馬尾腫瘍の鍼灸【原因・定義・症状】

公開日:2021年  2月 1日

更新日:2021年 10月 5日

本日は馬尾腫瘍について解説させていただきます。

☆本記事の内容

  • 馬尾腫瘍とは
  • 馬尾腫瘍の原因
  • 馬尾腫瘍の症状
  • 馬尾腫瘍の改善方法
  • 馬尾腫瘍のまとめ
足のしびれ、痛み

銀座そうぜん鍼灸院の宗前です。

このページを書いている私は、鍼灸師として13年、担当した利用者様数80,000人を誇り、病気の休職者300人を社会復帰できるまで回復させてきた実績があります。

 

馬尾腫瘍は、馬尾にできた腫瘍

馬尾腫瘍は、神経の本幹である脊髄の末梢部分にあたる馬尾にできた腫瘍のことです。 馬尾腫瘍の多くは神経鞘腫で、良性の腫瘍です。ただし、珍しいケースではありますが悪性の場合もあります。

 

脊髄が末梢に伸びる神経の枝を出しながら第1~第2腰椎のあたりまで伸びている先で、馬のしっぽのように分岐している部分が馬尾です。

 

中枢神経である脊髄頚椎から第1腰椎の高さまで存在しており、馬尾神経はその下方にある末梢神経です。

馬尾腫瘍の原因はわかっていない

馬尾腫瘍の原因はわかっていません。

 

馬尾腫瘍は、全ての脊髄腫瘍の約3割であるといわれています。よく見られる年齢は50歳で、女性よりもやや男性に多い傾向があるということもわかっています。

 

多くは神経鞘腫ですが、他にも上衣腫のケースも見られます。珍しいケースでは、類上皮腫や傍神経節腫のこともあります。

馬尾腫瘍の主な原因について説明します。

 

椎間板ヘルニア

馬尾症候群の最も一般的な原因の一つは、椎間板ヘルニアです。椎間板ヘルニアは、脊椎の骨を隔てるクッションとして機能する椎間板が、その通常の位置から突出し、隣接する神経根に圧力をかける状態を指します。

 

特に、腰椎のヘルニアは馬尾を圧迫する可能性があり、それが馬尾症候群を引き起こす可能性があります。椎間板ヘルニアは、通常、重い物を持ち上げるときや突然のひねり運動によるトラウマ、または年齢と共に椎間板が自然に劣化することにより発生します。

 

脊椎狭窄症

脊椎狭窄症は、脊椎の管の内部が狭くなり、脊髄や神経根に圧力をかける状態です。この状況は、老化、関節炎、脊椎の劣化などの自然なプロセスによって起こります。

 

脊椎狭窄症が腰椎部に発生すると、それは馬尾を圧迫し、馬尾症候群を引き起こす可能性があります。

 

腫瘍

腫瘍も馬尾症候群の一因となり得ます。脊髄やその周辺組織に発生した腫瘍が成長し、馬尾に圧迫を与えることで馬尾症候群を引き起こすことがあります。これらの腫瘍は一般的に癌の転移や直接的な神経組織の腫瘍(例えば神経鞘腫やメニンギオーマなど)として発生します。

 

外傷

馬尾症候群はまた、外傷により引き起こされることがあります。脊椎に強い力が加わると、脊椎が破壊されたり脱臼したりし、これが馬尾に圧迫を与える可能性があります。自動車事故、高所からの落下、スポーツ中の怪我などが含まれます。

 

関連する病気

特定の病気や状態も馬尾症候群を引き起こす可能性があります。これには感染症、出血(特に術後の出血)、髄膜炎、梅毒、骨組織の炎症などが含まれます3。

 

これらは馬尾腫瘍の一部の原因を示していますが、必ずしも全ての場合をカバーしているわけではありません。

 

Footnotes

Mayo Clinic. (2020). Brain tumor - Symptoms and causes. https://www.mayoclinic.org/diseases-conditions/brain-tumor/symptoms-causes/syc-20350084 ↩

 

