回外筋症候群の鍼灸【原因・定義・症状】

公開日:2023年 2月 9日

更新日:2024年 1月11日

本日は回外筋症候群について解説させていただきます。

☆本記事の内容

  • 回外筋症候群とは
  • 回外筋症候群の原因
  • 回外筋症候群の症状
  • 回外筋症候群の改善方法
  • 回外筋症候群のまとめ
足のしびれ、痛み

銀座そうぜん鍼灸院の宗前です。

このページを書いている私は、鍼灸師として13年、担当した利用者様数80,000人を誇り、病気の休職者300人を社会復帰できるまで回復させてきた実績があります。

 

回外筋症候群は、後骨間神経が絞めつけられて発症する障害

回外筋症候群は、後骨間神経が絞めつけられて発症する障害のことです。後骨間神経症候群と呼ばれることもあります。後骨間神経は、回外筋を貫通しているため過剰に回外筋が緊張していることによって締めつけられます。

 

後骨間神経は、橈骨神経が肘の辺りで枝分かれして、橈骨と尺骨をつなぐ骨間膜の後を通り、指を伸ばす筋肉につながっています。

 

回外筋は、尺骨と上腕骨の外側上顆から橈骨に向かって肘の外側を斜めに走行している筋肉のことです。回外筋は、ドアノブを回すような腕を外側に捻る動作をするときに使います。

回外筋症候群の原因は、ほとんどの場合回外筋の使い過ぎ

回外筋症候群の原因は、ほとんどの場合回外筋の使い過ぎです。工具を使う仕事や楽器の演奏、テニスやバドミントンの運動などで回外筋を使いすぎることで発症するのです。

 

しかし、同じ仕事をしていたり運動をしていたりする人の中でも、回外筋症候群を発症する人もいれば発症しない人もいます。

 

回外筋症候群を発症する人は、体の使い方が間違っていたり悪い習慣や姿勢であったりします。そのため、過剰に回外筋が緊張し、共働筋や拮抗筋、回外筋と連結連動している筋や筋膜も緊張することで発症につながると言われています。

 

場合によっては、腕や肘の怪我で起こることもあります。

回外筋症候群は、肩甲骨周りの筋肉や靭帯が弱まり、肩甲骨が不安定になることで引き起こされる症候群です。その機序は以下の通りです。

 

1.筋肉の不均衡

回外筋症候群の原因の一つとして、肩甲骨周りの筋肉の不均衡があります。特に、回内筋の発達不足が肩甲骨の不安定化につながります。回外筋と回内筋は対になる筋肉で、回外筋が過剰に発達することで回内筋が不足し、肩甲骨が内側に引っ張られることで不安定になります。

 

2.肩や腕の過剰使用

回外筋症候群は、スポーツ選手や、肩や腕を多用する職業の人などに多く見られます。肩や腕を多用することで、肩甲骨周りの筋肉が疲労し、不均衡になることが原因となります。特に、回外筋が過剰に使用されると、肩甲骨が前方に引っ張られ、不安定化します。

 

3.肩甲骨の運動範囲の制限

肩甲骨が正常に動かないことも、回外筋症候群の原因の一つです。肩甲骨の運動範囲が制限されたり、肩関節が硬くなったりすることで、肩甲骨周りの筋肉が不足することがあります。肩甲骨の動きが悪いと、肩関節が不安定になり、肩甲骨を支える筋肉が不足し、回外筋症候群を引き起こすことがあります。

 

4.ストレスや精神的な要因

ストレスや精神的な要因が、回外筋症候群の原因となることがあります。ストレスが蓄積されると、筋肉が緊張し、不均衡になることがあります。また、ストレスによって姿勢が悪くなったり、肩甲骨の運動範囲が制限されたりすることもあります。これらが原因で、回外筋症候群を引き起こすことがあります。

 

以上が、回外筋症候群の機序です。

 

肩甲骨周りの筋肉や靭帯が弱まることで、肩甲骨が不安定になり、回外筋症候群を引き起こします。肩や腕の過剰使用や肩甲骨の運動範囲の制限、ストレスなどが原因となります。

回外筋症候群の症状は、肘の周りや腕に現れる痛み

回外筋症候群の症状は、肘の周りや腕に現れる痛みです。痛みは鋭く、腕を捻ったり肘を伸ばしたりすると強くなります。肘の外側に痛みが現れることもあります。

 

症状が進むと、神経が麻痺し、腕を外に捻ることができなくなったり肘を伸ばしにくくなったりすることもあります。場合によっては、指の付け根の関節が伸ばせなくなったり、親指が開けなくなったりすることもあります。

 

