低酸素血症の鍼灸【原因・定義・症状】

公開日:2022年  10月11日

更新日:2022年  11月 2日

本日は低酸素血症について解説させていただきます。

☆本記事の内容

  • 低酸素血症とは
  • 低酸素血症の原因
  • 低酸素血症の症状
  • 低酸素血症の改善方法
  • 低酸素血症のまとめ
足のしびれ、痛み

銀座そうぜん鍼灸院の宗前です。

このページを書いている私は、鍼灸師として13年、担当した利用者様数80,000人を誇り、病気の休職者300人を社会復帰できるまで回復させてきた実績があります。

 

低酸素血症は、動脈を流れる血液の中の酸素が足りない状態のこと

低酸素血症は、動脈を流れる血液の中の酸素が足りない状態のことです。動脈を流れる血液の中の酸素が足りなくなると、体全体に不調が起き、手足の冷えや不整脈、呼吸の乱れなどの症状が現れます。

 

さらに、意識障害が起き、肝機能や腎機能にも影響が及ぶこともあります。

 

低酸素血症をそのまま放っておくと、肺動脈圧が上がり、心臓に大きな負担がかかり、心不全が起こって悪くなっていきます。

原因は、低酸素の環境や呼吸中枢障害、神経筋障害、肺の病気など

低酸素血症の主な原因は、長い期間慣れない空気の薄い高地に滞在したり、慢性的な肺の病気によって起こる低換気です。

 

低酸素の環境にいたり、呼吸中枢障害、神経筋障害、肺の病気などを発症していたりすることで、換気で大気から肺胞に酸素が上手に取り込めなかったり、肺胞から動脈血流への酸素が上手に受け渡しできなかったりして症状が起こるのです。

 

体が求める酸素の需要に肺が応えることができずに起こることもあります。

1.呼吸不全による低酸素血症

 

呼吸不全は、肺の機能が低下し、酸素の取り込みや二酸化炭素の排出が不十分な状態を指します。これにより、血液中の酸素濃度が減少して低酸素血症が発生します。呼吸不全は、以下の主な原因によって引き起こされます。

 

COPD:喫煙や空気汚染などによって引き起こされるCOPDは、気道の狭窄や肺組織の破壊によって呼吸機能が低下し、低酸素血症を引き起こす原因となります。

 

肺気腫:肺気腫は肺組織の異常な拡張により、肺容量が増加し、呼吸機能が低下します。これによって酸素の取り込みが妨げられ、低酸素血症が発生します。

 

肺線維症:肺組織が線維化し、弾力性が失われる肺線維症は、呼吸機能の低下と低酸素血症を引き起こす原因となります。

 

肺炎:肺炎によって肺組織が炎症を起こすと、酸素の取り込みが妨げられ、低酸素血症が発生します。

 

2. 循環障害による低酸素血症

 

循環障害は、心臓や血管の機能が低下し、酸素が全身に運ばれる効率が低下する状態を指します。これにより、組織や臓器に十分な酸素が供給されず、低酸素血症が発生します。循環障害の主な原因には次のようなものがあります。

 

心不全:心臓の機能が低下して血液の送り出し量が減少する心不全は、全身の酸素供給が不十分となり、低酸素血症を引き起こす原因となります。

 

循環動態の不安定性:血圧の急激な低下や血液の循環障害によって、全身の酸素供給が妨げられ、低酸素血症が生じることがあります。

 

血液の酸素運搬障害:ヘモグロビンの異常により酸素の結合が妨げられる場合、血液中の酸素濃度が低下し、低酸素血症が発生します。例えば、酸素がヘモグロビンに十分に結合しない場合、貧血によって低酸素血症が生じることがあります。

 

3. 高地での低酸素症

 

高地(高山)では大気中の酸素濃度が低いため、低酸素血症が一般的に見られます。高地での酸素濃度の低下に対応するため、体は様々な適応反応を示しますが、一部の個体は十分な適応を行うことができず、低酸素血症が生じることがあります。高地低酸素血症は、特に高地での長時間の滞在や急激な高地への上昇時によく見られます。

 

4. 肺塞栓症

 