Mayo Clinic. (2020). Spinal cord injury - Symptoms and causes. https://www.mayoclinic.org/diseases-conditions/spinal-cord-injury/symptoms-causes/syc-20377890 ↩

 

Cleveland Clinic. (2019). Cauda Equina Syndrome. https://my.clevelandclinic.org/health/diseases/17565-cauda-equina-syndrome 

神経根の症状と神経組織の症状が現れる

馬尾腫瘍の症状は、腫瘍が発生したことによって現れる神経根の症状と腫瘍によって圧迫されることによって現れる神経組織の症状が組み合わさって現れます。

 

主に現れる症状は、下肢の痛みやしびれ、脱力などで、場合によっては排泄障害も現れます。

 

一般的には、運動障害が現れるより先に腰殿部痛や下肢の異常感覚、根性疼痛が現れます。痛みは夜中に起こることが多いです。

馬尾腫瘍は、脊椎の下部で馬尾(腰椎から尾骨にかけての脊髄の束)と呼ばれる神経束が圧迫されることで引き起こされる緊急を要する状態です。馬尾腫瘍の症状は様々で、神経が圧迫される部位や圧迫の程度により異なります。以下に、馬尾症候群の一般的な症状をいくつか説明します。

 

下肢の症状

馬尾症候群の一般的な症状は下肢に関連するものです。これは、馬尾が主に下肢の感覚と動きを制御する神経で構成されているためです。

 

疼痛

多くの場合は、下背部、尻、大腿、膝、足など、下肢に沿って疼痛を感じます。疼痛はしばしば一方の脚に限定され、しばしばこの疼痛をは"走る"または"放射する"と表現されます。

 

筋力低下

馬尾腫瘍では、足の筋力の低下または失失を報告することがあります。これは一般的に、足を持ち上げる(足背屈)、足を下げる(足底屈)、または足の指を動かす(足指屈伸)能力の低下として現れます。

 

感覚異常

感覚異常は、馬尾腫瘍の典型的な症状です。これはしばしば下肢の「ピンと針」の感覚、感覚の鈍さ、または感覚の全くない部分として現れます。特に、"鞍部"と呼ばれる内側の太もも、股間、尻の間の領域で感じられる感覚異常は重要な症状で、この領域は馬尾の神経が供給する領域です。

 

排尿・排便の問題

馬尾症候群はまた、排尿や排便の問題を引き起こすことがあります。馬尾の神経は、尿道と直腸の筋肉の動きを制御します。そのため、これらの神経が圧迫されると、以下のような問題が生じる可能性があります。

 

排尿障害

排尿の困難(排尿困難)や尿失禁を経験することがあります。また、尿の流れが弱い、尿をすぐに出すことができない、または尿を全く出すことができない(尿閉)と感じることもあります。このような症状は、尿道の筋肉が適切に働かないために起こります。

 

排便障害

便失禁や便秘を経験することがあります。これらの症状は直腸の筋肉が適切に働かないために発生します。

 

性機能障害

性機能に影響を及ぼす可能性があります。男性では、勃起の困難(ED)が報告されることがあります。女性では、性的感覚の減少が見られることがあります。

 

Footnotes

Cleveland Clinic. (2019). Neurogenic Bladder: Symptoms, Causes, Treatments, Surgery. https://my.clevelandclinic.org/health/diseases/15133-neurogenic-bladder 

 

Mayo Clinic. (2020). Fecal incontinence. https://www.mayoclinic.org/diseases-conditions/fecal-incontinence/symptoms-causes/syc-20351397 

 

Mayo Clinic. (2020). Erectile dysfunction. 