腕や手に痺れが出ることもありますが、腕や手の痺れは珍しいケースのみです。

回外筋症候群は、肩甲骨周りの筋肉や靭帯が弱まり、肩甲骨が不安定になることによって引き起こされる症候群で、症状は以下の通りです。

 

1.肩や上腕部の痛みや弱さ

回外筋症候群では、肩甲骨周りの筋肉や靭帯が弱まることで、肩や上腕部に痛みや弱さを感じることがあります。痛みの程度は個人差があり、軽度の場合は、僅かな痛みや不快感がある程度で、重度の場合は、強い痛みや肩や腕の動きが制限されることがあります。

 

2.肩の可動域の制限

回外筋症候群では、肩甲骨周りの筋肉や靭帯が弱まることで、肩の可動域が制限されることがあります。肩を上げたり、前後に動かしたりすることが困難になることがあります。また、肩を回すことができなかったり、異常な動きが生じることがあります。

 

3.肩の異常な動き

回外筋症候群では、肩甲骨周りの筋肉や靭帯が弱まることで、肩の動きに異常が生じることがあります。具体的には、肩甲骨の浮き上がり感や、上腕骨が前に出ているような状態が見られることがあります。また、肩を上げる際に、上腕骨が内側に回転する動きをすることがあるため、回内力が強くなることがあります。

 

4.肩甲骨の浮き上がり感

回外筋症候群では、肩甲骨周りの筋肉や靭帯が弱まることで、肩甲骨が浮き上がる感覚を覚えることがあります。これは、回外筋の強さによって、肩甲骨が外側に引っ張られ、浮き上がることが原因です。

 

5.頭痛や眼精疲労、めまいなど

回外筋症候群は、首や肩周りの筋肉がこわばりやすくなるため、頭痛や眼精疲労、めまいなどの症状も現れることがあります。これらの症状は、肩甲骨周りの筋肉や靭帯の不均衡が原因となり、筋肉の緊張や姿勢の悪化などが影響して生じることがあります。

 

回外筋症候群の症状は、痛みや弱さ、肩の可動域の制限、肩の異常な動き、肩甲骨の浮き上がり感、頭痛や眼精疲労、めまいなどがあり、このような症状がある場合は、早期に専門医による判断をすること、適切に改善を行うことが必要です。

回外筋症候群の改善方法は消炎鎮痛剤や神経に効果的なビタミン剤

回外筋症候群の改善方法は、消炎鎮痛剤や神経に効果的なビタミン剤です。リハビリを行ったり、電気を使って改善を行ったりすることもあります。

 

痛みが強い場合は、ステロイド注射をおこなうこともあります。また、半年以上経っても症状の改善が見られない場合や改善の効果が見られず悪くなっている場合などは手術をおこなうこともあります。

回外筋症候群の改善には、リハビリテーション、ストレッチ、マッサージ、薬などが用いられます。以下でそれぞれの改善法について詳しく説明します。

 

1.リハビリテーション

回外筋症候群の改善には、リハビリテーションが用いられます。リハビリテーションでは、肩甲骨周りの筋肉や靭帯を強化するための運動が行われます。具体的には、回内筋を強化するための運動や、肩甲骨の運動範囲を拡大するための運動などが行われます。リハビリテーションは、専門的な知識と技術を持つ医師によって実施されます。

 

2.ストレッチ

回外筋症候群の改善には、ストレッチも有効です。ストレッチは、肩甲骨周りの筋肉や靭帯を伸ばして、緊張をほぐすことができます。具体的には、肩甲骨を引き下げるストレッチや、回内筋を伸ばすストレッチなどが行われます。ストレッチは、自宅でも簡単に行うことができるため、日常生活に取り入れることができます。

 

3.マッサージ

回外筋症候群の改善には、マッサージも有効です。マッサージは、筋肉のこわばりをほぐして血行を良くし、肩甲骨周りの筋肉や靭帯を緩めることができます。専門の医師によって実施されます。

 

4.薬

回外筋症候群の改善には、薬を使うこともあります。薬は、痛みや炎症を抑えるために使います。具体的に使う薬は、鎮痛剤や抗炎症剤です。ただし、この方法では、症状を緩和するだけで根本的な改善にはなりません。肩甲骨周りの筋肉や靭帯を強化し、姿勢を改善することが重要です。

 

5.手術

重症の場合や、リハビリテーションやストレッチ、マッサージ、薬などの保守的な改善方法が効果がない場合には、手術が考慮されます。手術は、肩甲骨周りの筋肉や靭帯を修復したり、肩関節を安定化させることで、回外筋症候群を改善することができます。