肺塞栓症は、肺動脈やその分枝に血栓が詰まることによって起こる疾患で、肺循環が障害されます。肺塞栓症は通常、下肢の静脈血栓症の合併症として発生することが多いです。血栓が肺動脈に到達することで、肺動脈の血流が部分的または完全に遮断され、肺血管内の酸素と血液の供給が阻害されます。これにより、肺組織に対する酸素供給が不足し、低酸素血症が生じます。

 

5. 肺水腫

 

肺水腫は、肺組織に余分な液体が蓄積する状態を指します。肺水腫により肺胞が充満され、肺組織の酸素交換が妨げられます。これにより、肺組織に対する酸素供給が減少し、低酸素血症が発生します。肺水腫の主な原因は心不全や急性呼吸窮迫症候群(ARDS)などです。

 

6. 肺の病気による低酸素血症

 

さまざまな肺疾患によっても低酸素血症が引き起こされることがあります。肺塞栓症や肺水腫に加えて、以下のような病気が含まれます。

 

肺炎:肺組織の感染により、肺胞の炎症や充満が生じることがあります。これによって酸素交換が妨げられ、低酸素血症が発生します。

 

肺血管障害:肺動脈やその分枝の異常によって、肺血流が妨げられることがあります。これによって肺組織に対する酸素供給が減少し、低酸素血症が生じます。

 

肺線維症:肺組織の線維化により、肺胞の容積が減少し、呼吸機能が低下します。これによって酸素取り込みが妨げられ、低酸素血症が引き起こされることがあります。

 

7. 福祉状態の悪化

 

体の健康状態が悪化することで、低酸素血症が生じることがあります。例えば、重篤な疾患や外傷による出血やショック状態では、循環障害が起こり、全身の酸素供給が不足することがあります。

症状は、手足の冷えや不整脈、呼吸困難や意識障害など

低酸素血症の症状は、手足の冷えや不整脈、呼吸困難や不安感、言語障害、意識障害や視力障害、チアノーゼなどです。

 

症状が軽い場合、現れる症状は不整脈くらいで症状の改善も早いです。しかし、症状が重くなると、呼吸困難や神経の働きの低下が起こり、場合によっては中枢神経の働きに障害が現れることもあります。

1. 呼吸器系の症状

 

低酸素血症による呼吸器系の症状は、呼吸困難(disnea)が最も一般的な症状です。患者は息切れを感じ、深呼吸や頻繁な吐き気呼吸を行うことがあります。呼吸困難は、軽度から重度まで様々な程度で現れることがあります。

 

また、低酸素血症によって咳嗽(cough)や喘鳴(wheezing)などの症状も見られることがあります。特に肺疾患による低酸素血症では、咳や喘鳴が顕著に現れることがあります。

 

2. 循環器系の症状

 

低酸素血症による循環器系の症状は、動悸(palpitations)や不整脈(arrhythmia)などがあります。酸素不足によって心臓が酸素を必要とするため、心臓が過剰に働くことがあります。これにより、動悸や不整脈が生じることがあります。

 

また、低酸素血症によって全身の血流が減少するため、手足の冷感や皮膚の色が青白くなる(シアノーゼ)ことがあります。シアノーゼは特に指先や口唇部に現れやすく、低酸素血症の重症度に応じて程度が変化します。

 

3. 精神神経系の症状

 

低酸素血症による精神神経系の症状は、頭痛(headache)、意識障害(confusion)、疲労感(fatigue)、集中力の低下などがあります。酸素は脳の正常な機能に重要な役割を果たすため、低酸素血症が続くと脳機能が低下し、これらの症状が現れることがあります。

 

特に、重度の低酸素血症では、意識障害が進行して意識喪失や昏睡状態に至ることがあります。この場合は、緊急の治療が必要となります。

 

4. 心肺症状

 

低酸素血症によって、心臓や肺の負担が増加し、心肺系の症状が現れることがあります。心拍数の増加や血圧の低下が見られることがあります。また、肺の働きが低下するため、呼吸数が増加し、浅い呼吸が見られることがあります。

 

5. 運動障害

 

