸器や耳鼻咽喉の症状が主になります。健康的な生活習慣を維持することで、症状の悪化を防ぎ、生活の質を向上させることが期待されます。以下は、取り入れるべき健康的な生活習慣についての具体的なアドバイスです。

 

喫煙を避ける:喫煙は肺機能にダメージを与えるだけでなく、気道の粘膜をさらに刺激し、粘液の排除を難しくします。受動喫煙も同様の影響があるため、喫煙環境を避けることも重要です。

 

バランスの取れた食事:栄養バランスの取れた食事を摂ることで、免疫力を高め、感染症への抵抗力を向上させることが期待されます。特にビタミンやミネラルが豊富な野菜や果物を積極的に取り入れることが推奨されます。

 

定期的な運動:適度な運動は呼吸機能の維持や向上に役立ちます。特に、ウォーキングや水泳などの有酸素運動がおすすめです。

 

十分な休息:疲れを溜めないように、十分な休息を取ることが重要です。睡眠不足は免疫力を低下させるため、規則正しい生活リズムを心がけることが大切です。

 

外出時の注意:外出時には、大気汚染の少ない時間帯や場所を選ぶことで、刺激や負担を減らすことができます。また、花粉症の季節など、アレルギー物質の多い時期は特に注意が必要です。

 

日常の気道クリアランス:日常的に気道のクリアランスを行う習慣を持つことで、粘液の滞留や感染症のリスクを低減することができます。

 

ストレスの管理:ストレスは身体全体に影響を及ぼすため、リラクゼーションや趣味、瞑想など、ストレスを軽減する方法を見つけることが大切です。

 

これらの健康的な生活習慣を維持することで、PCDの症状の悪化を防ぎ、より快適な生活を送ることが期待されます。

感染が増悪した時にできるだけ早く対応する

繊毛機能不全症では、感染が増悪した時にできるだけ早く対応することで、気管支拡張症や呼吸不全に進展しないようにすることが大事です。

 

そのためには、長い期間毎日改善を続けることが大事です。薬を飲み、病変部を上にした体位で振動を与え同時に咳嗽を誘導する方法を毎日続けることが必要なのです。

線毛機能不全症候群に効果的なツボ

天突

肺兪

完骨

天突

天突は、呼吸器系の症状に対して効果を発揮するツボです。色々な病気が原因で起こるせきやたんに効果的なため、のどが渇いていがいがするときやヒリヒリ痛むとき、たんがからむときなどにオススメです。

 

そのため、線毛機能不全症候群によって起こる呼吸器の症状に効果が期待できます。息切れやしゃっくりにも効果的です。

肺兪

肺兪という名前の由来は、背部にあるツボで肺に繋がって肺にエネルギーを送る場所であるということであると言われています。

 

肺兪は刺激することで呼吸が楽になるとされており、呼吸器系の症状に効果を発揮するツボのため線毛機能不全症候群によって起こる呼吸器の症状に役立つと考えられます。

完骨

完骨は、耳の詰まり感に効果を発揮するツボです。そのため、線毛機能不全症候群によって起こる耳の症状に効果が期待できます。

 

他にも、頭痛やめまい、眼精疲労、顔のむくみ、肩こりなどに効果を発揮するツボで、副交感神経を整えるツボでもあります。

ツボの位置と押し方

天突

天突は、胸骨の上縁で喉の中央にあるツボです。

 

天突は、下には気管が通っている場所にあるため、優しく押すことが大事です。少しの痛みを感じることもありますが、奥に押していくイメージで押しましょう。

肺兪

肺兪は、肩甲骨の中央の高さで、肩甲骨と背骨の間にあります。

 

背中にあるツボのため、パートナーや家族に押してもらうと良いでしょう。うつぶせに寝た状態で、左右同時に押してもらいましょう。

完骨

完骨は、両耳の後ろにある出っ張った骨の下端で約1cm下の内側に少しずれたところにあります。探すときは髪の毛の生え際あたりのへこみを探しましょう。

 

押すときは親指を使って上に向かって押していきましょう。

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