唾液過多症の鍼灸【原因・定義・症状】

公開日:2021年 6月 2日

更新日:2022年 2月17日

本日は唾液過多症について解説させていただきます。

☆本記事の内容

  • 唾液過多症とは
  • 唾液過多症の原因
  • 唾液過多症の症状
  • 唾液過多症の改善方法
  • 唾液過多症のまとめ
足のしびれ、痛み

銀座そうぜん鍼灸院の宗前です。

このページを書いている私は、鍼灸師として13年、担当した利用者様数80,000人を誇り、病気の休職者300人を社会復帰できるまで回復させてきた実績があります。

 

唾液過多症は、必要以上に唾液の分泌が多くなること

唾液過多症は、必要以上に唾液の分泌が多くなることです。唾液の分泌が増えるため、つばを飲みこむ回数が増えたり、話しにくくなったりして、日常生活を送る上で影響が出ます。

 

多くの人は、唾液の分泌が増えることで日常生活に出る影響によってストレスが溜まってしまいます。

唾液過多症の原因には5つのことが関係していると考えられる

唾液過多症の原因は、今のところ明らかになっていませんが、5つのことが関係しているのではないかと考えられています。

 

1つ目は、消化機能が弱っていることです。唾液は、消化酵素を含み食べ物の消化を助けています。消化機能が弱ることによって、消化させようとして唾液が多く分泌すると考えられているのです。

 

2つ目は口の中に問題が起きていることです。唾液には抗菌物質が含まれており、細菌に対して作用しています。口の中に問題がある場合、口の中を清潔に保つために唾液の分泌が増えると考えられています。

 

3つ目は自律神経の乱れです。交感神経によって唾液の分泌はコントロールされているため、自律神経の乱れは唾液腺に送る指令に関係します。正しく指令が送ることができなくなることで、唾液の分泌に異常が起こると考えられています。

 

4つ目はよだれつわりです。妊娠している時に起こるホルモンバランスの乱れは、一時的に唾液の増加につながります。この症状をつわりの中でもよだれつわりと呼ばれています。

 

5つ目は、飲み込む力が低下することです。嚥下障害が起こっていることで、唾液の量が増えていなくてもつばを飲み込む回数が増えることがあります。ただしこの場合は、仮性唾液過多症に当たります。

唾液過多症は、口腔内に過度な唾液が存在する状態を指します。この症状は一時的または長期的な問題となり得ますが、その原因は多岐にわたります。以下に、それらの一部を説明します。

 

口腔及び咽頭の病気: 口腔や咽頭の疾患や感染は、唾液過多の一般的な原因の一つです。これらの病気には口内炎、歯周病、喉頭炎、扁桃腺炎などが含まれます。これらの条件は、炎症を引き起こし、唾液腺が過剰に唾液を生成するよう刺激します。

 

薬の影響: 一部の薬剤は副作用として唾液の生成を増加させます。これらの薬には、抗精神病薬、抗鬱薬、抗パーキンソン病薬、ベータ遮断薬などが含まれます。

 

神経系の病気: パーキンソン病やベル麻痺などの神経系の病気は、口腔の筋肉の制御を失い、唾液を適切に飲み込むことが難しくなるため、唾液過多を引き起こす可能性があります。

 

妊娠とホルモンの変化: 妊娠中にはホルモンのレベルが変化し、これが唾液腺の活動を刺激して唾液の生産を増加させる可能性があります。これは一時的な状態で、通常、出産後に解消します。

 

毒素や物理的刺激: 唾液は口内の物質を中和するための自然な防衛メカニズムであり、特定の物質(たとえば、タバコ、アルコール、辛い食べ物)が口腔に入ると、これらは唾液の生産を刺激する可能性があります。

 

溜まったストレスや不安: これらの感情的な状況は、体の「戦うか逃げるか」の反応を引き起こし、この過程で唾液の生成が増えることがあります。

 

遺伝的な要因: いくつかの遺伝的な病気、例えばDown症候群やPrader-Willi症候群は、唾液過多を引き起こす可能性があります。これらの病気は一般的に唾液腺の機能に影響を及ぼし、唾液の生産が増加します。

 

口腔の筋肉の機能不全: 唾液を適切に飲み込むためには、口腔や咽頭の筋肉が適切に機能する必要があります。これらの筋肉の弱さや機能不全は、唾液を正常に飲み込むことが難しくなり、唾液過多の症状を引き起こす可能性があります。

 

重度の酸逆流またはGERD(胃食道逆流病): これらの病状は、食道に酸を逆流させ、唾液腺を刺激して過剰な唾液を生産します。これは、口内の酸を中和し、食道を保護するための体の自然な反応です。

 

感情的な反応や神経質な行動: 感情的な反応、特に不安や恐怖は、唾液の生産を増加させることがあります。また、神経質な行動、例えば口腔内の物を噛むなども唾液の生産を刺激する可能性があります。

 