低酸素血症によって全身の組織や筋肉に十分な酸素が供給されないため、運動障害が生じることがあります。体力の低下や筋力の低下、身体のだるさを感じることがあります。これにより、日常生活動作や運動能力が低下し、疲れやすさを感じることがあります。

 

6. その他の症状

 

低酸素血症は様々な疾患や状況によって引き起こされるため、その他の症状も現れることがあります。例えば、高地での低酸素症では、高山病の症状として頭痛やめまい、食欲不振などが現れることがあります。また、貧血による低酸素血症では、血色が薄くなることによって皮膚の色が蒼白くなることがあります。

病気が原因の場合、原因となっている病気の改善を行うことも重要

低酸素血症の改善方法は、症状の程度によって違います。症状が軽い場合は、その場に座ったり横になったりして休むことと、水分補給をきちんと行うことが大事です。

 

症状が重い場合は、酸素吸入を行い、気管内挿管で人工呼吸管理による呼吸調節が必要になることもあります。病気が原因の場合は、原因となっている病気の改善を行うことも重要です。 

低酸素血症(Hypoxemia)の改善法は、原因や症状の重症度によって異なります。低酸素血症の改善には、酸素供給の向上や基礎的な病気の改善、酸素法などが一般的に用いられます。

 

 

 

1.基礎的な改善:酸素供給の向上

 

低酸素血症の改善の第一段階として、酸素供給を向上させることが重要です。これにより、血液中の酸素濃度が増加し、全身の組織や臓器に十分な酸素が供給されます。酸素供給の向上には、以下の方法があります。

 

酸素吸入:酸素吸入は、酸素供給を直接的に増加させるための一般的な方法です。患者は酸素供給器(酸素マスクや鼻カニューラ)を使用して、酸素を吸入します。治療の目標として、血中酸素飽和度(SpO2)を適切な範囲に保つことが挙げられます。

 

呼吸サポート装置:重度の低酸素血症や呼吸困難を伴う場合は、人工呼吸器(ベンチレーター)や持続的陽圧呼吸(CPAP)などの呼吸サポート装置を使用することがあります。これにより、患者の呼吸を補助し、酸素供給を確保します。

 

2. 原因に応じた改善

 

低酸素血症の原因に応じて、基礎疾患の改善が重要です。例えば、呼吸器系の病気による低酸素血症では、肺炎や肺線維症などの改善が行われます。循環器系の病気による低酸素血症では、心不全や心臓病の改善が行われることがあります。原因に応じた改善は、低酸素血症を改善するために必要不可欠です。

 

3. 高地での低酸素症への適応

 

高地(高山)での低酸素症(高山病)の改善は、適切な適応によって行われます。高地では大気中の酸素濃度が低いため、体は適応反応を示しますが、一部の個体は適応が不十分となり低酸素血症が生じることがあります。

 

高地での低酸素症に対しては、以下のような対策が取られることがあります。

 

慎重な上昇:高地への急激な上昇は高山病のリスクを増加させるため、慎重な上昇が必要です。適切な標高に達するまでの間に適応期間を設けることが推奨されます。

 

低酸素環境での活動制限:高地での活動は、体力に余裕を持って行うことが重要です。特に高地での激しい運動や過度の労働は避けるべきです。

 

酸素吸入:高地での低酸素症に対しては、酸素吸入が行われることがあります。これにより、低酸素症の症状を軽減し、活動能力を向上させることができます。

 

4. 症状に対しての対処

 

呼吸困難が強い場合には酸素吸入を増やすなど、症状に応じた対応が行われます。

 

5. 予防策

 

低酸素血症を予防するためには、健康的な生活習慣の維持が重要です。喫煙や過度の飲酒を避け、バランスの取れた食事や適度な運動を行うことが推奨されます。また、高地への上昇や高所での活動を行う際には適切な適応期間を設け、酸素吸入などの対策を講じることも予防に役立ちます。

低酸素血症であるという判断をする基準

低酸素血症であるという判断をする基準は、動脈血酸素分圧が正常値よりも下がっていることです。低酸素血症を調べる時には、動脈血ガス分析方法が使われ、動脈血中の酸素分圧、二酸化炭素分圧、PHなどをはかります。