 

 

回外筋症候群は、早期に適切な改善を行うことで、症状を改善することができます。

 

また、予防的な取り組みも重要です。適度な運動やストレッチ、姿勢の改善、肩甲骨周りの筋肉を強化することで、回外筋症候群の発症を予防することができます。

ストレッチは行わないように注意

過剰に緊張している回外筋をストレッチを行うことで伸ばそうとすると緊張して短くなっている分センサーが過剰に反応してしまい、さらに回外筋の緊張につながり、症状の悪化につながります。

 

そのため、ストレッチは行わないように注意しましょう。間違ったセルフケアは逆に症状の悪化につながることもあります。医師の指導のもので改善を行うことをお勧めします。

回外筋症候群に効果的なツボ

曲池

手三里

小海

曲池

曲池は、肩こりや首こり、手首の腱鞘炎、胃腸の不調などに効果を発揮するツボです。首から肩にかけての血流をよくする働きがあるため、首こりや肩こり、手首の腱鞘炎などに効果があるとされています。

 

肘のあたりにあるツボで、首や肩、手首に効果があることから回外筋症候群にも効果が期待できます。

手三里

手三里は、腕を使いすぎたときに効果を発揮するツボです。そのため、回外筋症候群にも効果があります。肩こりがあるときや寝違えたときにもおすすめです。

 

他にも、大腸を整える働きもあり、特にお腹の張りや下痢に有効です。

小海

小海は、肩こりに効果的なツボです。小海は尺骨神経が走っている場所にあるため、前腕内側の痛みにも効果を発揮します。そのため、回外筋症候群にも有効です。

 

 他にも、消化や吸収の機能を高める効果もあります。

ツボの位置と押し方

曲池

曲池は、肘を曲げた時にできる外側の横じわの端にあるくぼんでいる場所にあります。肘関節の骨の際のあたりを探しましょう。

 

押すときは、反対側の手で外側から肘を包むようにして、親指を使って押していきます。

手三里

手三里の場所は、前腕の背面の親指側で、肘関節横紋の指幅3本分下にあります。曲池から指3本分手の方向に進んだ場所にあるくぼんでいる部分です。

 

押すときは、ちょうど良い刺激を感じるくらいの強さで、ゆっくり押しましょう。手三里を押すとほとんどの人はズーンとした痛みを感じます。

小海

小海は、肘関節の肘頭小指側にあるくぼんでいる場所にあります。探すときは肘を軽く曲げるとわかりやすいです。肘を曲げて、内側と肘の頂点との中心がツボの場所です。

 

押すときは、奥に向かって押します。ズーンとするような痛みを感じることもあります。

回外筋症候群の改善例

ある30代男性の回外筋症候群の改善例を紹介します。症状としては、右肩の痛みや可動域の制限、肩甲骨周りのこわばり、頭痛、眼精疲労などがありました。

 

調べた結果、右肩甲骨の浮き上がり感が見られ、肩関節可動域に制限があることが確認されました。

 

その人に対して、まず、リハビリテーションで運動を開始しました。回内筋を強化するための運動や、肩甲骨の運動範囲を拡大するための運動を実施しました。

 

また、ストレッチによって肩甲骨周りの筋肉や靭帯を伸ばし、マッサージによって血行を良くすることで、肩甲骨周りのこわばりを緩和しました。

 

 

姿勢の改善については、日常生活での正しい姿勢の保持や、座り過ぎやスマホの使用などの不良な姿勢を改善するよう指導しました。また、予防的な取り組みとして、運動習慣の確立やストレッチの継続、肩甲骨周りの筋肉の強化を促しました。

 

数週間後に再び病院に行った時には、症状が改善されていることが確認されました。痛みやこわばりが緩和され、可動域も拡大していました。頭痛や眼精疲労などの症状も改善されており、生活の質が向上したとのことでした。

 

改善までにかかる期間は個人差がありますが、多くの場合は数週間から数か月程度のリハビリテーションと継続的なストレッチ、姿勢の改善などが必要とされます。また、回外筋症候群の症状が再発しないように、予防的な取り組みが重要であることを理解してもらうことも必要です。

 

なお、重症の場合や保守的な改善方法が効果的でない場合には、手術を行うことも考慮されます。手術によって肩甲骨周りの筋肉や靭帯を修復したり、肩関節を安定化させることで、回外筋症候群の改善が期待されます。

ただし、手術はリスクが伴うため、慎重に検討する必要があります。

 

回外筋症候を改善するためには、発症した本人の努力も欠かせません。適度な運動やストレッチ、正しい姿勢の保持など、日常生活での取り組みが重要です。

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