これらが唾液過多症の一部の原因ですが、具体的な原因は個々の病状や状況によります。

唾液過多症の症状は、唾液の分泌される量が増えること

唾液過多症の症状は、唾液の分泌される量が増えることです。唾液が増えることによって、生活をする上でも問題となることが多くなります。

 

唾液が多く飲み込むことが辛くなる、話すときにつばがたくさん出る、いつも口に唾液でいっぱいになる、何度も繰り返しつばを飲み込むことで唇や顎に痛みが起こる、などの問題が出ます。

唾液過多症は時折、口から唾液が流れ出るほど顕著になることがあります。以下に、その主な症状について詳しく説明します。

 

過度の唾液: 唾液過多症の最も一般的な症状は、口内に常に大量の唾液が存在することです。これは飲み込むのが困難になるほど、または話すときや食事中に唾液が口から流れ出るほどになることがあります。

 

口からの唾液漏れ: これは唾液が口から流れ出る状態で、主に口角から発生します。これは特に食事中、話すとき、または寝ている間に顕著になることがあります。

 

飲み込むのが難しい: 一部の人々は、唾液を飲み込むのが困難であると感じるかもしれません。これは、唾液の量が多すぎるため、または飲み込むための筋肉の弱さまたは機能不全によるものかもしれません。

 

口内の湿度: 唾液過多症の人々は、口が常に湿っていると感じることがあります。これは特に、食事をしていないときや口を閉じているときに気づくことがあります。

 

唾液の味: 一部の人々は、唾液の味が変わったと報告しています。これは唾液の生成が増えた結果、唾液の構成要素が変わることによる可能性があります。

 

口臭: 唾液は口腔内の細菌を抑制する役割を果たしますが、そのバランスが崩れると口臭を引き起こす可能性があります。唾液が過剰に生成されると、これが口臭の原因になることがあります。

 

話す困難: 大量の唾液が口の中にあると、明瞭な発話が難しくなることがあります。これは、言葉がぼんやりと聞こえるか、または話すときに唾液が飛び出すことで顕著になります。

 

咳や窒息感: 過剰な唾液が喉に流れ込むと、咳や窒息感を引き起こすことがあります。これは特に、飲み込むのが困難であるか、唾液を適切に飲み込むための筋肉の機能が低下している場合に起こりやすいです。

 

口角炎: 長期的に唾液が口角から漏れると、皮膚が湿ってしまい、赤くなり、ひび割れ、そして痛みを伴う可能性があります。これを口角炎と言います。

 

食欲不振と栄養不足: 唾液過多は食事を困難にし、それが食欲不振と栄養不足につながる可能性があります。また、飲食物を喉に通すのが難しい場合、飲み込むのに時間がかかり、食事が困難になることもあります。

唾液過多症の改善方法は、薬や漢方薬

唾液過多症の改善方法は、薬や漢方薬です。薬では、抗コリン薬、抗不安薬が使われます。漢方薬では、人参湯や小青竜湯などを使って改善を行います。

 

薬や漢方薬の効果が現れ改善することもありますが、薬や漢方薬を使ってもなかなか効果が現れず改善が難しいこともあります。

唾液過多症の改善方法は、その原因と症状の重さによります。

 

原因となる病気の改善: 唾液過多症の原因となる病気(たとえば、口腔や喉頭の感染症、神経の病気など)が特定できた場合、その病気の改善が最初のステップとなります。これは、抗生物質や抗炎症薬の使用、神経の病気の症状を改善するための薬剤など、さまざまな形を取る可能性があります。

 

薬: 唾液腺の活動を抑制する薬剤(たとえば、抗コリン薬)が処方されることがあります。これらは唾液の生成を抑制し、唾液過多症の症状を緩和します。ただし、これらの薬剤は口渇や他の副作用を引き起こす可能性があるため、医師との詳しい相談が必要です。

 

唾液を適切に飲み込むための技術を学ぶこと: 唾液を適切に飲み込むための技術を学ぶことは、唾液過多症の改善に有用です。

 

唾液腺へのボトックス注射: 唾液腺へのボトックス(ボツリヌス毒素)注射は、唾液の生成を一時的に減少させる方法として広く用いられています。これは通常、他の方法が効果を発揮しない場合や、症状が特に重度の場合に選択されます。

 

唾液腺手術: 重度の唾液過多症の場合、唾液腺の一部または全部を除去する手術が考慮されることがあります。これは一般的に最終的な選択肢であり、他の方法が効果的でなかった場合や、症状が生活の質を大きく損なう場合にのみ選択されます。

 

口腔衛生の管理: 唾液過多症により、口腔内に残る唾液が口臭や口腔感染症を引き起こす可能性があります。これを防ぐために、定期的な歯のブラッシング、フロッシング、および口腔洗浄剤の使用が推奨されます。

 

食事とライフスタイルの調整: 飲食のパターンや選択肢を調整することで、唾液過多症の管理が可能になる場合があります。例えば、食事の間に頻繁に水分を取る、あるいは柑橘類やスパイシーな食べ物を避けるなどです。これらの食品は唾液の生成を刺激するため、避けることで症状が軽減することがあります。