 

低酸素血症を発症した時に酸素吸入を行う場合、個人の状態に合わせて適切な量の酸素を投与することが非常に大事になります。

低酸素血症の改善例

A:肺炎による低酸素血症

 

Aは60歳の男性で、最近風邪を引いた後に呼吸困難と息切れが続いていると訴えて来ました。彼は肺炎による低酸素血症を発症していると判断されました。以下は、Aに対して行われた改善の例です。

 

酸素吸入の開始

Aには酸素吸入が開始されました。初期的には鼻カニューラを使用して酸素を吸入し、酸素の流量は1〜2リットル/分程度に設定されました。酸素吸入により、呼吸が楽になり、血中酸素濃度が上昇しました。

 

抗生物質の投与

肺炎の原因が細菌感染である可能性が高いため、Aには抗生物質が投与されました。抗生物質は肺炎を引き起こす細菌に対して効果的であり、炎症を抑える効果が期待されます。

 

呼吸リハビリテーションの実施

Aは呼吸が浅くなっており、肺の通気能力が低下していました。呼吸リハビリテーションが行われ、正しい呼吸法の指導と肺の機能改善のための運動が行われました。これにより、肺機能が改善し、呼吸困難が軽減されました。

 

B:心不全による低酸素血症

 

Bは75歳の女性で、最近疲労感と息切れが増加していると訴えて来ました。彼女は心不全による低酸素血症を発症していると判断されました。以下は、Bに対して行われた改善の例です。

 

酸素吸入の開始

Bにも酸素吸入が開始されました。彼女は息切れがひどく、心臓の負担が増加していました。酸素吸入により、酸素供給が改善され、心臓への負担が軽減されました。

 

利尿剤の処方

心不全による水分貯留に対して、利尿剤が処方されました。利尿剤は体内の余分な水分を排出する効果があり、心臓への負担を減らすことが期待されます。

 

心臓強化剤の投与

心不全により心臓のポンプ機能が低下していたため、心臓強化剤が投与されました。心臓強化剤は心臓の収縮力を増加させ、血液の送り出し量を改善する効果があります。

 

心臓リハビリテーションの実施

Bは心臓の機能が低下していたため、心臓リハビリテーションが行われました。心臓リハビリテーションでは、心臓機能改善のためのトレーニングなどが行われます。これにより、心臓の機能が向上し、低酸素血症の症状が改善されました。

 

C:高地での低酸素症

 

Cは30歳の男性で、高地での登山後に頭痛や息切れが続いていると訴えて来ました。高地での低酸素症(高山病)を疑われ、以下の改善が行われました。

 

酸素吸入の開始

Cには酸素吸入が開始されました。高地の低酸素環境では、酸素供給が不足して低酸素血症が生じやすくなります。酸素吸入により、血中酸素濃度が増加し、高地での低酸素症の症状が軽減されます。Cは酸素吸入により、頭痛や息切れが改善し、活動能力が向上しました。

 

慎重な上昇と休息

Cは高地での急激な上昇が原因で高山病を発症していた可能性があります。そのため、慎重な上昇が必要とされ、高地に到着した後は適応期間を設けることが重要です。Cには、慎重な上昇と十分な休息が指導されました。適応期間中は軽い活動を心がけながら、体が高地の低酸素環境に適応できるように時間をかけて標高を上げていきます。

 

高地での活動制限

高地での活動は体力に余裕を持って行うことが重要です。特に高地での激しい運動や過度の労働は避けるべきです。Cには、適切な活動制限が指導され、過度の負荷をかけずに活動するようにアドバイスされました。

 

高地での適応環境の提供

Cは高地での低酸素症を軽減するために、高地での適応環境が提供されました。これは、高地にある宿泊施設で酸素吸入を行ったり、適切な高度に滞在することで高地病の症状を軽減することができます。

 

以上の方法により、A、B、Cはそれぞれの状態に応じた適切な改善を受け、低酸素血症の症状が改善されました。ただし、低酸素血症の原因や症状の重症度によって改善法は異なるため、医師の指導のもとで個別に適切な改善が行われます。

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