馬尾腫瘍の改善方法は手術

馬尾腫瘍の改善方法は手術です。

 

症状が軽い場合は、手術を行わず改善に取り組む場合もありますが、基本的には手術を行い腫瘍を摘出することで改善します。

馬尾腫瘍の改善方法は、その原因、症状の重症度、そして全般的な健康状態により決定されます。

 

手術

最も一般的な方法は手術です。この手術は、圧迫を引き起こしている原因(たとえば、ヘルニア化した椎間板、脊椎狭窄、腫瘍など)を取り除き、神経の圧迫を解放することを目指しています。

 

椎間板ヘルニアの除去

椎間板ヘルニアが馬尾症候群の原因である場合、外科医は椎間板ヘルニアの除去(椎間板切除術または脊椎内視鏡手術)を行うことがあります。これは、ヘルニア化した椎間板の一部を取り除き、脊髄や神経根にかかる圧力を軽減するためのものです。

 

脊椎狭窄症

脊椎狭窄症が原因の場合、椎間孔形成術(ラミネクトミー)が実行されることがあります。これは、椎骨の一部を取り除き、脊髄や神経根により多くのスペースを提供することで圧力を軽減する手術です。

 

腫瘍の除去

腫瘍によって引き起こされている場合、可能であれば腫瘍の全摘または部分的な除去が試みられます。腫瘍の位置と大きさ、そして腫瘍が神経組織にどの程度侵入しているかによって、この手術の難易度は大きく変わります。

 

放射線

特定の腫瘍(例えば、癌)に対しては、外科手術と併用して放射線が行われることがあります。この方法は、特定の範囲に高エネルギーの放射線を照射し、腫瘍細胞を破壊することを目的としています。しかし、放射線は健康な組織にも影響を及ぼす可能性があるため、慎重に行われます。

 

抗がん剤

特定の薬物を用いて腫瘍細胞の増殖を阻止または遅らせる方法です。これは、特に腫瘍が悪性で、身体の他の部分に広がる可能性がある場合に使用されます。

 

ステロイド

症状を緩和するために、ステロイドが処方されることもあります。ステロイドは抗炎症作用があり、腫れや痛みを軽減するのに役立ちます。

 

リハビリテーション

手術後、リハビリテーションが必要な場合もあります。リハビリテーションサービスは、日常生活に戻るのを助け、可能な限り機能を回復するのに役立ちます。

馬尾腫瘍の多くは神経鞘腫

馬尾腫瘍の多くは神経鞘腫です。神経鞘腫は発症する神経の場所によって名称が異なり、馬尾腫瘍は馬尾に腫瘍ができます。

 

神経鞘腫は色々な部位に発生する可能性があります。中でも発生する部位で多いのは、皮下組織や筋肉のような軟部組織です。脳や脊髄神経に発生するものの中でも発生することが多い部位は、聴神経と三叉神経であるといわれています。

 

一般的に神経鞘腫は良性です。しかし、悪性の神経鞘腫が発生することもあります。悪性の場合は、何度も繰り返し再発したり遠くの臓器に転移したりすることもあるため、良性か悪性かをきちんと調べることが大事です。

馬尾腫瘍の改善例

事例1: ヘルニアによる馬尾腫瘍 John(仮名)、45歳の男性

突然の下半身の麻痺と排尿困難に悩まされ、病院に行きました。MRIの結果、椎間板ヘルニアにより馬尾が圧迫されていることがわかりました。彼の改善方法としては、緊急の脊椎手術が行われました。手術は、ヘルニア化した椎間板の一部を取り除くことで圧力を軽減するものでした。

 

事例2: 脊椎狭窄症による馬尾腫瘍 Susan(仮名)、68歳の女性

足の痛みと弱さ、そして排尿と排便の困難に苦しんでいました。彼女はMRIスキャンを受け、脊椎狭窄症が馬尾を圧迫していることが発覚しました。彼女の症状を軽減するために、ラミネクトミー(椎骨の一部を取り除く手術)が選択されました。

 

事例3: 脊髄腫瘍による馬尾腫瘍 David(仮名)、35歳の男性

足の麻痺、感覚異常、排尿障害などの症状で病院に来ました。MRIにより、脊髄腫瘍が馬尾を圧迫していることが明らかになりました。手術が行われ、腫瘍が可能な限り除去されました。手術後、彼は放射線を受け、腫瘍細胞の増殖を抑制しました。

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