 

 

唾液過多症は、特定の薬剤の副作用として発生することもあります。その場合、薬の変更や用量の調整を検討するかもしれません。例えば、精神的な病気の改善に使用される一部の薬剤は、唾液の過剰な生成を引き起こす可能性があります。これらの薬剤を変更するか、または用量を減らすことで、唾液過多症の症状が改善することがあります。

 

唾液過多症は心理的なストレスを引き起こすこともあります。サポートグループやカウンセリングは、症状やその影響に対処するための戦略を提供し、他のd唾液過多症の発症者との経験を共有する機会を提供します。

異変を感じたときは病院に相談に行く

唾液の量に異変が起きている状態をそのまま放っておくと、肌荒れや口臭につながる可能性もあります。さらに、悪くなると、日々のストレスが大きくなるだけではなく、嚥下困難や誤嚥などが起きる可能性もあります。

 

唾液過多症は日常生活にも大きな影響が出てストレスが溜まってしまうことも多いため、異変を感じたときは病院に相談に行くことをお勧めします。

唾液過多症に効果的なツボ

・照海

・腎兪

・列欠

・沸泉

・天枢

・中脘

・裏内庭

照海

照海は腎経に属するツボです。唾液過多症を改善するためには、東洋医学でいう腎と脾の働きを高めることが大事であると言われています。腎経に属する照海を刺激することで改善につながるのです。

 

他にも照海は、泌尿器系の問題や女性特有の症状に効果的です。

腎兪

腎兪は、腎臓に近い場所にあるツボです。腎の問題に効果のあることが名前の由来であるとも言われています。 腎兪を刺激することは腎の働きを高め、唾液過多症の改善につながるのです。

 

腎兪は体のだるさに効果的で、中でも腰や下肢のだるさがある時におすすめのツボです。

列欠

列欠は顔の浮腫や頭痛、首の痛み、顔面神経痛、めまいや鼻詰まりなど様々な効果が期待できるツボです。

 

列欠は手と足にある4つのツボである四総穴と呼ばれるツボの一つでもあります。四総穴は全身の様々な症状に対して効果的であると言われています。

ツボの位置と効果

照海

照海は、内くるぶしから親指一本分の幅を垂直に下がったところの骨と骨の間の小さな隙間にあります。

 

押すときは、 痛気持ちいいくらいの強さで押します。10秒程ツボを押し、5秒離します。

腎兪

腎兪は、ウエストラインの背骨から指2つ分外に行ったところにあります。左右両方にあるツボです。

 

押すときは、呼吸をしながら押すことがポイントです。ゆっくりと親指を使って押しましょう。

列欠

列欠は、手首の内側の脈拍の上に薬指を置き、人差し指が触れる部分にあるツボです。

 

押すときは、ゆっくりと親指で押します。5秒ほどかけて押しましょう。

唾液過多症の改善例

唾液過多症の具体的な改善例を提示するために、具体的な症例についての文献を引用します。

 

ボツリヌス毒素注射: パーキンソン病を発症している人における唾液過多症の改善の一例として、"Botulinum toxin type A for drooling in Parkinson's disease: A double-blind, randomized, placebo-controlled study" (Guidubaldi et al., 2011)があります。この研究では、ボツリヌス毒素A型(ボトックス)を唾液腺に注射することで、唾液過多症の症状が有意に改善したと報告されています。

 

抗コリン薬の使用: "Management of drooling of saliva" (Arya et al., 2012)では、抗コリン薬(唾液の生成を抑制する薬物)の使用が唾液過多症に有効であるとして述べられています。この薬物は特に、神経性唾液過多症に対して有効であると報告されています。

 

飲み込みの指導: "Drooling in Parkinson's disease: A randomized controlled trial of incobotulinum toxin A and meta-analysis of Botulinum toxins" (Nóbrega et al., 2018)では、ボトックス注射と併せて専門家による飲み込みの指導が行われ、唾液過多症の症状の改善が見られました。

 

唾液腺手術: "Neurectomy for problematic drooling in children" (Reid et al., 2010)では、重度の唾液過多症を呈する小児患者に対して唾液腺の神経を切除するネクレクトミー手術が行われました。この手術は唾液過多症の症状を著しく減少させ、生活の質の向上をもたらしたと報告されています。

 

薬物調整: "Medication-Induced Hypersalivation in an Intellectually Disabled Patient: A Case Report" (Borovcanin et al., 2018)では、知的障害のある精神的な病気に使用する薬物の副作用として唾液過多症を発症しました。医師は薬物を調整し、唾液過多症の症状が大幅に改善したと報告しています。

 

ライフスタイルの調整: "Drooling and its management in neurological disorders" (Meningaud et al., 2006)では、ライフスタイルの調整が唾液過多症の一部の発症者に有効であると提唱されています。これには、飲食のパターンの変更やストレス管理の技術などが含まれます。

 

これらの症例は、唾液過多症の改善において個人やその特定の状況に応じて様々なアプローチが可能であることを示しています。

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